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    原発問題 -The Truth is Out There-

      : 

    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    福島第一原子力発電所の現状を見た今、あらためて聞くー京都大学小出裕章氏インタビューー vol.1 

    IWJ特報!第26号
    岩上安身のIWJ特報
    福島第一原子力発電所の現状を見た今、あらためて聞く
    ー京都大学小出裕章氏インタビューー vol.1
    (IWJ許可済み転載)

     昨年末、「事故収束宣言」を出し、対策本部(本部長は野田総理)を解散した野田総理。事故は収束しているという判断は、果たして妥当なものだったのか否か。

     2012年2月20日、私とIWJ取材班は、ネットメディアとしては初めて、ニコニコ生放送取材班とともに、東京電力福島第一原子力発電所構内に取材に入った。

     完全防護体制で、バスに乗り込み、構内をめぐったが、驚くべきことに、海に面する3号機の前では毎時500マイクロシーベルト、その隣の4号機前では、毎時1500マイクロシーベルトを計測した。バスの中にいたにもかかわらず、である。

     こんな高線量の現状では、どのような防護服に身を包もうと、作業員の被曝は避けられず、作業は遅々として進まないに違いない(取材の模様は、IWJのホームページで、その一部始終を公開している。【URL】http://220f1.iwj-beta.com/)。また、カバーのかけられている2号機内部は、22万マイクロシーベルトという、途方もない高線量であることが明らかにされた。これほどの高線量では、人が近づいて作業することは不可能である。急性死してしまうほどの線量である。

     政府・東京電力が発表した工程表によると、福島第一原子力発電所の廃炉には、少なくとも30~40年の時間を要する。空間線量は、事故から一年は急速に下がるが、その後は下がらない。高線量の作業環境に大きな変化はない。

     また、今後40年の間に、新たな地震が襲い、すでにボロボロの廃墟と化した建屋を崩壊させる懸念もぬぐえない。また、敷地内に設置された4000基ものタンクいっぱいの汚染水はどうするのか。今後も、燃料の冷却は続けなければならず、汚染水は増え続けている。4月にも海洋への汚染水投棄を計画していると東電は言う。そんなことが許されるのか。到底、問題が片付いているとは思えない。

     発災以前から原発の存在に警鐘を鳴らし、その後も精力的に発言を続けている、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏に、福島第一原子力発電所への入構取材後に、あらためて話をうかがった。

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    ◆福島第一原発、その厳しい現状
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    岩上「本日は、大阪府の熊取町にある京大原子炉実験所に来ております。小出先生に久しぶりにお会いさせていただきまして、お話をうかがいたいと思います。先生、よろしくお願いします」

    小出「こんにちは。よろしくお願いします」

    岩上「先生に初めてお会いしたのは、昨年4月1日だったんですね。昨年の4、5、6月頃に集中的にお話をうかがっていました」

    小出「はい」

    岩上「小出先生は、当時から『これ程の事故が起こった。この時にもし原発を止めることができなければ、脱原発ということは果たすことができなければ、もうおそらく日本は脱原発ということを果たすことができないだろう』というふうにおっしゃっていました。

     昨年4月、5月、6月頃というのは、東北から関東では脱原発に向かうエネルギーというのは、非常に急速な高まりがあったと思うんですね。でも、そういうものが、今、急速に落ち着いて来てしまっているように感じられます。このような動きを、どのように見通していったらいいか、そういうお話もお聞きさせていただきながら、当面の目の前で起きている問題、例えば、福島第一原子力発電所の2号機がおかしいとか、あるいは4号機の問題、そして、瓦礫の問題と再稼働問題について、おうかがいしたいと思います。よろしくお願いいたします」

    小出「はい、よろしくお願いします」

    岩上「まず、先日、私とIWJは、インターネット・メディアとしてニコニコ生放送とともに、福一の構内の取材に入りました。そして、約5時間にわたる取材模様をすべて公開しました。

     福一の取材では、構内の免震重要棟を出て、1号機から4号機まで巡り、高台に上がって、降車して、その後、5、6号機を見るというコースでした。バスに乗り、完全防護体制で行ったのですが、それでも3号機の前で500μSv、4号機の前で1500μSvという、とんでもない高い数値を計測しました。

     免震重要棟の前の駐車場、ここは普通に働いている人たちの通勤用の車両であるとか、業務用の車両などが停められているのですが、そこも非常に高い数値が出ました。

     こういう状態の中で、防護マスクを装着しての取材だったのですが、この防護マスクというのは大変息苦しいんですね」

    小出「そうですね」

    岩上「とても息苦しくて、くたくたに疲れ、頭痛がしました。1時間の取材の後、後半は、記者たちはみんなぐったりとしてしまって、質問しているのはバスの中で私しかいませんでした。

     あの中で被曝しながら、そして苦しいマスクをしながら労働し続けて、重機の入らないようなところを、手探りでやっているわけです。それでは、作業も遅々として進まないだろうなと実感しました。

     線量が高いうえに、3号機、4号機等は、本当に廃墟のままですよね。3号機に関しては、重機をそのまま入れることができない。まず、人が現場に立てない。4号機の方は、あの廃墟の中に人が入り、作業員が働いている姿を現実に見ましたけれども、こんな状況でどんなふうに進んで行くのか。これからの収束の見通しはどうなのか。この線量の高さといい、この作業環境といい、改めておうかがいしたいと思います」

    小出「はい。今、岩上さんと私が話しているここは、京都大学原子炉実験所というところで、原子炉があり、あちこちに放射性物質が存在しているという場所です。

     ただし、今、ここは私の研究室ですけれども、放射性物質は存在しません。
    でも、私が何か放射能を取り扱って仕事をしようと思えば、放射線管理区域というところに入るわけです。今日もその管理区域の中で私は仕事をしていました。でも、基本的に放射線管理区域の中は、できる限りきれいにしてあります。そこが放射能で汚れていたら、落ち着いて仕事もできませんので、できる限りきれいにしている。それでも、やはりきれいにでききれずに被曝を我慢しなければいけないという、そういう場所はあります。

     そういう場合には、1時間あたり20μSvを超えるような場所というのは高線量区域と指定し、そこで作業する時には、放射線管理部に届けて、許可を得ないと、そこでは働けないということになっています。

     岩上さんが見せてくださった福一の線量のほとんどすべてが1時間あたり20μSvを超えています。

     これは、福一の敷地全体が、私の今いるこの京都大学原子炉実験所という、それも特殊な職場ですけれども、そこの中のまた特殊な放射線管理区域の中の、そしてまた極特殊な高線量区域と呼ばなければいけない場所と同じような状態になっているということです。  

     ですから、本来であれば、岩上さんのようなジャーナリストなど放射線を取り扱う仕事に従事している人でない方がこういう場所には行ってはいけないという、そういうことだと私は思います」

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    ◆現在は、放射能との戦争状態である
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    小出「私から見ると、今は戦争状態にあります。私が戦争と言う時には何重もの意味で言っています。私にとっては、私と日本政府、東京電力との戦争でもあり、また、放射能という生き物ではないものと生き物が戦争をしているという、そういう戦争でもあると思うのですね。

     ですから、放射能との戦いということで言えば、東京電力も日本政府も私と同じ側にいて、放射能と戦っているわけです。東京電力の作業員の人たちだってこちら側にいるわけで、その人たちは、直接、放射能相手に戦わなければいけない状況にいます。

     なんとしても、この戦いを勝ち抜かなければ、敵である放射能はどんどん生き物の世界に飛び出して来ようとしているわけです。大変困難な戦いだけれども、そして作業員の人達が被曝をしながらでなければ戦えないという、敵が作った戦場の中での戦いになってしまっています。作業員の方々には本当に私は申し訳ないと思うけれども、でも、やり切るしかありません」

    岩上「その戦いというのは、どのくらい長く続くんでしょう?」

    小出「予想ができません。去年の暮れに、野田総理は事故収束宣言を出したわけですけれども、私から見ると本当に呆れた話だと思うのです。事故が、どれほど深刻なのかすら正確に把握することができない。私たちが知ることができないという、そういう状況が今でも続いているわけですし、4号機の使用済み燃料プールの中に膨大な使用済み燃料が、燃料全体では1,500本を超えています。使用済みになっている物だけで1331本あります。

     それは、広島原爆がまき散らしたセシウム137というのを基準にすれば、多分、4000倍位ということになります。その使用済み燃料プールが爆発で壊れたまま、今、宙ぶらりんのような形でかろうじて崩れ落ちずにあるのですね。

     これから大きな余震が来て、使用済み燃料プールが壊れてしまえば、もうそれで手の打ちようがないという事態に今いるし、私たちができることというのは、『4号機の使用済み燃料プールが崩れるような余震が来ないでくれよ』とひたすら願うことしかできないという、そういう状態なんですね。

     事故収束どころではないのです。なんとか一刻も早くその使用済み燃料を安全な所に移さなければいけないということで、岩上さんが、先ほど教えてくれたけど、4号機の建屋の中ではすでに人が入って作業しているという状況で…」

    岩上「そうですね。建屋上部に人が働いていました…、ほとんど廃墟になっていますよね」

    小出「人が上がっていますよね」

    ===================================
    ◆4号機、3号機での作業員確保への懸念─余震との戦い
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    岩上「今、ちょうど4号機の話になりましたから、お聞きしたいのですが、
    4号機に関して、まあ3号機もでしょうけれども、さきほど、大変な高線量だとお話しましたが、そうなると長い時間の作業はできないということになりますよね」

    小出「もちろんです」

    岩上「その状態でこれを戦い抜いて、そして勝つには、結局、膨大な時間をかければできるんだと。膨大な時間がかかってしまって、その間にもし地震が、余震という形ではなく、本震が来ないとも限らない。そうした震災とか、事故が起きてしまえば、もうほぼ廃墟のようになってしまって、次の対処というのは非常に難しいと思うんですよ。

     現実の問題として、その確率というのは計算しようがないと思うんですけれども、高い線量の中にどのくらいの人を、どのように投入していき、どうやってこの期間を短縮するのか。つまり、どうすれば、地震リスクを最小限に押さえ込むことができるのか。そうやってこれを完遂する、成功する確率はどの位だと思いますか?」

    小出「分かりません。私は地震学者ではないので、福島第一原子力発電所の近くでどれだけの地震がどれだけの確率で起きるということについては、まったく素人ですし、数字でお答えすることは私にはできません。ただし、現在、
    猛烈な危険物が危機的な状況で存在しているということは確実です」

    岩上「はい」

    小出「ですから、それをとにかく一刻も早く、少しでも安全な所に移さなければいけません。それは、東京電力も承知しているわけですから、猛烈な被曝環境である4号機の建屋の中にすでに作業員を送って、作業をさせているわけですね。

     私は、作業員の方は本当に大変だろうし、ごく短時間しかその現場にいられないという、そういう作業現場でやっていて、次から次へと作業員を入れ替えながらやらなければいけない作業です。そのためには、非常に大人数の人員が必要になってくるはずです」

    岩上「どうしたら良いんですか? 人員を大量投入をするための何か方法等を考えないといけないんでしょうか?」

    小出「そうですね。チェルノブイリの原子力発電所の事故の場合には、事故を収束させるまでに60万人から80万人もの退役軍人、軍人あるいは労働者というのを投入したと言われていますが、日本で同じような対応ができるのかということすら私にはよく分かりません。

     とくに、4号機の使用済み燃料プールの底に沈んでいる燃料を移動させるためには、かなり特殊な能力を持った人たちが、現場で働かなければいけないと思います。そういう人たちの手当ができるのかどうか・・・。

    1人数時間しか、多分この現場では作業できません。そうしたら、本当にその専門的な知識を持っている人たちを集めることができるのかという、そのことすら不安です」

    岩上「問題は、4号機のその使用済み核燃料のプール、これを支えている支柱
    、構造物の耐震性だと思うんですけれども…」

    小出「そうですね」

    岩上「新しく所長になられた高橋さんが会見に応じてくれて、それについて私が質問しました。そうしましたところ、『耐震の補強はした』、『十分やったので、自分達の分析解析によると、今度東日本大震災と同じレベルの地震に見舞われても耐えうる』というふうに言い切っているわけです。この高橋所長の言葉の信憑性について、どのようにお考えですか?」

    小出「私もそうあって欲しいと願います。しかし、福一の所長さんがそう言うとしても、私のところには、例えば、現場で工事をしたという人がどう言っているかという話も伝わって来ているのですが、現場で工事を担当した人たち
    からすると、『これはもう震度5が来たら、危ないんではないか』というようなことを言っていると私は聞きました。

     ですから、本当に何が真実なのか私には分かりません。ただ、猛烈な被曝環境なので、ゆっくりと耐震補強工事をするという時間はおそらくなかったはずだし、通常時の工事の管理、工程の管理ができたというふうに私には思えず不安です」

    岩上「普通、震度5で耐えられないって言うんだったら、震度6や7は、もちろん耐えられないですから、東日本大震災と同レベルの地震に耐えうるというのは怪しくなりますね」

    小出「そうですね」

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    ◆政府の報告する数値の2、3倍が、実際の数値である
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    岩上「万が一、4号機の使用済み燃料プールが落ちた場合、どの程度の被害になるとお考えですか?」

    小出「東京電力がIAEAという国際的な原子力推進団体に対して、去年の秋だったと思いますが、報告書を提出しています。その報告書の中で、日本政府はその時点までに大気中に放出したセシウム137は、広島原爆がまき散らしたセシウム137の168発分だと主張しているんですね。私は、おそらく、それは過少評価だろうと思っています。

     要するに、日本政府は、今回の事故を引き起こした最大の犯罪者なわけですね。犯罪者が自分の犯罪を重く申告する道理はないのであって、できるだけ軽くみせたいと思って弾き出した数字がこの数値なわけで、私は、報告された数字の2倍か3倍多いんだろうなと今は思っています。

     ですから、すでに大気中にまき散らしてしまったセシウム137は、広島原爆の数百発分だと私は思います。 ただし、4号機の使用済み燃料プールに沈められている燃料の中には広島原爆がまき散らしたセシウム137の多分4000発分はあります。それが冷やすことができない状態になれば、大気中に出てきてしまうわけですから、これまでに放出して、環境を汚染したセシウム137の10倍というものが新たに出てきてしまう可能性があるということです」

    岩上「それでは、水素爆発によって大気中に広く、大きく飛散していった状況と、使用済み核燃料が落ちて、そこの場に散らばるということの違いについては、どうなんでしょう。それ以前の3号機の爆発とか、1号機の爆発とか、ああいったものとは拡散の仕方が違うということになるんでしょうか?」

    小出「今は、よく分かりませんが…。現在は、燃料がプールの底にあるわけで、水で冷やすことができるという状態にあるんですね。

     プールが壊れてしまって、水で冷やすことができない状態になれば、いずれにしても燃料が溶けてしまうのです。溶けるということは、ウランの燃料ペレットというもの、それは瀬戸物なんですけれども、それが溶ける程の温度になってしまうということなんです。

     2800度なんですが、そうなってしまう。そうなれば、揮発性の放射性物質はほとんどのものが出てきてしまうわけです。ヨウ素にしてもこの前の事故の時に飛び出してきたわけですし、それから、セシウムにしても揮発性ですから、いずれにしても出てきてしまうと思います。ですから、水素爆発があろうとなかろうと、どっちにしても出てきてしまう」

    岩上「それは、空間の中においては同じような広がり方をしていくだろうということですね」

    小出「後は、要するに、風に乗って流れるだけですので、西風が吹いていてくれれば、海の方に行ってくれるわけですし、そうではない海からの海風が吹いていれば、陸の方に来てしまうという、それだけのことなのであって、場合によっては、東京の方に流れて行くかもしれないし、後はもう運を天に任せるということだと思います」

    岩上「なるほど。冷却装置というような物がもう使えなくなるような状態になると思うんですけれども、そういう状態になった時、今度は冷やす方法は何かあるんですか?」

    小出「私は多分ないと思います。去年の事故が起きた時にも、例えば、東京消防庁が放水車で水を入れようとしたりしたわけですけれども、剥き出しになってしまうと近寄ることができませんので、はるか彼方から放水銃でそこに水をかけるとかですね…」

    岩上「近寄れないということでしょうか?」

    小出「はい」

    岩上「それは、近寄ったら人間が死んでしまうということですね」

    小出「そうです。もう剥き出しになってしまえば、近寄ることはまずできない。ですから、遠くから水を掛け続けることが、一体どれだけできるのかという、そういう勝負だと思います」

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    ◆「冷温停止」、「冷温停止状態」と言ってはいけなかった──混乱の元凶
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    岩上「非常に暗澹たるものがあるんですが、ちょっと話は変わって、2号機ですが、2号機の温度計、底部の温度計が一部損傷したということで、温度上昇が見られ、それは損傷であるということになりました(この2号機の温度上昇問題については、2月16日の東電会見で私自身が質問した【URL】http://bit.ly/y9du7D)。このH1という温度計が壊れたのは塩水に洗われたためで、それによる絶縁が原因であるという説明が、東京電力からありました。

     H2とかH3という二つの温度計と、それからスカート部の温度計、その他のいろいろな測り方をしているということなんですけれども、それによってこの冷温停止状態というものが続いているということをモニタリングしていくという。しかし、温度計のひとつが壊れるということは、同じような環境下にある他の温度計も故障する可能性がある。正しく計測できなくなるかもしれない、ということが懸念されます。

     これについて東電に質問をすると、すぐに新しい温度計を設置することはできないし、技術的にそういう技術はない、という回答が返ってきます。かなり先のことになる、と。

     ということは、どうすれば、本当に冷温停止状態というのが続いているかどうかということを、私たちは知ることができるのか? これについては、どういうふうにご覧になりますか?」

    小出「もともと、冷温停止状態なんていう言葉自体があり得ないことなんですね。冷温停止という専門用語はありました。

     それは原子炉圧力容器という鋼鉄製のお釜が壊れずに、水を貯めることができ、その貯まった水の中に原子炉の炉心という部分が浸かっていて、そして水の温度が100度以下になるというのが冷温停止という状態…、状態と言うか、そういう状態を表すのが冷温停止という言葉なんですね」

    岩上「そういう言葉なんですね」

    小出「はい。ところが、もう圧力容器という圧力釜の底が抜けてしまっていて、もう水を貯めることもできず、そのために炉心は溶けてしまった、と。溶けてしまった炉心は一体どこにあるかも分からない、と言っているわけですから、冷温停止なんて言葉をもう使ってはいけなかったのです。

     ただし、東京電力が工程表で冷温停止という言葉を使ったのは、2011年4月17日の工程表でした。その時には、東京電力もまだメルトダウンをしていないという判断の下にその工程表を作りました。

     そうであれば(メルトダウンを起こしていなければ)、まだその冷温停止ということを実現できる可能性はあったわけですが、5月に入ってすぐに東京電力は、すでにメルトダウンをしてしまっていると認めたわけですね。ですから、その状態で冷温停止ということはあり得ないということがはっきりとわかっているわけで、5月17日に書き換えた工程表の時に、もう冷温停止という言葉を使ってはいけなかったのです。

     ところが、東京電力も日本の政府も、何とか事故が収束に向かっているということを言い繕いたかったのですね」

    岩上「そう見せかけたいと言いますかね」

    小出「はい。見せたかったんですね。それで、冷温停止という言葉を引っ込めずに、あいかわらず使い続けることにしたわけですね。しかし、冷温停止ということはあり得ないということは歴然としているわけですから、彼らはそこで『冷温停止状態』というまた別の言葉を作ってしまったわけです。

     私は、それがすべての混乱の元凶になっていると思っています。

     そして、停止状態を実現しているかどうかというのは、原子炉圧力容器の温度を測ったりしていると言って、その温度が100度以下になればまあ一つの条件をクリアするということを言ってきたわけですが、炉心はすでに溶けてしまって、圧力容器の中にない可能性が高い。

     もしないなら、圧力容器の温度が上がることの方がむしろ不思議なのであって、100度以下になるなんてことは当然なんですね。100度以下になってしまったということは、すでに炉心が下に全部落ちちゃったよ、ということを示すわけですから、さらに酷いことを示すということになります」

    岩上「この点を突くとですね、東電はいつもいろんなことを言いながら、『圧力容器の底部にまだほとんどは残っている』と。このメルトスルー、メルトダウンはしたんだと一時認めておきながら、それでもなお、『燃料は底に残っているんだ』とこう言い張るんですね。

     根拠をいろいろに言い繕うんですけれども、聞いていてよく分からない。先生はどういうふうにご覧になりますか。あれは本当に彼らの言い分どおり、残っているんでしょうか。今、おっしゃったように、『いや、下に落ちた。落ちたからこそ、あそこは温度が低くなって当たり前なんだ』と。どういうふうに考えたらよいでしょう?」

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    ◆原子力発電所の事故の過酷さ─不可視の現場との戦い
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    小出「少なくとも1号機に関しては、100パーセントが圧力容器から溶け落ちたと言ってきたと私は理解してましたけれども、違うんですか?」

    岩上「2号機の方ですね」

    小出「2号機ですか。はい、だから、2号機は50パーセントでしたかね。何かまだ残っているというような、そんな説明だったと思いますが、それは私にも分かりません。おそらく、東京電力にも分からないのだと思います」

    岩上「実際、本当に分からないんですね?  ごまかしているわけでも、何でもなくて、よく言われるように、いまだにどんな調べ方をしても、状態を把握することができないと…」

    小出「これはですね、原子力発電所というものの事故の過酷さを一番に示していることだと思うのですが、壊れているのは火力発電所ではなくて、原子力発電所なんですね

     これが火力発電所だとすれば、地震でやられようと、津波であろうと、何か燃料が爆発しようと、現場に行って見ればいいんです。それは何かちょっとガスがあるとすれば、ガスマスクでも何でもして、行って、そこで見ればいいんですよ。で、壊れた物を触ってみて、どこがどういうふうに壊れているのか調べればはっきりとわかるわけだし、順番に直せばいい。ゆっくり直せばいいということだけなんですけど、原子力発電所の場合には、行くことができない。見ることも触ることもできない。

     そもそも、こんな事故が起きると予想もしていなかった。彼らに言わせると『想定外』という言葉になるわけですけれども、そのために、目で見る代わりの測定器、手で触る代わりになる測定器というような物も一切の配置がなかったのですね。

     今、岩上さんがずっと言われていた、H1、H2とかいう、そういう測定器だってこんな事故を想定して付いていたわけではなく、通常運転時の圧力容器の温度を測定するために入れられていた測定器なのですね。でも、もう炉心がどこにあるか分からない時に、そんな測定器をいくらあてにしても無意味という、そういう状態になってしまっていると私は思います。

     でも、まあ何とかそういう曲がりなりにもあった測定器の情報を頼りに『ああでもない、こうでもない』と推測しながら、今日まで来ているのです。でも、本当にどうなっているのかということに関しては、やはり分からない。それが原子力発電所というものの事故の過酷さなんだと思うしかないと思います」

    岩上「例えば、その外を通った時にですね、これだけの高い線量が検出されるというのは、まさにそういう燃料が外に出てしまっているということでしょうか?」

    小出「もちろんそうですね」

    岩上「そうしたことの一端を示すものというふうにお考えでしょうか?」

    小出「もちろんです。燃料は、もともとは圧力容器の中にあったわけですし、それが溶け落ちたとしても、今度はその外側にある原子炉格納容器という容器、その格納容器こそが放射性物質を閉じ込める最後の防壁だと言っていたわけですね。

     仮に、燃料が溶け落ちようが何だろうが、格納容器の内部で食い止めているのであれば、建屋の外側、敷地のあちこちがこんな線量になることは絶対にあり得ない。ですから、もう格納容器があちこちで壊れてしまって、中から溶けた燃料が飛び出して来て、そこら中に汚染を広げているということなのです」

    岩上「なるほど。じゃあ、この事実一つを取っても、東電の説明はまったく矛盾すると」

    小出「東電だって、そのことを十分承知しているわけですから、原子炉は溶けてしまいましたと言っているわけだし、1号機に関しては、全部溶け落ちてしまいましたと言っているわけですよね」

    岩上「しかし、実際に現場へ取材に行くと、1号機前なんかよりも、はるかに3号機、4号機の場合は高かったりしますよね」

    小出「そうですね。ですから、私は、いままでの東京電力の主張自身はあまり正しくないと思います」

    岩上「やっぱり」

    小出「はい。多分、彼らが思っている状態ではないことが3号機でも、4号機でも起きているはずだと思います」

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    ◆十数万トンの汚染水をどうするか?─漏れ続ける汚染水
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    岩上「なるほど。あと、重大な問題としては、汚染水の問題があります」

    小出「はい」

    岩上「汚染水のタンクが、発電所の裏手の山側の方に造られていまして、森が切り開かれて、タンクが4000機、いろんなレギュレーションの物が並んでいました。日本中から掻き集めてきた、という。

     ここに十数万トンだったと思いますけれども、とんでもない量の汚染水を溜め込んでいる。しかし、もう場所がない。送電線の、ここの送電塔の下の土地を使うかということも検討している。あと、メガフロートにもためている。でも、持って行き場がない、と。

     これは、バスの中で案内をしてくれた安定化センターの副所長の岩城さんという方が説明してくださったんですが、この方は、東電の広報とはちょっと違って、わりとズバズバとお話される方でした。この方に、5、6号機の件で、小出さんのいつもの持論でらっしゃるタンカーをここに入れて柏崎刈羽に持って行って処理したらどうだ、という話があるんだけど、とこれをぶつけたんですね。そうしたら、『それは新潟県知事が許可しないだろう』と」

    小出「ははは(笑)」

    岩上「(笑) じゃあ、そこに少なくとも停泊させて、一時でもそこに受け入れて、そこで処理するとか、そういう手はどうなんだ、というようなことを言ったら、『できない』というようなお話でした」

    小出「なぜできないと言ったんですか?」

    岩上「なぜだかよく分からないです」

    小出「ああ、そうですか」

    岩上「ガスマスク越しでの状態での会話ですから(笑)。落ち着いた状態でのインタビューとか、取材ではないんですね。相手もバスの中でメガフォンを持ちながら、車内で説明を行っている間での会話でしたから、十分なものではなかったんですけれども、いずれにしても、遠くに停泊させるとなると、少し沖合に置かなければいけない」

    小出「当然ですね」

    岩上「その沖合にタンカーを出しておくっていうことが許可されるかどうかとか、あるいはそれを受け入れられるかとか。そんなんだったら、汚染水を出している方が問題だと思うんですけれども、そういうことも言ってましたし、技術的なことも困難だというようなことも含めて、いろいろな許可が下りない、周囲の理解が得られない、という答え。『とにかく、できないんだ』というふうにおっしゃっていました。これについては、どういうふうにお考えですか?」

    小出「まず、みなさんに、ちゃんと考えて欲しいんですけれども、現在、福島第一原子力発電所の敷地の中に汚染水が何万トンもあるんですね。一時期12万トンと言われていたはずだと思いますが、それがどこにあるかと言うと、原子炉建屋の地下、タービン建屋の地下、トレンチ、ピット、竪坑というような水路の中にあると言っていたんですね。じゃあ、そういう建物は一体何でできているのかと言えば、コンクリートですよ。コンクリートなんてもうそこら中で元々割れているんです。

     今、ここは、京都大学原子炉実験所の敷地で、天井にもヒビが入っている。あれは剥き出しにしているから、ああなっていて、大抵みんなペンキを塗ってあれを隠すわけですよね。どこでもそうです。でも、コンクリートなんて割れるのが当たり前なんであって、割れないコンクリートはありません。

     ですから、原子炉建屋だって、タービン建屋だって、トレンチも、ピットも、竪坑もみんな割れているんです。そういう所に汚染水が入っているわけですから、必ず漏れているんです。一時期、ピットという所からじゃあじゃあと瀧のように海に流れ出て行っているところが見えた」

    岩上「ありましたね」

    小出「だから、慌ててそこを塞いだということをやったわけですけど、ほとんどの部分は全部地下ですから、見えない。見えないところで、ただただ漏れているということが進行しているんですね。

     ですから、やらなきゃいけないことは、そういう漏れてしまうような構造の所に溜っている汚染水を漏れない安全な場所に移すということしかないのです。
    したがって、東京電力がタンクをあちこちに増設するということは、もちろん
    よいことだし、やらなければいけません。

     しかし、私は、それでは間に合わないと思ったので、去年の3月の段階で『とにかく、巨大タンカーにまずはこの汚染水を移さなければいけない』と言ったんですね。

     それを新潟の柏崎刈羽原子力発電所まで走って行って、そこで排水処理をした方がよいというようなことを私は言ったわけですけれども、そうするためには、さまざまの乗り越えなければいけない壁がありました。

     例えば、タンカーの乗組員は放射線業務従事者ではありませんから、1年間に1mSvを超えて被曝をさせてはいけないという、そうなるとタンカー乗組員はどのように集めるのか、という問題があったわけですし、それは、今、東電の人が言ったそうですけれども、新潟県知事が『うん』と言わないだろうということだってあるわけだし、ものすごい放射性物質を海の上を走らせるということになれば、今度、国際的な理解を得なければいけないということも、もちろんあります。

     でも、とにかく、汚染を海に流すなんてことは最低のことなわけですから、何としてもやらなければいけないし、それこそ政治の出番なんだと言って、私は当時政治家の人たちと話をしたことが何度かありました」

    ===================================
    ◆政治家への要請、動かない行政──政治が動かなければ、変わらない
    ===================================

    岩上「それは、与党の政治家ですか?」

    小出「はい。与党も、野党も。民主党も自民党も、いろいろな人と何度かそういう話をしました。そしたら、私と話をしている限りは、その人たちは『やります!』と言うわけですけれども、結局、何もできないまま今日に至ってしまいました」

    岩上「実際には、政府は官僚機構を動かすことができない…」

    小出「そうですね」

    岩上「あるいは、東京電力は、なぜしたがらないんでしょうかね?」

    小出「まあ、東京電力だけがやっぱりこれをやろうとしてもできないのですよね、きっと。それに国際的な理解を得ようと思えば、電力会社はやはり国際的な場で表には立てない。

     やはり、日本の国家が動かなければできないというものだと思いますし、柏崎刈羽はやはり新潟県知事に『うん』と言わせなければならない。そのためには、政治の場での動きがないとどうにもならないということだから、東京電力としては、もう半ば匙を投げたんじゃないですかね、この件は」

    岩上「ああ。しかし、これは本当に無策と言うしかない」

    小出「そうです」

    岩上「とりわけ、行政機構が動こうとしていないということはやっぱり大きいですよね」

    小出「そうです。日本の政府がでたらめな政府だということですね」

    岩上「ホントに凍り付くしかないんですけどね、そのことを考えると」

    小出「はい」

    岩上「この後の汚染水のダダ漏れというのは、これは続くわけですよね?」

    小出「少なくとも今、何万トンもタービン建屋の地下、原子炉建屋の地下、トレンチ、ピット、竪坑に今でも溜っているわけで、今でもじゃあじゃあ漏れているわけですよね。これからも続きます」

    岩上「キュリオン装置、サリー装置という、二つの吸着装置で取れるのはセシウムだけであって…」

    小出「セシウムだけです」

    岩上「ストロンチウムは、どうしても取れないのですか?」

    小出「取れません」

    岩上「浄化されたあとの水にもストロンチウムなどは残っている。しかも、濃縮されて存在している。これは大変なことですよね」

    小出「そうです。現にどんどん今も流れていっているわけですね」

    岩上「目には見えない形で」

    小出「そうです。地下で漏れているわけですから、見ることはできないです」

    岩上「本当に悩ましい話ですけれども、ちょっと話が変わります。再稼働と瓦礫の広域処理の話をお聞きしたいと思います」

    小出「はい」

    (続く)

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