福島第一原発4号機の使用済み燃料プールが崩壊するという危機を煽るのは、実は入っていないはずの4号機の原子炉(DSプール)に核燃料が入っていたからだった
2013.01.06 Sun 08:23 -edit-
福島第一原発4号機の使用済み燃料プールが崩壊するという危機を煽るのは、実は入っていないはずの4号機の原子炉(DSプール)に核燃料が入っていたからだった。
槌田 敦(つちだ あつし、1933年5月17日 - )は、日本の物理学者、環境経済学者。
東京生まれ。東京都立大学理学部化学科卒。東京大学大学院物理課程中途退学、助手を経て理化学研究所研究員。1966年東大理学博士。名城大学経済学部教授を経て、現在高千穂大学非常勤講師。父が化学者槌田龍太郎, 兄弟に 槌田劭 がいる科学者家族。
フクイチ4号機ミステリー 消えた548本の謎を解く
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-340.html より
4号機は定期検査中で全燃料が取り出されていたというが、原子炉ウェル上部で熱源が観測されている。さらに、使用済み核燃料プールがやばい危ないと危機感をもって報じられながらも、実際は損傷しているふうに感じられない。これは、4号機の原子炉に核燃料が装着されていた可能性を示すものであり、4号機が営業外運転していたのではないかとの疑念を抱かせる根拠である。

4号機の原子炉建屋の壁は四方全てが崩壊している。今は水素爆発ということになっているが、当初は火災だと報じられていた。火災でも爆発でも、それは何で引き起こされたのか。そもそも4号機に爆発源はない、と考えがちであるのは、311発災時、4号機は定期検査中であったというのが根拠になっている。
『3号機の水素が排気筒を通して4号機建屋内に流入しちゃったから水素爆発した。と説明していたけれど4号機建屋北側にある排気筒が破断されていることがバレちゃったのでダクトを共有しているから流入したと嘘ついちゃった。』
バカである。こんなバカの方便に付き合うことはなく、自らミステリーを解き明かしていかなければいけない。まず、4号機の使用済み核燃料プールに目を向けたい。そして、矛盾を解きながら話を進めてみたい。
4号機の使用済み核燃料プールには、1535体(内新燃料204体)の核燃料集合体が収納されているという。4号機使用済み核燃料プールの最大許容本数は1590本である。他号機の占有率は40~60%である。他と比べてみても4号機の97%は突出している。


核燃料はウラン238を燃やすと副産物としてプルトニウム239が生成される。実は、その先があって、プルトニウム239が中性子を捕獲すると自発核分裂性のあるプルトニウム240になってしまうのである。
プルトニウム239は一つ中性子を捕獲するとプルトニウム240になる。軽水炉で燃やされた核燃料は三年間は燃やされる。プルトニウム239が生成されると同時に、プルトニウム240も生成されてしまうのである。軽水炉で燃やされた核燃料はプルトニウム240の割合が20%に及ぶ。兵器級プルトニウムはプルトニウム239の純度が90%以上であることが求められ、軽水炉で消費される使用済み核燃料は核兵器に適さないといわれるのはプルトニウム240に問題がある。
計算して制御できるプルトニウム239と違い、プルトニウム240は自発核分裂という致命的な弱点を抱えているのだ。軽水炉の使用済み核燃料が兵器級プルトニウムにならないのも、自発核分裂性のプルトニウム240が生成されてしまうからである。自発核分裂というのは過早爆発などの重篤なトラブルを引き起こすトリガーになる。つまり臨界しなくても中性子をバンバン出してしまうのである。
プルトニウム240を考慮すれば、使用済み核燃料は一箇所にまとめておくのは危険である。他号機同様、使用済み核燃料プールの占有率は40~60%が適当だ。4号機の使用済み核燃料プールの占有率は97%である。1590本中1535本が収納されている。異常である。他号機の占有率を見比べれば、異常さが際立ってくる。
本当に4号機の使用済み燃料プールに1535本も収納されていたのだろうか。なぜ、占有率に余裕がある他号機の使用済み核燃料プールに分散しなかったのだろうか。そう考えるのも素人だからだろうか。4号機の使用済み核燃料プールに1535本の核燃料を詰め込む理由が見当たらない。
使用済み核燃料プール占有率97%と1535本の理解に苦しむ前に、4号機の使用済み燃料プールの保管されている本数の変遷に目に向けたい。
まずはじめに注目するのは4号機の使用済み核燃料プールには『783体』が保管されていると3月15日付けで報じられていることである。
福島第一4号機は自然鎮火 火災原因不明
< 2011年3月15日 15:17 >日テレ NEWS24
福島第一原子力発電所で15日朝、新たに4号機の建屋で火災が発生した。その後、鎮火したが、火災の原因はわかっていない。
「東京電力」などによると、15日午前6時頃、爆発音があり、4号機の建屋の4階と5階の屋根部分に損傷が見つかった。15日午前9時半過ぎには、建屋の4階から火が出ているのが確認された。その後、15日午前11時頃、自然に鎮火したという。火災の原因についてはわかっていない。
4号機は、地震発生当時は定期点検中で運転していなかったが、建屋の4階と5階の間にある使用済み燃料プールには783体の使用済みの燃料が貯蔵されていたという。
1590本が許容数である使用済み核燃料プールでは、783本という数字はしごく妥当であるふうに思う。
さらに指摘しておきたいのは、東電は4月下旬のプレスリリースで、4号機の使用済み核燃料プールに保管されている本数を『1331本』だと発表していることだ。

4号機の使用済み核燃料プールに保管されている燃料集合体の本数は783本だと、3月15日の時点では報じられていた。それが4月下旬に1331本に書き換えられ、さらに今では204本増えた1535本が東電および政府の公式見解である。
事実は一つである。その原点に立ち返る必要がある。
まずは1535本から1331本を引いてみる。答えは204本。今発表されている新燃料の数と一致する。奇妙な一致であるが、ひとまず置いておく。
さらに1331本から783本を引いてみる。導きだされた答えは548本。消えた548体を追いかけていくと、この数字と見事に符合する数値がある。燃料集合体装着本数である。

783本(初期報道)+548本(装着本数)+204本(新燃料)=1535本。
これははたして、偶然だろうか。
新燃料204本というのも疑問である。東電は4号機定検前のプレスリリースで140本燃料交換を告知している。差し引いて64本、余計に保管しているのである。異常な占有率をみても、わざわざ4号機に運びこむ理由はない。では、新燃料204本という数字はどこから導きだされたのか。簡単である。1331本というのは1535本から新燃料204本を引いた数字に符号する。つまり、奇妙すぎる数字の合致が見られるわけだ。
事実は一つである。
4号機は311発災時、定期検査中だったという。東電のプレスリリースでは、2011年9月24までの299日間の予定とある。定期検査の期間が長めに取られているのは、シュラウドの交換やジェットポンプの交換他の修復工事も予定していたからのようだ。
福島第一原子力発電所4号機の定期検査開始について
平成22年11月29日
東京電力株式会社
当社は、平成22年11月30日から福島第一原子力発電所4号機(沸騰水型、定格出
力78万4千キロワット)の第24回定期検査を開始いたしますのでお知らせいたしま
す。
1.定期検査のための停止予定期間
平成22年11月30日〜平成23年9月24日(299日間)
2.定期検査を実施する主な設備
(1)原子炉本体
(2)原子炉冷却系統設備
(3)計測制御系統設備
(4)燃料設備
(5)放射線管理設備
(6)廃棄設備
(7)原子炉格納施設
(8)非常用予備発電装置
(9)蒸気タービン
3.定期検査中に実施する主な工事予定
(1)燃料集合体の取替え
燃料集合体548体中140体を取り替えます。
(2)ガドリニア濃度変更9×9燃料(B型)*1の採用
従来の9×9燃料(B型)に加え、プラント運転初期から中期までの燃
料の反応を抑える物質であるガドリニアの濃度が高い9×9燃料(B型)
を、96体採用します。
(3)シュラウド*2等取替工事
シュラウドを、応力腐食割れの予防保全の観点から取り替えることによ
り、一層の信頼性向上を図ります。
また、ジェットポンプ等の炉内構造物についても、応力腐食割れに対す
る予防保全の観点から取り替えを行います。
(4)原子炉再循環系配管等修理工事
シュラウド等取替工事において、切断する必要がある原子炉再循環系等
の配管を取り替えます。
(5)原子炉再循環系配管等の溶接部予防保全工事
原子炉冷却材再循環系配管等の溶接部について、予防保全の観点から点
検ならびに高周波誘導加熱応力改善法*3による残留応力低減の対策を行
います。
(6)原子炉冷却材浄化系循環ポンプ改造工事
原子炉冷却材浄化系循環ポンプを軸封部のないポンプに取り替えます。
(7)原子炉冷却材浄化系配管取替工事
原子炉冷却材浄化系配管の一部について、応力腐食割れに対する予防保
全の観点から取り替えを行うことにより、一層の信頼性向上を図ります。
(8)制御棒駆動水圧系挿入配管および引抜配管改造工事
制御棒駆動水圧系挿入配管および引抜配管について、予防保全の観点か
ら取り替えます。
(9)原子炉格納容器配管貫通部および電気配線貫通部改造工事
原子炉格納容器配管貫通部および原子炉格納容器電気配線貫通部につい
て、予防保全の観点から交換します。
(10)第5給水加熱器取替工事
第5給水加熱器の胴体および伝熱管支持板を耐食性に優れた材料に取り
替えます。
(11)復水前置ろ過器増設工事
復水中の不純物を除去する復水前置ろ過器を増設し、運転中における復
水浄化率を向上させ、水質改善、被ばく低減を図ります。
(12)復水前置ろ過器逆洗スラッジ移送配管新設工事
復水前置ろ過器増設に伴う廃液量の増加に対応するため、廃液の移送配
管を新設します。
(13)使用済燃料乾式貯蔵容器設置工事
使用済燃料の貯蔵容量の増加を図るため、乾式貯蔵容器を4基増設しま
す。
(14)主変圧器取替工事
主変圧器について、予防保全の観点から取り替えます。
(15)バイタル交流電源装置*4取替工事
バイタル交流電源装置について、予防保全の観点から取り替えます。ま
た、バイタル交流電源装置取り替えに伴い、バイタル交流電源から受電さ
れている安全設備について、原子炉保護系電源からの受電に切り替えます。
以 上
http://www.tepco.co.jp/cc/press/10112901-j.html
シュラウド交換の準備作業であるシュラウド上部の設備及び本体の取り外しは、DSプールや原子炉ウェルが満水状態に行われる。下の図、左下のような状態である。定期検査中期の状態とは、言い換えれば燃料交換状態であり、シュラウド交換の前段階として取り外された機器類はDSプールに移動され、仮置きされる。

左下の状態。
原子炉建屋には使用済み燃料プールの他、原子炉ウェルとDSプールがある。
311クライシス発災時、原子炉ウェルは満水だった。シュラウド交換に際し、燃料交換状態だった。DSプールも満水だったのではないか。地震の直前まで4号機の原子炉建屋上部にある原子炉ウェルと使用済み核燃料プール、DSプールはつながっていたのではないか。
あれだけ4号機の使用済み核燃料プールが危険だと騒いでいたのも、ゾウさんを優先的にあてがい、熱心に使用済み核燃料プールに放水していたのも、使用済み核燃料プールに注水することで、原子炉ウェルとDSプールに冷却水が流入することを知っていたからではなかったか。
二つのプールから水流入、4号機の燃料溶融回避
(2011年6月19日23時02分 読売新聞)
. 福島原発
東京電力は19日、東日本大震災が発生した直後、福島第一原子力発電所4号機の核燃料一時貯蔵プールに、別の二つのプールから大量の水が流れ込んで危機を脱していた可能性が高いと正式に発表した。
二つのプールの水位が震災発生当時より4・6メートル下がっていることが確認できたためで、東電は同日、二つのプールに注水を開始した。
4号機燃料プールに沈められた燃料からは、計算上、数日でプールが沸騰するほどの熱が出ていたにもかかわらず、3月22日に注水を開始するまで十分な水が残っていたため、燃料の溶融が起きずに済んだ。
東電が計器を復旧させたところ、発生当時は満水だった「原子炉ウェル」と「機器仮置プール」という二つのプールから、約1000トンの水がなくなっていることが判明。地震の揺れか水素爆発による衝撃で、プールの間を仕切っていた鉄板がずれて燃料プール側に十分な水が流れ込んだとみられることがわかった。
4号機が定期検査中だったのは事実だろう。原子炉格納容器の蓋は外され、原子炉圧力容器の蓋も外されていた。ここまでは分かる。しかし、その先にある、”全燃料取り出し中”という部分に大きな疑念がある。548本が4号機原子炉に装着されていたとしたらと考えるのは邪推だろうか。1590本がキャパシティのプールに1535本も持ち込むあり得なさも、東電発表の数字が変遷を遂げた理由も、原子炉ウェル上部の熱源の正体だって説明できる。1535本のうち、実際に使用済み核燃料プールに保管されていたのは784本。では、204本の新燃料はどこに置かれていたのだろうか。
新燃料204本はDSプールに置かれていたのではないか?
・想像・
「使用済み燃料プールがやばいやばいって騒いじゃったけど、実際はゲートが壊れている原子炉ウェルの下とDSプールが超やばかったんであって、赤外線カメラで撮影された写真が出まわって、原子炉に熱源があることがばれちゃった。4号機も全電源が喪失しちゃってたから冷却機能を失って、DSプール底のレベルまで水位が下がっちゃったんだけれど、どうもDSプールに変な何かが置かれていたようなんだよね。それが爆発しちゃったんだって思っているんだけれど、最初は火事だって嘘ついちゃった。普通あの壁を見たらバレると思うんだけれど。本当はDSプールにあった干上がった変な何かが4号機の建屋の壁のほとんどを崩壊させたと思っているんだけれど、今はダクトがつながっているから三号機の水素ですって凌いでます、嘘ついちゃってごめんなさい。てへっ」
まさかね。
格納容器の蓋と圧力容器の蓋が外され、原子炉ウェルまで満水になった状態であった。はたして炉心に燃料集合体548本実装可能として、それに利することはあるのか?
プルトニウム239を得ることに特化したプルトニウム生産炉として営業外運転されていたのならば、しごく合理的な説明が付く。
燃料集合体のほとんどを構成するウラン238は中性子を捕獲するとウラン239になる。ウラン239は壊変を繰り返すことによりプルトニウム239に変わる。中性子を捕獲してから、2.5日である。燃料を一度炉心にセットしたならば、3日で取り出すのが効率よくプルトニウムを生産するコツである。
例えていうならば、茨城県の東海原発がある。東海原発はすでに廃炉にされ解体中であるが、しょっちゅう燃料交換機のトラブルに悩まされながらも日に20~30本の燃料を交換していたという。兵器級プルトニウムと呼ばれるプルトニウム239の純度が高いプルトニウム同位体をイギリスに輸出するためだ。
311クライシス発災時、福島第1原発4号機は定期検査中というよりも、燃料交換状態にあった。シュラウド交換の際に生じた炉心構造物を分解し仮置きしたであろうDSプールにまで満水に水が張られた状態であった。
穿った見方をすれば、4号機はプルトニウム239生産の柱になる燃料交換に特化しているともいえるのではないか。
プルトニウム生産炉とは発電機能が排除されたプルトニウム239を生産するのに特化した炉だと定義付けるとシンプルに考えられる。水を沸騰させてタービンを回す必要はないのだから、圧力をかける必要もない。大気運転されるのだから原子炉圧力容器の蓋もいらない。実は、発電機能を考えなければ、概念はシンプルである。
原発 放射能 水道 食品汚染 TPP
槌田 敦(つちだ あつし、1933年5月17日 - )は、日本の物理学者、環境経済学者。
東京生まれ。東京都立大学理学部化学科卒。東京大学大学院物理課程中途退学、助手を経て理化学研究所研究員。1966年東大理学博士。名城大学経済学部教授を経て、現在高千穂大学非常勤講師。父が化学者槌田龍太郎, 兄弟に 槌田劭 がいる科学者家族。
フクイチ4号機ミステリー 消えた548本の謎を解く
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-340.html より
4号機は定期検査中で全燃料が取り出されていたというが、原子炉ウェル上部で熱源が観測されている。さらに、使用済み核燃料プールがやばい危ないと危機感をもって報じられながらも、実際は損傷しているふうに感じられない。これは、4号機の原子炉に核燃料が装着されていた可能性を示すものであり、4号機が営業外運転していたのではないかとの疑念を抱かせる根拠である。

4号機の原子炉建屋の壁は四方全てが崩壊している。今は水素爆発ということになっているが、当初は火災だと報じられていた。火災でも爆発でも、それは何で引き起こされたのか。そもそも4号機に爆発源はない、と考えがちであるのは、311発災時、4号機は定期検査中であったというのが根拠になっている。
『3号機の水素が排気筒を通して4号機建屋内に流入しちゃったから水素爆発した。と説明していたけれど4号機建屋北側にある排気筒が破断されていることがバレちゃったのでダクトを共有しているから流入したと嘘ついちゃった。』
バカである。こんなバカの方便に付き合うことはなく、自らミステリーを解き明かしていかなければいけない。まず、4号機の使用済み核燃料プールに目を向けたい。そして、矛盾を解きながら話を進めてみたい。
4号機の使用済み核燃料プールには、1535体(内新燃料204体)の核燃料集合体が収納されているという。4号機使用済み核燃料プールの最大許容本数は1590本である。他号機の占有率は40~60%である。他と比べてみても4号機の97%は突出している。


核燃料はウラン238を燃やすと副産物としてプルトニウム239が生成される。実は、その先があって、プルトニウム239が中性子を捕獲すると自発核分裂性のあるプルトニウム240になってしまうのである。
プルトニウム239は一つ中性子を捕獲するとプルトニウム240になる。軽水炉で燃やされた核燃料は三年間は燃やされる。プルトニウム239が生成されると同時に、プルトニウム240も生成されてしまうのである。軽水炉で燃やされた核燃料はプルトニウム240の割合が20%に及ぶ。兵器級プルトニウムはプルトニウム239の純度が90%以上であることが求められ、軽水炉で消費される使用済み核燃料は核兵器に適さないといわれるのはプルトニウム240に問題がある。
計算して制御できるプルトニウム239と違い、プルトニウム240は自発核分裂という致命的な弱点を抱えているのだ。軽水炉の使用済み核燃料が兵器級プルトニウムにならないのも、自発核分裂性のプルトニウム240が生成されてしまうからである。自発核分裂というのは過早爆発などの重篤なトラブルを引き起こすトリガーになる。つまり臨界しなくても中性子をバンバン出してしまうのである。
プルトニウム240を考慮すれば、使用済み核燃料は一箇所にまとめておくのは危険である。他号機同様、使用済み核燃料プールの占有率は40~60%が適当だ。4号機の使用済み核燃料プールの占有率は97%である。1590本中1535本が収納されている。異常である。他号機の占有率を見比べれば、異常さが際立ってくる。
本当に4号機の使用済み燃料プールに1535本も収納されていたのだろうか。なぜ、占有率に余裕がある他号機の使用済み核燃料プールに分散しなかったのだろうか。そう考えるのも素人だからだろうか。4号機の使用済み核燃料プールに1535本の核燃料を詰め込む理由が見当たらない。
使用済み核燃料プール占有率97%と1535本の理解に苦しむ前に、4号機の使用済み燃料プールの保管されている本数の変遷に目に向けたい。
まずはじめに注目するのは4号機の使用済み核燃料プールには『783体』が保管されていると3月15日付けで報じられていることである。
福島第一4号機は自然鎮火 火災原因不明
< 2011年3月15日 15:17 >日テレ NEWS24
福島第一原子力発電所で15日朝、新たに4号機の建屋で火災が発生した。その後、鎮火したが、火災の原因はわかっていない。
「東京電力」などによると、15日午前6時頃、爆発音があり、4号機の建屋の4階と5階の屋根部分に損傷が見つかった。15日午前9時半過ぎには、建屋の4階から火が出ているのが確認された。その後、15日午前11時頃、自然に鎮火したという。火災の原因についてはわかっていない。
4号機は、地震発生当時は定期点検中で運転していなかったが、建屋の4階と5階の間にある使用済み燃料プールには783体の使用済みの燃料が貯蔵されていたという。
1590本が許容数である使用済み核燃料プールでは、783本という数字はしごく妥当であるふうに思う。
さらに指摘しておきたいのは、東電は4月下旬のプレスリリースで、4号機の使用済み核燃料プールに保管されている本数を『1331本』だと発表していることだ。

4号機の使用済み核燃料プールに保管されている燃料集合体の本数は783本だと、3月15日の時点では報じられていた。それが4月下旬に1331本に書き換えられ、さらに今では204本増えた1535本が東電および政府の公式見解である。
事実は一つである。その原点に立ち返る必要がある。
まずは1535本から1331本を引いてみる。答えは204本。今発表されている新燃料の数と一致する。奇妙な一致であるが、ひとまず置いておく。
さらに1331本から783本を引いてみる。導きだされた答えは548本。消えた548体を追いかけていくと、この数字と見事に符合する数値がある。燃料集合体装着本数である。

783本(初期報道)+548本(装着本数)+204本(新燃料)=1535本。
これははたして、偶然だろうか。
新燃料204本というのも疑問である。東電は4号機定検前のプレスリリースで140本燃料交換を告知している。差し引いて64本、余計に保管しているのである。異常な占有率をみても、わざわざ4号機に運びこむ理由はない。では、新燃料204本という数字はどこから導きだされたのか。簡単である。1331本というのは1535本から新燃料204本を引いた数字に符号する。つまり、奇妙すぎる数字の合致が見られるわけだ。
事実は一つである。
4号機は311発災時、定期検査中だったという。東電のプレスリリースでは、2011年9月24までの299日間の予定とある。定期検査の期間が長めに取られているのは、シュラウドの交換やジェットポンプの交換他の修復工事も予定していたからのようだ。
福島第一原子力発電所4号機の定期検査開始について
平成22年11月29日
東京電力株式会社
当社は、平成22年11月30日から福島第一原子力発電所4号機(沸騰水型、定格出
力78万4千キロワット)の第24回定期検査を開始いたしますのでお知らせいたしま
す。
1.定期検査のための停止予定期間
平成22年11月30日〜平成23年9月24日(299日間)
2.定期検査を実施する主な設備
(1)原子炉本体
(2)原子炉冷却系統設備
(3)計測制御系統設備
(4)燃料設備
(5)放射線管理設備
(6)廃棄設備
(7)原子炉格納施設
(8)非常用予備発電装置
(9)蒸気タービン
3.定期検査中に実施する主な工事予定
(1)燃料集合体の取替え
燃料集合体548体中140体を取り替えます。
(2)ガドリニア濃度変更9×9燃料(B型)*1の採用
従来の9×9燃料(B型)に加え、プラント運転初期から中期までの燃
料の反応を抑える物質であるガドリニアの濃度が高い9×9燃料(B型)
を、96体採用します。
(3)シュラウド*2等取替工事
シュラウドを、応力腐食割れの予防保全の観点から取り替えることによ
り、一層の信頼性向上を図ります。
また、ジェットポンプ等の炉内構造物についても、応力腐食割れに対す
る予防保全の観点から取り替えを行います。
(4)原子炉再循環系配管等修理工事
シュラウド等取替工事において、切断する必要がある原子炉再循環系等
の配管を取り替えます。
(5)原子炉再循環系配管等の溶接部予防保全工事
原子炉冷却材再循環系配管等の溶接部について、予防保全の観点から点
検ならびに高周波誘導加熱応力改善法*3による残留応力低減の対策を行
います。
(6)原子炉冷却材浄化系循環ポンプ改造工事
原子炉冷却材浄化系循環ポンプを軸封部のないポンプに取り替えます。
(7)原子炉冷却材浄化系配管取替工事
原子炉冷却材浄化系配管の一部について、応力腐食割れに対する予防保
全の観点から取り替えを行うことにより、一層の信頼性向上を図ります。
(8)制御棒駆動水圧系挿入配管および引抜配管改造工事
制御棒駆動水圧系挿入配管および引抜配管について、予防保全の観点か
ら取り替えます。
(9)原子炉格納容器配管貫通部および電気配線貫通部改造工事
原子炉格納容器配管貫通部および原子炉格納容器電気配線貫通部につい
て、予防保全の観点から交換します。
(10)第5給水加熱器取替工事
第5給水加熱器の胴体および伝熱管支持板を耐食性に優れた材料に取り
替えます。
(11)復水前置ろ過器増設工事
復水中の不純物を除去する復水前置ろ過器を増設し、運転中における復
水浄化率を向上させ、水質改善、被ばく低減を図ります。
(12)復水前置ろ過器逆洗スラッジ移送配管新設工事
復水前置ろ過器増設に伴う廃液量の増加に対応するため、廃液の移送配
管を新設します。
(13)使用済燃料乾式貯蔵容器設置工事
使用済燃料の貯蔵容量の増加を図るため、乾式貯蔵容器を4基増設しま
す。
(14)主変圧器取替工事
主変圧器について、予防保全の観点から取り替えます。
(15)バイタル交流電源装置*4取替工事
バイタル交流電源装置について、予防保全の観点から取り替えます。ま
た、バイタル交流電源装置取り替えに伴い、バイタル交流電源から受電さ
れている安全設備について、原子炉保護系電源からの受電に切り替えます。
以 上
http://www.tepco.co.jp/cc/press/10112901-j.html
シュラウド交換の準備作業であるシュラウド上部の設備及び本体の取り外しは、DSプールや原子炉ウェルが満水状態に行われる。下の図、左下のような状態である。定期検査中期の状態とは、言い換えれば燃料交換状態であり、シュラウド交換の前段階として取り外された機器類はDSプールに移動され、仮置きされる。

左下の状態。
原子炉建屋には使用済み燃料プールの他、原子炉ウェルとDSプールがある。
311クライシス発災時、原子炉ウェルは満水だった。シュラウド交換に際し、燃料交換状態だった。DSプールも満水だったのではないか。地震の直前まで4号機の原子炉建屋上部にある原子炉ウェルと使用済み核燃料プール、DSプールはつながっていたのではないか。
あれだけ4号機の使用済み核燃料プールが危険だと騒いでいたのも、ゾウさんを優先的にあてがい、熱心に使用済み核燃料プールに放水していたのも、使用済み核燃料プールに注水することで、原子炉ウェルとDSプールに冷却水が流入することを知っていたからではなかったか。
二つのプールから水流入、4号機の燃料溶融回避
(2011年6月19日23時02分 読売新聞)
. 福島原発
東京電力は19日、東日本大震災が発生した直後、福島第一原子力発電所4号機の核燃料一時貯蔵プールに、別の二つのプールから大量の水が流れ込んで危機を脱していた可能性が高いと正式に発表した。
二つのプールの水位が震災発生当時より4・6メートル下がっていることが確認できたためで、東電は同日、二つのプールに注水を開始した。
4号機燃料プールに沈められた燃料からは、計算上、数日でプールが沸騰するほどの熱が出ていたにもかかわらず、3月22日に注水を開始するまで十分な水が残っていたため、燃料の溶融が起きずに済んだ。
東電が計器を復旧させたところ、発生当時は満水だった「原子炉ウェル」と「機器仮置プール」という二つのプールから、約1000トンの水がなくなっていることが判明。地震の揺れか水素爆発による衝撃で、プールの間を仕切っていた鉄板がずれて燃料プール側に十分な水が流れ込んだとみられることがわかった。
4号機が定期検査中だったのは事実だろう。原子炉格納容器の蓋は外され、原子炉圧力容器の蓋も外されていた。ここまでは分かる。しかし、その先にある、”全燃料取り出し中”という部分に大きな疑念がある。548本が4号機原子炉に装着されていたとしたらと考えるのは邪推だろうか。1590本がキャパシティのプールに1535本も持ち込むあり得なさも、東電発表の数字が変遷を遂げた理由も、原子炉ウェル上部の熱源の正体だって説明できる。1535本のうち、実際に使用済み核燃料プールに保管されていたのは784本。では、204本の新燃料はどこに置かれていたのだろうか。
新燃料204本はDSプールに置かれていたのではないか?
・想像・
「使用済み燃料プールがやばいやばいって騒いじゃったけど、実際はゲートが壊れている原子炉ウェルの下とDSプールが超やばかったんであって、赤外線カメラで撮影された写真が出まわって、原子炉に熱源があることがばれちゃった。4号機も全電源が喪失しちゃってたから冷却機能を失って、DSプール底のレベルまで水位が下がっちゃったんだけれど、どうもDSプールに変な何かが置かれていたようなんだよね。それが爆発しちゃったんだって思っているんだけれど、最初は火事だって嘘ついちゃった。普通あの壁を見たらバレると思うんだけれど。本当はDSプールにあった干上がった変な何かが4号機の建屋の壁のほとんどを崩壊させたと思っているんだけれど、今はダクトがつながっているから三号機の水素ですって凌いでます、嘘ついちゃってごめんなさい。てへっ」
まさかね。
格納容器の蓋と圧力容器の蓋が外され、原子炉ウェルまで満水になった状態であった。はたして炉心に燃料集合体548本実装可能として、それに利することはあるのか?
プルトニウム239を得ることに特化したプルトニウム生産炉として営業外運転されていたのならば、しごく合理的な説明が付く。
燃料集合体のほとんどを構成するウラン238は中性子を捕獲するとウラン239になる。ウラン239は壊変を繰り返すことによりプルトニウム239に変わる。中性子を捕獲してから、2.5日である。燃料を一度炉心にセットしたならば、3日で取り出すのが効率よくプルトニウムを生産するコツである。
例えていうならば、茨城県の東海原発がある。東海原発はすでに廃炉にされ解体中であるが、しょっちゅう燃料交換機のトラブルに悩まされながらも日に20~30本の燃料を交換していたという。兵器級プルトニウムと呼ばれるプルトニウム239の純度が高いプルトニウム同位体をイギリスに輸出するためだ。
311クライシス発災時、福島第1原発4号機は定期検査中というよりも、燃料交換状態にあった。シュラウド交換の際に生じた炉心構造物を分解し仮置きしたであろうDSプールにまで満水に水が張られた状態であった。
穿った見方をすれば、4号機はプルトニウム239生産の柱になる燃料交換に特化しているともいえるのではないか。
プルトニウム生産炉とは発電機能が排除されたプルトニウム239を生産するのに特化した炉だと定義付けるとシンプルに考えられる。水を沸騰させてタービンを回す必要はないのだから、圧力をかける必要もない。大気運転されるのだから原子炉圧力容器の蓋もいらない。実は、発電機能を考えなければ、概念はシンプルである。
原発 放射能 水道 食品汚染 TPP
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