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    原発問題 -The Truth is Out There-

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    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    岩上安身のIWJ特報 第64号「今回の衆院選は憲法違反!選挙に投じた清き1票は、実は0.2票だった~升永英俊弁護士インタビュー」 

    第64号
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                岩上安身のIWJ特報
      今回の衆院選は憲法違反!選挙に投じた清き1票は、実は0.2票だった
               升永英俊護士インタビュー
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    2012/12/30
    (IWJ転載許可済み)

    12月16日に投開票が行われた第46回衆議院議員総選挙で、自民党は294の議席を獲得し、与党に返り咲いた。そして26日、自民党の安倍晋三総裁は、第96代の首相に選出され、新内閣を発足させた。報道各社は、安倍新内閣への支持率が、不支持率を大きく上回っていると発表し(*1)、多くの国民が、新政権に期待していると報じている。

    *1:12月28日付の新聞各紙の支持率は以下の通り。毎日新聞は、支持率52%、不支持率26%。朝日新聞は、支持率59%、不支持率24%。日経新聞は、支持率62%、不支持率29%。読売新聞は、支持率65%、不支持率27%。

     しかし、第61号のIWJ特報でお伝えしたように、今回の総選挙における自民党の得票率は、小選挙区で24.67%、比例区では15.99%と非常に低い値となっており、さらに民意と選挙結果との間に、大きな隔たりがあることも明らかになっている。さらに忘れてならないことは、そもそもこの選挙が「違憲状態」のまま行われたという「事実」である。今回当選した衆議院議員は全員、その「違憲状態」の選挙制度で選ばれた議員であるということだ。

     2011年3月23日、最高裁は、2009年に行われた衆議院議員総選挙に対して、「違憲状態である」という判決を下した。その判決から1年8カ月後の2012年11月16日、民主党の野田佳彦前首相は、解散直前に選挙制度改革関連法案をなんとか成立させたが、今回の衆院選には、該当選挙区の区割り見直し作業が間に合わなかった。

     そうした中行われた今回の衆院選に対して、衆院選翌日の12月17日に、「一票の格差」是正を求める弁護士グループが、選挙のやり直しを求め、全国の高裁・高裁支部で一斉に訴訟を起こした。今号では、その弁護士グループの中心人物の一人である升永英俊弁護士へのインタビューの模様をお届けする。

     升永弁護士は、「一人一票実現国民会議」の発起人であり、「一票の格差」をなくすため、「一人一票」を求めて、多くの違憲訴訟を行っている。インタビューでは、「一票の格差」がなぜ生まれるのか、「違憲状態」とは何なのか、といった基本的な問題から、本当の民主主義を実現するために我々は何をすべきなのかといったことまで、お話をうかがった。

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    ◆民主主義は多数支配が大前提
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    岩上安身「先日の衆議院選挙の余韻覚めやらぬ今日この頃ではありますけれども、選挙については色々と考えさせられます。選挙制度のあり方、とりわけ、小選挙区制の弊害と言っていいんでしょうか、今回、自民党に比例で投じた人は、全有権者の1割強だったそうです。その1割強の人たちが結局、この小選挙区制という制度の中では、自民党の圧勝をもたらした。

    これは、小選挙区の中で、相対的な第1党が総取りをするというシステムに起因するんでしょうけれども、前回の民主党の大勝のときにも、これほどのバランスの悪さではなかった。ということを考えてみても、今回は色々、選挙の制度のあり方を考えなきゃいけないんじゃないか。そういう議論もぼちぼち始まっているようです。

     と同時に、私たちの投じる一票に大きな格差があるのではないかという問題もクローズアップされております。今日は、その『一票の格差』の問題について、「これは格差ではない。差別だ」と主張しておられる弁護士の升永英俊先生をお招きして、お話をうかがうことにします。升永先生、よろしくお願いします」

    升永英俊弁護士「よろしくお願いします」

    岩上「先生は2009年から、『一人一票運動』をおやりになって、実際に違憲訴訟という、『一票の格差』があるのはけしからんという訴訟を起こす運動もされています。今回、選挙が終わってただちに、各地で訴訟が始まったそうですね。一票に格差があるらしい、地域間に格差があるらしいということは、僕らも、一般の人たちも、うっすら知っているんですね。うっすら知っているんですけれども、それはまあ、許容範囲だろうと言われてきた。まあ、是認するしかないのかなと思い込んできた。

     裁判所が、そういう訴訟を起こされるごとに『違憲ではある、けれども是認する範囲内にとどまっている』とか、あるいは『これは変えなくちゃいけないよ』と仮に言ったとしても、実際に国会が動かないとか。だらだらと、これまできちゃったというイメージを持っているわけです。

     しかし、最近、最高裁が厳しい判決を下したということで、これまでのような、なれ合い状態を脱する大きな曲がり角に、今さしかかっているという話も聞いております。

    そして、今回の選挙。色々と、先ほど申し上げましたけれど、結果に対して、どうも納得がいかないという人が……」

    升永「納得いきませんよね。(自民党への)比例がそんなに少ないんですか? 1割強?」

    岩上「全有権者の1割強でした」

    升永「それはちょっとひどいですね」

    岩上「15%程度ですね。自民党と書いた方が15%」

    升永「びっくりしますね。15%ぐらいしかないんですか?」

    岩上「ということや、あるいは投票率が戦後最低ということ。これは、有権者にも問題があると思いますけれども、下がるように、下がるように、なにか誘導されてしまったんではないかという疑念もあるわけです。選挙ってこのままじゃ、どうも民意をストレートに反映してないよねって、首をかしげているんですね。

     例えば、脱原発。今でも、国民の6割~7割が、どの世論調査を見ても脱原発なんです。ところが実際は、今回当選した脱原発派の議員は2割もいないという。8割は、原発推進議員で占められている。民意と議席との乖離が……」

    升永「一致しませんね。おかしいと思います」

    岩上「先生は、とりわけ、一票の価値というものを正さなければいけないというふうにお考えになっているということで、今日は、そこに焦点を絞ってお話し願いたいと思います。なにしろ、僕らもよくわからないので、一から教えていただきたいなと思っております」

    升永「はい。まず、最初に申し上げたいのは、『一票の格差』というのは、マスコミがずっと50年間使っている言葉で、『一票の格差』を是正しようということは50年間、日本中で言われ続けて、50年経ったわけです。

     ところが、未だして、正直言って『清き一票』という言葉は聞いたことはあっても、『清き0.2票』というのは、なんとなく聞いたことなくて、違和感があるなと」

    岩上「これ、後ろに張り出したんですけど」(【URL】http://www.ippyo.org/pdf/20110512001.pdf

    升永「北海道は『清き0.2票』なんですね」

    岩上「これは、『鳥取が一票だとすると、他はみんな一票を割り込んでいますよ』ということですね」

    升永「そうですね。それが『一票の格差』というのは、こういう勘定をしなくて、5倍というふうになってしまうわけです。『一票の格差』が5倍というのはお聞きになったことはおありになると思います。

     なんで5倍なのかというと、選挙権の価値が5倍と思うじゃないですか? ところが、『一票の格差』5倍というときの言い方は、鳥取を1倍とすると、神奈川は5倍といっているわけですよ」

    岩上「0.2ですね」

    升永「おかしいでしょ? これだったら、鳥取が5倍なのに、神奈川が『一票の格差』で5分の1のはずなのに、5倍というわけです。

     なぜ、そうなってくるかというと、『一票の格差』というのは、『一票の価値の格差』とはいわなくて、新聞をよく読むと、『一票の格差』と書いてあって、カッコ書き、すなわち議員当たりの人口の格差と書いてある。

     だから、『一票の格差』という定義は、『議員一人当たりの人口格差』ということで、新聞には書かれている。だから、鳥取の一人当たりの人口は、よく覚えてないですけども、20何万人。神奈川は一人当たり120万人。そうすると、20何万と120万だったら、5倍だと。議員一人当たりの格差が5倍。だから『一票の格差』は5倍という説明をして、ああそうかと。

     昨日も青山学院大学の法学部の先生と話した。その時も彼は、神奈川出身で、神奈川出身の『一票の格差』のために、千葉さん(*2)は60何万票取ったのに、落選したと。彼女は訴えるべきだというふうに法学部の先生が憤るわけですよ。

    *2:民主党の千葉景子元法務大臣は、2010年の参議院議員選挙で、神奈川県から立候補し、69万6,739票を得たのにもかかわらず、落選した。

     だから、彼の関心は、公平感なんですよね。鳥取の代議士と神奈川出身の代議士を比べると、神奈川の代議士が不公平だと。だから、神奈川の代議士が被害者なんだから、神奈川の代議士が、裁判で戦うべきだと。犠牲者は、神奈川の代議士になっちゃうわけです。

     冗談じゃないんですよ。代議士なんて主権者でもなんでもないんだから。主権者である神奈川県の人が65万票も入れながら、誰も国会議員を出せないということは、65万票の票が太平洋に捨てられたということになっているわけでしょ」

    岩上「死票になってしまっているわけですね」

    升永「だから、被害者は千葉なんとかさんという代議士さんじゃなくて、投票した千葉県民が被害者なんですよ。というのは、日本国憲法では、主権者は国会議員じゃなくて、主権者は国民ということに、日本の国家権力は正当付けられるわけです。主権者は国会議員じゃない。

     ところが、日本の憲法では、主権者の多数意見で、民意で国家権力を行使します、ということで書かれているわけです。多数意見で。少数意見じゃない。国民の多数意見で、国家権力を行使しますと。

     国家権力を行使するというのは、法律を作ること。それから、内閣総理大臣を国民の多数意見で選ぶこと。国民の多数意見で選ばれた総理大臣が組閣した内閣が、最高裁判所判事と、それ以外の地裁、高裁の判事を任命することによって、司法権を、主権者である国民の多数意見で、裁判官を決定するという国の仕組みが、憲法なわけですよ。

     ところが、日本は民意の反映、反映というけども。岩上さん、どこに住んでおられますか?」

    岩上「僕は港区。東京都内です」

    升永「私も東京だから、実は1票持ってなくて、0.2票しかない。私も0.2票しかない。どういうことになっているかというと、参議院議員の選挙区選出議員146人のうち、過半数の74人が、どれぐらいの選挙区から選ばれるかというと、有権者の33%、およそ3,400万人の人から選ばれるわけですよ。そうすると、残りの72人をどれぐらいの人が選ぶかというと、日本の登録有権者は、1億400万人ですから、7,000万人が選ぶわけですよ。

     7,000万人が寄ってたかっても72人しか選べないわけです。たった3,400万人の人が、74名選んじゃう。それで国会の中では、みんな同じ一人一票。国会議員はどこから選ばれようと、一人一票であるわけ。多数決で一人でも多いほうが国家権力を支配するわけですよ。選挙の怖さというのは、国家権力の行使を国会議員の多数決が次の選挙まで支配することにある。

     民主主義というのは、ものすごく残酷な制度であって、民主主義だから少数意見も聞いてもらえると思ったら大間違い。民主主義というのはものすごい過酷な制度です。多数意見が総取りなんですよ。

     だから、今回だって、自民党が次の選挙までは支配するわけですよ。そういう冷酷な割り切りが民主主義なんです。

     ただ、独裁政権と違うのは、『次の選挙まで』という留保がつくから、悔しかったら、選挙運動を次の選挙まで1年間であれ、2年間であれ、3年間であれ、少数派に回った人はやり返しなさいと。そういうチャンスがありますと。そういうのが民主主義なんです」

    岩上「永久の支配ではないと。交代があると」

    升永「交代があり得る」

    岩上「しかも、流血の交代ではなくて、無血で交代できると」

    升永「それが民主主義の素晴らしいところ」

    岩上「ただし、これは内戦で勝負を決めたぐらい、本来は、冷酷な多数支配なんだよ、ということは分かってなきゃいけない」

    升永「民主主義というと、なんとなく、なんか民主主義なんだから、少数の意見も聞いてもらえると思ったら大間違い」

    岩上「なるほど。多数支配だというのが大前提だと」

    升永「だから、ありとあらゆることは多数を取るために、政治は動いているわけですよ」

    岩上「有権者は、自分の意思を通そうと思ったら、その多数を取るべく運動に参加し、政治に参加し、エネルギーをそこに注ぐべきだ。そもそも、プレイヤーにならなきゃダメだよということですね」

    升永「そういうことです。だから、政治というのは、権力闘争は、政治家がやるもの、あるいは、労働組合がやるもの、あるいは、宗教団体がやるものだと考えて、権力闘争なんて醜いことは、一般国民は無縁だと考える。

     一般国民は、権力闘争とは無縁で、いうならば、外野の観客席に座って、権力闘争をやっているグラウンドの選手たちを見物しながら野次り倒す。これが、民主主義だと。その代わり、しっかり眼力を磨いて、選ばれたプレイヤーが間違いないプレイヤーであるかを見て、選挙の時には、これだという人に投票しようと。これが民主主義だと思って、投票所に行く。というのが、なんとなく日本人が理解する民主主義なんだと思います。私もそうだった」

    岩上「要するに、それ以外の期間は全くの野次馬で、そして見物をしているだけで、プレイヤーになるのは、その投票の瞬間。瞬間民主主義みたいなもんですよね」

    升永「そういうことですよね」

    岩上「でも、本当はそうじゃない。先生がおっしゃっているのは、その選挙と選挙の間も、臥薪嘗胆、少数者になった人間は、一生懸命に動かないと」

    升永「多数派になるために努力をする貴重な期間なんです、負けている期間は。だから、自分で投票するだけじゃ、7,000万分の1の力しかないんですよ。一票だとしてもですよ。0.2票だったら、7,000万分の1に、さらに0.2掛けたもの」

    岩上「さらに5分の1になってしまう」

    升永「民主主義というのは、権力闘争だというふうに私自身も気がつくのが、つい最近だったわけです。偉そうにいっているけど、国民が、私が、権力闘争をやっているんだという自覚したのは、6カ月前ですね」

    =============================================
    ◆アメリカの大統領選と日本の選挙の違い
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    岩上「6カ月前ですか? でも3年前に、この一票の問題から始められたと」

    升永「でも、権力闘争をやっているという意識はありませんでした。僕は、やっぱり不条理を正そうという発想でした」

    岩上「そもそも、スタート点は、不条理を正そうと。これは、やっぱり『一票の価値』というのは、平等じゃなきゃいけないだろうという思いから始められたんですね」

    升永「そうだったですね。ただ、だけど、国民一人ひとりが『民主主義っていうのは、権力闘争を国民がやるんだ』というふうに思った理由を、是非説明したいんですね。

     実は、話が長くなるかもしれないですけど、1つ。1978年、私はアメリカのコロンビア大学のロースクールに行っていました。その時に、アメリカ人の同級生にこういうことを言われたんですね。

     大統領選挙というのは、アメリカ人は2年間やっているんだと。なぜならば、共和党の大統領候補に立候補する人は、選挙日からさかのぼって、2年前に共和党の大統領候補として、立候補をスタートするんだと。民主党もそう。党内で一人だけ選ぶ。その競争に勝ち抜くのに1年半かけて、全国で運動をして、最終的に予備選で勝たなくちゃいかんと。

     予備選で勝って、勝者が決まるのが5月とか6月なんです。だから、共和党が一人、民主党が一人になって、5月から7月に絞られて、そこから本選が始まって、11月に大統領選挙があるわけ。だから、予備選を入れると2年間かけているというわけです。

     予備選というのは、党内の候補を選ぶというけども、それはオープンなもので、その情報は、常に国民は共有しているわけです。結局は2年間、大統領が誰になるかということは、メディアの注目も浴びているし、国民は情報を得て、厳密に本人の資質を評価する期間が2年間あるわけですよ。

     だから、そこでありとあらゆる悪いことが、情報が出るわけです。暴露合戦ですから。ネガティブキャンペーンをお互いにやりあうわけですから。そこで、ありとあらゆること、本人の小学校時代のいたずらから、全部暴露されて、大統領が決まっていくわけですね。だって、反対派はネガティブキャンペーンという、悪口を言い合うわけですから。ありとあらゆることを国民は2年間のうちに知って、最終的に一人を選ぶと。

    『これが升永、アメリカの選挙なんだ』と。『なぜこんなことをやるかというと、選挙というのは、革命なんだよ』と。『アメリカ人は4年に1回、革命をやるんだ』と。『我々は、内乱で懲りた』と。『内乱で、アメリカ人同士が殺しあうよりは、選挙のほうがまだましだ』ということで、『その代わり、半端じゃないよ』と。『これは戦争なんだから』と」

    岩上「戦争なんですね。血を流さない戦争」

    升永「『戦争なんだから、国民が2年間やるんだ』、『お金もかけるんだ』と。『それで、権力闘争をやって勝ったほうが、次の4年間は、行政を牛耳る、司法を牛耳るというのを、4年間に1回決めて、悔しかったら、また、次の選挙で少数がひっくり返す。これを繰り返しているんだ』ということを言っていた。私は、そんな話を聞いていて、2年間も選挙に明け暮れてしまったら、日常の仕事が滞るだろうし、国家としてえらい無駄なエネルギーとお金を使うし、ひどい制度だなと。全然いいと思わなかったですよ。

    だけど、よくよく冷静に考えてみると、日本はたぶん、第3次世界大戦をやったって、向こう100年ぐらいアメリカに勝てない。僕の見ている感じでは、アメリカは、そんな2年間も選挙に明け暮れて、そんなに落ちぶれている雰囲気もないしさ。だからシステムとしてそんなに悪くないんじゃないのと。

     ところが、日本の選挙っていうと、開票日から投票日まで21日間ぐらいしかない」

    岩上「しかも、その時には公選法の縛りで、情報をむしろ制限してしまうわけです」

    升永「21日間が選挙だという発想と、かたや、2年間が選挙であるという差が、日本人の民主主義とアメリカ人の民主主義の違いです。

     日本は、なるべく20日間に『なになに党でございます』と。『清き一票をぜひ、私に入れてください』というような、宣伝カーか何かの、街頭の。嫌になりますよね、あれ。聞きたくないですよね。だから、あの期間はなるべく短いほうがいいということで、20日になっちゃったんだろうと。選挙運動で、マイクで一方的に『一票ください』とかいうようなことを言われちゃうと、もう、そんなの短い方がいいよ、ということになって、今のようなことに落ち着いたんでしょうけども。

    選挙運動というのは、一方的に入れて欲しい人が、マイクで怒鳴ることが選挙運動じゃなくて、アメリカでは、共和党を支持する人は1,000万人、2,000万人の人が動くわけですよ。自分の票を入れているだけでは、共和党は勝てないし、オバマを支持している人は、自分がオバマに入れるだけじゃ、オバマは勝てないとよく知っている。

     だから、親子4人の家族で年間所得が100万円しかないような貧乏人も、5ドル募金といって、日本円なら400円をオバマの陣営に募金する。テレビの時間帯をガンガン買って、その400円を使ってもらって、オバマが勝つようなキャンペーンの足しにしてほしいと。

     自分の一票だけじゃなくて、その400円で、オバマへの票を4票でも5票でも増やしたいと、貧乏人は貧乏人で頑張る。それが1千何百億というお金になり、1ヶ月に50何万人の人が募金して、その平均募金単価が4,800円ですかね。もっと少なかったかな。要するに、お金持ちがドンとお金を出すんじゃなくて、草の根の人たちが、400万だとか、そういうオーダーで小さいお金を紡いで、紡いで、選挙資金にして、テレビのお金を買ったり、インターネットで広告したり、新聞で広告したりということをやって、自分の一票以外に増やそうとする。

     その代わり、経済的に彼らは、がっちり狙っているわけです。日本は、国民健康保険というのを、全員が持っているわけです。医者にかかれるわけです。生活保護を受けている人でも、貧乏人でも、医者にかかれる。

     ところが、アメリカは、去年まではゼロだったわけですよ。貧乏人は医者にかかれなかった。オバマが勝つことによって、去年、健康保険がない3,000万の人が、アメリカの歴史上初めて、メディケア(*3)という国民健康保険を取れたわけ。

    *3:メディケア(medicare)とは、米国における、65歳以上の人や身体障害者などを対象とする公的医療健康保険制度のこと。

     だから、年収100万円の家族が400円募金しても、元が取れるんですよ。だけど、本人がオバマに入れているだけじゃ、自分に健康保険が来ないわけです。そうすると、もっと増やそうということになる。それは『権力闘争』ですよ。

     かたや、ロムニーのほうはどうやるかというと、オバマが『金持ちには増税する』と言っているから『冗談じゃない』と。今オバマが、3,000万人の貧乏人に、税金払わない人に、健康保険のお金を使ってしまっているからお金がないのであって、それを止めれば増税しなくて済むじゃないかと。

     オバマのほうは『年収2,000万円以上の人には増税する』と。かたや反対側のロムニーのほうは『3,000万人の健康保険を止めるから、金持ちに増税する必要はない』と。こうやってガーンとぶつかるわけでしょ。

     差が、オバマがたった50.4%しか取ってないのよ。かたやロムニーは48.4%だったかな」

    岩上「ギリギリですね」

    升永「ものすごいギリギリでしょ? ものすごいきわどいところでオバマは勝った。オバマ大勝なんてとんでもないんだよ。もうギリギリなんだよ。ところが、アメリカの人たちは『一人一票』で大統領をやっているけども、こんなものは日本では…」

    岩上「1票対5票の差です」

    升永「オバマになんて、誰もなれっこないよ」

    岩上「0.2票の人と1票を持っている人の差というのは、例えば、鳥取県の人は5票持っているようなもんですよね。鳥取県の人が悪いわけじゃないから、鳥取県の人は、気を悪くしないでほしいんだけれども。制度の問題ですからね。制度の歪みの問題ですから。

     こういう歪みを正さないと、今言われたような伯仲の勝負はありえない。これは制度がちゃんとしているから、その結果を受け入れるので、これが、一方が一票を5倍持っていたりなんかしたら、それは不正だろうという話になりますよね。受け入れられないですよね」

    升永「年収100万円っていうのは、本当に極貧ですよ。医者にかかるお金もないわけよ。自分の赤ん坊も死んでいくより仕様がないような人たちが、400円出せないじゃないですか。0.2票しかないんだったら。

     ところが、それでも自分の一票だけじゃオバマが勝てないからと言って、400円を、ということでやるのが、まさに民主主義。貧乏人と金持ちがガーンとぶつかって『権力闘争』をやって、結果的にオバマが、ものすごいきわどいところで勝ったということですよ」

    岩上「実はものすごい『権力闘争』なんだと、気付くようになったというのは、なぜですか? 何かきっかけがあったんですか?」

    =============================================
    ◆「悲鳴」としてのデモ
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    升永「それは、うちの秘書が、インターネットからオバマ陣営が発表した募金の実績報告をアウトプットしてくれたんです。それを見ると、オバマが、1カ月間で5月かなんかに集めた募金の金額が、70億円かなんかで、人数が58万人。1ヶ月ですよ」

    岩上「1ヶ月に、58万人が募金!?」

    升永「それを見て、自分の一票を入れるだけで、選挙はスッキリ──『自分は国民の義務を果たしたから、民主主義が実現された』──とは思っていない人が、1ヶ月で58万人も出てくるんだと。

     なぜ募金するかというと、自分以外の人に、オバマなら、オバマに入れさせたいと。ロムニー陣営は、ロムニーに入れさせたい。ということで、『権力闘争』をそのオーダーでやっているというのに気がついて、『権力闘争』はオバマとロムニー、2人だけでやっているんじゃないんだなと思った」

    岩上「なるほど。多くの人に知ってもらうということが、『権力闘争』の第一。つまり、情報の拡散」

    升永「そういうことです」

    岩上「これ、新聞広告のコピーなんですけれども、『違憲状態首相:違憲状態国会議員』という意見広告。これは、本当に詳細に書いてあります。
    (広告を載せている方のBlog写真 http://blog-imgs-56-origin.fc2.com/t/h/r/threechords/img187.jpg

     ちょっとしたコピーが載っているという広告ではなくて、ほぼ論文のような大広告なんですけど。これを、先生や皆さんがお出しになっていらっしゃる?」

    升永「そういうことですね」

    岩上「これはお金もかかりますよね」

    升永「そうですね。正直言って、お金もかかります。でも、やらざるを得ない。というのは、やっぱり『権力闘争』ですからね。情報を増やさなければ、それは選挙で過半数を取れないわけです。僕がアメリカで学んだことの一つは、国民の多数意見で、国家権力の支配を決めるんだと。総取りだと。国家権力は、次の選挙まで、多数が総取りするんだと。誰が多数かを決めるのは選挙なんだと。総取りするためには、やはり半端な数字じゃ勝てない。

    国民が『権力闘争』に勝つためには、自分の主張と同じくする政党が、過半数を取らなきゃいけないわけですよ。だから、『原発反対』っていうんだったら、原発に反対する政党を過半数取らせるように、自分が動かなきゃしょうがないんですよ。

     原発反対のデモをやる。あるいはインターネットで書きこむ。だけど、私に言わせれば、国家権力を握らない限り、原発は止められないという発想があまりにも足りない。発想がないっていうより諦めている。国家権力を自分が力で取れるわけないと思って、諦めるから、悲鳴としてデモをやろうとする」

    岩上「悲鳴として?」

    升永「悲鳴として」

    岩上「叫んでいる?」

    升永「聞いてもらいたいと。国会議員に聞いてもらいたいと。だから、悲鳴なんだよ」

    岩上「悲鳴か……」

    升永「国会議員をねじ伏せるんじゃなくて、自分たちが、国会議員の過半数を、自分たちがつくっていくという発想がないんだよ」

    岩上「なるほど」

    升永「例えば、原発反対デモが行われ、1,000万人反対署名という、非常にすごい数字を署名で集めようという運動がある。それ自体は、1,000万人なんて無理じゃないかなってぐらい、大変な数字だなと思うけども、1,000万人では、とてもとても原発は止められないんです」

    岩上「先生の解釈によれば民主主義とは、多数の支配である。その理屈でいうと、1,000万人では多数にならない」

    升永「3,000万人からじゃないと多数にならない」

    岩上「全有権者が、1億400万人。その半数を取らなきゃいけないということは……」

    升永「全部が全部、有権者が投票所に行きませんからね。だけど、6,000万人ぐらいは行くわけだよね。そうすると、半分だと3,000万。それを取ろうというビジョンを国民が持たなきゃいかんわけですよ」

    岩上「1,000万人の署名を集めたということで、自己満足してしまっていると。それじゃ、権力を掌握はできないと」

    升永「権力を取ろうという発想がなくて、権力者に自分の意見を聞いてほしい。1,000万もいるんだから、ぜひ私たちの意見を聞いて、原発を止めてくださいという請願運動になっちゃうんです」

    岩上「お願いですよね。日本人ですから、お上に直訴ということですよね」

    升永「自分たちが国家権力を握るという……」

    岩上「主権者なんだから」

    升永「主権者なんだから。お願いじゃないんだよ」

    岩上「お願いなんかしている場合じゃないと。これは全く発想が違いますよね」

    升永「個人では取れないんだよ。3,000万じゃなきゃ取れないんだよ」

    岩上「仲間を増やす運動をしようということですね。なるほど。情報を流通させる。情報を広めていく。こういう広告を出していく。そして、理解をしてもらっていく。そして、自分と同じ意見の同調者を集めていく。広げていく。ここが大事ですよね。自分の仲間作りをしようってことですね」

    升永「そういうことですね」

    岩上「仲間作りを、単に1,000万という目標で自己満足してしまわないで、3,000万を超えようと。そして、それが投票行動につながり、かつ『一票の価値』が等しく、きちんと『一人一票』が実現していれば。この広告に小さく書いてありますけれども『一人一票実現国民会議』、これが正式な名称なんですね。『一人一票』の実現。そうすれば、本当の意味で多数を取れる。そこまでやったら、例えば1つの例として、『脱原発』といっていますけども、この『脱原発』が実現するやもしれないということなんですね」

    升永「そういうことです。政治問題を、みんながなんで避けるかというと、言い出すとケンカになるわけですよ。同じ『脱原発』で一致しているのに、投票所に行って、『自民党に投票している人も、脱原発グループに入ってほしい』と。『共産党の人も、排除しないで入っていただきたい』と。『公明党の人も、脱原発だったら入ってください』と。

     こう、スケベ根性があるもんだから、党派的なことは、中で言わないようにしようと。だから、選挙にどう行くのかは、自由に勝手。だけど、『脱原発』という点ではみんな一致してデモをしようと。だから、その中には、誰がどこに投票するか、全然わからないから」

    岩上「なるほど。なるべく選挙の話をしないようにしようねと」

    升永「とんでもない話です。『脱原発』なんていうのは、権力以外は止められないんだから」

    岩上「こういうような話をすること自体もタブーにして、ただ『脱原発』だけを唱えて運動している間はみんな仲良しでいられる」

    升永「選挙になったら、『脱原発』をしている人が何の気もなく、自民党に入れてみたりしちゃっているわけでしょ」

    岩上「なるほど。そうですね」

    升永「『脱原発』をやっている人が『河野太郎さんは“脱原発”をいっているから、河野太郎さんに入れる』と。だけど、河野太郎さんは、自民党の議員だから、いくら脱原発を個人でいったって、党議拘束にかけられちゃったら、やられるでしょ」

    岩上「おしまいですね。民主党なんかも明確に党議拘束しますしね。その党議拘束をかけられるのが嫌で、鳩山さんは辞めたし」

    升永「個人が、いくら『僕は“脱原発”なんで、自民党は反対です』と選挙で言ったところで、実際、選挙後に、自民党に反対するような法案に票を投ずれば、彼は、次は自民党公認から外れるわけだよね」

    岩上「先生の、この現実認識というのは本当に厳しい。生々しい。アメリカ生活が長くて、アメリカで勉強もされてきたから、リアルな戦いとしての民主主義というものを体感されている」

    升永「『権力闘争』です。いやらしいんです」

    岩上「いやらしいんですね」

    升永「お金がかかるって」

    岩上「ものすごい生々しい」

    升永「ものすごい生々しいんです」

    (次号に続く)



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