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    原発問題 -The Truth is Out There-

      : 

    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    岩上安身のIWJ特報 第84号「『第3次アーミテージレポート』全文翻訳・完全注解(2)」 

    第84号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                 岩上安身のIWJ特報
          「第3次アーミテージレポート」全文翻訳・完全注解
        ~属国・日本への米国からの命令書を徹底的に読み解く(2)
       シーレーン確保のために多国籍軍との協力と戦闘を要求する米国
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    (IWJより転載許可済み)


    ==================================
    ◆ 異常に高い日本の◯◯◯
    ==================================

     唐突だが、クイズである。次の数字は何を表しているか、お分かりだろうか?

    < インド60%、ナイジェリア63%、中国64%、フィリピン70% >


     御覧の通り、発展途上国では、軒並み高い数値である。次に、先進国を見てみよう。

    < 英国14%、米国26%、ロシア29%、イタリア34%、ドイツ36% >


     今度は発展途上国に比べ、先進諸国ではずっと低くなっていることが分かる。

     さて、これが何を示す数値かお分かりになったであろうか?

     実はこれは、「マスコミの鵜呑み度」を示した数字で、日本はなんと70%なのである。

     これらの数値は、東京都市大学名誉教授の青山貞一氏が調査を行ったもので、青山氏が
    運営するHP上に掲載されている(※1)。

     その中で青山氏が「日本国民は新聞、テレビなどマスメディアの情報を先進国の中で最
    も無批判に信頼している」と述べているように、日本国民のマスコミへの信頼度は、他の
    先進国と比べても明らかに高い数値であり、発展途上国と同じレベルなのである。

     さらにもうひとつ、興味深いデータとして、新聞の発行部数がある。

     国際ABC協会(※2)によると、2011年の新聞発行部数世界第1位は読売新聞(約1000万
    部)で、2位が朝日新聞(約775万部)、3位がインドの「The Times of India」(約410万
    部)、4位が毎日新聞(約340万部)、5位が日本経済新聞(約300万部)となっており、上
    位5位内に、日本の新聞会社が4つも入っている。

     つまり、日本は、世界一の新聞大国であり、国民は世界で最も新聞を読み、そしてそれ
    を疑いもせずに鵜呑みにしている発展途上国と同じレベルの民度の国なのである。言い方
    を変えれば、世界で最も新聞・テレビに「洗脳」され、「操作」されている国民なのだ。


    (※1)「E-wave Toyko」に掲載されている論評「日本人のマスメディア<鵜呑み度>は
    世界一」
    http://eritokyo.jp/independent/aoyama-column1.htm

    (※2)国際ABC協会とは、IFABC(International Federation of Audit Bureaux of
    Circulations)のこと。公式ホームページは(http://www.ifabc.org/


    ==================================
    ◆ 冷遇された安倍総理とその逆を報じるメディア
    ==================================

     日本のメディアによる情報操作(マニピュレーション)の、ほんの一例を挙げよう。

     2月22日(現地時間)にオバマ米大統領と会談を行った安倍晋三総理は、普天間飛行場
    移設を早期に進めることや、原発ゼロの見直し、北朝鮮への制裁強化などを約束した。特
    にTPPについては、共同声明を発表し、交渉参加を表明。正式な交渉会合への参加に向け
    て一段と加速した動きを見せている。

     しかし、日米首脳会談で話し合われた議題に対する安倍総理の答えは、どれも米国側か
    ら言い渡されたものだ。本メルマガで取り上げている第3次アーミテージレポート(昨年8
    月発表)には、会談で取り上げられた課題について、米国から日本への要求が書かれてい
    る。

     さらに、2月19日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙には、安倍総理への公開書
    簡として、防衛予算の増額や中国を煽らないことなどを命令口調で指示されている(※
    3)。2月以降の安倍総理の動きは、まさにこのシナリオ通りだった。

     首脳会談の直後、日本の一部マスコミは、「攻めた首相『期待以上の成果』(※4)」
    「TPP交渉参加、米から『満額回答』(※5)」「抹茶アイス用意しました…好意表すオバ
    マ大統領(※6)」などと題した記事を報道し、その「成功」を煽った。

     しかし、実際はどうだったか。

     昼食会では、オバマ大統領はミネラルウォーターしか飲まず、夕食会はなし。会談後の
    共同記者会見も、ファースト・レディー外交もない。会見終了後、報道陣の前に姿を現し
    た2人は、記者から言われるまで握手すらしなかった。「成功」どころか、完全に邪険な
    扱いをされているのである。

     こうした真実を多くの国民は知らされず、一部の操作された事実のみを受け取り、それ
    を信じてしまう。それが日本の現状なのである。


    (※3)2013年2月19日 ウォール・ストリート・ジャーナル(日本語記事)
    http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324903404578313200398034088.html

    (※4)2013年2月24日 産経新聞
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130224/plc13022401340001-n1.htm

    (※5)2013年2月23日 Sankei Biz
    http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130223/mca1302231745016-n1.htm

    (※6)2013年2月24日 読売新聞
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130223-OYT1T00859.htm?from=ylist


    ==================================
    ◆ 第3次アーミテージレポートは何を言っているか
    ==================================

     さて、ここからが本題である。

     本メルマガは、今年2月3日に発行した「岩上安身のIWJ特報!第75号 『第3次アーミ
    テージレポート』全文翻訳・完全注解(1)」の続編である。

     この第75号のメルマガ発行に合わせて、「第3次アーミテージレポート」の全文翻訳記
    事をホームページで公開したところ、これまでにないほどのアクセス数を記録し、また大
    変多くの反響があった(※7)。

     全文翻訳を読み進めていけば、アーミテージレポートのシナリオに沿って日本政府が動
    いていることに、否応なく気づくことだろう。しかし、こうした不都合な真実を、日本の
    マスメディアは決して報じない。

     「第3次アーミテージレポート」は、「はじめに」「エネルギー安全保障」「経済と貿
    易」「近隣諸国との関係」「新しい安全保障戦略に向けて」「結論」「提言」の7つの章
    に分かれているが、前回のメルマガでは、「はじめに」と「エネルギー安全保障」の前半
    部分を紹介した。本メルマガでは、「エネルギー安全保障」の後半部分についての分析を
    紹介したい。

     「エネルギー安全保障」の後半は、「天然ガス」「メタンハイドレート」「地球規模の
    石油、ならびにガス共有地/公有地の確保」「経済と貿易」「日米経済関係の活性化と確
    保」といった5つのカテゴリから成っている。

     先の3つのカテゴリでは、それぞれのエネルギー資源についての貿易状況を伝えるとと
    もに、「安全保障体制の一環として、米国と日本は、軍事上の同盟だけでなく、天然資源
    に関しても同盟すべき」などと述べている。そして「(ペルシャ湾と日本を結ぶ)シー
    レーンの確保などにおいては、東京(日本政府)は多国籍軍との協力を強化する必要があ
    る」とペルシャ湾への自衛隊派遣という具体的な要求まで行っている。

     あとの2つのカテゴリでは、日本にTPPへの交渉参加を促し、さらに、米国・日本・カナ
    ダ・メキシコの4カ国でつくるエネルギー・安全保障協定(CEESA)に参加するよう求めて
    きている。このCEESAについては後述するが、その内容からは日本に対する米国の傲慢な
    姿勢を窺い知ることができる。

    (※7)「第3次アーミテージレポート全文翻訳掲載」
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/56226


    ──(仮訳ここから)─────────

    ==================================
    ◆ 「エネルギー安全保障」~天然ガス
    ==================================

    天然ガスに関する最近の明るい進展により、たった数年前には誰も可能と思わなかった形
    で、二国間のエネルギー貿易がよみがえる可能性がある。アラスカとハワイ以外の48州で
    膨大なシェールガスが埋蔵されていることが発見され、米国は世界で最も急速に成長する
    天然ガス生産国となった(※8)。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2014年に計画さ
    れているパナマ運河の拡張により、世界の液化天然ガス(LNG)輸送船団の80パーセント
    がパナマ運河を使用できるようになり、出荷コストが劇的に低下し、米国湾岸からのLNG
    輸出のアジアでの競争力が激増することになる(※9)。

    米本土におけるシェールガス革命とアラスカの豊富なガス埋蔵量は、日本と米国に相補的
    な機会を提供する。すなわち、米国は2015年までにハワイとアラスカを除く48州からLNG
    の輸出を開始するはずであり、日本は世界最大のLNG輸入国であり続ける(※10)。

    1969年以来、日本は比較的小量のLNGをアラスカから輸入してきた(※11)が、特に3.11
    を踏まえて、LNGの輸入先を増やして多様化する必要があり、LNG取引リンクの拡大に対す
    る関心が高まっている。

     1. リック・ワレス「Japan Carbon Hopes Resting on Nuclear」、The Australian(シ
    ドニー版)、2012年5月25日
    http://www.theaustralian.com.au/news/health-science/japan-carbon-hopes-resting-
    on-nuclear/story-e6frg8y6-1226366138315


     2. 国際エネルギー機関(IEA)「Medium-Term Oil and Gas Markets 2010 (Paris:
    International Energy Agency,2010)」、p264
    http://www.iea.org/papers/2011/mtogm2010.pdf.

    しかしながら、米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない国、特に、そのFTAに国のガ
    ス処理に関する条項がない国へのLNG輸出を求める米国企業は、まず、米国エネルギー省
    (DOE)化石エネルギー局の認可を得る必要がある(※12)。FTAを締結した16か国は、
    DOEの輸出認可を受けるが(ただし、その他の規制および認可要件も適用される)、これ
    らの国のほとんどは主要LNG輸入国ではない。日本のような非FTA締結国には、認可を与え
    ることが米国の「公益」でないとDOEが結論しない限り、認可が与えられる。キーナイLNG
    基地は、アラスカから日本への輸出に対するDOE認可を日常的に受領していた。しかし、
    ハワイとアラスカを除く48州からのLNG輸出の将来性が浮上するにつれ、DOEの認可プロセ
    スは政治的に精査されつつある(※13)。DOEの非FTA認可を既にうけているサビン・パス
    LNGプロジェクトに加えて、ハワイとアラスカ以外の48州でのLNGプロジェクトに対する8
    つの認可がDOEの承認を待っている。

    ──(仮訳ここまで)─────────

     上記の「日本のような非FTA諸国には、認可を与えることが米国の『公益』でないとDOE
    が結論しない限り、許可が与えられる」という回りくどい言い回しは、言い換えると、
    「米国の『公益』にならない」と米国エネルギー省化石局が判断した場合は、LNG輸出の
    許可がおりない、ということだ。その『公益』にどのような戦略的要素が含まれるかは、
    米国の腹次第、というわけである。これは明らかに脅しである。ガスが欲しければ米国の
    言うことを聞け、そうでないとLNG輸出の許可を取り下げるぞ、と「威圧」しているわけ
    である。

    ──(仮訳ここから)─────────

    環境または経済上の理由により、活動家たちがLNGの輸出に反対している(※14)。輸出
    によって、米国天然ガスの国内価格が上昇し、天然ガスに大きく依存している国内産業の
    競争力を弱めるという懸念が存在するのである。

    ブルッキングス研究所による最近の政策提言で、この申し立てに対する反論が行なわれた
    (※15)。将来輸出される見込みのある分量は、米国の天然ガス全供給量と比較して少な
    く、国内価格への影響は最小限であり、産業用、住居用、その他の国内用としてガス使用
    の伸びを妨げるものではない、と結論されている。LNG輸出を制限すると、米国シェール
    ガスおよびLNG輸出プロジェクトへの投資が不必要に抑止される。

    米国は、資源ナショナリズムに走るべきではなく、民間部門のLNG輸出計画を禁止すべき
    ではない。米国の政策立案者は、これらの新資源に対する環境に責任を持つ開拓を促進し
    ながら、輸出に対してオープンであり続けなければならない。さらに、日本の危機におい
    ては、米国は、すでに交渉済みの商業契約と一般商業レートによる日本向けLNGの供給に
    支障がないことを保証し(ただし、大統領による国内向け国家非常事態宣言がない場合に
    限る)、コンスタントかつ安定した供給を確保すべきである。

    安全保障体制の一環として、米国と日本は、軍事上の同盟だけでなく、天然資源に関して
    も同盟すべきである。この協力分野は、開発が不十分なままである。

    ──(仮訳ここまで)─────────

     この2行に、エネルギーに関する米国の意図が表れている。米国のいう「同盟」とは、
    対等で水平な関係を意味しない。非対称で、一方的で、支配‐依存の主従関係である。日
    本は軍事的に独立せず、米国に依存しているが、エネルギー分野でも米国に依存せよ、と
    いうのだ。そうすれば、米国の日本に対する支配的関係は、より一層深まるだろう。日本
    をより深く支配したい、という意志がありありと表れている。


    ──(仮訳ここから)─────────

    また、米国は、日本へのLNG輸出を妨げている現在の法律を修正すべきである。米議会が
    FTA要件を削除して自動認可に切り替えれば理想的だが、それは米国と平和的関係にある
    国ならどの国に対するLNG輸出も国益であるという反証可能な推定を確立することになる。
    代わりに、米議会は、LNG輸出では、日本をFTA締結国の1つと見なして、他の潜在顧客国
    と対等な立場に置くべきである。少なくとも、ホワイト・ハウスは、現在の法律下で認可
    を検討する際に日本関係の輸出プロジェクトを全面的に支援し、優先すべきである。

    正しい政策支援があれば、天然ガスは二国間貿易を活性化し、日本の米国への対外直接投資
    (FDI)を増大させることもできる(※16)。北米のガス供給量は膨大であるが、見込ま
    れるタンカー通行量の処理に必要な基地、港、陸上輸送システムが十分でないという懸念
    がある。

    大きなインフラ投資がなければ、米国のガス生産は成長できない。 これが、米天然ガス
    に関する法律を修正して、他のFTA顧客国家と対等の立場を日本に与えるための、もう1つ
    の有力な理由である」

     3. Charles Ebinger/Kevin Massy/Govinda Avasarala共著、「Liquid Markets:
    Assessing the Case for U.S. Exports of Liquefied Natural Gas」(ワシントンDC、ブ
    ルッキングス研究所、2012年5月)
    http://www.brookings.edu/~/media/research/files/reports/2012/5/02%20lng%
    20exports%20ebinger/0502_lng_exports_ebinger
    .

     4. AFP、「U.S. Not Ready for Larger Panama Canal: Experts」Taipei Time、2011年
    5月16日
    http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2011/05/16/2003503394.

    ──(仮訳ここまで)─────────

    (※8)アラスカとハワイ以外の48州で膨大なシェールガスが埋蔵されていることが発見
    され、米国は世界で最も急速に成長する天然ガス生産国となった。

     EIA(米国エネルギー情報局)のレポート「Annual Energy Outlook 2012」によれば、
    天然ガス全体に対するシェールガスの占める割合は、2035年には49%に達するという。こ
    れは、2010年の23%の倍以上の数字であり、グラフを見ると、2010年を境にシェールガス
    の産出量が爆発的に増加していることが分かる。

    参考:EIA(米国エネルギー情報局)「Annual Energy Outlook 2012」、p93
    http://www.eia.gov/forecasts/aeo/pdf/0383(2012).pdf


    (※9)2014年に計画されているパナマ運河の拡張により、世界の液化天然ガス(LNG)輸
    送船団の80パーセントがパナマ運河を使用できるようになり、出荷コストが劇的に低下し、
    米国湾岸からのLNG輸出のアジアでの競争力が激増することになる。

     パナマ運河は、1914年に開通して以来、一度も拡張されていなかった。2007年に着工し
    た拡張工事は、開通100周年にあたる2014年竣工を目指して進められていたが、パナマの
    マルティネリ大統領によると工事は少し遅れており、2015年2月までに完成するとのこと。
    拡張工事終了後には、最大許容船型が、現在の全長294.1m・幅32.3m・喫水12mからそれぞ
    れ366m・49m・15mへと拡大される。

    参考:パナマ共和国大使館ホームページ
    http://www.embassyofpanamainjapan.org/jp/canal/plan/

    参考:NHK Bizプラス「パナマ運河拡張 日本への影響は」、2012年10月23日
    http://www.nhk.or.jp/bizplus/history/2012/10/detail20121023.html

    (※10)米国は2015年までにハワイとアラスカを除く48州からLNGの輸出を開始するはず
    であり、日本は世界最大のLNG輸入国であり続ける。

     2011年の世界LNG貿易総量は、3260億立方メートル。国別で見ると、輸入量が最も多い
    のは日本で、その量は1070億立方メートル。なんと世界全体の約33%を占めている。続い
    て、韓国が493億立方メートルで第2位、イギリスが253億立方メートルで第3位となってい
    る。

     日本は、2011年の福島第一原発事故の影響で火力発電所の稼働率が急増し、その分LNG
    の輸入量も増加した。2010年度と2011年度を比べてみると、約18%の増加となっている。


     これを価格で見ると、2010年のLNG総輸入額は3兆5000億円。これが、2011年には5兆
    4000億円となり、1兆9000億円も増えている。天然ガスの取引価格は、アメリカ5.44ドル、
    EU平均9.40ドル、韓国13.18ドル、日本15.19ドルとなっており、これが輸入額増大の原因
    となっている。

     日本の取引価格が高い理由の1つはパイプライン網が整備されていないことだ。EUは、
    ロシア・北アフリカ・北海など複数の供給源からパイプラインを使って天然ガスを得るこ
    とができる。日本がパイプラインを使って天然ガスの輸入をするとなれば、その輸入国は
    ロシアになるが、経済的・政治的な理由からこれまで実現してこなかった。

     言いかえれば、日本がロシアとの関係を改善し、パイプラインを敷設して供給を受ける
    ことができれば、常に不安定なエネルギー問題は劇的に好転する可能性がある。しかし、
    LNGを論じる際に、ロシアという選択肢は除外されるのが「普通」である。その「見えな
    い壁」の存在に、米国の利害と意思を見出すのはそう難しいことではない。

     日本のLNG取引価格が高いもう1つの理由は、安定供給に重点を置き長期契約を結んでい
    ることで、LNG価格と原油価格のリンクを解除できないことにある。これは、交渉力がな
    いということにもなるが、特に原発事故後はLNGへの依存度が高まったため、余計に足元
    を見られており、「ジャパンプレミアム」と呼ばれる価格上乗せが当たり前になっている。


    出典:日経BP社エネルギー統計白書「Statiscal Review of World Energy 2012」
    http://news.livedoor.com/article/detail/6883759/

    参考:IEA「Energy Prices and Texas,Volume 2011 Issue 3,4」

    参考:財団法人日本エネルギー経済研究所「原発依存下に伴うLNG調達の課題と解決策」、
    2011年12月13日

    参考:NHK「クローズアップ現代」、2012年11月29日放送

    参考:PRESIDENT「なぜ日本の天然ガスの価格は、アメリカの9倍も高いのか」、2012年7
    月16日
    http://president.jp/articles/-/6730


    (※11)1969年以来、日本は比較的小量のLNGをアラスカから輸入してきた

     日本の1次エネルギー国内供給に占めるLNGの割合は、1969年にはわずか1%に過ぎなか
    った。しかし、1969年にアラスカからの輸入を開始し、その後東南アジア、中東からの輸
    入も開始され、2010年度のLNGの割合は18.6%に達した。

     日本における2011年度のLNG総輸入量は8318万トンであるが、その主な輸入先は、マ
    レーシアが18.2%で第1位、カタールが17.2%で2位、オーストラリアが16.3%で3位とな
    っている。

    出典:経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー白書2012」、p111
    http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011/2-1.pdf


    (※12)米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない国、特に、そのFTAに国のガス処理
    に関する条項がない国へのLNG輸出を求める米国企業は、まず、米国エネルギー省(DOE)
    化石エネルギー局の認可を得る必要がある。

     2012年7月6日付の日経ビジネス「米国内で高まる天然ガス輸出を求める声、反対する
    声」によれば、「米エネルギー省は、米国と自由貿易協定(FTA)を締結している国向け
    の輸出は、これらの公益に反しない限り速やかに許可する。だが、FTAを締結していない
    国向けの輸出は個別に審査する」こととされている。日本は、米国とFTAを結んではいな
    いので、個別審査の対象になっている。

    参考:日経ビジネスオンライン、2012年7月6日
    http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120705/234155/?rt=nocnt


    (※13)DOEの認可プロセスは政治的に精査されつつある

     これも回りくどい表現であるが、政治的な取引きの材料にされている、ということだ。
    2012年5月15日付の日経BPネット記事『「原発ゼロ」の日本にシェールガスは「救世主」
    か?』には、こう記されている。「4月30日に行われた日米首脳会談において、野田首相
    のLNG対日輸出拡大の要請に対し、オバマ大統領は『(政府認可の可否は)政策決定プロ
    セスにある』として、明言を避けた」。

     また、2012年5月31日付のウォール・ストリート・ジャーナルも以下のように報じてい
    る。

    「関係者によれば、野田佳彦首相は4月30日にワシントンで行われたオバマ大統領との首
    脳会談で、天然ガス輸出問題を提起したが、米側は政治的に微妙な問題であることなどを
    理由に、状況を見守るよう伝えた。米政府当局者は、『日本は非常に難しい状況にあり、
    同情する』としながらも、『この問題についてもっと多面的に考察する必要があるだろ
    う』と述べた」

    出典:日経BPネット、2012年5月15日
    http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120514/308660/?ST=ecology&P=2

    出典:ウォール・ストリート・ジャーナル、2012年5月31日
    http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-451985.html?mg=inert-wsj


    (※14)環境または経済上の理由により、活動家たちがLNGの輸出に反対している

     環境アナリストのRoger Harrabinは、BBCのシェールガスに関するレポート
    「Campaigners' anger over agency's shale gas report」(2012年5月29日)の中で、
    「環境活動家はIEAの『天然ガスの黄金時代のための黄金律』の報告に怒っている」と指
    摘している。

    参考:BBC News(英語)、2012年5月29日
    http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-18236535

     ここで言及されているIEAの報告書「天然ガスの黄金時代のための黄金率」には、「天
    然ガスの黄金時代の実現は、世界の莫大な非在来型天然ガス資源(シェールガス、タイト
    ガス、コールペッドメタン)の相当な割合が、採算がとれるコストで、かつ、環境保護上
    受容しうる方法で開発できる場合に限られている」「非在来型天然ガスの輝く未来は、い
    まだ保証された状態からほど遠いと言わなければならない。越えなければならないハード
    ルの数は非常に多い。とりわけ社会と環境に及ぼす悪影響への懸念は拭い去られていな
    い」と指摘している。問題は山積みであるらしい。

    参考:IEA World Energy Outlook Special Report 「天然ガスの黄金時代のための黄金
    律」、Executive Summaryの日本語訳
    http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/goldenrules.html

     また、フランスのルモンド誌は、「The end of cheap oil」(安い石油の時代は終わっ
    た)と題された2011年5月2日付けの記事の中で、「もちろんシェールガスの埋蔵量は非常
    に多いことは疑いのないことではある。問題はそのほとんどは、現在よりもかなり高い価
    格水準であっても商業ベースに乗らないことである」と指摘している。これは聞き捨てな
    らない指摘である。安くなければシェールガスへの投資に何の意味があるのか。

    参考:ルモンド、2010年11月(以下は、記事の日本語訳ページ)
    http://www.nexyzbb.ne.jp/~omnika/Le_Monde.html


    (※15)ブルッキングス研究所による最近の政策提言で、この申し立てに対する反論が行
    なわれた。

     ブルッキング研究所のレポート「A Strategy for U.S. Natural Gas Exports」(2012
    年6月)には、「適切な環境保護がなされる限り、輸出許可により得られるだろう利益は、
    輸出を制限するコストを上回る」との指摘がある。

    参考:Brookings Institution: The Hamilton Project「A Strategy for U.S. Natural
    Gas Exports」、2012年6月
    http://www.brookings.edu/~/media/research/files/papers/2012/6/13-exports-levi/
    06_exports_levi.pdf



    (※16)正しい政策支援があれば、天然ガスは二国間貿易を活性化し、日本の米国への対
    外直接投資(FDI)を増大させることもできる。

     先述した2012年5月31日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じているように
    (※13)、現段階では、オバマ大統領は日本へのLNG輸出の確約は避けている。しかし他
    方で、日本の大手商社は、2009年以降、米国のシェールガス田の権益を相次いで取得して
    いる。最近では、大阪ガスが、2012年6月、テキサス州のピアソール・シェールガス・オ
    イル開発プロジェクトへの参画を発表した。米政府の輸出許可に備えた動きだと見られる。

     問題は、このような日本からの投資が、米国側の政治的都合によって、輸出を停止させ
    られたり、 後述するCEESAのような仕組みを隠れみのにして、10年で20兆円もの金を出せ
    などと、弱みにつけこんでくることがないか、という点だ。アーミテージからの主張を見
    る限り、彼らが「誠実な」パートナーであるとは、到底言いがたい。彼らのシナリオに
    唯々諾々と従うようであれば、日本のただでさえ危うい独立主権が、さらに危ういものと
    なるのではないかと危惧する。

    参考:ジェトロ世界貿易投資報告2012
    http://www.jetro.go.jp/world/gtir/2012/pdf/2012-us.pdf


    ──(仮訳ここから)─────────

    ==================================
    ◆ 「エネルギー安全保障」~メタンハイドレート:エネルギー協力の強化に寄与する潜
    在的大転換の好機
    ==================================

    二国間協力には、もう1つの有望だがより不確実な長期的領域としてメタンハイドレー
    トがある。メタンハイドレートは、深く埋もれた氷の中に閉じ込められた天然ガスの結晶
    である。経済的および技術的な大きなハードルを乗り越えられれば、メタンハイドレート
    の埋蔵量は、現在の在来型および非在来型ガスの埋蔵量をはるかに上回るだろう。

     日本の南中央域、沖合(※17)にあるメタンハイドレートの鉱床は、天然ガス国内消費
    量の10年分に当たると見積もられ、世界的には、現在実証されている天然ガス埋蔵量の
    100倍をはるかに超える700,000兆立方フィートと概算されている。

     メタンハイドレートは、陸上および沖合いに広く分布し、特に極地と連邦大陸棚に存在
    する。専門家たちが予想するように、メタンハイドレートのほんの一部しか開発できない
    場合でも、それらの量は、現在の天然ガス埋蔵量の見積りをはるかに上回る可能性が高い。

     日本と米国は、可能性のある大規模メタンハイドレート生産の研究開発で緊密に協力し
    ている(※18)。5月には、アラスカのノーススロープでの日米現地試験で、CO2の圧入お
    よび隔離によるメタンハイドレートの抽出に成功し、エネルギー供給と環境の両面におけ
    るメリットが実証された。結果として大規模なメタンハイドレート生産にいたる変革の可
    能性を踏まえ、我々は、日米が費用効果の高い、環境に責任をもつメタンハイドレート生
    産の研究開発を加速するように推奨する。米国と日本は、代替エネルギー技術の研究開発
    に全力を傾けるべきである。


    ──(仮訳ここまで)─────────

    (※17)日本の南中央域、沖合

     日本の南中央域、沖合とは、東部南海トラフ(静岡県沖~和歌山県沖)のこと。ここを
    モデル海域とした研究開発が進んでいる。

    参考:メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)「我が国におけるメタン
    ハイドレート開発計画」、p6
    http://www.mh21japan.gr.jp/pdf/mh21panflet.pdf

    参考:米エネルギー省、National Energy Technology Laboratory(国立エネルギー技術
    研究所)「2011 Methane Hydrates Primer」、p15
    "Wells drilled at these sites showed high concentrations of methane hydrate,
    with saturations as high as 80 percent in Nankai Trough sandstones." (日本の南
    海溝の砂岩には純度80パーセントのメタンハイドレートが集中しているのが発見された)
    http://www.netl.doe.gov/technologies/oil-gas/publications/Hydrates/2011Reports/
    MH_Primer2011.pdf



    (※18)日本と米国は、可能性のある大規模メタンハイドレート生産の研究開発で緊密に
    協力している 米エネルギー省"U.S. and Japan Complete Successful Field Trial of
    Methane Hydrate Production Technologies"
    http://energy.gov/articles/us-and-japan-complete-successful-field-trial-methane-
    hydrate-production-technologies


    <以下記事の日本語による要約>

     米国エネルギー省(DOE)のチュウ長官は5月2日、DOEと日本の独立行政法人 石油天然
    ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC)らが協力し、アラスカ州ノーススロープで行ってい
    た、メタンハイドレートから天然ガスを抽出する実証プロジェクトが成功裏に終了したこ
    と を発表した。

     プロジェクトは、ノルウェーのベルゲン大学らによって開発された方法を初めて実在す
    るメタンハイドレート層に適用した現地試験であり、メタンハイドレート層に二酸化炭素
    (CO2)を圧入し、地層中のメタンハイドレートをCO2ハイドレートへ置換することでメタ
    ンガスを生成した。試験期間は今年の2月15 日から4月10日であった。

     DOEは今回の試験の成功をもとに、より長期的な研究と大規模な試験の実施を目指すと
    しており、同日、新たに以下の2つの計画を発表した。

    1.メタンハイドレート層の特定と安全な天然ガスの抽出を行うための技術研究向けの資
    金提供公募に650万ドルをFY2012予算として割り当てる。

    2.国内での研究と海外パートナーとの連携研究の両方を推進するために、FY2013予算に
    500万ドルを追加するよう要求する。(第3弾へ続く)

    (文責/岩上安身、協力/野村佳男・佐々木隼也・大西雅昭・安斎さや香)
    (和訳/斎藤みどる・佐野円・伊藤勉・原田尚子、和訳監修/山崎淑子)


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