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    原発問題 -The Truth is Out There-

      : 

    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    【騙されてはいけない!】福島県内の子どもの内部被ばく検出人数はゼロとする早野論文は大変危険な捏造論文だ! 

    『「福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果ー福島第一原発事故7ー20ヶ月後の成人および子供の放射性セシウムの体内量ー」(早野氏論文)に対する公開質問』
    木村 知、 田口茂、 竹野内真理、松井英介、 矢ケ崎克馬、肥田舜太郎
    http://blog.livedoor.jp/medicalsolutions/lite/archives/51984809.html より

     2013年4月11日、東大の早野龍五教授らにより、
    Internal radiocesium contamination of adults and children in Fukushima 7 to 20 months after the Fukushima NPP accident as measured by extensive whole-body-counter surveys
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjab/89/4/89_PJA8904B-01/_pdf

    「福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果ー福島第一原発事故7ー20ヶ月後の成人および子供の放射性セシウムの体内量ー」
    https://docs.google.com/file/d/0Byf-QYeE0N7pTWFyRnVhMnhZNmM/preview?pli=1
    という論文(以下「早野氏論文」)が発表されました。

     この論文には、ひらた中央病院で行われたホールボディカウンタ(WBC)検査においては、チェルノブイリ原発事故により得られた知見から予測されたほどの内部被ばくが認められなかった、という調査結果がまとめられています。

     また論文の発表を受け、直後から多くのメディアによって一斉に、「子どもの被ばく『ゼロ』」、「セシウム検出されず」、「99%出ず」、「内部被曝1%」、「内部被ばく極小」などとの見出しを掲げた記事が出されました。
     さらに、この論文を受けて発信された、
    「福島県内の子どもの内部被ばく検出人数はゼロ 国内から初、食事による内部被ばく影響論文」(ダイヤモンドオンライン)

    という記事において、論文筆頭執筆者の早野教授は、

    「福島県内の土壌の汚染から危惧されていた内部被ばくのレベルよりも、住民の実際の内部被ばくの水準はかけ離れて低く、健康に影響がでる値では到底ない」

    と述べ、この記事の執筆者も、

    「これらの結果から何がわかるのか。放射性物質に汚染されている食品を定常的に摂取し続けていないと内部被ばくの数値が上がることはない。原発事故後、土壌の放射性物質汚染の高い地域で流通している食物は、ほとんど汚染が無かったということが、改めて実証されたということだ」

    などと述べています。

     実際の「早野氏論文」を読むことなく、これらメディアが報じた記事のみを読んだ多くの国民は、おそらく、福島県内に留まっている住民の方々の内部被ばくが少なかったことに安堵したと同時に、「原発事故は過酷だったが、その放射能汚染による実害は、心配するほどのものではなかったのだ」とか「事故後行われた政府による対策は、旧ソ連と比較して優れたもの、適切だったものと評価できるのだ」と感じてしまったに違いありません。

     もちろん、住民の方々にセシウムによる多量の内部被ばくがないのであれば、それは非常に良い情報であると言えるでしょう。

    しかし、このWBC検査自体が、内部被ばくの「実態」を正確に評価するに耐えるものではなく、もちろん「安全」を担保し得るものでもないことは、内部被ばくの研究者の間では「常識」です。


     また、早野教授は「健康に影響がでる値では到底ない」などと断言してしまっておられますが、被ばくによる健康影響に「安全閾値」など存在しないことは、放射線防護における国際的コンセンサスであり、これも「常識」です。この国際的コンセンサスや「常識」を一切無視した、このような発言を、多くの国民が目にするメディアで発信することは、国民への「正しい知識」を広める責任を負う専門家の言動として、疑問を感じずにはいられないものであります。

     TwitterやFacebook、一部ブログなどでは、この「早野氏論文」とその後の報道、さらにその報道を受けた後の、論文執筆関係者らの言動や一般市民の反応などについて、上記のような問題点や疑問点を指摘する声が多数上がっていますが、かたや国際的に発表された論文であり、かたや一般市民がネット環境のなかで個人的、散発的に発信しているものであるため、研究者と一般市民のコミュニケーションが取れておらず、なかなか双方向の有意義な議論に発展していない状況です。

     もちろん国際的な学術誌も重要なのですが、それは一般市民にとってはアクセスしにくい「場」であり、またそれらがメディアにより一般市民に広められる際には、今回の「早野氏論文」の報じられ方を見ても明らかなように、バイアスがかかったり、脚色されるなどして、一般市民がミスリーディングされてしまう危険性があります。

    そこで今回私たちは、この「早野氏論文」および現在行われている住民に対する内部被ばく調査活動に関しての疑問点や問題点を、専門家とより多くの一般市民が「公開のネット環境」という「場」において議論可能となることを目的として、以下の方々からの声を「公開質問」という形で、内部被ばく調査に実際に関わっておられる諸先生方に、直接お届け致します。

    ーーー
    【早野龍五教授論文に対する意見】

    田口茂 (福島県二本松市)

    1) ベラルーシ中央科学研究所所長のバンダジェフスキー博士は10Bq/kg位の体内汚染から心電図異常もあるとしている。
    今回使用したWBCの検出限界値はセシウム134及び137それぞれ300ベクレル/Bodyと大きく、対象とした4歳児の平均体重は16kg、小学1年生(6歳児)の平均体重は21kgであり、これらに対する検出限界値はそれぞれ18.75ベクレル/kg、14.3ベクレル/kgとなり、検出誤差を20%程度と仮定すれば4歳児は19.13ベクレル/kg以下なら検出されず、内部被ばくが無かった事として見過ごされてしまう。


     特に子供の体に入ったセシウムは、心臓に凝縮されて心筋や血管の障害につながり、心筋細胞はほとんど分裂しないため放射能が蓄積しやすいとされ、子供の心臓は全身平均の10倍以上ということもあるとされている。

     被曝の影響は、胎児や小さい子供に大きく、この検査方法では、子どもの年齢が低く体重が少ないほど、検出限界によって内部被曝量は隠され、「検出されなかった」となってしまい大きな問題。

    2) 上記1) の理由で、『内部被ばくのレベルが極めて低い事が示された』と結論づける事は、将来ふくしま県民に健康被害がでた場合には、『放射線の影響は考えにくい』とする国や東電を有利にするものであり、内部被ばくの矮小化・隠ぺいと言わざるをえない。

    3) 中通り、浜通り地域で比較的汚染度の低い三春町の小・中学生を対象とし、『サンプリングバイアスが無い状況で、内部被ばくが非常に低く抑えられた』との結論は、あたかも福島県全域が低いといった印象を持たせ、問題が多く、国の子ども被災者支援法案や内部被ばくへの対応に影響を与えかねず、又国の東電の損害賠償の決定を被害者に不利になるような状況を与える事となり問題が多い。
     
    4) 『15才以下の小児では0.09%と大人よりも内部被ばくが少ない』との結論は、体重当たりで比較すれば必ずしも正しくない。

    5) 検査対象者の居住者分布は最大でも250kBq/m2と、比較的中程度の汚染地域までを対象としており、高汚染地域(~3000kベクレル)の住民を対象とはしていず、福島県全体が、内部被ばくが無かったかのような結論づけには問題が多い。

    6) ほとんどのマスコミ・新聞は『内部被ばくは無かった』といった見出しであり、マスコミや多くの国民をミスリードした事は大きな社会的問題

    7) バンダジェフスキー博士の論文によれば、今回のWBCの検査が如何に粗悪で杜撰なものか。内部被ばくが小さかったとして安全であるかの如き結論を導くものは間違いである事は明白。

    8) 抄訳表1の福島県のHPに掲載されたホールボディーカウンター検査結果で『10000人以上の受診者の99.9%がセシウム134、137両方の預託実効線量を足しても1mSvに届かない』との結論や、本論文中のP5,P6にもベクレルからSvへ換算した実効線量値が述べられているが ICRPのベクレルからSvへの換算係数を使用しての事であり、この係数か必ずしも内部被ばく値を正しく反映している臨床データはない。ECRRの換算係数はICRPの換算係数の数倍~数十倍もの係数であり、 ICRPの矮小化を批判している。 ICRP の換算係数が正しいとするならば、その臨床データを示して欲しい。( ICRP は内部被ばくの検討を中止した経緯あり)

     この論文は内部被ばくを矮小化するICRPの主張を正しいものとして世界に発信するもので、被災者の立場からは容認できるものではない。

    9) 抄訳P2の福島市の土壌汚染~100kBq/m2とあるが爆発当初は福島県庁前の土壌は1000kBq/m2以上もあり訂正が必要では??土壌汚染度は日が経過する毎に下がっていく為、土壌汚染度を論文に提示する場合は、いつの時期かを明示すべき。

    10) 抄訳P2でUNSCEARが土壌汚染度と内部被ばくの預託実効線量値の関係係数を20としているが、この係数を採用する土壌汚染の時期は爆発後いつの時点なのかがあいまいである。又8) の理由からベクレルからSv(内部被ばく預託実効線量値)への換算係数の正当性があいまいであり、この根拠や詳細説明を明示願いたい。

                   



    ーーー

    竹野内真理 (翻訳家、ジャーナリスト)

    1.やはり一番私が聞きたいのは、BqからmSvへの換算式の根拠です。

    論文157ページの最後から8行目、2mSvが400Bq/day、60000Bq/Bodyとなっていますが(すなわち1mSvでは200Bq/day、また30000Bq/body、(こんなきれいな数字になること自体が、不思議です。根拠を示してほしい)、この根拠はどこから来ているのか。計算式とその計算式を作った科学者もしくは機関、その根拠を示してください。

    2.坪倉医師は、沖縄の講演会で『バンダジェフスキー論文読みました。正直困っています。』と述べ、自身のブログでも10~20Bq/kgで、心臓への異変が生じる可能性について引用しています。

    上記の6万ベクレル/Bodyは、60kgの大人で1000Bq/kg、30kgの子供で2000Bq/kg、また法定の1mSvでも30000Bq/body、すなわち、10kgの赤ん坊では、3000Bq/kgという殺人的な数値となります。この点についてどう考えますか?

    3. WBC検査で、初期被ばくを完全に見逃しているが、このことをどう考えますか?

    ちなみに東大医科学研究所の上昌広教授も以前にTWで以下の発言をしています。

    「初期に高い被ばくをした住民がいるのは確実です。(中略)放射線大量放出があった3月15日は飯舘村などでは、子どもを外で遊ばせていました。土壌の汚染濃度も高い。甲状腺がんは将来出ると思います」


    質問の根拠)甲状腺がんの発生について:東京都での3月15日の被ばく量で6.3μSv/h=1100Bq/m3=吸い込んだ量は1100Bq/m3×22m3(大人が一日に吸い込む空気の量)÷24時間で約1008Bq/hという数値が出ている。福島市のSv最高値が約24マイクロであったので福島市の人でも1時間で4000Bq近く吸入している計算になる。

    また、NHKの低線量被曝の番組で、浪江町1万Bq/m3が出ている。

    すなわち、浪江の町民は、一時間当たり、10000Bq/m3×22m3(大人が一日に吸い込む空気の量)÷24時間=9167Bq/hも吸入被ばくをしていることになる。このような大量被ばくで、甲状腺がんへの影響がない方が、おかしいと考える。


    それから放出放射能中の核種の割合であるが、3月15日に関しては、東京都産業労働局において、14核種のBq数が出ている。(ただしこの14核種で全てであるというわけではない。)


    ヨウ素は、測定された核種の4分の1のBq数を占め、ここから浪江町の住民のヨウ素被ばく線量も推定できるはずである。

    ただし、バンダジェフスキー論文によれば、セシウムに関しても、甲状腺に溜まりやすく、また甲状腺がんの発生を相乗的に高める。また他の核種については、研究が存在しないが、甲状腺がん発生の相乗効果に寄与する可能性があり、ヨウ素131のみのBq数で、発生率を計算してしまうのは早計と思われる。

    ーーー

    松井英介 (岐阜環境医学研究所)

    早野龍五氏らはこの論文のConclusionsでまた抄訳のまとめでそれぞれ次のように述べている。
    This is the first sampling-bias-free assessment of the internal exposure of children in Fukushima.
    (Proceedings of the Japan Academy Series B 89 (2013) 157 P.162)

    これは福島県において、初めて対象のほぼ全数を計測した、サンプリングバイアスのない内部被ばく評価である。
    (日本学士院紀要Proceedings of the Japan Academy Series B 89 (2013) 157 の抄訳 P.8)

    また、RocketNews24のAndrew Miller記者のインタビューに応えて、次のように述べている。

    “Findings suggest that the level of internal radiation exposure brought about by pollution from the soil within the Fukushima Prefecture is much less than originally believed. The amount is so negligible that it is difficult to imagine there being any risk to the health.”


    早野氏らがwhole-body-counter(WBC)で計測したのは、計測が適正に行われたという前提でだが、体内に取り込まれたセシウム137およびセシウム134(137Cs and134Cs)から体外に放射されたガンマ線量である。ストロンチウム90(90Sr)が壊変の過程で放射するベータ線や、プルトニウム239(239Pu)から放射されるアルファ線は、体内での飛程がたかだか、90Sr;10mm,239Pu;40μmと短いため、WBCでは計測されない(あるいは、体内にあっても、WBCではないと評価される)。

    また早野氏らが行った土壌の測定は、137Csの表面線量のみであって、ウクライナやベラルーシで行われているような土壌中の90Srや239Puを初めとする各核種の検査は行われていない。さらに土壌中の137Csなどが経時的に土壌のより深いところに移動していることは、日本政府発表データによっても示されている。したがって、土壌については、土壌そのものに含まれる各核種を調べる必要がある。食品についても同様の事柄を指摘しなければならない。食品に含まれる各核種の計測方法およびその結果については、この論文には記述がない。


    ちなみに、90Srの物理的半減期は、137Csのそれとほぼ等しい約30年であるが、90Srが骨や歯に留まる時間は数十年におよび、さらに骨には造血臓器である骨髄があることから、白血病や免疫不全などの健康リスクはきわめて高いことが知られている。

    239Puは人類が創り出した最強の毒物であって、この核種によるバイスタンダー効果や遺伝的不安定性の誘導と相まって、DNA損傷などの健康リスクはきわめて高いことをつけ加えておきたい。

    このように、137Cs and/or134Cs測定の限られた不十分なデータをもとに、冒頭に示したような内部被曝評価の結論を導く方法は、きわめて非科学的である。

    また、上記のごとくメディア・インタビューに応えるやり方は、東京電力福島第一原発事故によって自然生活労働環境に放出された各人工核種が、成人および子どもの体内さらに外部環境から消失したかの如き誤った認識を、住民・市民に提供・拡散するものであって、科学者の社会的責任を問われるやり方であると評価しなければならない。

    ーーー

    早野龍五氏らによる『福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果』を批判する
    矢ヶ崎克馬(琉球大学名誉教授)


    1.巨大な検出限界は公式記録からの被爆の実態切り捨て

    早野龍五氏らによる『福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果
    ― 福島第一原発事故7-20 ヶ月後の成人および子供の放射性セシウムの体内量―』に用いられた検査手段がホールボディーカウンター(WBC)であり、しかも感度の悪い測定条件によっていることがこの調査の最大の特徴である。この調査ではたった2分間しか測定せず、結果として300Bq/全身と、きわめて検出限界を高くして使用していることに調査の特徴があり、この手段(WBC)に限定して測定していることに、被曝実態を記録上低く見せようとする意図が懸念される。

    「内部被曝隠し」という目的意識が危惧するのは、もっと感度の高い尿検査を福島県が封じ込めていたのではないかと推察される事件が生じているのも一要因である。

    昨年11月に、福島県の県民健康管理調査の検討会議の議事録の一部、「県側が尿検査に難色を示した箇所」を、福島県が公開する時には削除されていたことが判明している。この調査と福島県側の議事録隠蔽が表裏一体なのではないか?と懸念しているのである。

     尿検査の検出限界はおよそ0.05Bq/kg程度である。単純化して1日の排尿量を1kgと仮定して全身被曝量に換算する。子どもの場合は生物学的半減期を40日として計算すると、2.9Bq/全身となる。これを早野氏らが行った300Bq /全身と比較するとなんと、103倍も検出感度がよい。大人の場合は生物学的半減期を80日として、0.05Bq/kgは5.8Bq/全身となり、感度は52倍である。


    要するに早野氏らが行った検査方法であり、福島県がこの方法に固執した(尿検査を排除した)ホールボディーカウンターの検出限界の50倍から100倍の感度が尿検査では保証できるのである。尿検査は、排尿の状態に個人差があり、日によって異なり、運動量や補水量で1kgあたりの放射線量は異なる。しかし、感度がよいということ自体のメリットは否定しがたい。数値そのものは誤差があり得ても検出感度はホールボディーカウンターの50倍から100倍もあるのである。早野氏らの調査を尿検査で行っていれば、おそらく50%以上の内部被曝者の確認ができているであろう。

     住民に寄り添い、できるだけ放射能被曝があるかどうかを丁寧に検出しようとする意志があるのならば、彼らの行った以外の道が選択されたであろう。

    2.着衣被爆の危険―内部被曝と同等―

    さらに、着衣に汚染があったことが報告されていて、ガウン更衣で内部被曝は少なくなったとされる。この取り扱いでも、着衣に汚染があれば、当然体に密着した被曝がなされ、外部被ばくを懸念しなければならない。被曝は内部被曝だけではないのである。WBCで測定できるガンマ線被曝は、内部被曝でも外部被ばくでも大差はない。ガンマ線は分子切断密度が小さいので、ガンマ線の発射される位置による被曝差は、アルファ線、ベータ線の場合と異なり、大差ないのである。

    特に着衣汚染による被曝はその人が家屋内にいるか外にいるかにかかわらず、常に体に密着した線源による被曝をもたらし、内部被曝とともに特に警戒する必要がある。着衣時で10%を超える市民に300Bqを超える被曝が確認されたのならば、おそらく100%近くの市民が着衣汚染被曝をしている。

    着衣被曝は、このように、市民の実生活の被爆状況が非常に危険であることを示しているのにかかわらず、「内部被曝の結果を高く示す邪魔者」としての扱いしかない。被曝を懸念する市民に寄り添う観点がないのである。測定者あるいは医師として「医の心」を持つならば「着衣被曝を避けなければならない」と心配する対象として当然であろう。しかるに彼らには内部被曝の値を下げることにしか関心がない。内部被曝がないことは大変うれしいことである。しかし、ずさんな測定と切り捨てによって『被曝がない』ことにされると、健康管理がおろそかにされるのはてき面である。

    3.測定できないことは被曝していないことではない

    (1)内部被曝で、より脅威があるアルファ線ベータ線はいくら体内に放射性物質があってもWBCでは感知できない。

    セシウムはベータ線を出してバリウムに変わり(崩壊系列)、バリウムはガンマ線を放出する。当初セシウムであった1原子からはベータ線とガンマ線の2本が放出される。その際放射平衡と呼ばれる状態に達しているから、体の中の集団としてはベータ線の放出量とガンマ線の放出量がいつでも等しいのである。

    早野氏らは内部被曝線量を計算しているが、ベータ線の被曝線量は計算しているのであろうか?計算方法等が示されていないので判断できない。内部被曝には上記のような崩壊系列が伴う。ベータ線、アルファ線は飛程(飛ぶ距離)が短い。それだけ分子切断の密集度が上がり、外部被ばくに比較して100倍から1000倍のリスクを生ずるといわれる(矢ヶ崎:内部被曝、ECRR2010年勧告参照)。

    WBCで測定できない「低被曝線量」に重大な落とし穴がある。WBCで測定限界以下とされる領域に内部被曝は重大な危険が潜んでいるのである。この観点から、感度の低いWBC測定は「内部被曝を測定するふりをして内部被曝の危険を隠す」ものである。

    チェルノブイリ後の被害を見ても、WBCでは到底測定できないようないわゆる「低線量」で、白血病、死産、胎児死亡、ダウン症増加等々が報告されている。ICRPの過小評価を、さらにえげつなく踏み越えて、日本では安全論者が安全論を声高に叫んでいるが、実際の被害は彼らの「安全だ」という汚染領域に山ほど見つかっている。ICRP的な被害の実態をとらえない「加害者の立場」は被害を隠ぺいこそすれ、健康被害を防ぐために尽力することはないのである。


    (2)市民が受けた過去の内部被曝は、今測定できないから、「無かった」のではなく、生命体である肉体が確実に被害結果を記録している。

    例えば、ヨウ素131は大量に放出された。その結果2年目にして10人の子どものがん患者が生じている。

    一昨年以前はこのようなことがなかったのだから、明瞭にこの甲状腺がん罹患者は東電福島原発爆発の被害者である。

    このヨウ素が住民に吸引されて内部被曝をしたことは彼らの調査では全く測定不可能であるが、ヨウ素131による被曝は否定できない。このことこそ、たとえ内部被曝の量が減少傾向でも、市民に対する健康管理が徹底されなくてはならないことを示している。此処でも、「内部被曝減少」でめでたしめでたしではなく、健康診断、医療体制の充実を叫ばなければならない。

    4.汚染のごまかしはもう一つの被曝被害切り捨てさらに、汚染調査の点ではモニタリングポストのごまかしが進んでいる。市民の実際に受けている空間線量の半分ほどの値しか示さないモニタリングポスト体系で公式データを記録しているのである。

    なお、測定問題での詳細は以下のURLを参照されたい。
    http://peacephilosophy.blogspot.jp/2012/09/blog-post_19.html
    ーーー


    肥田舜太郎 (広島原爆被爆生存者、医師)

    まだ放射線の除染をつづけている福島での、ホールボディカウンター検査の異常なしという不思議な検査結果は、直感で『放射線被曝はなかったことにする陰謀』だと思いました。

    その理由は。国連のWHO総会までが「チェルノブイリの放射線被害は殆どなかった」と決めるまでの、核を擁護する国際勢力の暗躍が、今は福島に集中していると聞いていましたので、山下医師の化けの皮がはがれたこの頃、何か新しいデマが登場するのではと思っていたので、ずいぶん手のこんだことをと感心しました。

    出るはずのない正常値が、しかも全員に出るにはそれなりの工作がいります。しかも絶対にばれない方法を計画、実行するとは。チェルノブイルと並んで福島まで放射線被害をゼロにしようとする、核分裂反応のおいしいエネルギーを手放すまいとする巨大資本の執念に空恐ろしさを感じます。それにしても、被害はこれから起こってくるというのに。

    ーーー

     以上、原発事故被害住民、長年にわたり内部被曝研究を行ってきた専門家らより寄せられた意見の一部であります。

     さて、このほど5月23日に明らかにされた、国連特別報告者アナンド・グローバー氏の国連人権理事会への報告書においても、

    「日本国内の8歳ぐらいの幼い子どもの尿サンプル中に、すでに放射性セシウムが検出されている。しかし、健康調査には16歳以下の子どもの尿検査が含まれない。また、汚染された農作物の摂取により 内部被ばくのリスクを増大し、白血病を及ぼす可能性のある放射性ストロンチウムをチェックする検査も実施されるべきである」

    「年間1mSvを超える地域に居住するすべての人々に健康管理調査を実施し、甲状腺検査のみならず、血液検査、尿検査を含むすべての健康影響に関する調査に拡大して行うこと」

    との勧告が出されており
    、バイオアッセイを行うことなく、またストロンチウムなど他核種の影響を一切考慮に入れぬままに、ホールボディカウンタ検査の調査結果のみで、年間1mSv超の地域における健康影響を「考えられない」と、現時点において断じてしまう今回の早野教授らの見解は、この勧告からみても、甚だ拙速で乱暴すぎる結論と言わざるを得ません。

     また、5月25日付け朝日新聞により報じられた通り、「住民の帰還基準である年間20mSvは、安全重視による基準強化により避難者が増加することを懸念した当時の政府が、厳格化を見送ることにより決定されたものである」ことが明らかにされましたが、現在の安倍政権も今なおこの方針を踏襲している状況であります。

     これら、健康影響や人権よりも経済的事由を優先する政策が施行され続けている状況の下、「被曝影響は考えられない」との科学者、医師らによる「拙速な結論」は、国民の放射能汚染に対する正しいリスク認識を麻痺させるばかりか、仮に健康被害が生じた場合も、それが被曝影響とは認められないなど、事故加害者の責任回避や、被曝被害者の人権を蔑ろにする政策に、「科学的根拠」として都合よく利用される危険性が、強く懸念されます。

     原発事故は、今なお未収束であるばかりか収束のメドすらつかない状況で、放射性物質も、今なお放出され続けている状況であり、被曝による健康影響を論じる際にはより安全サイドに立った慎重な態度が、科学者、医師には求められると考えます。

     今回の「早野氏論文に対する公開質問」によって、専門家と一般市民が同じ目線で、より多くの有意義な議論を行えるようになればと思います。

    そして、多くのひとを巻き込んだこうした議論が、今なお汚染に曝され続けている被害者の「切り捨ては断じて許さない」、という「大きなうねり」「強い力」に繋がっていくことを、切に願うものであります。

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