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    原発問題 -The Truth is Out There-

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    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    IWJ特報116号「接近する米中と"鉄砲玉"にされる日本」(前編) 

    第116号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
               岩上安身のIWJ特報!
           接近する米中と「鉄砲玉」にされる日本
    ~特定秘密保護法の強行採決と防空識別圏騒動から、「原発×戦争」リスクまで
                  (前編)
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    (IWJより転載許可済み)

     12月6日午後11時23分、”稀代の悪法”特定秘密保護法案が参議院本会議で可決されました。

     「採決撤回!」「独裁やめろ!」──

     法案可決の一報が入った後も、国会周辺を取り囲んだ多くの市民からは、怒りのシュプレヒコールが上がり続けました。

    ・参議院本会議での採決を直前に控え、国会正門前には多くの市民が詰めかけ

    (写真URL:http://bit.ly/1bRDAGR

    ※2013/12/06 特定秘密保護法案を廃案に! 国会周辺での抗議行動
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/115202

     二転三転した森雅子担当大臣の答弁、これまでの国会の慣例を無視した地方公聴会の突然の開催、深夜になって立て続けに行われた民主党委員長の解任決議、そして、委員会での審議打ち切りと強行採決。特定秘密保護法案をめぐる与党の国会運営は、あまりにも横暴かつ強引なものでした。

    ※【参議院本会議で法案成立】秘密保護法で解消されぬ「疑問」「矛盾」「問題点」続々明らかに
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/115311

     政府・与党は、なぜこれほどまでに強引な手法を取り、特定秘密保護法の成立を急いだのでしょうか。ひとつの説明は、日中間の緊張が高まっているから、というものです。

    特定秘密保護法は、単なる治安強化、国民への監視強化を目指した法案ではありません。日本を戦時体制に改造するための法律であり、その背景をなすのは、「台頭する中国の脅威」論であり、「不朽の日米同盟」が、固く手を携えあって、これを迎え撃つ、という物語です。

    その同盟強化のために、秘密は保持されなくてはならない、だから秘密保護法は必要なのだ、という理屈になっているわけです。従って、「中国の脅威」を実感させる出来事が起これば、法案成立の追い風になりうる。

     そんな「出来事」が、実際に起こりました。

    ----------------------------------------------------------------------

    ◆今号のポイント◆

    1 政府と自民党は、特定秘密保護法の可決を急ぐ理由として、中国が尖閣諸島上空を含む東シナ海に「防空識別圏」を設定したことをあげ、「台頭する中国の脅威」を強調した。しかし、近年の中国人民解放軍と日本の海上自衛隊の軍事力を比較すると、軍備増強を図っているのは、中国側ではなくむしろ日本側であることが分かる。

    2 日本国内における反中感情の悪化と悪性のナショナリズムが高揚するきっかけを作ったのは、2012年4月16日に行われた石原慎太郎前東京都知事による尖閣諸島購入宣言である。この講演が行われたワシントンの保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のブルース・クリングナー上席研究員は、2012年11月14日に発表したレポートの中で、「日本国民のあいだに中国への懸念が広がりつつあるという状況」は、「米国政府にとって、日米同盟の健全性維持のために死活的に重要な数項目の政策目標を達成する絶好の機会である」と記されている。つまり、石原前都知事の尖閣購入宣言、野田佳彦前総理による尖閣国有化、そして保守的な安倍政権の誕生などによる日中関係の悪化は、米国の描いたシナリオ通りである可能性がある。

    3 そもそも、尖閣諸島の主権(領有権)は、米国から日本に対して返還されていない。米国は1970年代初頭、冷戦の転換期を迎えるにあたり、中国との関係改善、そして「繊維交渉」における台湾からの譲歩を引き出すべく、キッシンジャーを中心に各国と熾烈な外交戦を行っていた。そのような中で、各国の面子を立てるための落とし所として、ニクソン大統領が「尖閣諸島に関して、米国は施政権は日本に返還するが、領有権については中立の立場を取る」という基本姿勢を決定。現在も米国は、この時の立場を引き継いでいる。

    4 米国は日本に「中国脅威論」を煽る一方、中国との間で、人的・経済的な交流を深めている。2000年と2010年を比較すると、日米間の貿易額(輸出入計)が2080億ドルから1783億ドルに減少する一方、米中間の貿易額は683億ドルから3753億ドルに急増するなど、東アジアにおける米国の最大の貿易相手国は中国であることが分かる。石原慎太郎前東京知事が尖閣諸島の購入を宣言した保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」でさえ、エレーン・チャオというブッシュ政権時の労働長官を介して、大量のチャイナマネーが流れこんでいる。

    5 2014年に再改訂される「日米ガイドライン」には、米国の「対中国海洋戦略」が盛り込まれる。対中国軍事戦略として米軍が立案した「統合エア・シーバトル構想」によれば、日本列島が米中戦争の戦場として想定されている。その際、中国の中長距離弾道ミサイルを回避するため、在日米軍は一時的に撤退し、本土からの援護を待って反撃の機会をうかがうとされる。しかし、この「統合エア・シーバトル構想」のどこにも、日本が54基もの原発を抱える、原発大国であるという事実が記載されていない。

    6 本号は、12月11日(水)に行ったトークイベント「山本太郎×岩上安身 特定秘密会談~(原発×戦争)×秘密=!?」の内容を含みます。当日の模様を収録したアーカイブ動画は、PPV(ペイ・パー・ビュー)にて販売しておりま
    す。この機会に、ぜひ、お買い求めください。
    http://iwj.co.jp/info/whatsnew/?p=18721

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    ◆”微妙”なタイミングで起こった「防空識別圏」騒動
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     中国政府は、尖閣諸島の上空を含む東シナ海に、突如「防空識別圏(ADIZ)」を設定したと発表しました。11月23日、衆議院で強行採決が行われ、特定秘密保護法が可決したのが26日、そのわずか3日前という実に微妙なタイミングです。

     防空識別圏とは、その国の領空に近づく航空機が敵か味方かを識別するために、各国が独自に設定するものです。他国の航空機が防空識別圏内に入り、「領空防護の必要性」があると判断されれば、戦闘機のスクランブル発進が行われます。

     下図をご覧いただければわかる通り、従来の日本の防空識別圏に深く食い込み、しかも尖閣諸島を囲い込む形で、中国は新たな自国の防空識別圏の設定を宣言したのです。

    ※中国、尖閣上空に「防空識別圏」 日本と重複…空の緊張必至(共同通信、11月23日【URL】http://on-msn.com/1bdkNYP

    ・日本の防空識別圏と、中国が新たに設定した防空識別圏
    (図像URL:http://bit.ly/1bRtTVi

     これを受け、日本政府は中国政府に対して、すぐさま厳重に抗議。外務省の伊原純一アジア大洋州局長が中国の韓志強駐日公使に対し、「尖閣を巡る状況を一方的にエスカレートさせる。現場空域で不測の事態を招きかねない非常に危険なものだ」と伝えました。

    ※政府、中国の防空識別圏設定に厳重抗議 「不測の事態招く」(日本経済新聞、11月23日【URL】http://s.nikkei.com/19Qp5yU

     この事態に対し、尖閣を巡る日中対立のドラマの、「第三の主役」ともいうべき米国が動きます。それもきわめて迅速に。騒動の第2幕の始まりです。

    ===================================
    ◆戦略爆撃機B-52という「核の拳」
    ===================================

     米国のケリー国務長官は、11月23日付けで、中国側に対し「強い懸念」を表明。「米国は、東シナ海に防空識別圏を設定したとする中国の発表を非常に懸念している。この一方的な行動は、東シナ海の現状を変えようとする試みである。事態をエスカレートさせる可能性のある行動は地域の緊張を高め、紛争のリスクを生むだけである」という声明を発表しました。

    ※東シナ海の防空識別圏に関するケリー国務長官の声明(駐日米国大使館ホームページ 【URL】http://1.usa.gov/1iGghTZ

    ※「緊張高める」米が非難声明 中国、尖閣に防空識別圏(朝日新聞、11月24日【URL】http://bit.ly/1apBY39

     しかし、中国側はこの日米による抗議を突っぱねます。

     中国外務省の秦剛報道局長は24日にコメントを発表。今回の防空識別圏の設定と、それに対する日米の抗議について、「釣魚島(尖閣の中国名)は中国固有の領土だ。主権問題で米側は特定の立場をとらないとの姿勢を貫き、不適切な発言を回避すべきだ」と反論しました。

    ※防空識別圏問題、中国側が反論 日米の抗議・非難受けて(朝日新聞、11月25日 【URL】http://bit.ly/19d4bKY

     これに対する米国の回答は、言葉ではなく、戦略爆撃機を飛ばすという、極めて強烈なものでした。26日、B-52が2機、中国が新たに設定した防空識別圏内を飛行しました。B-52は、古いタイプの爆撃機ですが、核弾頭を搭載すること
    が可能な戦略爆撃機です。

     その意味するところは重大です。「核の拳」を中国の眼前に突き出して見せたわけですから。

    ※米軍B52が防空圏飛行、中国の現状変更を拒否(読売新聞、11月28日 【URL】http://bit.ly/1b4abFs

     冷戦時、ソ連による核攻撃を防ぐため、共産圏に対する「戦略パトロール」を行う目的で開発されたB-52は、朝鮮戦争時には米韓合同軍事演習に導入され、北朝鮮側を牽制する役割を果たしました。また、1965年から始まった、ベトナム戦争で「北爆」を行ったのも、このB-52でした。言わば、冷戦時代における、「抑止力」の象徴です。

     中国側は、B-52が悠々と防空圏内を一時間にわたって飛び回るのを黙認し、手を出しませんでした。こうして「防空識別圏騒動」の第2幕は、日中の「喧嘩」に米国が割って入って凄味をきかせ、貫禄を見せつけ、中国を黙らせた、という場面に終わったのです。

    ===================================
    ◆「台頭する中国の脅威」対「不朽の日米同盟」という物語
    ===================================

     忘れてならないことは、米軍が中国を黙らせて、日本を守るかのように振る舞った、この同じ日に、衆議院では採決が強行されて特定秘密保護法が通過したことです。

     審議を中継していたNHKは、採択の直前で中継を切り上げました。怒号の響く議場の様子は、「NHKこそが最も信頼に値するメディア」と信じて疑わない「お茶の間」の視聴者に届けられることは、ついにありませんでした。

     傍聴していた市民が強行採決に抗議すると、衛士が数人がかりで力づくで議場から引きずり出しました。その模様を、11月28日付ニューヨーク・タイムズ紙が写真入りで大きく報じたことを、「お茶の間」の皆さまは、知る由もないでしょう。

    ※Secrecy Bill Could Distance Japan From Its Postwar Pacifism(N.Y Times 11.28【URL】http://nyti.ms/1gAhGtx

     「核の拳」を突き出して見せたのも米国、日本の新たな軍国主義化、ファシズムの台頭を世界中に報じたのも米国、そして、肝心のその特定秘密保護法案の制定を急かしているのも米国、その法案の9条には「特定の外国には特定秘密を提供する」と書き込まれていますが、その秘密献上先の「外国」というのも米国なのです。

     防空識別圏の設定に見られるような「台頭する中国の脅威」を国内にアピールすることで、極めて不備の多い特定秘密保護法案の成立を正当化する。そして、TPP関係閣僚会合を前に、法案の成立を米国に対する手土産として献上する。こうすれば、「不朽の日米同盟」をよりいっそう深化させることができるだろう。これが、安倍政権が思い描く構図です。

     事実、特定秘密保護法案の審議の過程で、自民党の議員は、この防空識別圏問題を繰り返し持ち出し、法案の必要性を主張しました。

     例えば、12月4日に行われた埼玉での地方公聴会において、自民党の北村経夫議員は次のように発言しています。

     「中国が防空識別圏を設定したことにより、東シナ海の安全保障環境は一気に緊張してきました。東アジアには、いまだに東西冷戦構造が残っているのです。

     従って、安全保障の情勢の変化に対応するためにも、特定秘密保護法は必要であると考えます。情報を自衛隊が収集するだけでなく、米国や英国との共同作業が必要なのです」

    ・自民党の北村経夫参議院議員(写真URL:http://bit.ly/1bREcwc

    ※2013/12/04 【埼玉】特定秘密保護法、自民・公明が地方公聴会を強行 公述人3人のうち2人が賛成 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/114871

     しかし、安倍総理をはじめ、大多数の自民党議員が考える、「台頭する中国の脅威」対「不朽の日米同盟」という構図、東アジアにおける「新しい冷戦構造」という構図は、はたして現実のものでしょうか、その大前提が真剣に問われなければなりません。

    ===================================
    ◆中国の軍事力は本当に「脅威」か?
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     特定秘密保護法案可決のタイミングで浮上した防空識別圏騒動。これをきっかけに、日本国内で再び急速な高まりをみせる「中国脅威論」。それを論じるに際しては、まず第一に、中国の軍事力がどの程度「脅威」であるのか否か、冷静に確認しておく必要があります。

     この特定秘密保護法可決のタイミングでの中国の「軍事行動」は、防空識別圏の設定以外に、もう一つありました。

     B-52による防空識別圏内での飛行が行われる直前、中国海軍初の空母「遼寧」(りょうねい)が山東省青島の港を出港して南シナ海に向かったという報道が流れたのです。一時、緊張が走りました。青島と南シナ海の間には、尖閣諸島があります。防空識別圏の設定とあわせ、この「遼寧」の出港は、尖閣に対する中国側の極めて挑発的な態度であると、日本側は強く反発しました。その後、「遼寧」の行先については、続報が見当たりません。

    ※中国空母「遼寧」出港 尖閣周辺通過の可能性も(毎日新聞、11月26日【URL】http://bit.ly/196RzbY

    「遼寧」とは、2012年9月25日に就役した、中国海軍が初めて保有する空母です。旧ソ連の空母「ヴァリャーグ」の未完成の艦隊を中国海軍が入手、改良したもので、50機もの戦闘機が搭載可能だと言われています。

     遼寧が就役した際、日本では「北東アジアの軍事バランスが変わりかねない」など、強い警戒感をもって報じられました。

    ※初の空母「遼寧」が就役=国威発揚、周辺国に警戒も(時事通信、2012年9月25日、【URL】http://bit.ly/1aIcaiX

     中国が初めて空母を保有した、というニュースは、昨年来、大手メディアでも大々的に取り上げられてきました。戦略論でいえば、伝統的に「大陸型」国家だった中国が、「海洋型」国家を本格的に目指そうとする姿勢のあらわれであるとも報じられ、「中国脅威論」の象徴として扱われてきたわけです。

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    ◆「遼寧」は実は「張り子の虎」だった!
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     しかし、この「遼寧」は、実は「張り子の虎」ではないか、という指摘があります。

     小河正義・国谷省吾著『空を制するオバマの国家戦略』(実業之日本社、2013.02)には、海上自衛隊幹部と米国防総省担当者の証言として、遼寧に関する以下のような記述が登場します。

     「これは本当に空母といえるものなのだろうか。空母超大国のアメリカの評価は厳しいものだった。当時のニューヨーク・タイムズ紙はこう報じている。『中国は国家元首まで登場して初の空母保有を宣言したが、中国が誇る初の空母は外国向けの誇示に過ぎず、中身はない』。つまり周辺国を脅かすための『張りぼて』と喝破したのだ。

     米国務省に至ってはもっとそっけなかった。『特に驚くべきことはない』(国防総省スポークスマン)。少なくとも日本のマスコミが報じたような『軍事バランスをただちに変える』ライバルの出現とは思っていないのは確かなようだ。

     海上自衛隊の中には、『日本のヘリコプター搭載護衛艦(ヘリ空母)の出現におっとり刀ででてきた鉄クズ空母』との声まである。米国防総省の担当者は試験航海する『遼寧』の偵察衛星から送られた写真をみて吹き出したという。

     『甲板に艦載機ゼロ。カタパルトも発艦装置もない』。「遼寧」は世上言われるような空母ではなく、ただの全通型甲板を持つ”輸送船”だったという。これでは短時間に艦載機を何十機も飛ばせる空母の姿に程遠いというわけだ」[91ページ]


    ・小河正義・国谷省吾著『空を制するオバマの国家戦略』(実業之日本社、2013.02)(写真URL:http://bit.ly/1dQjtsc

     この記述が事実ならば、「遼寧」は、日本国内で大々的に喧伝されているほどの実戦能力を持った空母ではない、ということになります。

     日本側は「遼寧」の存在を過大に警戒していますが、ここ数年で軍事力の増強を図ってきたのは、中国だけではなく、実は日本もそうなのだと、小河・国谷両氏は、同書の中で明かします。

     日本の海上自衛隊は、2009年3月、「ひゅうが」を、そして2011年3月には「いせ」を、それぞれ就役させています。

     海上自衛隊は、この「ひゅうが」と「いせ」を、潜水艦による攻撃に備えるための「ヘリコプター護衛艦」だと称しています。しかし、「ひゅうが」と「いせ」の実態は、それぞれ11機のヘリコプターを搭載している「ヘリ空母」であるというのです。さらに、いざとなれば、簡単な甲板修復で、ハリアー戦闘機10機を搭載することも可能だと言われています。

    ※海上自衛隊ホームページ 「護衛艦」紹介コーナー(【URL】http://bit.ly/1bOoLHq

     このような「ひゅうが」や「いせ」のようなタイプの「護衛艦」は、海外では「STVOL空母」と呼ばれます。「STVOL」機とは、短距離での離陸と垂直着陸ができる戦闘機のことです。つまり、「ひゅうが」や「いせ」は、甲板修復を行い、戦闘機を搭載すれば、いつでも攻撃用の空母に様変わりすることが可能なのです。

     前出の『空を制するオバマの国家戦略』では、さらに「ひゅうが」「いせ」を上回る「空母」の導入が綴られています。

     「防衛省は海自最大のヘリコプター護衛艦『22DDH』を建造中だ。基準排水量一万九五〇〇トン、長さ二四八メートルの全通型飛行甲板を持ち、『護衛艦』と称するが外見は空母そのものだ。(中略) 将来は『F35』戦闘機も艦載機として運用できるよう飛行甲板の強度と耐熱度を強化した設計となっている。『日本が国内世論や中国の批判を恐れて護衛艦と強弁しても無理。世界の軍事常識からみれば22DDHは最強の空母の分類であり、仮に艦載機をオスプレイや対潜ヘリだけに限定してもヘリ空母と呼ばれる主役級の現代空母になる』とロシアの軍事専門家は警戒を隠さない」[85ページ]

     この「22DDH」と、「いせ」「ひゅうが」そして輸送艦の「おおすみ」を加えると、日本は実質的には「空母」の機能を備える艦船を4隻保有することになる、といいます。

     なお、「22DDH」は、今年8月6日、「いずも」として進水しました。就役は2015年3月の予定とされています。

    ※海自最大艦「いずも」進水 15年に就役 (産経新聞、8月6日 【URL】http://on-msn.com/1bqeQFg

     「いずも」の進水式の様子は、海上自衛隊が動画を公開しています。動画をご覧いただければ、非常に巨大な「空母」であることが、実感としてお分かりいただけると思います。この進水式には、麻生太郎副総理、石破茂自民党幹事長
    が参加していました(【動画URL】http://bit.ly/1jACYcW)。

     「空母」を「空母」とあえて呼ばないことについて、小河・国谷両筆者は、「空母保有に対する周辺国の軋轢(あつれき)や、左翼や反日勢力の非難を考慮した賢明な対応といえるかもしれない」と記しています。

     この表現からわかる通り、両氏は左派の人間ではなく、どちらかと言えば右派の論客であろうと思われます。小河正義氏は航空評論家で元日経新聞編集委員。国谷省吾氏は大手新聞(どこの新聞かは明記せず)で勤務後、アジア企業のコンサルタントも務める国際ジャーナリストであると、同書に肩書きが記されています。

     彼らのような、どちらかといえば右寄りの論客の目から見ても、東アジアの海域で一方的な軍備増強を図っているのは中国海軍というよりも、むしろ米軍および海上自衛隊の方が先行しており、それが中国側に過剰な刺激を与えている、と映っているのです

    ===================================
    ◆日本の海上自衛隊は「外征型」
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     私が12月5日にインタビューを行った、「有事法制」研究の第一人者の山口大学副学長の纐纈(こうけつ)厚氏も、次のように指摘しました。

     「中国が『遼寧』という空母を保有したのは、実際の戦闘に使用するためではなく、中国人民解放軍が自らの軍事的プライドを担保するための装備です。この装備に、どれだけの軍事的な有効性、汎用性があるかは、非常に疑問です。

     それから、『遼寧』に載っている戦闘機は非常に旧式です。ですから、例えば米国の第7艦隊などには、とてもではありませんが歯が立ちません。ですから、具体的な戦闘は、千歩一万歩譲っても、ないと思います」


    ・岩上安身のインタビューに応じる纐纈厚氏
    (写真URL:http://bit.ly/J6QjLm

    ※2013/12/05 岩上安身による山口大学副学長・纐纈厚氏インタビュー
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/115226

     こう指摘する纐纈氏は、ほとんど報じられることのない海上自衛隊の実態を明らかにしました。

     「日本の自衛隊は、防衛省は大型護衛艦と言っていますけど、1万トンを超える空母があります。このたび、フィリピンにも行きましたよね(※フィリピン救援に海自最大艦「いせ」など3隻、1000人規模派遣 産経新聞、11月13日【URL】http://on-msn.com/IzrjwC)。

     飛行甲板が左舷に集中配備されていて、135メートルあります。これは、ヘリ空母です。イギリスから技術を提供してもらって、飛行甲板ができたんですね。昔だったら軍艦と言われたものですが、それを護衛艦と言って作ろうとしてい
    るのです。

     完全に、今の日本の海上自衛隊は『外征型』です。『専守防衛』などという言葉は、もはや彼らの中では死語です。自衛隊の幹部は、本音では『専守防衛』なんて思っていません。それは、海上保安庁に任せればいい、と思っています。『俺たちは外に出て行って、周辺事態に備える』、という腹なんですね」

     その実態を糊塗され、日本国内で強調される「中国脅威論」。その声に後押しされ、着々と重武装化を進める日本の自衛隊。

     「中国の脅威とそれに対抗する自衛隊」という「物語」に力を得て、安倍内閣は、今国会で可決した特定秘密保護法案と日本版NSCの創設、そして来年初頭にも行われるのではないかと懸念される解釈改憲によって、日本周辺の有事どころか、「地球の裏側でも、宇宙でも」(安保法制懇の北岡伸一座長代理)米軍につき従って戦争する体制を着々と整えつつあるのです。


    ===================================
    ◆反中感情が高揚したきっかけを作ったのは、石原慎太郎前東京都知事
    ===================================

     もうひとつ、改めて検証しなくてはならないのは、ここまで日中関係が急速にこじれてしまったのはなぜか、どういう道筋をたどってのことか、という経緯です。

     事の発端は、今から1年半前。2012年4月16日に飛び出した、以下の発言でした。

     「東京都はあの尖閣諸島を買います。買うことにしました。たぶん、私が留守の間に実務者が決めているでしょう。

     本当はね、国が買い上げたほうがいいんだけれども、国が買い上げると支那が怒るからね。なんか外務省がビクビクビクビクしてやがんの」

     これは、昨年4月16日、当時東京都知事だった石原慎太郎氏が、東京都による尖閣諸島の購入を宣言した際の発言です。現在に至る日中関係の極端な悪化の、まさに起点となる爆弾発言です。

    ・石原慎太郎前東京都知事(写真URL:http://bit.ly/19UcUSD

     この発言以降、尖閣諸島を巡り日中関係がどのように悪化したのか、時系列で簡単に振り返ってみましょう。

     4月16日の石原氏の発言に対し、中国外交部はすぐさま「日本側のいかなる一方的な措置も違法かつ無効であり、この島が中国に属するという事実を変えることはできない」との談話を発表、東京都による尖閣諸島購入の構えに強く反発しました。

     それに対し、当時の野田佳彦総理は5月18日、中国政府の反発を和らげ「平穏かつ安定的な維持管理」をするためなどとして、政府関係者に尖閣諸島の国有化を指示、7月7日には、実際に国有化の方針を正式に表明しました。

     そして9月10日、日本政府は、尖閣諸島の中から、魚釣島、南小島、北小島の3島の国有化を閣議決定。藤村修官房長官はその日の会見で、「所有者が売却したい意向を示した。第三者が買えば平穏かつ安定的な維持管理の目的が果たせなくなる」と国有化の必要性を強調しました。そして日本政府は、翌9月11日、3島を20億5千万円で購入し、日本国への所有権移転登記を完了させました。

     しかし、野田総理のこの決断は、中国側の「反発を和らげる」どころか、実際には、逆に激しい反発を招くことになりました。国有化の方針が正式に表明されたその日、中国の漁船監視船3隻が日本の領海内に侵入。8月17日には、香港の民間抗議船が尖閣諸島に上陸します。

     9月15日には中国27都市で大規模な反日デモが行われ、反日気運が毎年盛り上がる柳条湖事件の起きた日にあたる9月18日には、多くの日系企業がデモ隊に襲われました。

     柳条湖事件とは、1931(昭和6)年、奉天(現・審陽)の郊外・柳条湖で、日本の関東軍が自らの手で南満州鉄道の線路を爆破しておきながら、張学良の東北軍による破壊工作によるものだと発表し、満州(現在は中国東北部)への武力侵攻を開始した、忌まわしい謀略事件です。

     この柳条湖事件が満州事変の発端となったことは、戦後生まれの日本人の多くが忘れてしまっても、被害を受けた中国人は決して忘れてはいません。「石原発言」は、「ナショナリズム」という燃えやすい枯れ葉のような感情の山に、マッチをすって放り投げたようなものです。

     かくて、日中国交正常化以来、積み上げてきた平和と信頼関係の構築、共存共栄に向けての努力は灰燼に帰し、日中間の怒り、憎悪、恐怖、敵対感情は、戦後最悪の状態にまで高まってしまいました。日本人にとっても、中国人にとっても、これは「悲劇」という他はありません。

    (中編に続く)


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