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    原発問題 -The Truth is Out There-

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    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    IWJ特報第129号「バーナムの森は動いた」〜海渡雄一弁護士インタビュー(その1) 

    第129号
    ───────────────────────────────────
    岩上安身のIWJ特報
    「バーナムの森は動いた」
    ~秘密保護法強行採決を安倍政権の「終わりの始まり」にできるか
    海渡雄一弁護士インタビュー(その1)
    ───────────────────────────────────
    (IWJより転載許可済み)

    現在、従来の憲法の解釈を変えることによって集団的自衛権の行使を容認しよ
    うとする動きが加速しており、4月に政府見解の素案を出すよう準備が進めら
    れている。

     それに先立って「天下の悪法」の制定を許してしまったことを、私たちは忘
    れてはならない。わずか3ヶ月前の出来事である。

     2013年12月6日、特定秘密保護法が強行採決によって成立した。

     この特定秘密保護法については、憲法が保障する国民の「知る権利」を侵害
    する悪法であるとして、反対の声が高まった。本法案の審議中、国会前では連
    日抗議行動が行われ、国連人権高等弁務官などからの懸念も表明された。しか
    し、安倍政権はそれらに怯むことなく、拙速に法の成立を進めた。その意図は
    何だったのだろうか。

     特定秘密保護法に先だって、2013年12月4日には、国家安全保障会議(日本
    版NSC)が発足している。そして、年が明けてからは、憲法解釈の変更によ
    って集団的自衛権の行使容認をごり押ししつつある。特定秘密保護法の制定は
    、それらの動きとセットで進められたものなのである。つまり、安倍政権は、
    日本が『戦争できる国』になるために法的整備を着々と進めているのだ。海岸
    線に原発を無防備にずらりと並べたままの状態で、である。

     この特定秘密保護法の問題点は何なのか、また、法律の施行を差し止めるこ
    とはできるのか。いま、私たちに何ができるのか。元日弁連事務総長の海渡雄
    一弁護士に話を聞いた。
      

    ================================
    ◆「バーナムの森は動いた」◆
    ================================
    岩上安身「2013年12月6日、特定秘密保護法が参院で可決され、成立してしま
    いました。翌日、海渡雄一さんは『バーナムの森は動いた!秘密保護法強行採
    決、安倍政権の終わりの始まりだ!』(※1)という檄文を出しました。『バ
    ーナムの森は動いた』という言葉は、シェークスピアの『マクベス』の中の一
    節です。有名なフレーズです。『あり得ないことが起こった。王は倒せる』と
    いう意味の言葉です。

     海渡さんがお書きになったのは本当に重要で、そして、たくさんの人を励ま
    すような文章です。ただの檄文ではなくて、冷静な分析もされています」

    海渡雄一弁護士(以下、敬称略)「はい。まず、『バーナムの森は動いた!』
    とはどういうことか、お話します。シェイクスピアの『マクベス』で、マクベ
    ス王は反乱が起きるかもしれないと怯えます。そのとき、魔女が『バーナムの
    森が動かない限り大丈夫だ』と言いました。反乱軍が王に近づいてくるとき、
    彼らは森の木々を身に着け、楯のように偽装して進軍してきました。それが、
    森が動くように見えたのです。それを見たマクベスは『もう俺は駄目だ』と精
    神錯乱状態に陥っていきます。

     今、特定秘密保護法が成立し、安倍さんたちは、勝ち誇ったように『もう法
    が成立した、日本国民はバカだから、これからどんどん忘れていってくれるだ
    ろう』、『あとはアベノミクスとオリンピックでバンザイだ』と思っているで
    しょう。ですが、私はこれが『終わりの始まり』だと思っています。そういう
    思いで、この題をつけたのです。

     一応言っておくと、法成立の日の夜、自由人権協会の理事をされている升味
    佐江子弁護士が、僕に、『これだけの人が集まってやってるのだから、これは
    バーナムの森が動いたんだ』と言ってくれたのです」

    岩上「黒澤明監督も、シェイクスピアの『マクベス』を翻案して『蜘蛛巣城』
    という映画を作りましたね。王の役の三船敏郎さんが、ザワザワザワザワ森が
    動くのを見て、ウォーッと吠えながら怯えるのを演じています」

    海渡「安倍さんがまもなく、その三船敏郎さんみたいになる。そうならなけれ
    ばいけないと思います」

    岩上「安倍さんのセリフは『嵐が去った』でした(※2)。『嵐が去った』の
    か、『バーナムの森は動いた』のか」

    海渡「『バーナムの森は動いた! 秘密保護法強行採決、安倍政権の終わりの
    始まりだ!』は、法律がいったん成立しましたが、これからどういうことがや
    れるのかを一緒に考えたいという内容のメールでした。僕は、時々、こういう
    メール上の発言をしますが、今回は、たくさんの返信や励ましのお便りをいた
    だきました。『ありがとうございました』というメールが多かったです。それ
    には感動しましたね。一緒に戦ったみなさんの気持ちに即していたのだと思い
    ます」

    岩上「なるほど。あと、海渡さんは温厚な方として知られているのですけれど
    、なんと、この秘密保護法反対の集会の場で安倍政権に対して、『ふざけるな
    !!』とおっしゃいましたね」

    海渡「確かに言いました。最初に言ったのは、11月21日に日比谷の野外音楽堂
    で行われた一回目の野音集会でした。そこには1万人集まりました。そのとき
    、僕は、主催者を代表して挨拶をしました。みんなの党と維新の会が作った『
    首相を第三者機関にする』という修正案について話したとき、『首相が第三者
    機関になるというのは、ありえない』と言ったのですが、それを言った途端に
    『ふざけるな!!』という言葉も発してしまいました。事前に用意した原稿に
    はなかった言葉ですが」

    岩上「この集会には、本当に1万人集まりました。我々も中継しましたが、大
    変な熱気でしたね。そして、海渡さんのアジテーション、迫力のある演説はす
    ごかったです。海渡さんはなんで政治家にならないのかなと思いました」

    海渡「いや、政治家は一家に一人で十分です(笑)。うちに一人おりますので


    岩上「福島みずほさんがジャンヌ・ダルクというイメージでした。海渡さんは
    オリバー・クロムウェル(※3)でしょうか」

    ----------------------------------------------------------------------

    (※1)『バーナムの森は動いた 秘密保護法強行採決は安倍政権の終わりの
    始まりだ!』全文掲載記事 2013/12/07【特定秘密保護法】岩上安身による海
    渡雄一弁護士緊急インタビュー決定(IWJ【URL】http://iwj.co.jp/wj/open/a
    rchives/115509)

    (※2)2013年12月7日、特定秘密保護法成立の翌日、安倍首相は、それまで連
    日抗議デモで騒然としていたことを踏まえて、「今朝、目覚めたら公邸の周り
    が静かだったので、嵐が過ぎ去った感じがした」と発言した。(時事ドットコ
    ム2013年12月7日の記事参照【URL】http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/201
    3120700379)

    (※3)オリバー・クロムウェル(1599-1658) イギリスの軍人で、ピューリ
    タン革命(清教徒革命)の指導者。議会軍を率いて王軍を破り、チャールズ1
    世を処刑した。(デジタル大辞泉より【URL】http://bit.ly/1bqafBb)
    ----------------------------------------------------------------------


    ================================
    ◆特定秘密保護法を廃止に追い込むことができる◆
    ================================
    海渡「ありがとうございます。11月21日と12月6日に行った日比谷の集会には
    、いろいろな人たちが来ました。実行委員会も非常に超党派的にできています
    。ああいうものが実現できたこと自体が、日本の政治の歴史の中でも大変画期
    的だと思います。法律ができてから廃止運動をした例は、過去に事例があるの
    です」

    岩上「それは重要ですね」

    海渡「私達が一生懸命反対運動をやった盗聴法(※4)ができたあとに、それ
    に反対していた民主党と社民党と共産党の3党は、廃止法案を出し続けていま
    した。これは通りませんでしたが。

     ですが、そういうことを通じて、たくさん盗聴が行われるような実務が定着
    するのを妨げることができました。 廃止にまでは至らなかったけれども、そ
    ういうことをやった意味はあるのです。国民の意思に反するような法律ができ
    たときの反対運動は、効果があるのです」

    岩上「それはとても勇気づけられますね。いったん決まってしまっても、変え
    たり廃止したりできないのではない、ひっくり返せるということ。今回の法律
    はまだ運用していませんからね」

    海渡「あと、一年間は簡単に廃止できます」

    岩上「どういうことですか?」

    海渡「施行は一年後です。だから、その間に廃止すれば、その経過措置(※5
    )もいりません。仮に一年経って、施行されてしまったら、一年以内に選挙が
    ないので、今の国会の構成を変えること自体がなかなか難しいのですが、もし
    仮に一年経って、この法律が一部施行されて、特定秘密が指定されるというよ
    うな事態になったとしても、経過措置を設けて、いま指定された秘密をどう扱
    うかということを決めて、元に戻してしまうということは可能です」

    岩上「特定秘密保護法を法的に変える方法があるのですね」

    ----------------------------------------------------------------------
    -------
    (※4)盗聴法とは、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」の通称。200
    0年に施行された法律。組織的な殺人、銃器や薬物の取引などの操作において
    、捜査機関が犯人の通信の傍受をする場合の要件や手続きが規定されている。
    (デジタル大辞泉より【URL】http://bit.ly/1cmVTld)

    (※5)経過措置とは、ある新しい法律や制度などに移行する際に、その移行
    中や移行後に発生する不利益や不都合を減らすための一時的な措置のこと。(
    実用日本語表現辞典より【URL】http://bit.ly/1lA1xdn)
    ----------------------------------------------------------------------


    ================================
    ◆法案に賛成した議員と反対した議員を覚えておくこと◆
    ================================
    岩上「それから、法律を廃止するためのもう一つの方法が、政治を変えるとい
    うことですよね」

    海渡「そうですね。今回、このメールを送ったことに対して、幾人もの市民の
    方から、温かい励ましの便りが来ましたが、その中に、僕がちょっと書き漏ら
    してるという指摘がありました。

     それは、誰が賛成して、誰が反対し、誰が棄権したのかを一覧リストにして
    、みんなが覚えてるようにしようというものです。自分の選挙区で、誰が賛成
    して、誰が反対したのか。そして、次の選挙のときに、賛成した人は落選させ
    、反対した人を応援するということをやるべきだと。

     参議院議員が242人いて、投票総数は212人でした。だから、棄権した人が30
    人いたということになります。自民党は110人が賛成、反対した人と欠席をし
    た人が4人です。公明党は20人全員が賛成。賛成の合計が130です。

     自民党の二之湯さんが反対したのですが、テレビや新聞の報道では勘違いだ
    ったと言われています(※6)。勘違いするものかと、不思議ですがね」

    岩上「二之湯さんが反対票を投じたということを、僕はツイッターで流しまし
    た。すぐ情報が集まってきました。『二之湯さんはいろいろな場所で、法案に
    は反対ですという発言をしてましたよ』とか。だから心の中では反対だったの
    かもしれませんね。反対だから、思わず間違えて反対票を投じてしまったのか
    (笑)」

    海渡「過失なのか、故意なのか」

    岩上「過失ですっておっしゃってるんですけど、弁護士的に見ると(笑)、こ
    れは本当は故意かもしれない」

    海渡「未必の故意かな(笑)」

    岩上「未必の故意ですね。支持者に対して、『私は反対したいという気持ちを
    こういうかたちで表明したのです』とおっしゃるのかもしれませんね」

    海渡「民主党は、全員が反対ですね。みんなの党は、川田さんと寺田さんと真
    山(※7)さんの3人が反対でした」

    岩上「みんなの党はこの直後に分裂しましたね。これまでもくすぶっていまし
    た。『江田さんが新党を結成する』『江田さんが反党行為、分党行為をしてい
    る』と、みんなの党の代表の渡辺喜美さんが言っていました。それが事実とな
    ったのです。みんなの党は、日和ったんですよね。衆院と参院で行動が違うの
    です。これは、ややこしいところですね。それで、欠席になったのですけれど
    、出席して反対したのは、川田さん、寺田さん、真山さんの3人でした。

     川田さんには、法律成立の直前にインタビューを申し込んだのですけれど、
    答えてくれませんでした。川田さんの秘書さんにうかがったところ、『今イン
    タビューをお受けできないのです、察してください』ということでした。『川
    田さん、意志を表明してほしい、それはやっぱり責務ではないか、応援してる
    人がいっぱいいるのだから』と言ったら、『わかります。わかりますが、今は
    受けられないのです』とおっしゃったのです。だから、非常に不安だったので
    すが」

    海渡「みんなの党が賛成せずに欠席に回ったのは、やはり、市民の反対の声が
    届いたからだと思います」

    岩上「そうですよね。だから動いたんですよ。確信して、反対した。例えば社
    民党も共産党も、それから生活の党も、みなそうだと思います。いったんは賛
    成に寄っていきましたが、やはり、この世論の盛り上がり、『いったい何をし
    ようと言うんだ、日本をファシズムに戻すのか』という怒りの声が届いたので
    しょうね」

    海渡「あと、究明する必要があると思っているのは、自民党で欠席した人たち
    です。赤池さんと有村さんと森雅子さんです。有村さんは病気らしいです。森
    雅子さんは担当大臣で、壇上にいたからなのですけどね。赤池さんはなぜ欠席
    したのかが分かりませんので、調査する必要があります」

    岩上「衆院では自民党の村上誠一郎(※8)さんが反対だということを表明し
    ていますよね。だから、賛成票を投じていないわけです」

    海渡「新党改革でも平野さんが反対し、新井さんと浜田さんは欠席しました(
    ※9)」

    岩上「欠席の場合と、出席して反対の場合は、政治的に違いがありますか?」

    海渡「それはあるでしょうね」

    岩上「反対票を投じれば、やはり反対のほうが上回るかもしれないですからね


    海渡「当日起こっていたことで大事なのは、民主党の動きです。あの議場で民
    主党はいったん全員退席しました。テレビで国会議場を見てたら、民主党席が
    ガラガラになっていました。共産党の仁比聡平さんが反対演説をやっていると
    き、靴が飛んできました。それで議場がちょっとおかしくなっている間に、民
    主党議員がどどどどって戻ってきたのですよ。

     新聞でも報道されてますけれども、民主党の執行部は、欠席戦術を取ろうと
    していたのですね。きっと、みんなの党や維新の会と歩調を合わせようと執行
    部は考えたのかもしれないのですが、廊下に出た民主党の議員の中から疑問の
    声が起きました。『ちゃんと反対したい』と言う人が出て、その場で決を採っ
    たら、圧倒的に『反対したい』という人が多かった。それで、戻ることになっ
    たそうなのです(※10)」

    岩上「では、この反対58の票は、その廊下での採決の結果なのですね」

    海渡「最後の瞬間にひっくり返した。僕が聞いたところでは、蓮舫さんが頑張
    ったそうですよ。『絶対出て反対させて欲しい』と言ったそうです」

    岩上「これも、やはり、後追いの取材をする必要がありますね。共産党、社民
    党、生活の党は、鉄板で反対でしたね」

    海渡「共産党の仁比さんの反対演説(※11)は立派でしたね。『外にいる市民
    が反対している』と一生懸命言ってくれていました。そういう意味では、残念
    なことに民主党は欠席戦術を取ったために、反対討論ができなかったのです。
    大野元裕議員(※12)が反対討論する予定で、ちゃんと原稿も作ってあったら
    しいのですが。その幻の原稿をちゃんとどこかで公表してもらいたいですね」

    岩上「そうですよね。反対討論を国会でやってもらいたかったです。結局、欠
    席に行ってしまった人というのは、いつかまた日和る可能性があるのではない
    かと見ている人も多いと思います」

    海渡「だから、やはり、反対と欠席とは違いますね」

    岩上「距離がありますね」
    ----------------------------------------------------------------------

    (※6)自民党の二之湯智氏は、参院本会議で反対票を投じたが、その件につ
    いて記者団に「投票ミスだ」と説明したという。(時事ドットコム2013年12月
    7日の記事より【URL】http://bit.ly/1irjsyg)

    (※7)特定秘密保護法案の採決に際して、みんなの党は退席するという方針
    だったが、川田龍平氏、寺田典城氏、真山勇一氏ら3人はその方針に従わず、
    反対票を投じた(nikkansports.com 2013年12月6日【URL】http://bit.ly/1ew
    Zt0j)同法案成立後の12月9日に、この三人を含め14人がみんなの党に離党届
    を出した。(参照:IWJ記事「2013/12/09 「このままでは国民を裏切ることに
    なる」江田憲司議員、川田龍平議員ら14名がみんなの党に離党届を提出」【UR
    L】http://bit.ly/1lA52jY)
    ・川田龍平:参議院議員 比例(【URL】http://bit.ly/1c2XHzG )みんなの
    党を離党した理由について、『原点に戻る』と説明している(川田龍平オフィ
    シャルブログ【URL】http://amba.to/1b1l16d)
    ・寺田典城:参議院議員 比例(【URL】http://bit.ly/1jeRCbi)ブログで離
    党を説明している(寺田典城オフィシャルブログ【URL】http://bit.ly/1n9Jj
    L6)
    ・真山勇一:参議院議員 比例(【URL】http://bit.ly/1nSw6ty) ブログで
    離党を説明している(【URL】http://bit.ly/NEK2tL)

    (※8)村上誠一郎:衆議院議員 小選挙区(愛媛県第二区)選出 自民党(
    【URL】http://bit.ly/1nSwisC)(参照: 週刊朝日 2013年12月13日号 『村
    上誠一郎議員が吠えた「谷垣法相、大島前副総裁が去り、振り向けば一人」』
    【URL】http://bit.ly/192adBN)

    (※9)新党改革から欠席した議員 ・平野達男:参議院議員 選挙区(岩手県
    )選出 新党改革・無所属の会(【URL】http://bit.ly/1nSwuZ5)
    ・荒井広幸:参議院議員 比例 新党改革・無所属の会(【URL】 http://bit
    .ly/1g177i9) ・浜田和幸:参議院議員 選挙区(鳥取県)選出 新党改革・
    無所属の会(【URL】http://bit.ly/MsKWYT)

    (※10)「民主の一時退場で混乱 参院本会議の秘密法採決」(2013年12月7
    日 MSN産経ニュース【URL】http://on-msn.com/1e2TE6m)

    (※11)仁比聡平議員の秘密保護法案への反対討論の映像はYouTubeで見るこ
    とができる。(【URL】http://bit.ly/1btFyyf) ・仁比聡平:参議院議員 
    比例 日本共産党【URL】http://bit.ly/N1iZs9)

    (※12)大野元裕:参議院議員 選挙区(埼玉県)選出 民主党(【URL】htt
    p://bit.ly/1kRKkby)
    ----------------------------------------------------------------------


    ================================
    ◆今後、反対勢力が出てくるか◆
    ================================
    海渡「これから廃止運動をやるにあたって、手続き的に難があると言う人や、
    安全保障のために秘密保護法制が必要だけれどこの法律の中味には問題がある
    と言う人や、この法案に賛成しなかった人、全ての人を含みこんで、間違った
    ものをいったん元に戻すようにしていきたいと思います。

     改めて法律をつくるときには、ツワネ原則(※13)という良いものがあるの
    ですから、海外からも、しかるべき人に来ていただいて、よく検討する必要が
    あります。今回、これまで秘密になっていた法令協議の資料などがたくさん出
    てきました。まだ隠されているものもたくさんあると思います。

     そういうものを全部出させて、弁護士会などで検討しながら、オープンな議
    論をし、どのような法律にすればよいのかを話し合うべきだと思います。その
    議論には、今回賛成した方々は難しいかもしれませんが、反対した議員と欠席
    した議員の全員に集っていただいて、議論を始めたいと思います」

    岩上「なるほど。反対した議員、欠席した議員も一緒に議論するわけですね。
    かつ、できれば、自民党や公明党の方々も一緒に議論するべきですね。政教分
    離だと言いますけれども、やっぱり創価学会あっての公明党ですから。

     創価学会の創始者の牧口常三郎さん(※14)や、戸田城聖(※15)さんは、
    治安維持法違反で捕まっています。そして、牧口さんは、獄中で拷問の果てに
    栄養失調で亡くなりました。こういうことを考えたら、秘密保護法は絶対にあ
    ってはならないというのが当然ではないでしょうか」

    海渡「創価学会の人たちがそのことを思い出して、立ち上がり、公明党は態度
    を翻すべきだという動きになるのではと期待してたのですがね」

    岩上「本当に残念でならないし、今からでも日和ってもらいたいくらいです。
    あと、自民党からも、二之湯さんのようなとぼけた人が『間違いました』と、
    たくさん出てきたらいいですね」

    海渡「スパイ防止法(※16)が潰れたときは、谷垣さんを筆頭にして自民党の
    中のたくさんの人たちが反対の意見書を連名で出しました。これから、自民党
    の中に、今回の特定秘密保護法はやはり問題があったと考えるたちの勢力がで
    きるといいと思います」

    ----------------------------------------------------------------------

    (※13)ツワネ原則は、2013年6月に、南アフリカの首都ツワネで公表された
    「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」。安全保障の情報と、知る
    権利とを、どのように調整するかという問題について、国際的に著名な人権専
    門家と安全保障専門家と法律家たちが集まって作った。(ツワネ原則の原文【
    URL】http://osf.to/1eRDR0y、日本弁護士連合会が作成した日本語版(未定訳
    、修正の可能性有り)【URL】http://bit.ly/1cyiafS)
    2013年11月13日に行われたIWJのインタビューで海渡氏がツワネ原則について
    解説している(参照:「IWJ特報113・114・115号「特定秘密保護法は「ツワネ
    原則」にもとづき白紙撤回すべき! ~海渡雄一弁護士インタビュー」 冒頭
    部分【URL】http://bit.ly/1oohylz)

    (※14)牧口常三郎(1871~1944)教育家・宗教家。新潟県の生まれ。昭和3
    年(1928年)日蓮正宗に入信し、昭和5年に弟子の戸田城聖と創価教育学会(
    のちの創価学会)を設立した。昭和18年、治安維持法違反・不敬罪などで検挙
    され、翌年獄死した。(デジタル版日本人名大辞典+Plus【URL】http://bit.l
    y/1aLVbmk)

    (※15)戸田城聖(1900~1958)宗教家。石川県の生まれ。牧口常三郎ととも
    に創価教育学会を設立した。第二次大戦後に、同会を創価学会として再建し、
    第2代会長となる。創価学会の政治進出を理論化し、公明党の基盤を作った。
    (大辞林第三版、デジタル版日本人名大辞典+Plusより【URL】http://bit.ly/
    1efXSHO)

    (※16)スパイ防止法: 1980年の自衛官による機密漏えい事件をきっかけと
    して、1985年(昭和60年)に、伊藤宗一郎氏など9名の自民党議員によって議
    員提案された「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」および前
    述の法案に修正を加えた「防衛秘密を外国に通報する行為等の防止に関する法
    律案」のこと。最高刑は死刑だった。世論や野党に加え自民党内の反発もあり
    、実質的な審議がないまま廃案となった。
     1986年には、最高刑を無期懲役に変更し、報道への配慮規定を追加した修正
    案の再提出を目指した。しかし、当時若手議員だった谷垣禎一法相、大島理森
    前副総裁、村上誠一郎元行革担当相ら12人が反対の意見書を党に提出した。谷
    垣氏は反対の論文も発表し、再提出は断念に追い込まれた。
     特定秘密保護法はこのスパイ防止法に似ていると指摘される。(東京新聞20
    13/1123記事【URL】http://bit.ly/1fRtoyt この記事に、スパイ防止法に反
    対した元自民2氏のインタビューが掲載されている)
    ----------------------------------------------------------------------

    ================================
    ◆やっと出てきた逐条解説◆
    ================================
    岩上「他にも大事なことがあります。まず、日比谷の野音に秘密保護法に反対
    する人々が1万5千人も集まったということです。それから、逐条解説(※17)
    も出てきました」

    海渡「そうなんですよ。逐条解説があることが分かり、国会の質疑の中で、『
    それを出せ』『いや、出さない』という話になりました。そして、委員会の質
    疑の最後の日の11時45分頃に、やっと、政府の役人が持ってきたのです。

     電話で、『まだ持ってこないのか、もう委員会、始まっちゃうじゃないか』
    『今日採決するから、持ってきてください』などと言って、やっと持ってきた
    のですよ」

    岩上「内閣官房から出てきたのですね」

    海渡「逐条解説には、『特別秘密の保護の関する法律案』と書かれていて、条
    文は21条までしかありません。最終的に成立したものは27条まであり、『特定
    秘密保護法』ですから、この逐条解説は古い段階のものです。しかし、これし
    かないのです。これ以降は、逐条解説を作っていません」

    岩上「このなかで大事な部分はどこでしょうか」

    海渡「ぱっと見て思ったのは、第12条の『不利益取扱いの禁止』という規定で
    す。『本条は、適正評価の対象としようとするものが適正評価の実施に同意し
    なかったこと又は適正評価の対象となったものが適正を有しないと認められた
    ことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない』とあります。これは大
    事な規定ですが、成立した法律に書かれていません」

    岩上「なくなってしまったのですか?」

    海渡「そうです。このような重要な保証規定がなくなってしまっているのです
    ね」

    岩上「では、最初に法案ができてから、どんどん変わっていったのですね?」

    海渡「そのようです」

    岩上「怖いですね。しかも、ろくろく審議がなかったのですから」

    ----------------------------------------------------------------------

    (※17)「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」は、2013年12月5日
    の午前11時45分に、福島みずほ議員の強い要求によって、ようやく開示された
    。これは、法案の策定段階に、おそらく公明党との修正協議の前の段階の法案
    について内閣官房が作成したものと考えられ、合計92頁に及ぶ大部なものであ
    る。作成名義は、内閣官房の作成とされている。さらに、この法案の策定の段
    階で、内閣と各省庁の間で多くの意見交換が行われていたことがわかった。(
    参考IWJ記事「【特定秘密保護法】岩上安身による海渡雄一弁護士緊急インタ
    ビュー決定」URL】http://iwj.co.jp/wj/open/archives/115509) 逐条解説
    はこちらを参照:http://bit.ly/1h2rcJO)
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    ================================
    ◆審議の最後にやっと出された法令協議◆
    ================================
    海渡「さらに、法令協議という資料があります。この法令協議も、最後の最後
    に出てきました。政府で法律を作るとき、『こういう法律を作りますけれども
    、ご意見ありますか? 何か修正すべき箇所があったら言ってください』とい
    うのを毎回やります。今回の場合は、内閣情報調査室から各省庁に投げていま
    す。

     今のところ、人事院の意見は公表されています。他の省庁の意見も出されて
    いることは分かっているのですから、それを全部出さなければいけませんね。
    各省庁に法案と逐条解説を投げて、それぞれの省庁から出された意見にもとづ
    いて、法案を修正していったのではないかと思います」

    岩上「役人同士では話し合っていたのに、国会はぜんぜん話し合われなかった
    のですね」

    海渡「しかも、その省庁とのやりとりを国会には出さなかったわけですよね。
    だから法令協議に基づく国会質疑は、全くやれませんでした」

    岩上「なるほど。これは手続き的におかしいですよね。問題がありますよね」

    海渡「このような重要な法律なのですから、徹底審議する必要がありました。
    法案作成の経過の資料は秘密にするというのが政府の方針のようでした。法令
    協議が出てきたときには審議は終わってしまっていたのです」

    岩上「国会の軽視、あるいは国会の空洞化を謀ったものですね。非常に問題で
    すよね」

    海渡「法令協議があり、それが国会の審議が終わる直前に公開された、しかし
    、それに基づく審議はされなかったということ。こういう事実が残ったことが
    、決定的に重要ではないでしょうか。やはり、 この法律は、制定過程に瑕疵
    があると言えると思います」

    岩上「なるほど。その制定過程の瑕疵を突くことができるとお考えでしょうか


    海渡「法令協議の資料の全貌を手にいれて、それを分析する作業は極めて重要
    ですから、それをやらなければならないと思っています」

    ================================
    ◆採決は失敗していた?◆
    ================================
    岩上「12月6日、政府与党は衆参特別委員会、本会議で強行採決し、特定秘密
    保護法が成立しました。

     国会審議では、野党がさまざまな問題点や矛盾を指摘しました。さらに、逐
    条解説のように、提示が間に合わなかった資料もあった。そういうことも含め
    、与党は曖昧で不透明な答弁に終始しました。十分な回答をせず、国民の不安
    や不信を払拭させたとは言い難いものでした。

     もうひとつ。5日の参議院特別委員会での速記録が問題視されています。海
    渡さんがご指摘されましたが、速記録には『議場騒然、聴取不能』と書いてあ
    ります。これは、『採決された』ということが記されてないということですね


    海渡「そのとおりなんです」

    岩上「このような場合でも、公式に、採決されたということなるのですか?」

    海渡「過去の盗聴法のときも、同じ状態になったのです。最初の未定稿の段階
    では『聴取不能』と書かれていましたが、そこに、委員長が言った言葉をちょ
    ろちょろっと書き加えて、正式な議事録が作られたのです。

     ですが、今回の場合、僕の聞いている情報によると、森雅子さんが最後こう
    言っています。『独立教唆にどのようなものがあるかということも法律の専門
    家の意見を聞きながら、そしてその有識者会議において、国民の皆様には分か
    りやすい基準を作り、また分かりやすい解釈をして、その後、公表してまいり
    たいと思います』。そう言った瞬間に、委員長が『石井浩郎くん』と言った。
    そして石井さんは『議長』と言い、その後、速記録は『・・・・・・・・』と
    書かれていて、『ここに発言するもの多く、議場騒然、聴取不能』と書かれて
    います。

     石井さんの言った言葉で、唯一みんなが聞き取れたのは、最初の『議長』と
    いう言葉だけなのですね。これが根本的に間違いですね。『委員長』って言わ
    ないといけないのですから。そして、それ以降のことはまったく聞き取れてな
    い。

     そのあと、委員長の中川さんが発言しましたが、また『・・・・・・・・』
    になっていて、『発言するもの多く、議場騒然、聴取不能』と書かれています
    。だから、この『発言するもの多く、議場騒然、聴取不能』という箇所がふた
    つあるわけです。石井さんの発言についても、委員長の中川さんの発言につい
    ても、両方とも聴取不能なのです。

     中身のあることは何も今のところ速記録に載ってないのですね。これを、こ
    のあと復元することが可能かどうかですよね」

    岩上「石井さんは、強行採決のために、視線を集めたのではないでしょうか?
    わーっと前に出るというサインプレーだったのではないですか? なにしろ石
    井さんは元野球選手ですからね。サインプレーが得意でしょう」

    海渡「ただ、そのサインプレーも、どうも失敗してるみたいです。石井さんが
    何か言っても、しばらくは与党議員も何が起こっているのかわからなかった。
    それで、誰か横から出てきた関係ない人が『立て』という指示をして皆を立た
    せているみたいですよ(※18)。

     だから、石井さんが動議を出して、それについて中川さんが『可否を求めま
    す』って言って立ったのではないのです。要するに、何者か分からないけれど
    も、誰か打合せた人が出てきて、『与党議員は立て』って言って、それで立た
    せています」

    岩上「それはおかしいですね」

    海渡「だから、それは議事としてもまったく成立しようがありません。確かに
    あの時、テレビの画像を見ると、『立て、立て』ってやってる人がいますよ。
    議員の中にも一人いますね」

    岩上「サインプレーに失敗して、もう一回大慌てでサインプレーしたみたいで
    すね」

    海渡「だから、石井さんのサインプレーが成功していて、しかも音がちゃんと
    残っていれば、それが強行採決にはなりえたわけですが。これだと、失敗した
    強行採決と言えるのではないでしょうか」

    岩上「なるほど。『強行不採決』ですね」

    海渡「採決に失敗したということになりますね」

    岩上「なるほど。採決失敗であると。これは、やり直しできるのですか?」

    海渡「もちろんできます」
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    -------
    (※18)特定秘密保護法が参議院・特別委員会で強行採決された瞬間はYouTub
    eで動画を見ることができる【URL】http://bit.ly/1ky1uJl)
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    ================================
    ◆法律の施行を差し止めることはできるのか◆
    ================================
    岩上「この法が、きちんと成立していないという訴訟はできるのですか?」

    海渡「少なくとも、誰かが逮捕されたとき、その人の刑事事件の中で『この法
    律が憲法違反だ』ということは言えます。そのときに、この法律は、手続き的
    にもきちっと成立してない法律だという主張も入れてもいいかもしれないです
    ね」

    岩上「誰かが逮捕されない限りはだめなのですか?そしたら、一年後になって
    しまう」

    海渡「法律家として申し上げると、今の日本の法律制度のもとでは、法律の施
    行そのものを差し止める訴訟が成功した試しはないのです。

     ですが、日本と同じような制度を取っているはずの国々、要するに、具体的
    な事件に絡まなければ訴訟できないという制度を取ってる国でも、法律の施行
    を差し止めするような裁判の判決が出た例もあります。カナダの事例がありま
    す。

     依頼者密告制度というものを作り、弁護士を密告者に仕立てあげようという
    法案が出てきたことがありますね。ゲートキーパー法(※19)と呼ばれる法案
    です。これは、マネーロンダリング対策だということですが、弁護士に、自分
    の依頼者の中に犯罪収益を扱ってると疑わしい人がいる場合は警察に通報する
    義務を課す法律なのです。それを通報しない場合は弁護士を罰するというとん
    でもない法律案を作ろうとする動きが世界的に高まったのです」

    岩上「イギリスには、その法律があるのではなかったでしょうか?」

    海渡「はい、あります。世界中でそれを一生懸命やってる弁護士はイギリスだ
    けですね。同じ制度はドイツやフランスにもありますが、ほとんど実行されて
    いません」

    岩上「反対の声もあるし、慎重なのでしょうね」

    海渡「そうです。アメリカにも、日本にも、オーストラリアにもないのです。
    しかし、カナダでは、弁護士会の反対運動が間に合わず、法律が成立してしま
    いました。そして、法律成立のあとの施行間近に、このゲートキーパー法の施
    行を差し止めるという訴訟を全国の弁護士会が起こしたのです。それで、勝ち
    ました」

    岩上「すごいですね。では、日本でもそれをやれないことはないのではないで
    すか?」

    海渡「逮捕されそうな予備軍の人がやるという方法がありますね。ジャーナリ
    ストとかですね」

    岩上「海渡さん、僕をジーっと見ながら言ってますけど(笑)」

    海渡「これからもっと法律をよく勉強します。今まで成功した例がないので、
    安請け合いはできませんが、今言ったカナダの法律差し止めの仮処分がありま
    すからね」

    岩上「これは、この法に大きな欠陥があるということに説得力があったという
    ことですか」

    海渡「要するに、司法の独立です。インディペンデンス・オブ・バー(indepe
    ndence of bar)と言うのですけどね。バーというのは司法、弁護士、法曹の
    ことです。カナダの件は、『法律家の政府からの独立性を侵害している』とい
    うことで、憲法違反の法律だとして差し止められたのです。

     だから、カナダでは、その法律ができたにもかかわらず、カナダの弁護士は
    密告者にならずに済みました。それに全く反対することもなく、唯々諾々とそ
    れに従って、毎日密告書を書いてるのがイギリスの弁護士です。だから、イギ
    リスの弁護士は信用しないように」

    岩上「なるほど。今、イギリスは弁護士の独立や自治を侵されているという状
    態にあるわけですね」

    海渡「その通りです。自治を奪われていて、そして密告者に仕立てあげられる
    。だから、イギリスの弁護士はこう言います。『私達は依頼者の秘密は守りま
    す。しかし、時々はあなたの行動に疑わしい点があったときは、そのことは政
    府に通報していきます。しかし、通報してもそのことは話さないことになって
    ます』」

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    -------
    (※19)ゲートキーパー法とは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」
    の通称。犯罪による収益が組織犯罪を助長することから、そうした収益の移転
    を防止するために定められた法律。金融機関や弁護士等に対して、顧客等の本
    人確認・取引記録の保存・疑わしい取引の届け出を義務づけている。2008年施
    行。(デジタル大辞泉より【URL】http://bit.ly/1iEtvjs)
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    ◆世界的な懸念の声◆
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    海渡「前回、ツワネ原則のことを紹介しました(※20)。その後、いろいろな
    ところから、援軍が現れました。国連の特別報告者という国連の人権理事会に
    世界の人権状況を報告する専門家のフランク・ラ・ルーさん。表現の自由に関
    する専門家です。それから、健康問題に関する専門家であるアナンド・グロー
    バーさん。この二人が懸念を表明しています。

     それから、モートン・ハルペリンさん(※21)。この方はアメリカのNSC(
    国家安全保障会議)のメンバーだったこともあります。安全保障のほうの専門
    家ですね。そういう方が、『この法律は21世紀における文明国の法律で最悪だ
    』と言っています」

    岩上「これは大変な言葉ですよ」

    海渡「そういうことを言われてるのです」

    岩上「特定秘密保護法は、日本版NSC(安全保障会議)と同じタイミングで成立
    しました。このNSCのモデルになったのはアメリカのNSCです。ところがアメリ
    カのNSCの関係者が、特定秘密保護法をとんでもないと言ってるわけですね」

    海渡「そう言ったのです。僕はそれ読んで震えましたね。このモートン・ハル
    ペリンさんって方は、アメリカの大統領3代に仕えた人だと書いてありました
    。安全保障の専門家です。新聞報道などによると、日米の沖縄密約を結んだと
    きのアメリカ側の交渉に入っていた人みたいですよ。その人が、日本国民は密
    約についても知る権利があるということを言っているのです」

    岩上「おお。秘密に関わったその当事者なのに、秘密は限定的であるべきだと
    いう考えをお持ちなのですね。そして、日本国民はこのままだと、あまりにも
    無制約に秘密を作られてしまい、あまりにも知る権利が侵されてしまうと言っ
    ている。民主主義が瀕死だというようなことを警告してるわけですね。

     これは重要ですね。人権の専門家だけではなく、安全保障の専門家も懸念を
    表明しているということですからね」

    海渡「さらに極めつけは、12月2日に、ナバネセム・ピレイさんという南アフ
    リカ出身の国連の人権高等弁務官が、『国家統治を損ねる』という意見を言わ
    れたのですね(※22)。これに対して、4日の参議院の委員会でこのことを追
    及しました。それに対する答弁は、『ピレイ氏には状況を説明して、”この法
    案が憲法と整合性を持たせるべく修正が施されたということを評価する”とい
    う返事があった』というものでした。安倍総理がこう述べたのです」

    岩上「ピレイさんが『評価する』とおっしゃったというのは、本当でしょうか
    ?」

    海渡「これが本当かどうか、もちろん僕はわかりません。ですが、検証する必
    要があると思います。こう言われたということは、当然、ピレイさんに外務省
    の役人がジュネーブで会っているわけですから、会談記録が外務省にあるはず
    です。この文書を公開するべきです」

    岩上「これは情報公開請求で出せるのですか?」

    海渡「はい、情報公開請求で出せるはずです」

    岩上「黒塗りになってくる可能性はありませんか?」

    海渡「総理がこの部分だけを言ってしまっているわけでしょう。想像ですが、
    『チェック機能を果たしていることを評価するが、なお懸念が残る』とか、な
    んか『こういう点が問題だ』とか、なんか後ろがついてるのではないかと思い
    ます。

     この『評価する』と言ったということ自体がまったくの嘘だということはな
    いと思いますが、これがコメント全体なのかということに疑問を持っています
    。だから、全体を出してもらって検証する必要があります」

    岩上「これは注目ですね。国連の高等弁務官がこのように答えたということを
    国会で総理が話しているのですから、大変に重いですよね」

    海渡「そう。しかも、自民党の国防部会で、この答弁の前日ぐらいに、『なぜ
    このような事実誤認の発言をしたのか、調べて回答させるべきだ』、『場合に
    よっては謝罪や罷免要求、国連の分担金の凍結ぐらいやってもいい』という話
    がありました(※)」

    (※)この発言をしたのは安倍総理に近い城内実外交部会長。城内議員は、「
    なぜこのような事実誤認の発言をしたのか、調べて回答させるべきだ。場合に
    よっては謝罪や罷免(要求)、分担金の凍結ぐらいやってもいい」と怒りをぶ
    ちまけている。

    岩上「『国連の分担金の凍結』という強硬発言は、大変なことですね」

    海渡「『内政干渉だ』、『弁務官という立場は失格だ』と言っています。

     この前に、我々が一生懸命ツワネ原則について発言していたとき、安倍首相
    は、『これは一民間団体が言ってることですから、関係ありません』と言って
    いました。しかし、ツワネ原則に沿って国連の特別報告者が懸念を示し、そし
    て最後は国連の人権高等弁務官が指摘したわけです。そしたら、そういう言わ
    れようをしたのです」

    岩上「この空気はものすごく怖いことだと思います。こうした発言をしている
    議員は強硬に放言していいと思っているのかもしれませんけど、今、日本の右
    傾化に対して海外から非常に注目が集まってますから、こういう発言は全部英
    語化されていると思います。この内容を読んだら、どう思うでしょうか。

     国際連盟だった時代に、松岡洋右外務大臣が国連脱退(※23)しました。そ
    れを彷彿とさせますね」

    海渡「そうです。それが1933年でした。ファシズムの雰囲気というか、国際社
    会に背を向けてる状態があります。そのうち国連(国際連合)脱退だとか言い
    出しかねないですよね」

    岩上「高等弁務官をクビにしろみたいなことまで言ってるわけですよね。そう
    いう発言を世界に向けて発信するというのは、ものすごく敵対的で好戦的な印
    象です」

    海渡「しかも、同じことをアメリカのNSCのメンバーだったモートン・ハルペ
    リン氏も言ってるわけですが、そちらには文句を言わないわけですよね」

    岩上「国連には文句を言う一方で、安保には忠誠を誓ってアメリカには一切文
    句は言わない」

    海渡「コメントの中身は完全に共通なのにです。なぜ共通かというと、どちら
    もツワネ原則に基づいて発言してるからなのです」

    岩上「この自民党の議員たちの認識は何なのでしょうね。国連から脱退しよう
    が、孤立しようが、アメリカと安保のきずなで結ばれてさえいれば構わないと
    いう認識なのでしょうか。これは本当に重大な、問題のある発言だと思います


    海渡「そう思います」

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    -------
    (※20)2013年11月13日、海渡氏はIWJのインタビューでツワネ原則の解説を
    行った。(IWJ記事:2013/11/13 特定秘密保護法案 安倍政権が開く軍事国家
    への道 国際指針「ツワネ原則」にもとづき白紙撤回を~岩上安身による海渡
    雄一弁護士インタビュー【URL】http://bit.ly/LOJIXg)

    (※21)モートン・ハルペリン(Morton H. Halperin):アメリカ合衆国の政
    治学者。専門は、外交政策論、核戦略論。ジョンソン政権時代に国防次官補代
    理(1966-1969年)、ニクソン政権時代に国家安全保障会議メンバー(1969年
    )、そしてクリントン政権時代には大統領特別顧問、国家安全保障会議メンバ
    ー、国務省政策企画本部長(1998-2001年)などを歴任。また、1984年から199
    2年までアメリカ公民権連盟(America Civil Liberties Union)のワシントン
    DC支部長を務めた。 (Wikipediaより【URL】http://bit.ly/1f8Ghm9)

    (※22)ナバネセム・ピレイ人権高等弁務官が12月2日、参院で審議中の特定
    秘密保護法案について懸念を表明した。(THE HUFFINGTON POST 【URL】 http
    ://huff.to/19s1lp6)

    (※23)1931年、奉天の郊外の柳条湖で満州鉄道が爆破される事件が起きた(
    柳条湖事件)。関東軍はこれを機に軍事行動を起こし、満州国を建国(満州事
    変)。これに対して、国際連盟はリットン調査団を派遣し、調査の結果、柳条
    湖事件が関東軍の自作自演であることを明らかにし、満州国の建国は認められ
    ないという結論を下した。1933年、国際連盟総会で、中国の統治権を承認し、
    日本軍の撤退を求めるリットン調査団の報告案に対して各国が意思を示した。
    賛成42で、反対は日本のみだった。日本は国際連盟の常任理事国だったが、松
    岡洋右など日本代表団は議場から退場し、その後、国際連盟に脱退を通告した
    。(参照【URL】http://bit.ly/1h2RP1k)
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    ================================
    ◆秘密を保護するための他の法律◆
    ================================
    岩上「特定秘密保護法案審議中に森担当大臣が、いろいろとおっしゃってたこ
    とに疑問があるのではないでしょうか。『日本の秘密管理基準は省庁によって
    ばらばらであり、統一基準が必要』と言っていますね。

     11月29日の参議院特別委員会で、民主党の福山哲郎議員が『日本にはすでに
    特別管理秘密に係る基準という秘密管理基準があって、そこに政府統一基準だ
    と明記されている』と指摘しました。森大臣に『虚偽答弁だ』と、糾弾しまし
    た。

     森さんは、何も知らないのか、知ってて平気でこういうことを言えるのか、
    どっちなんでしょうかね」

    海渡「それは、おそらく、秘密管理の基準はあるけれども、各省庁でやってる
    ことはバラバラということですね。だから、森さんの言ったことは当たらずと
    も遠からじでしょう。もちろん、正確に答弁するとしたら、『特別管理秘密に
    関わる基準というものがあるけれども、その運用が各省庁によって統一されて
    おらず、バラバラとなってる。より詳細な基準を定めて、これを統一する必要
    がある』ということになるでしょう」

    岩上「なるほど。日本にはすでに政府統一の秘密管理基準(※24)があり、さ
    らに、国家公務員法(※25)で守秘義務が課せられています。

     また、自衛隊法(※26)もあります。自衛官は、ペラペラ話してはいけない
    となっている。ところがこれ、日米相互防衛援助協定(※27)、MDA協定(※2
    8)というものがある。さらに、日米刑事特別法(※29)が整備されています


    海渡「横須賀の床屋さんが、いつ原子力潜水艦が入ってくるかのを聞き出そう
    として、水兵さんの散髪をタダでやった。それが刑事特別法違反となったとい
    う判例があります」

    岩上「そして、日米相互防衛援助協定(MDA協定)があります。これは、アメ
    リカの秘密を探索してはならない、軍事秘密を探索してはならないということ
    ですよね。そういうことをした日本人は罰せられるというものです。

     アメリカは同盟国とはいえ外国なのですから、いつ裏切られるかわからない
    から、探索をするということもあるでしょう。ですが、そういうことが発覚し
    たときに、日本の法律で日本のスパイを罰しなければならない。馬鹿な話です
    よね。何でこういうものがあるのですか?

     スノーデンさんなどが明らかにしたように、米国政府は、米国内だけじゃな
    くて、同盟国も含めて、世界中で盗聴をやっていて、オバマも認めてるんです
    よ。ということは、日本に対してもやっただろうし、ドイツにもフランスにも
    やったということですよね」

    海渡「アメリカが日本国内でどういう活動をしてたかは、本来、日本の諜報機
    関は正確に知るべきですね」

    岩上「防諜という行為と、諜報は、紙一重みたいなところがあります。アメリ
    カが諜報行為をやってるのではないかと探索してる中で、スパイ同士が接触し
    て情報交換することもあるでしょうけれども、そういうことをしたらダメとい
    うことになってしまう。日本は、米国に対しては防諜活動も、諜報活動も行え
    ない仕組みになっている」

    海渡「今回の法律では、その点は、9条に書かれています(※30)。『外国の
    政府または国際機関に情報を提供することができる』と書かれていて、はっき
    り言うと、アメリカに対しての諜報ということはもう放棄してるのではないか
    と思います。アメリカには情報は全部渡してしまうということ。

     ここの9条の言っている『外国政府』というのは、アメリカ以外はないので
    すよ。だって、それ以外の国に対しても全部渡していたら諜報になりますから


    岩上「日本人だけを罰して、米国人はまったく罰さないという話になってしま
    いますしね。日米刑事特別法があるのに、さらにMDA協定がります。そこに、
    さらに、特定秘密保護法によって、三重にしようとしている。この必要がある
    のでしょうか? 規定が2つ以上ある状態を整理しないのでしょうか?」

    海渡「普通は整理しますね。日本の秘密保全法制というのは、ばらばらなので
    すよね。今まで4つだったのに、さらに今回の法律が加わった。でも、どれも
    、国際水準に達してないという意味では、すべてがダメですね。

     だから、僕が今回提案してるのは、これを全部やめて、もっとまともな統一
    的な基準に基づいて、秘密をどういうふうに管理するか、それに対して処罰で
    きる場合と処罰できない場合、内部告発者や政府が違法に秘密にしてるような
    ことをジャーナリストが明らかにしても処罰してはいけない、ということをち
    ゃんと書いたような法律を作ればよいということです。

     現行の法律も全然良くないのです。自衛隊法の改正で、防衛秘密の漏洩につ
    いて懲役5年になりました。これを作ったことも、みんな覚えてないと思いま
    す。これは、まったく抜け駆けでできたものでして、911の直後にみんなボー
    っとしてる時に、できてしまったのです」

    岩上「ショック・ドクトリン的(※31)にできてしまったのですね」

    海渡「完全にショック・ドクトリンで、できました。日本版愛国者法なんです
    。ACTA(※32)みたいなものなんです」

    岩上「そうすると問題は根深いですね。特定秘密保護法を考えるということは
    、同時に他の法律もおかしいのではないかということになる」

    海渡「この法律を廃止しろと言うのは、全部まとめて別のものに変える必要が
    あるということです。もっときちっと、知る権利や情報公開制度と調和したよ
    うな状態で新しいものを作る必要があります」

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    -------
    (※24)政府統一の秘密管理基準:平成21年2月に定められた「政府機関の情
    報セキュリティ対策のための統一基準(第4版)」が平成24年4月に改訂され「
    政府機関の情報セキュリティ対策のための統一管理基準(平成24年度版)」お
    よび「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一技術基準(平成24年度版
    )」(両者あわせて「統一基準」と呼ぶ)として施行されている。 政府機関
    の情報セキュリティ対策のための統一管理基準(平成24年度版)(【URL】htt
    p://bit.ly/1o9BnNq ) 政府機関の情報セキュリティ対策のための統一技術基
    準(平成24年度版)(【URL】http://bit.ly/1lnQxfH )

    (※25)国家公務員法の守秘義務:「職務上知ることのできた秘密」について
    、在職中だけでなく、退職後も漏らすことを禁じている。(100条1項 http://
    bit.ly/1cdfsRu) 最高裁の判例は「秘密」を(1)公には知られていない事実
     (2)実質的にも秘密として保護するに値するもの、と定義し、判断は裁判
    所がするとしている。官公庁が形式的に「秘密」と指定したかどうかは直接関
    係ないとされる。罰則は1年以下の懲役か50万円以下の罰金。地方公務員法に
    も同様の規定がある。(109条12項http://bit.ly/18AwW9R)(朝日新聞掲載「
    キーワード」より【URL】http://bit.ly/1bMD1PM)

    (※26)自衛隊法の第59条に秘密を守る義務が規定されている。「隊員は、職
    務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様
    とする」。(自衛隊法【URL】http://bit.ly/1egyAJE)

    (※27)日米相互防衛援助協定(MSA協定):1954年3月8日に、日本の岡崎勝
    男外務大臣とアメリカ合衆国のジョン・M・アリソン駐日大使との間で署名さ
    れた協定で、アメリカと日本の双方が互いに軍事的に支援することを定めてい
    る。  具体的には、アメリカが地域における安全保障を維持する為に、日本
    の国土に米軍を配置することを可能にした。さらに、日本は自らの防衛に責任
    を果たすよう義務付けられ、防衛の目的でのみ再軍備する事を認められた。協
    定は1954年5月1日に批准された。(Wikipediaより【URL】http://bit.ly/1eIs
    aJe) (参考)日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定及び関係文
    書・御署名原本・昭和二十九年・条約第六号(公文書による日本の歩み【URL
    】http://bit.ly/1f8N2ob)

    (※28)日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(MDA秘密保護法):米国
    から貸与または供与される装備品・情報などに関する秘密を保護し、その探知
    ・収集・漏泄(ろうせつ)などに対する罰則を定めている法律。1954年(昭和29
    年)施行。(【URL】http://bit.ly/LOVQrn)

    (※29)日米刑事特別法:日米安全保障条約に基づく行政協定に伴う法律。在
    日米軍施設・基地への侵入や機密探知・収集などについての罰則のほか、施設
    ・基地内での逮捕・捜索などの手続きを規定している。昭和27年(1952)施行
    。(デジタル大辞泉より【URL】http://bit.ly/Ns7NFg)

    (※30)特定秘密の保護に関する法律 条文(東京新聞TOKYO Web【URL】http
    ://www.tokyo-np.co.jp/feature/himitsuhogo/zenbun.html)

    (※31)ショック・ドクトリンとは、 カナダのジャーナリスト、ナオミ・ク
    ラインが命名した、ミルトン・フリードマンをはじめとするシカゴ学派の経済
    戦略のことである。1973年のチリのピノチェト政権下の軍事クーデター、2004
    年のスマトラ島沖地震などの政変・災害などにつけこんで、人々がショックを
    受けているあいだに、徹底した市場原理主義を導入してしまおうとする。
    (ナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を
    暴く』岩波書店)

    (※32)ACTAとは「模造品・海賊版拡散防止条約」。著作権を侵害する海賊版
    DVDやソフトウェアを規制するための国際条約。(【URL】
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/ipr/acta.html)
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