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    原発問題 -The Truth is Out There-

      : 

    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    IWJ特報 第141号 歴史修正主義者の詭弁を徹底論破!能川元一氏インタビュー 第1部~南京大虐殺編(中編) 

    第141号
    ----------------------------------------------------------------------
    岩上安身のIWJ特報
    歴史修正主義者の詭弁を徹底論破!
    能川元一氏インタビュー 第1部~南京大虐殺編(中編)
    ----------------------------------------------------------------------
    (IWJより転載許可済み)

    (前編の続き)

    ===================================
    ◆文藝春秋と歴史修正主義◆
    ===================================

    岩上「なるほど。数が増えたり減ったりと言っているのが、嘘であると。この
    主張には、根拠がないということですね。これについて、百田さんは、私とほ
    ぼ同世代だということがよくわかるんです。百田さんは、私と6つ違うんです
    ね。

     『大学に入るまで、南京大虐殺はあったと信じていた。大学生の時「『南京
    大虐殺』のまぼろし」を読み、衝撃を受けた。正直に言えばこの一冊で捏造史
    観の洗脳が解けたわけではなかった。しかしこの後に多くの資料を調べ、「南
    京大虐殺」はほぼ捏造の産物であると確信した』。彼は、こうツイートしてい
    ますね。

     この『「南京大虐殺」のまぼろし』(※12)というのは、有名な本です。こ
    れは、文藝春秋社が出していた雑誌『諸君!』に連載されていた論考で、これ
    が同じ文藝春秋社から本として出版されました。文藝春秋という出版社は、歴
    史修正主義の問題が出てくるときに、必ずキーになっています」

    能川「ええ、キーになる出版社ですね」

    岩上「日本における歴史修正主義というと、この南京大虐殺とか、従軍慰安婦
    の問題が必ず出てきます。これが西欧の方に行くと、ホロコースト・リビジョ
    ニスト(歴史修正主義者)と言われる人、あるいは、ホロコースト・ディナイ
    ヤー(歴史否定論者)という人たちになります。ホロコーストはなかったとか
    、本当はあんなにたくさん殺していないとか、そういうことを言い立てる人が
    いるわけです。

     日本で、ホロコーストはなかったという西岡昌紀さんの記事を載せたのは、
    文藝春秋社から出ている『マルコポーロ』でした。これは、廃刊に追い込まれ
    てしまいましたが(※13)」

    能川「その時の雑誌『マルコポーロ』の編集長である花田紀凱氏が、いま編集
    長をしているのが、『WiLL』という雑誌で、この『WiLL』誌上で、この百田氏
    と安倍総理とが対談をして、同じ版元から本になっています。(※14)

     いま、世間で『アンネの日記』とアンネ・フランクに関する書籍が破られて
    、非常に大きな話題になっています(※15)。テレビを見ていても、昼間のワ
    イドショーなどでも大きく取り上げられています。それにしても、ホロコース
    ト、ガス室否定の論文を載せて、雑誌を潰した人が編集長をしている雑誌で、
    首相とNHKの経営委員が対談しているということは、どこも取り上げていませ
    んが、深刻な問題だと思います」

    岩上「文藝春秋でかつて発刊されていた『Emma』という雑誌があって、私はま
    だ20代の半ばぐらいのときに一時期、契約の記者をしておりました。

     その契約記者時代の副編集長、その雑誌のナンバー2で、特集については事
    実上、トップとしてやっていたのが花田さんでした。私はまだ20代の駆け出し
    記者だったので、近しかったというわけではないんですが、間近で見ることが
    できた時期があるんですね。

     そして、私が文藝春秋の契約記者を辞めて、まったくのフリーになった後に
    、『マルコポーロ』が立ち上げられて、そしてあの事件が起こったわけです。
    その『WiLL』というのは、花田さんが『マルコポーロ』事件によって文藝春秋
    をやむなく退社せざるをえなくなったあと、立ち上げるわけですね。

     その『WiLL』で花田さんは、文藝春秋の『諸君』よりもさらに右の、極右と
    言ってもいい雑誌を作っていくわけです。田母神さんへのプッシュも、たいへ
    ん強力にやっています(※16)。

     だから、役者そろい踏みですね。安倍総理、花田さん、百田さん、田母神さ
    ん。こういう方々、あるいはその他の、舌禍事件を起こしているような方々が
    総登場する雑誌が『WiLL』というわけです。そして、その前史として、文藝春
    秋の『諸君!』がありました。

     その『諸君!』のエピソードを、もう一つ紹介しておきます。安倍総理は今
    、極右的な文化人とのお付き合いを大事にしていますが、なんと総理の大学生
    時代の愛読書は『諸君!』だったというのですね。これは、この間の日経新聞
    に大きく出ていました。金美齢さんの事務室で、カウンター寿司を食べながら
    集まっている写真の記事です」

    能川「ああ、はい。見ましたね」

    岩上「写真がありましたよね。そこで、八木秀次さん(※18)がお仲間の人た
    ちについての解説をしています。首相については、大学生のときから『諸君!
    』を愛読して、そして自身の保守思想を作った、と。

     今の靖国参拝、それから戦後レジームからの脱却というものを形成したのは
    、文藝春秋の『諸君!』という雑誌、というわけです。『諸君!』はもう廃刊
    されてなくなりましたが、そういうものを生み出したんですね。すごいですね
    、雑誌の影響力というのは」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※12)鈴木明『「南京大虐殺」のまぼろし』(文藝春秋、1973年)。第4回
    大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。大宅賞は、文藝春秋が運営しており、自
    社の雑誌『諸君!』で連載した企画を、単行本として自社が出版し、その作品
    に自社が運営するノンフィクション賞を結果的に受賞させたことになる。鈴木
    氏はこの著書の中で、日本軍の暴行に関する報告や記事などをまとめた『WHAT
    WAR MEANS』(戦争とは何か)を編集したハロルド・J・ティンパーリが、中
    国国民党顧問の秘密宣伝員であったと結論付けている。他の著書に、『証言
    中国・台湾・沖縄~政治とマスコミの空白を追って』(光風社書店、1974年)
    、『誰も書かなかった台湾』(サンケイ新聞社出版局、1974年)、誰も書かな
    かった毛沢東 “赤い巨星”の謎の部分』 (サンケイ出版、1977年)など、多
    数。

    (※13)1995年2月、西岡昌紀氏は雑誌『マルコポーロ』で、「戦後世界史最
    大のタブー『ナチ・ガス室』はなかった」という論考を発表。ナチス・ドイツ
    によるホロコーストの存在を否定する内容であったため、米国のユダヤ人人権
    団体「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」が文藝春秋社に抗議し、同社
    への広告の出稿を取りやめるよう呼びかけた。この結果、文藝春秋社は謝罪し
    たうえで『マルコポーロ』を廃刊とした。編集長であった花田紀凱氏はこれを
    機に文藝春秋社を退社した。岩上安身は西岡氏に直接取材したルポ「無邪気な
    ホロコースト・リビジョニスト」を発表している。
    (参照:Wikipedia【URL】 http://bit.ly/1ku0taG )

    (※14)安倍晋三・百田尚樹共著『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』(ワッ
    ク、2013年12月)出版社による紹介文は、以下のようなものだ。そのまま引用
    する。:「経済政策、憲法改正、外交安全保障、靖国問題、さらには長期政権
    への展望を熱く語る。そして、安倍総理も繰り返し読むほど愛読する百田ワー
    ルドの魅力と創作秘話を一挙大公開。『永遠の0』に込めた想い、『海賊とよ
    ばれた男』を書いた理由とは──政権発足から1年、現職総理大臣と国民的ベ
    ストセラー作家が取り戻すべき日本の姿について本音で語り合った全国民必読
    の書!」
    (【URL】 http://amzn.to/1lMaVrc )

    (※15)東京都内の公立図書館に所蔵されている「アンネの日記」や、ホロコ
    ーストに関する書籍のページが破られるという被害が相次ぎ、2月21日までで
    計294冊もの被害が確認された。この事件について「サイモン・ヴィーゼンタ
    ール・センター」は「深い懸念を示します」との声明を発表した。(参照:【
    IWJブログ】「アンネの日記」事件と蔓延する歴史修正主義 国際世論から警戒
    される安倍政権
    【URL】 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/126433 )

    (※16)Will増刊『田母神俊雄 全一巻』(ワック、2009年7月)
    【URL】 http://amzn.to/Q8xprt

    (※17)八木秀次:麗澤大学教授。専門は憲法学、法思想史。保守思想の立場
    から、多くの執筆・講演活動を行っている。「新しい歴史教科書をつくる会」
    第3代会長。第二次安倍政権では、教育再生実行会議の委員を務めている。著
    書に『反「人権」宣言』(ちくま新書、2001年)、『公教育再生──「正常化
    」のために国民が知っておくべきこと』(PHP研究所、2007年)など多数。
    (参照:Wikipedia【URL】 http://bit.ly/1etfn9g )


    ===================================
    ◆テレビでレイシズム発言が放送される時代に◆
    ===================================

    能川「金美齢さんといえば、ちょっと話はずれますけれども、オバマ大統領を
    誹謗中傷する発言をして、問題になっていますよね。しかも、レイシズム丸出
    しの」

    岩上「『たかじんのそこまで言って委員会』での発言ですね(※18)。『オバ
    マさんは、大統領としての能力はなかったけれども黒人だから大統領になれた
    んだ、』白人だったらなれてはいない』、と。これは、本当にレイシズムです
    ね。とんでもない。しかも、これは生放送じゃないですから、放送事故という
    ことでは済みません」

    能川「そうですね。つまり、テレビ局はそれを流すということを決定したとい
    うことですからね」

    岩上「読売テレビは、あれは流していいと思ったということです」

    能川「この間は、『在日特権はある』という竹田恒泰氏の発言(※19)をその
    まま流して、今度はオバマは黒人だったからなれた、という発言です」

    岩上「問題ですね。大問題だと思います」

    能川「昔から、差別発言そのものは、この社会にたくさんあったにしても、そ
    れがテレビで、しかも人気番組で堂々と流されるというのは、非常に深刻な問
    題だと思います。

     結局、人々に、『あ、言っていいんだ』という効果を与えてしまう。インタ
    ーネットがそれに先例をつけた形になって、今やテレビの人気番組にまで進出
    してしまっている。そういう感じですね」

    岩上「そうですね。それで、百田さんがお読みになった『「南京大虐殺」のま
    ぼろし』に戻りますが、この本はたしかにエポックなもので、南京大虐殺をま
    ぼろしであるとして、歴史の修正に先鞭をつけた本でした。

     そこで百田さんは、『衝撃を受けた。正直に言えばこの一冊で捏造史観の洗
    脳が解けたわけではなかった。しかしこの後に多くの資料を調べ、『南京大虐
    殺』はほぼ捏造の産物であると確信した』とツイートしています」

    能川「『多くの資料を調べ』と言うのであれば、当然、先ほどあげた資料はぜ
    んぶ読んでいないとおかしいわけですよね」

    岩上「読んだ上で、それが間違いで、鈴木さんの言っていることを含めた修正
    主義の言説のほうが正しいと思うようになったというのであれば、まだ分かり
    ますが、このツイートを読むかぎり、私はどんどん洗脳が深まっていったとい
    う告白にしか聞こえません」

    能川「まず、今の若い方は、実際にこの鈴木明さんの本をお読みになったこと
    はないと思います。インターネットで、南京大虐殺をなかったと言って回って
    いる人々も、自分で読んだという人は、もうかなり少なくなっているのではな
    いでしょうか。

     だから、今、実際にこれを読んで、『あれ』と拍子抜けする方がいるかもし
    れません。というのも、実はこの本、虐殺はなかったとは主張していないんで
    す。

     だから、タイトルが『南京大虐殺「は」まぼろし』ではなくて、『南京大虐
    殺「の」まぼろし』になっているゆえんだと、彼自身、あとがきで言っていま
    す。

     これは、いわゆる南京事件の全体を調査して虐殺はまぼろしだったと言って
    いる本、というのではなくて、むしろいくつかの代表的なエピソードに着目し
    てそれを追いかけるという、そういう体裁をとったものなのですね。

     さきほど出てきた百人斬りも、この『「南京大虐殺」のまぼろし』という本
    のなかで、大きくスペースを割かれている出来事の一つです。そして彼が、そ
    の百人斬りはまぼろしだったという主張の先駆けとなっているわけです。

     もうひとりの主役が、山本七平(※20)という人物ということになります。
    つい近年ですが、近年といってももう10年近く前ですけれども、民事訴訟にま
    で発展することになりました」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※18)2月23日に放送された読売テレビのバラエティ番組「たかじんのそこ
    まで言って委員会」で評論家の金美齢氏は、オバマ大統領について「そもそも
    ね、オバマ氏が出てきた大統領選挙、もしオバマさんが白人だったら、あのレ
    ベルの政治家では大統領に当選しなかったと私は思ってるわけ。あの当時、あ
    る種の旋風が巻き起こったんですよ」と発言した。
    (【URL】 http://bit.ly/1etEF71 )

    (※19)2013年10月20日に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」で
    作家の竹田恒泰氏は、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の「ヘイト
    スピーチ」について、「在特会が活動したおかげで在日の特権の問題が明らか
    になった。例えば、通名というのがあって、日本人の名前に変えることによっ
    て、犯罪歴や金融関係の経歴を全部消すことができ、また新たな犯罪ができる
    」と発言した。
    (【URL】 http://bit.ly/1edn7Bn )

    (※20)山本七平:作家、評論家。山本書店店主。主に戦後の保守論壇で活躍
    した。主著は『空気の研究』(文藝春秋、1977年)。イザヤ・ベンダサンとい
    うユダヤ人名のペンネームで『日本人とユダヤ人』を書き、ベストセラーに。
    同書も文藝春秋が運営する大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞している。ユ
    ダヤ人に「なりすまし」て書かれた同書には、ユダヤ人についての間違った認
    識の記述も多く、その内容には批判が少なくない。浅見定雄氏の『にせユダヤ
    人と日本人』などを参照されたい。イザヤ・ベンダサン名で「百人斬り競争は
    存在しない」と主張し、本多勝一氏を批判。本多氏から反論されると、山本氏
    は『私の中の日本軍』(文藝春秋、1975年)において、日本刀は2、3人切ると
    使いものにならなくなると主張した。こうした論法については、保守派の歴史
    家・秦郁彦氏らからも批判されている。


    ===================================
    ◆被告が全面勝訴した「百人斬り」訴訟◆
    ===================================

    能川「百人斬り事件で処刑された二人の少尉の遺族が、朝日新聞や毎日新聞、
    さらには1970年代にこの百人斬りを連載で紹介したジャーナリストの本多勝一
    さん(※21)らを訴えるということがありました。これは、稲田朋美さんなど
    、先ほどあげた歴史修正主義勢力が、遺族を焚きつけたという図式だったと思
    います。

     その主張の骨子は、1937年当時に出た百人斬りの記事は、新聞記者が勝手に
    作ったのだというものでした。つまり、記事は二人の少尉の話にもとづいたも
    のではなく、まったくのでっちあげだというわけです。そのために、戦後の一
    連の報道によって、遺族の名誉と利益を侵害しているということで訴えたんで
    すね。

     この裁判は、最終的には原告が敗訴し、被告の全面勝利となっています。つ
    まり、『百人斬りはまぼろしだ』と主張して訴えた側が負けているんですね。

     その東京高裁の判決で、実はこういう事実認定が出ています。いわゆる右派
    の人は、『しかしながら』で始まっているこの部分を抜かして、前段までしか
    紹介しないことが多いんです。

     『しかしながら、その競争の内実が本件日日記事の内容とは異なるものであ
    ったとしても、次の諸点に照らせば、両少尉が,南京攻略戦において軍務に服
    する過程で、当時としては,百人斬り競争として新聞報道されることに違和感
    を持たない競争をした事実自体を否定することはできず、本件日日記事の百人
    斬り競争を新聞記者の創作記事であり、全くの虚偽であると認めることはでき
    ないというべきである』

     判決は、こうなっているんですね」

    岩上「前段というのは、どのようなものなのですか」

    能川「要はその当時、報道された記事そのものについては、そこに書かれてい
    た通りのことがあったというふうには信じられない、となっています。記事そ
    のものは、事実を反映してないということが書いてあるわけです。右派の方は
    、その部分を盛んに引用するんです。

     ところが、そのあと裁判所はこう紹介しているんですね。『その競争の内実
    が本件』、本件というのはこの裁判のことです。それから『日日』、これは東
    京日日新聞という今はない新聞ですね。『記事の内容とは異なるものであった
    としても、次の諸点』とあって、このあとに事実認定が続きます。『次の諸点
    に照らせば、両少尉が、南京攻略戦において軍務に服する過程で』、この次の
    部分ですね。『当時としては、百人斬り競争として新聞報道されることに違和
    感を持たない競争をした事実自体を否定することはできず』とくるのです。

     こういうふうに、事実認定をしているんですね。

     実はこの裁判は、ある種のヤブヘビの典型で、訴えられた側は当然、色々と
    自分を守るために証拠を探すわけです。その結果として、その二人の少尉のう
    ちの一人が、これは武勇伝として報道されていたのですが、『あれは捕虜を斬
    ったんだ』『据物斬りと言って捕虜を座らせて首を斬ったんだ』という話をし
    ている証拠が出てきてしまったんです。

     はじめから、鈴木明氏などの本に対するリアクションとして、既にそういう
    話は出ていたんですが、それを裏付ける証拠が、この裁判を通じて新たに出て
    きてしまったのです。それが、裁判所のこういう事実認定に繋がっているんで
    すね。だから、記事そのものは、確かに事実通りではないけれども、その記事
    のいわば核になる殺人そのものは、否定できないんだと認定されているのです


    岩上「この『百人斬り』についての『日日』の記事と、いろいろ調べていった
    時に明らかになった事実との間で、一番大きな相違点というのがあったとした
    ら、どういうものだったでしょうか?」

    能川「もともとの記事では、河村市長の言い方もそうなのですが、通常の戦闘
    行為として敵に飛び込んでいって斬った、という風に書かれていました。しか
    し、そんなことはできるはずがないというのが、否定派の非常に大きな主張の
    ひとつだったわけです。まあ、『それはなるほど、そうだろう』と、誰しも思
    いますよね」

    岩上「刃もこぼれるし、百人を斬るような体力もないし、あるいは、そんなに
    腕がたつということもありえないだろうし、というわけですね」

    能川「しかし実際には、いっぺんに百人を立て続けに斬ったという話ではなく
    、今日は何人、明日は何人ということで斬っていったのです。この中国戦線に
    は、刀の研ぎ師が行って、刀の修繕をしていたんですね。だから、百人かどう
    かは別として、山本七平氏が言ったように、2、3人斬ったらそれでもう斬れな
    くなるのかというと、実際にはそんなことはありません。

    岩上「白兵戦で斬るというのは戦闘行為だから、戦争状態である以上、これは
    やむなし、とされる。

     ところが、捕虜として捕まえて、無抵抗の人間を罪もなく斬るというのは、
    これは戦闘行為でもないし、国際法違反ですね。捕虜の扱いに関しては、国際
    法で決まっています(※22)。戦争状態だからといって、戦闘行為がなされて
    いないところで、無抵抗の人間を殺しているというのは、単なる殺人ですよね
    。これが、『百人斬り』の実態であったと。より、ひどくてむごたらしいもの
    だったわけですね」

    能川「逆に言うと、遺族にしたらこれは、気の毒といえば気の毒な話ですね。
    そそのかされて、裁判をした結果、より名誉が貶められる結果になってしまっ
    たわけですから」

    岩上「ひどい話ですね。判決文はちょっとまわりくどい言い方ですけど、『当
    時としては、百人斬り競争として新聞報道されることに違和感を持たない』と
    ありますが、つまり、そういう報道をされても、誰も驚かない、自他ともに驚
    かない状況があったといういことであり、そういう競争をした事実は否定でき
    ないということですよね。全くの虚偽であると認めることはできないと、裁判
    所は言い切っていますね」

    能川「これは、事実認定として最高裁で確定しています。今日、特に強調した
    いのは、百田氏の次のようなツイートです」

    岩上「読んでおきましょう。メンションの部分は『通州事件で被害にあった方
    々の写真が南京大虐殺の証拠としてでっちあげられたのは有名な話です。犯人
    は蒋介石国民党軍。遺体を陵辱するなどの行為は支那人特有のものですね』と
    あります。こういうふうに、中国人を『支那人』と呼ぶ段階で差別的な意識が
    混入していると思いますが、さらには、『遺体を陵辱するなどの行為は彼ら特
    有のものである』というふうに言うわけですね。

     そして、それに対して百田さんが、我が意を得たりというばかりに、膝をた
    たくような感じで、『そうです!中国人は昔からやります。日本人にはない特
    性です』というふうに言っています」

    能川「これも、インターネットなどで見られる否定派の発言として、しばしば
    見られる論法なんですね。

     要するに、『日本人は残虐なことはしない、中国人はするんだ』、と。これ
    は学問的に言うと、『本質主義』といいます。ある集団について、この場合は
    民族集団ですが、その民族集団に非歴史的な、本質的な固定した特性があるか
    のような語り方です」

    岩上「非歴史的、というのはどういうことでしょうか」

    能川「時代によって、変わってはいかないもの、ということです」

    岩上「なるほど。時代が流れていくと、条件が変わりますね。条件が変わると
    、その個人も文化も、集団としての特性とか行動パターンとか、そういったも
    のも当然変わるわけですよね。

     平時のときと有事の時も違うし、飢えている時と豊かな時も違うし、攻めら
    れている時とそうでない時も違いますね。人は、置かれている状況次第で怒り
    ますし、残酷にもなるし、寛容にもなるし、ほがらかにもなりうる。そういっ
    たことをぜんぶ捨象して、どんな状態でも、ずっと貫くような固定的な本質が
    あると。それが、非歴史的な本質主義ということですね」

    能川「『昔からあります』と、こういうふうに書かれていますよね。しかもそ
    れについては『日本人にはない特性』だと言っている」

    岩上「言い切っていますね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※21)本多勝一:ジャーナリスト、元朝日新聞記者。本多氏は中国で取材し
    た旧日本軍についての記事「中国の旅」を朝日新聞紙上で連載。そのなかで本
    多氏は百人斬り競争を実際にあった事実として記述し、論争の発端となった。
    (【URL】 http://amzn.to/1gSMnro )

    (※22)1899年にオランダのハーグで開かれた第一回万国平和会議で採択され
    た「ハーグ陸戦条約」に、捕虜(俘虜)に関して、「俘虜は人道をもって取り
    扱うこと」「政府はその権内にある俘虜を給養すべき義務を有する。交戦者間
    に特別な協定がない限り、俘虜は糧食、寝具及び被服に関し、これを捕らえた
    政府の軍隊と対等の取り扱いを受けること」といった規定がある。捕虜の虐待
    、まして殺害は戦時国際法違反に相当する。
    (【URL】 http://bit.ly/OT4giR )


    ===================================
    ◆南京攻略戦で毒ガスの使用も計画していた日本軍◆
    ===================================

    能川「次にこの資料をご覧いただきたいと思います。これは、戦国時代の専門
    家の方が見たら、腹を抱えて笑うようなものだと思います。インターネットで
    も閲覧出来る、アジア歴史資料センターというところの資料です。

     これ、実は、日本軍が南京を攻略するときに立てた計画案なんです。南京攻
    略に向かったのは、その当時の言葉で言うと、中支那方面軍という部隊でした
    。その下に上海派遣軍と第十軍という二つの軍があるんですが、そのうちの第
    十軍が陸軍次官に宛てて、『こういう案を作りましたけど』と言って、提出し
    た案なんですね(※23)。

     ちょっと読みにくいかと思いますが、ここで言っているのはどういうことか
    というと、第一案としては 『一気に進軍して攻略する 』と、それがうまくい
    かなかった場合の第二案ですね」

    岩上「ここですね。『正攻法の要領により力攻することを避け左記要領に依り
    攻略す』と書いてあるわけですね。だから、普通の方法だとちょっと難しいん
    じゃないかと。で、『急襲案と同一要領により先ず南京に急追して包囲体勢を
    完了し主として南京市街に対し徹底的に空爆特に「イぺリット」』。イぺリッ
    トとカタカナで書いてありますね。これ、毒ガスじゃないですか!?」

    能川「しかも、びらん性の非常に毒性の強いガスですね。マスタードガスと同
    じです。これは、もちろん国際法違反です」

    岩上「国際法違反で、当時でもダメだった。それを使おうとしていたのですね
    。続きを読むと、『及び焼夷弾を以てする爆撃を約一週間連続的に実行し 南
    京市街を廃墟たらしむ』とあります。これはもう、大虐殺じゃないですか。し
    かも、無差別大量爆撃プラス国際法で禁じられている毒ガスを使おう、と」

    能川「はい。こういうことを発想できる人間が虐殺をしないと、いったいなぜ
    言い切れるんだろうかということですね。

    さらに、これが単なる机上のプランではなかったことを示すのが、この資料で
    す。これは第十軍ではなくて、さきほど申し上げた上海派遣軍の方ですが、そ
    ちらに実際に『イぺリット』などのびらん性毒ガスが配備されていた、とあり
    ます。(※24)

     ここで、『きい弾』と書いてあるのがその『イぺリット』です。びらん性毒
    ガスです。『あか』っていうのがくしゃみ性ガスなんですね。『きい』ってい
    うのは日本軍の符牒でびらん性の非常に毒性の強いガスのことです」

    岩上「ここですね。この『あか』というのが」

    能川「これは比較的毒性の弱い、敵を一時的に無力化するのに使うような、そ
    ういうガスですね」

    岩上「なるほど。でも、ガス弾ではあったんですね」

    能川「そうですね。これは10月ですけども、このあと11月にもういっぺん送ら
    れています。この『きい弾』が。こういう資料もあると」

    岩上「もう準備していたんですね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※23)アジア歴史資料センターのサイト
    ( http://www.jacar.go.jp )で検索(レファレンスコード=C04120413800)
    すると、まず、対象資料の概要がある。件名、分類階層、所蔵館、内容等が以
    下のように出る。そこから資料が閲覧できるようになっている。本資料につい
    ての概要は以下の通り。
    <概要>
    【 件名 】南京攻略に関する意見送付の件
    【 階層 】 防衛省防衛研究所> 陸軍省大日記> 陸支機密・密・普大日記>
    陸支密大日記> 陸支密大日記> 昭和13年> 昭和13年 「陸支密大日記
    第29号」【 レファレンスコード 】C04120413800【 年代域 】11月30日
    【 画像数 】21【 所蔵館における請求記号 】陸軍省-陸支密大日記-S13-15-1
    24(所蔵館:防衛省防衛研究所)【 言語 】jpn【 作成者名称 】丁集団参謀長
    【 組織歴/履歴 】陸軍省 丁集団【 内容 】第七頁 陸軍省 受領 陸支密受第
    五二六七号 十一月三十日 丁集団参謀長 陸軍次官殿 別冊南京攻略ニ関スル意
    見 二部 送付ス

    (※24)アジア歴史資料センター
    ( http://www.jacar.go.jp )レファレンスコード=C01005653700を検索する
    と、以下の概要が出てくる。
    <概要>
    【 件名 】弾薬補給の件
    【 階層 】防衛省防衛研究所>陸軍省大日記>陸支機密・密・普大日記>陸支
    機密大日記>陸支機密大日記>昭和12年 「陸支機密大日記 第3冊 第5号
    1/2」【 レファレンスコード 】C01005653700【 年代域 】昭和12年10
    月~昭和12年12月【 画像数 】3【 所蔵館における請求記号 】陸軍省-陸
    支機密大日記-S12-5-92(所蔵館:防衛省防衛研究所)【 言語 】jpn【 作成者
    名称 】兵器局銃縦砲課【 内容 】五〇八号 永久 弾薬補給ノ件 銃甲密機支第
    四〇号 十月十五日 軍務 整 参本 軍事 主 整 戦 防 参本 陸支機密 陸軍兵器
    本廠長ヘ達 別紙ノ通上海派遣軍ニ補給方取計フヘシ但シ費用ハ臨時軍事費支
    辨トシ宰領者トシテ尉官一名宛ヲ附スヘシ尚特ニ機密ノ保持ヲ期スヘシ 陸支
    機密第三六〇号 昭和十二年十月二十五日 陸支機密 副官ヨリ上海派遣軍参謀
    長ヘ通牒 別紙ノ通貴軍ニ補給セシメラルルニ付依命通牒ス 陸支機密第三六〇
    号 昭和十二年十月二十五日 別紙 極秘 上海派遣軍 兵 本廠 官房控 十月二十
    七日迄ニ宇品ニ輸送 十一月五日迄ニ宇品ニ輸送 交付 十一日一-二日(十月
    二十八日宇品搭載) 交付 十一月九-十日(十一月六日宇品搭載)


    ===================================
    ◆刀の試し切りで捕虜を惨殺◆
    ===================================

    能川「ここからは、先ほどもご紹介した偕行社の、旧陸軍の軍人たちが集めた
    資料集に、いったいどういう資料が載っているのかというのを、いくつかご覧
    いただこうと思います。

     まず、中島今朝吾いう、京都の第16師団の団長をしていた人物が残した日記
    です。ここに、次のようにあります。

     『一、天文台附近の戦闘に於て工兵学校教官工兵少佐を捕え彼が地雷の位置
    を知り居たることを承知したれば彼を尋問して全般の地雷敷設位置を知らんと
    せしが、歩兵は既に之を斬殺せり、兵隊君にはかなわぬかなわぬ』

     これは要するに、捕まえた捕虜を、兵隊がもうすでに斬り殺していた、惨殺
    していた、ということです。それで、『兵隊君にはかなわぬかなわぬ』とぼや
    いているのですね」

    岩上「ほんとだ。『歩兵は既に之を惨殺せり、兵隊君にはかなわぬかなわぬ』
    。ぼやいていますね」

    能川「その『かわなぬ』と言った師団長がいったい何をしていたかというのが
    、次の部分です。

     『一、本日正午高山剣士来着す時恰も
     捕虜七名あり直に試斬を為さしむ
     小生の刀も亦此時彼をして試斬せしめ頚二つを見事斬りたり』

     要するに、自分の部下のなかに剣道の名人がいたと。それを呼んで、7人い
    た捕虜の試し斬りをさせたということですね。『小生の刀も』うんぬんとあり
    ますけど、自分の刀も使って、要するに二人、『頚二つを見事斬りたり』と。

     『兵隊君にはかなわぬかなわぬ』と言った師団長自ら、こういうことをして
    いたのですね」

    岩上「はああ…。『小生の刀も亦此時彼をして試斬』の『彼』というのは、『
    高山剣士』を指すのですか」

    能川「そうですね」

    岩上「つまり、高山さんに言って、自分の刀で首二つを斬ったと。自分は斬っ
    たわけではない、と」

    能川「そうなんですね。要するに、刀を試したかったということです」

    岩上「刀の研ぎ味を試すために、ちょっと人間を使って斬る。まったく、人の
    生命というものに配慮していませんね」

    能川「もちろん国際法違反ですし、国際法がどうこう言う以前に、人道的にあ
    りえない行為です」

    岩上「試し斬りということは、これはただの殺人以外のなにものでもないです
    よ。これがもし非歴史的に本質主義的に捉えられたら、これが日本人の実体だ
    、つまり我々とはこういう人間だと言われてしまう。恐ろしいことです」

    能川「この点が、実は、彼ら(ネット右翼・歴史修正主義者)が虐殺をしきり
    に否定する理由の、ひとつの鍵になっているんですね。彼らは、民族というの
    はそういうものだと思っているので、虐殺があったということを認めたら、我
    々は虐殺民族にされてしまうと、考えているのです。慰安婦が性奴隷だという
    ことを認めたら、我々は強姦魔だということになってしまうと、彼らは考える
    わけですね」

    岩上「今日の我々が、ですね」

    能川「そうです。ところが、今日、欧米社会などでは、公人がこのような非歴
    史的な本質主義的民族観を表明すること自体が、政治的に正しくないとされて
    います。これが、世界の常識です。

     だから、今日、国際社会が慰安婦問題などに関して日本を非難したとしても
    、それは別に、日本人という民族が、本質的に性暴力主義者であるということ
    を主張しているわけでは、まったくないんですね。

     ところが、右派の人たちは、自分自身の民族観に怯えて、虐殺を必死に否定
    しているというわけなのです」

    岩上「なるほど。それは、非常にわかりやすいですね。つまり、彼らに対して
    は、個々のことで論破していくと同時に、『あなたが責められているわけじゃ
    ないですよ、あなたのお父さんおじいさんの世代の一部の人がこういうことを
    やったのですよ、その事実は認めましょうよ』と、説いていく必要があるとい
    うことですね。

     我々はそういうことを繰り返さないようにしましょうよ、と。これから先、
    我々の世代は、百田さんの世代もですけど、そういった行為を若者にさせてし
    まうようなことだけはしないようにしましょうよと、そう言わないといけない
    ですね。なるほど」


    ===================================
    ◆「本質主義的な民族観」の見直しを◆
    ===================================

    能川「次を見てみましょう。同じく、偕行社の資料集からの引用です。非常に
    有名な資料で、一時は高校の教科書にも載っていました。

     『一、大体捕虜はせぬ方針なれば片端より之を片付くることとなしたるも千
    五千一万の群衆となれば之が武装を解除することすら出来ず唯彼等が全く戦意
    を失いぞろぞろついて来るから安全なるものの
                (中略)
     一、後に至りて知る処に拠りて佐々木部隊丈にて処理せしもの約一万五千、
    太平門に於ける守備の一中隊長が処理せしもの約一三〇〇其仙鶴門附近に集結
    したるもの約七八千人あり尚続々投降し来る
     一、此七八千人、之を片付くるには相当大なる壕を要し中々見当らず一案と
    しては百二百に分割したる後適当のカ処に誘きて処理する予定なり
     一、此敗残兵の後始末が概して第十六師団方面に多く、従って師団は入城だ
    投宿だなど云う暇なくして東奔西走しつつあり』

     これは要するに、そもそも日本軍が捕虜を収容してどうするかという政策自
    体、ちゃんと持ってなかったということを示すものです」

    岩上「『せぬ方針』もなにも、これはしないわけにはいかないことですよね。
    無茶苦茶な話ですけど、『片端より之を片付くる』というのは、片っ端からこ
    れを殺した、という意味ですよね」

    能川「そうです。『一中隊長が処理せしもの約一三〇〇』の『処理』というの
    は、もちろんこれは殺すという意味です。さらに次の部分ですが、『此七八〇
    〇人、之を片付くるには相当大なる壕を要し』うんぬんとあります。要するに
    、片付けるとか処理するとか言っているけれども、殺すということです。大き
    な壕が必要なのも、死体を埋めるからなんですね。

     そういう壕がなかなか見つからないので、百とか二百の数に分けて、適当な
    ところに誘導して殺す予定だというふうなことを言っているというわけです」

    岩上「『此敗残兵の後始末が概して第十六師団方面に多く、従って師団は入城
    だ投宿だなど云う暇なくして 東奔西走し』て人を殺していたと。この時に、
    捕虜もそれから敗残兵も、それから一般市民も分別して、どう扱うかという配
    慮は一言も書かれていませんね」

    能川「そうですね。この日記にはないですね。資料によっては、それらしき配
    慮をしようとしたことを示すものもありますが。ただ、それは非常にいい加減
    なものでした。例えば、“手にタコができているから、お前、兵隊だろう”と
    いうような調子だったという証言、証拠もあります」

    岩上「では、証言、証拠によっては、敗残兵といいますか、兵と市民を分けて
    、武装解除した後も、兵は間違いなく大方針として片っ端から殺したというわ
    けですね。では、市民に関しては、どのように扱ったというふうに出ているの
    ですか。市民に関しては、普通の生活を営めるように配慮したというようなこ
    とがあったのでしょうか」

    能川「そもそも、一国の首都を占領して、そのあとどう統治するかというきち
    んとしたプランもないような戦争だったんですね。だから、大方針がまずない
    んです。だから、部隊によってまちまちというのが実情だったと思います。

     そのため、当時の南京市民のなかには、結果として難を逃れたという人もい
    るし、兵隊と間違えて殺された人もいるし、あるいは民間人であるということ
    を承知で殺されたケースもあるし、もうさまざまだということですね。また、
    部隊の指揮官の性格によってやり方が変わってくるといったこともありました
    。なにしろ、大方針がないわけですから」

    岩上「この、捕虜はすべて処分してしまう方針というのは、つまり、捕虜を抱
    えて、食糧を与えながら面倒を見るのが、面倒であるということだったのでし
    ょうか」

    能川「まあ、そういうことですね」

    岩上「なるほど。そもそも自分たちが、食糧の準備を十分しないままに南京攻
    略をやったわけですからね。日本軍は、至るところで、兵站をやらないで現地
    調達をやっていましたから」

    能川「次も、同じ中島中将の日記です。

     『一、話中かっぱらいの話あり
     予が軽重機〔関銃〕の分捕品と小銃を以て装備強化のことを語りたるに対し
    、大将は其は軍に差出して呉れねば困るという様なことを述べたり、此男案外
    つまらぬ杓子定規のことを気にする人物と見えたり
      次に国民政府の中のカッパライの主人は方面軍の幕僚なりと突込みたるに
    、是はさすがにシラバクレて居りたり
      家具の問題も何だかけちけちしたことを愚須愚須言い居りたれば、国を取
    り人命を取るのに家具位を師団が持ち帰る位が何かあらん、之を残して置きた
    りとて何人が喜ぶものあらんと突ぱねて置きたり』

     後半のほうをご覧いただきたいんですが、『家具の問題も何だかけちけちし
    たことを愚須愚須言い居りたれば、国を取り人命を取るのに家具位を師団が持
    ち帰る位が何かあらん』と。

     これは、司令官である松井大将と面会したあとの日記なんですね。この中島
    中将が、例えば国民党政府が放棄していった高級家具を国内に送っている、と
    。勝手にぶん捕って、国内に送っているというのです。それが問題化して、怒
    られたわけですね。

     そうしたら、それに対して、『国を取り人命を取るのに家具位』がなんだ、
    と」

    岩上「ああ、なるほど」

    能川「これを残しておいたからといって誰が喜ぶんだと言って、突っぱねてお
    いたというわけです」

    岩上「ここですね。『大将は軍に差出して呉れねば困るという様なことを述べ
    たり、此男案外つまらぬ』。松井大将のことを『此男』って言っていますね。
    『案外つまらぬ杓子定規のことを気にする人物と見えたり』。

     戦利品を軍に出せ、と。それを私物化していたわけですね。けちけちしたこ
    とを言うな、俺たちは国を取るんだ、人命を取るんだ、と。こう言い切っちゃ
    っていますね。開き直っちゃっています。そして、家具を取るぐらいがなんだ
    というんだと言って、突っぱねたというわけですね」

    能川「さすがに、全員が全員この中島師団長のような具合ではないわけですけ
    ども」

    岩上「でも、当時の日本軍の将軍の発言ですよ。将軍がこのように考えていた
    ということですね。これも何度も繰り返しますけど、たぶん今日のテーマにな
    るのでしょうが、非歴史的、本質主義的な立場でこれが日本人というものだ、
    これが典型的日本人であるというふうに言われたりしたら、古今東西の日本人
    は本当に困ってしまいます。昔の日本人の名誉にも関わりますし、それから、
    我々の名誉にも関わります」

    能川「あとは、未来世代にとってもですね」

    岩上「そうですね。時として、こういう人も現れるけど、そうでない人もいる
    というのが、どこの民族でも当てはまることですよね」

    能川「だから、中国人は残虐行為をするんだというレイシズムは、結局のとこ
    ろ、自分たちに返ってきてしまう。そういう発想をするから、認められない、
    となってしまうのです」

    岩上「もし、中国人のなかに残虐な行為をした者がいて、だから、中国人は残
    虐なんだと、そういう決めつけが成り立つのなら、こういった一つの事をもっ
    て、日本人は残虐に決まっていると言われた時に、反論のしようもない、とい
    うことになりますね」

    能川「だから、我々が考えるべきは、そういう本質主義的な民族観そのものを
    、見直す必要があるということだと思います」

    (後編へ続く)

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