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    原発問題 -The Truth is Out There-

      : 

    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    IWJ特報第145号「能川元一氏インタビュー 第2部~従軍慰安婦編(その3)」 

    第145号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
               岩上安身のIWJ特報
            歴史修正主義者の詭弁を徹底論破!
         能川元一氏インタビュー 第2部~従軍慰安婦編(その3)
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    (IWJより転載許可済)

    ===================================
    ◆慰安所の設置には陸軍が関与していた◆
    ===================================

    岩上「連行した後に、どのような取り扱いをしたかという問題もあるわけです
    ね。先ほどのものには、そういうこともずいぶん詳しく書かれていましたね」

    能川「そうですね。当事者、当事国の一つであるオランダのケースですが、例
    えば強制性のある性奴隷制度といった言い方はありますが、やはりこれについ
    ても実は、強制連行という言葉は使われていません。まして、国家の意思がど
    うこうなどということは書いかれていません」

    岩上「ですが、現実に、日本軍、あるいは日本軍にかかわる軍属も含めて、女
    性に対する加害行為については存在していて、それを非難しているわけですよ
    ね」

    能川「ええ、そうです」

    岩上「それを反省し、早く謝罪し、改めなさいねと言われているのに対して、
    嫌だと言って、連行の強制性はなかった、狭義の強制性はなかったと、どんど
    ん言いつのったあげくに、そうした非難がさも不当なものであるかのように話
    をすり替えていく、というわけですね」

    能川「このなかでは唯一、韓国国会での決議のなかに、英語でいえば
    『Abduct』(=誘拐)という単語が使われています。僕は韓国語を読めないの
    で、翻訳を信用すればの話ですが、使われているのですね。

     これも、別に銃剣を突きつけて、というケースだけを指すわけではなくて、甘
    い言葉で誘うとか、そうしたケースも含むものだということです。それについ
    ては、あとで別の資料をお見せします」

    岩上「当然、戦前戦中の日本の刑法においても、誘拐および略取というのは間
    違いなく違法行為です。それが腕を引っ張って連れていくことであれ、甘言を
    弄してだまして連れ去ることであれ、同じ罪になるわけですよね」

    能川「そうです。今でもそうですよね。では、ここで、河野談話以降で比較的
    最近に見つかった資料をいくつか紹介していきましょう(※18)。

     右派の人は、性奴隷制という言葉に非常に敏感に反応しますよね。とにかく
    性奴隷制と言われるのが気に入らない、ということらしいですが、まずは、最
    初の資料です。この「公娼制度に関する件」は、内務省の警保局が、おそらく
    大正時代に作ったものでしょう。内務省というのは、公娼制度を管轄していた
    官庁ですね。

     軍の『慰安所制度』が作られたのは1930年代ですが、この1930年代以前に、
    実は、公娼制の廃止をめぐって非常に盛んに議論がされてきていて、内務省が
    世論の動向を調査していました。

     後でも紹介しますが、敗戦でGHQによって公娼制を廃止される以前に、すで
    に公娼制が廃止されていた県、そして県会、おおざっぱに言えば今の県議会で
    すが、そこで公娼制やめましょうという決議が採択されていた県とを合わせる
    と、すべての県のうちの過半数をはるかに超えていたのです」

    ・資料「公娼制度に関する件」(【URL】http://bit.ly/1pCzAzL)

    岩上「戦前だからといって当たり前だったわけではなくて、多くの日本人が、
    公娼制度などというのはいかがなものかと疑問に思っていたわけですね」

    能川「どういう理由で疑問に思っていたかということですが、少し読みにくい
    かもしれませんが、こちらは、内務省がまとめた廃娼論者の主張およびこれに
    対する意見です」

    岩上「『娼妓は人身売買による奴隷制度にして、人道に反す』とあります」

    能川「奴隷制度だと、当時の人が言っていたのです。つまりこうした意見が、
    1930年代までには、日本のいわば指導的な立場の人々の認識になっていたとい
    うことです。なにも、20世紀の終わりになって突然ヨーロッパが言い出したこ
    とではないのです」

    岩上「押しつけなどではなくて、日本人自らが、人を売っているんじゃないか、
    と考えていたということですね。実際に、貧しいからという理由で、親が娘を
    売ったりしていたわけですよね。そしてその後、人権が無視されるような状態
    になるわけです」

    能川「つまり、奴隷制度だと。それで売春をさせられているのですがら、性奴
    隷制ですよね」

    岩上「そうですよね」

    能川「次の資料ですが、これもやはり内務省が作ったもので、実際に廃娼が実
    現していた群馬県、秋田県、埼玉県での廃娼前後の事情をまとめた『秋田、埼
    玉、群馬県廃娼善後措置』という文書です。その中の、昭和3年に埼玉県会に
    提出された建議書です。(※19)ここに、『公娼制度は人身売買と自由拘束』
    とあります」

    ・資料「秋田、埼玉、群馬県廃娼善後措置」
    (【URL】http://bit.ly/1wvThhr)

    岩上「『人身売買と自由拘束の二大罪悪を内容とする事実上の奴隷制度なり』
    とありますね」

    能川「ここでもやはり。奴隷制度という言葉が使われています」

    岩上「はっきりと書いていますね。これは、請願書なんですね。公娼制につい
    ての請願書で、こういう制度をやめるべきだと。そしてその理由としては、そ
    れは人身売買であり、自由の拘束であって、二大罪悪を内容とする事実上の奴
    隷制度であるからだ、と。まさに、奴隷制度ですよね」

    能川「これは請願書ですが、実際の廃娼決議、県会で行われた廃娼決議のなか
    でも、それは事実上の奴隷制度だから廃止するという表現をとった例というの
    があるのだそうです。例えば鹿児島県とか石川県とか」

    岩上「これは、請願されただけではないのでしょうか」

    能川「これは、動議として通っています。廃娼が実現しているのですね」

    岩上「決議して、しかも実行したということですか。止めたわけですね、その
    各県は」

    能川「公娼制廃止が実現したのが15県、決議が通ったのが22県あるそうです。
    それから、これも実は意外に知られていないのでこの機会にご紹介します。こ
    ちらも少々地味な資料ですが。(※20)

     『野戦酒保規定改正に関する件』という表題のついた文書です。野戦酒保と
    いうのは、軍隊に付属する売店みたいなものです。それを酒保と言っています。
    野戦酒保というのは、戦時中でも兵隊さんは休憩もしますから、そのために設
    置される施設、設備です。

     その野戦酒保に関する規定を、1937年の9月、つまり、日中戦争が始まった
    ばかりで、まさに上海で激戦が繰り広げられているさなかに、改正すると言っ
    ているわけです。

     ポイントは、新しく加えられた条項があって、『野戦酒保は戦地に於いて前
    項の外必要なる慰安施設をなすことを得』とあります。これは実は、いわゆる
    特殊慰安所という言い方を軍はしましたけども、例の売春施設としての慰安所
    を設置可能にするための規定改正なのです。

     これは、書類を見たらわかるように、陸軍省で通っているわけです。つまり、
    軍中央部がわざわざ規定改正をして、慰安所を設置できるようにしましたよ、
    ということを示しています。

     しかもこの時期というのが、戦争始まってすぐ、です。要するに、後から業
    者がやってきて、それを軍が追認したというのではなくて、軍中央部がイニシ
    アチブをとって慰安所を作れるようにしたということを示す、非常に決定的、
    かつ重要な資料なわけです」

    岩上「そうですね」

    ・資料「野戦酒保規定改正に関する件」(【URL】http://bit.ly/1oApO3U)

    能川「これでもはや、業者が勝手にやったという言い訳はまったく通らなくな
    るというわけです」

    岩上「そうですね。軍が関与していた。国家の意思としてという言葉が好きな
    人たちに対して、あえて言うならば、これは、国家の意思として関与した」

    能川「慰安所の設置そのものは国家の意思、ということですよね」

    岩上「そうです。これはもう、陸軍省ですから、ザ・国家ですよ。これを、国
    家の意思ではないとは言えないでしょう。たいへんに重要な資料ですね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※18)「公娼制度に関する件」(アジア歴史資料センター【URL】http://
    www.jacar.go.jp レファレンスコード=A05020123000)

    (※19)「秋田、埼玉、群馬県廃娼善後措置」(アジア歴史資料センター 【
    URL】http://www.jacar.go.jp レファレンスコード=A05020144600)

    (※20)「野戦酒保規定改正に関する件」(アジア歴史資料センター http://
    www.jacar.go.jpレファレンスコード=C01001469500)

    ===================================
    ◆「強制」と「強制連行」の違い◆
    ===================================

    能川「これは10年ほど前に見つかったものです。京都大学の永井和先生が発見
    されました。意外にマスコミでも報じられてないし、あまり知られてない資料
    なので、ぜひこの機会にと思います。

     今度は、河野談話当時の報道がどうだったのかということについて少々ご覧
    いただきたいのですが。これは93年8月5日、談話が発表された翌日の朝日新聞
    朝刊です。これは見出しが、『慰安婦「強制」認め謝罪』となっていますよね。
    次が読売新聞ですが『政府、強制連行を謝罪』となっています」

    岩上「なるほどね。すり替えて」

    能川「実は、面白いことに、朝日新聞は、強制連行とは書いていないんです
    ね」

    岩上「そうですね。カギ付きで『強制』となっていますね」

    能川「しかも、『総じて、意に反した』というぼかした言い方を強調していま
    す。ところが、読売新聞のほうは、強制連行を謝罪したと言っているんですね。
    で、今、右派がしきりに言っているのは、朝日新聞のせいで強制連行神話がで
    きたということです」

    岩上「ですが、読売新聞のほうが逆に…」

    能川「そうです。強制連行と言っています。みんなこのことを、もう20年以上
    前だからお忘れなのだろう、ということです。それから、これも非常に面白い
    ですよ。同じ日の読売新聞の解説記事です」

    岩上「『また、同じ「強制」という言葉でも、日本と韓国では解釈の違うこと
    も分かった』と書いてあります。

    そして、『元慰安婦の募集(徴用)の実態は1.力づくで無理やり連れていかれ
    た2.言葉巧みにだまされた3.ある程度の自由意志はあったが、仕方なく応じた
    、などと、程度に応じて分類できる。日本では旧軍人らが1.のみについて強制
    連行としているのに対し、韓国側は広く、2.と3.も当然、強制性があると訴え
    たのである』とあります。

     被害者の立場に立てば、少なくとも2.については間違いなく、騙されたわけな
    のですから、許せるわけはないですよ」

    能川「注目していただきたいのは、1993年8月5日の時点で、すでにこのことが
    分かっていた、ということです。これが、まさに今、日本の右派がごねている
    ところですよね。

     しかし、言わせてもらいますが、もうそれらについてはすでに、河野談話の発
    表の段階で分かっていて、読売新聞はこれに一定の理解を示す解説記事を書い
    ているわけです。そうなると、今頃なにを言っているのか、ということになり
    ませんか」

    岩上「なりますね」

    能川「つまり、20年間ぜんぜん進歩してない、むしろ後退しているじゃないか、
    ということですよね」

    岩上「これは本当に、安倍さんの責任は大きいと思いますね。総理自らが、こ
    の、『総じて強制性があり、意に反してこうしたことを余儀なくされた人たち
    がいる』という点を無視し、そればかりか、力によって強制されたケースはな
    い、ということを殊更に言い立てることによって、そこだけを聞いた人が、あ
    あ、自分たちは騙されていたのだ、と。

     日本人はそんなことをしていないのに、こんな河野談話で不必要に謝って、と
    いうように誤解をしていく。で、そこの部分だけを聞いた人が、またそんなふ
    うに思い込んでいくというように、広がっていくわけですね」

    能川「そうですね。これは、方法論としては、例の、百人斬りを否定して、あ
    たかも南京事件全体があやしいかのように見せかけるという手法と、非常によ
    く似ています。

     とりわけ植民地、韓国での強制連行、狭い意味での強制連行に焦点をあてる
    ことで、あたかも全体がまぼろしであるかのように思わせる。百人切りの場合
    と非常に共通点の多い手法だと思います」

    岩上「しかも、その韓国は植民地ですから、占領地のような暴力性は、逆に言
    うと必要なかったわけですよね。日常的に言うことを聞かされている状態にあ
    り、ある程度言えば、それに応じるというか、やむなく子女を差し出す人たち
    もいた。占領地の暴力はもっと荒々しいわけですね。

     先ほど、ひとつフィリピンの事例を申し上げましたが、その方は現実の体験
    者、生の体験者です。まだ生存していらっしゃる方がおっしゃったことです。
    泣きながらお話してくださったことですが、力づくで、本当に連れ去られた、
    と。でも、その人たちの話がなかったかのようにされているわけですね」

    能川「右派の特徴の一つは、慰安所問題というのは実際には朝鮮半島だけでは
    なくて、アジア全域に広がっているのに、そのアジア全域に広がる問題と、朝
    鮮半島だけの問題との間を、いわば自在に往復する、行き来することで、話を
    ごまかしていくという点にあります。

     それから、今度はこれ、日経新聞です。先ほどの赤嶺議員の追及で問題にさ
    れた件ですね。つまり、このバダビア臨時軍法会議の記録が含まれているとい
    う事については、当時、きちんと報道されていたんですね」

    岩上「出ているのですね。『オランダ人女性を慰安婦としていたジャワ島セラ
    マンの慰安所に関する記述がある「バダビア臨時軍法会議の記録」が含まれて
    いる』ということがちゃんと出ているではないですか」

    能川「こういうことが、きちんと報道されていたんですね。みんな、忘れてい
    るだけで」

    岩上「我々も忘れていたりするぐらい、つまりは、それ以降は取り上げられな
    くなってしまったということですね」

    能川「ですから、安倍政権の2007年の答弁書というのは、国民の記憶力につい
    ては高をくくって、どうせばれっこないだろうと、ぬけぬけとウソをついてい
    た、ということになるわけです」

    岩上「すごいですね。国が堂々とウソをつくということを、我々はいま、まざ
    まざと見ているわけですね」

    能川「しかも、ウソを追及されてごまかしきれないので、同じことをオウムの
    ように繰り返していると。そういう状態だということです」

    ===================================
    ◆「テキサス親父」とは何者か◆
    ===================================

    能川「次に、これをご覧いただきたいのですが、熱心なネットユーザーの方で
    はご存知の方もおられるかもしれません。これ、この人物。通称テキサス親父
    と言うのですが」(注45)

    ・テキサス親父(【URL】http://bit.ly/Sj2R7e)

    岩上「初めて見ますね。どういう方ですか?」

    能川「名前の通り、テキサス在住のアメリカ人の方なのですが、彼が趣味で
    YouTubeにアップロードした動画(※21)が日本のネットウヨクの目にとまり、
    日本で人気が出ました。それに目を付けた日本の右派が、このテキサス親父事
    務局というのを作りました。それで例えば、慰安婦問題否認論とか、あるいは
    捕鯨擁護論とか、そうしたことを英語でしゃべらせて、コンテンツを作ってい
    る、というものです(※22)。
     
     つい最近、このテキサス親父が、すごい資料を見つけたと、いわゆる従軍慰安
    婦はただの売春婦だという証拠を見つけたのだと言って、それについてアップ
    している動画です。

     かいつまんで言えば、わざわざアメリカの公文書館に問合せて資料のコピー
    を送ってもらったところ、その資料には、慰安婦がただの売春婦だと書いてあ
    ったと、彼はそう主張しています。

     すると、それを真に受けて、こんな証拠が出てきたというふうに言いだすネ
    ットウヨクがたくさん出てきました。ところが、さきほどご覧いただいた1992
    年の資料集に、この資料の翻訳が、すでに含まれているのです」

    岩上「ではこれは、でっち上げでもなんでもなく…」

    能川「新資料でもなんでもないですし、実際に存在しているものです」

    岩上「一応、資料ではあるわけですね」

    能川「ええ、ですが新発見ではまったくないです。これは20年以上前から知ら
    れていた資料なのです。ビルマで、日本軍に置き去りにされた慰安婦をアメリ
    カ軍が尋問した記録です」

    岩上「つまりこれは、まだ戦争中のものだと」

    能川「44年のものです」

    岩上「44年ですね。日本軍が後退して、米軍が進駐して行って、日本人をたた
    き出した。そして米軍の占領下で、置き去りになった方を調査した資料。かな
    り早い段階のものですね。ホットな資料だったんですね」

    能川「そうです。私も、これについては存在を知っていましたし、慰安婦問題
    にある程度関心を持っている人だったら当然知っているでしょう。非常に有名
    な資料です

     それを今さら持ち出てきて、それで何か新しいことが証明できるかのように
    主張しています。たいへんな資料が出てきたかのように言っています。ところ
    が実際はもう20年以上も前から知られている資料なのです。

     さらに、この資料の中身についてですが、最初に、『二〇名の朝鮮人「慰安
    婦」と二名の日本人の民間人に対する尋問から得た情報に基づくもの』とあり
    ます。つまりこれは、尋問調書と言っても、だれそれに対する尋問がこれこれ、
    でその質問に対する答えがしかじか、というかたちで記録されているわけでは
    なくて、慰安婦の方と、売春施設の業者に話を聞いてそれをまとめているもの
    です。

     まったく立場の異なる方々から話を聞いて、それを一本のレポートにまとめて
    いるだけ。しかもこの時点で米軍は、別にこれを犯罪として追及するつもりも
    なかったわけです。ただ、占領したら、なんだか訳のわからない民間人がいる
    ので、とりあえず事情を聞けということで事情を聞いた、というだけです。で
    すから、そんなに深い追及をしているわけでもありません。

     その意味では、もともとそれほど決定的な資料というわけではありませんが、
    要するに、彼らは慰安所に関して、いいことが書いてある部分だけをことさら
    ピックアップして言っている、ということです」

    岩上「いいことというのは、いったい何が書かれているのですか?」

    能川「例えば、慰安婦とは将兵のために日本軍に所属している売春婦。つまり
    従軍売春婦にほかならないとか、他にもこういう書き方をしています。慰安婦
    という用語は日本軍特有のものである、と。この部分を指して、彼らは、米軍
    が慰安婦はただの売春婦だと認めたと、こう言っているわけです。しかし、こ
    こで書かれているのは明らかに、慰安婦、英語だと『Comfort Woman』という
    言葉が使われていますが、それについての解説に過ぎないわけですよ。

     慰安婦と称してはいるが、按摩をしてくれる、マッサージをしてくれる人と
    いうわけではなくて、売春をしているんだよ、というふうなただし書きをして
    いるだけです」

    岩上「なるほど。慰安という言葉自体は、慰める、ということですから、今日
    でも、癒し、とか言いますよね。ですが、ある女性が、私が癒しを与えますと
    言ったら、じゃあそれはセックスを提供しますということかというと、普通は
    そういうふうに受け取りませんよ。

     だけれども、広い意味でつかわれるような慰安という言葉の中身が、そこで
    は、性を提供するという話だったりする。慰安婦というのがよくわからない。
    で、Comfortというのがどういう意味でのComfortかというと、実はprostitute
    (売春)と書いてあるのですね。ではもう、はっきりしますよね、売春婦であ
    ると。要するに性を売買するということなのだ、と。そういう意味だよと説明
    していたわけなのに、それをとってつけたように」

    能川「ただの売春婦だと認めたと」

    岩上「というようにすり替えている。文脈をまったく無視している」

    能川「そうです。同時に彼らは、都合の悪い記述はぜんぶ無視します。おそら
    く、ネットでこのコピペを読んでいるネットウヨクの人の大部分は、自分でこ
    れを読んだことはないと思います。

     どういうことが書いてあるかというのを読み上げます。例えば、その慰安婦
    の募集に関して、こういうふうに書いてあります。

     『一九四二年五月初旬、日本の周旋業者たちが、日本軍によって新たに征服
    された東南アジア諸地域における「慰安役務」につく朝鮮人女性を徴集するた
    め、朝鮮に到着した。この「役務」の性格は明示されなかったが、』とありま
    す。つまり、何の仕事をするのかが明らかにされなかったということです。だ
    が『それは病院による負傷兵を見舞い、包帯を巻いてやり、そして一般的に言
    えば、将兵を喜ばせることにかかわる仕事であると考えられていた』とありま
    す。要するに、仕事の内容が明らかにされていなかったわけです」

    岩上「明らかにされないままで募集がされていた、ということですね」

    能川「で、『これらの周旋業者が用いる誘いの言葉には、多額の金銭と家族の
    負債を返済する好機、それに楽な仕事と新天地(シンガポール)における新生
    活という将来性であった』と。要するに、騙して集めたのだということが書か
    れているわけです。

     この部分はおそらく業者ではなくて、慰安婦の女性からの聞き取りにもとづく
    記述だろうと思いますが、しかしそれでも、少なくとも慰安婦の方々はそう証
    言したのだろう、と。

     こういうことは丸々スルーするわけですよ。他にも、例えばこういう記述も
    あります。『これは慰安婦が普通の月で一五〇〇円程度の稼ぎを得ていたこと
    を意味する』と。当時のお金で1500円といったら、すごいじゃないですか。

     これをもって彼らは、要するに慰安婦は高額所得者だったと言うわけですね。
    ところが、その次にはこう書いてあります。『多くの「楼主」』、つまり業者
    のほうですね、『は、食糧、その他の物品の代金として慰安婦たちに多額の請
    求をしたため、彼女たちは生活困難に陥った』と。高額所得者どころか、生活
    困難に陥ったと書いてあります」

    岩上「実際には、ピンハネをしていたと」

    能川「それがひとつと、もうひとつはインフレです。1500円と言っても、日本
    円で払ってくれていたわけではありません。ビルマですから、ビルマで日本軍
    が使っていた軍票で支払われていたわけです。この軍票というのは、地域によ
    ってはどんどんインフレを起こすわけです」

    岩上「日本軍の敗色が濃厚になっていくと、これは回収できない、と。お金に
    先々、回収できないだろうというので、軍票の価値がどんどん下がっていくわ
    けですね」

    能川「そういうことです。そういう点を無視して、しかも、20年前から明らか
    になっている資料なのに、新たに発見したと言って喜んでいる。これも、人々
    の無知につけ込んだ非常に悪質な、これはもうほとんど詐欺だと思いますね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※21)動画「テキサス親父 慰安婦は売春婦! 証拠はコレだ! とブチギレ
    の巻!」(【URL】http://bit.ly/1gbY0sI)

    (※22)「テキサス親父日本事務局ーテキサス親父の動画、癖、趣味、生活そ
    の他、テキサス親父に関する事をお伝えします」(【URL】http://staff.
    texas-daddy.com/)

    ===================================
    ◆レイシズムとセクシズムの混合◆
    ===================================

    能川「それから、その次ですね。西村眞悟という日本維新の会の議員が、昨年、
    『韓国人の売春婦はまだうようよいる。大阪で「お前、韓国人慰安婦だ」と言
    ってやったらいい』と発言して、さすがに除名されました(※23)。そして、
    これと非常によく似たことを言っているのが、在特会の桜井誠氏です。

     これは、鶯谷で、現代朝鮮人慰安婦5万人の即時追放、というようなことを訴
    えてデモをしたときのデモ出発前の集会の様子です(※24)。ここで彼が何を
    言ったかというと、要するに、今日本にいる朝鮮人売春婦が5万人いて、これ
    をなんとかしないと、時間が経ったらその連中がまた強制連行されたとかなん
    とか、日本人を責めはじめるぞ、というようなことなのです」

    岩上「そういうロジックで言っているわけですね」

    ・桜井誠氏(【URL】http://bit.ly/1kmLyIM)

    能川「で、即時追放しろと。実は、その朝鮮人売春婦というのは、彼ら在特会
    に限らず、いわゆる行動する保守の街宣を聞いていると、しょっちゅう出てく
    る言葉です。

     興味深いのは、彼らは、『現在、日本で売春をさせられている韓国人女性を
    引き合いに出せば、韓国政府に対して何か言い返したことになる』と、そう言
    っているのです。慰安婦問題に関して言い返したことになると、どうやらそう
    思っているらしいのですね」

    岩上「それで、これほど熱心なのですね。毎日のように、こういう街宣をやっ
    ていると」

    能川「西村眞悟議員についても、あの発言の背後には、そういう発想がおそら
    くあると思われます」

    岩上「つまり、韓国人というのは売春するものなのだ、と。ここにはレイシズ
    ム(人種差別)とセクシズム(性差別)の要素が入っていますね。韓国人が特
    殊だという差別観と、それから、女性蔑視ということが入っていて、彼らは、
    韓国人女性が金を要求するのだと、そう言っているわけですね。

     しかし、例えそうしたことが今日行われているとして、だからといって、過去
    の強制によって慰安婦にさせられた女性の叫びとか訴えというものが、無効化
    できるというのでしょうか」

    能川「彼らは、そう思っているのでしょうね。普通に考えれば、なんでそう思
    えるのか理解できないという方がおられるかもしれないですが、彼らのロジッ
    クは、そうなっているのです。これは、性暴力の問題に関してよく言われてき
    たことですが、典型的な売買春においても、売る側だけを問題視して買う側は
    問題視しない、ということです」

    岩上「そうですね。不思議でしかたがないのですが、似たようなことを言って
    くる人は、たしかにいます。僕のところにもツイッターで、例えば毎日のよう
    に、韓国人の売春婦がこんなにいるよといったことを書いてくる。それがめん
    どうくさくて、ブロックします。

     そうすると、同じ人間なのでしょうが、別のアカウントで別の名前でまた送っ
    てくる。ひっきりなしに、韓国人の売春婦が日本にいるということを言う。で
    も、それ以上のことは書いていないのですよ。何を言いたいのかが分からない。
    ただうっとおしいので、ブロックしていくのですが、彼らが言っていることの
    中には、この場合は買う人間がいるからでしょう、という話が欠落しているわ
    けですね」

    能川「そうです。例えば人身売買の結果として、日本で売春させられている韓
    国人女性がいたとします。彼らは、それは韓国政府の責任だと思っています。
    だからこそ、韓国政府に対して、何か言い返してやったことになると、そう思
    っています。ですが、このことは、韓国が人身売買の送り出し国であることと
    同時に、日本がその目的地であるということを意味しているわけですね。

     人身売買において、送り出し国だけに責任があって、目的地国に責任がない
    などという話は、21世紀の、この国際社会では一切通用しないです」

    岩上「そうですね。論外ですよね」

    能川「ところが、彼らは、それに気付かない。何故かというと、売春というの
    は、売る人間の問題であって、買う人間の問題ではないと思っているからで
    す」

    岩上「売る女の問題であり、買う男は免罪されるというセクシズム、性的差別
    ですね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※23)西村眞悟衆院議員は、2013年5月17日の日本維新の会党代議士会で、
    「韓国人の売春婦はまだうようよいる。大阪で『お前、韓国人慰安婦だ』と言
    ってやったらいい」などと発言。直後に記者会見して発言を撤回し、「党に迷
    惑をかけた」として離党届を提出した。日本維新の会は西村氏の発言が人権侵
    害にあたるとして、除名処分とした(西村衆院議員、党を除名へ「韓国人売春
    婦」発言で 朝日新聞、2013年5月13日【URL】http://bit.ly/1hZmRG0)

    (※24)動画「在特会 現代朝鮮人慰安婦5万人の即時追放を! 国民大行進
    in 鶯谷1」(【URL】http://bit.ly/1hZoZO3)

    ===================================
    ◆慰安婦問題の三位一体◆
    ===================================

    能川「ここまでくると、彼らがなぜあそこまで強制連行にこだわるのかという
    のが見えてきますね。どういうことかというと、彼らは、要するに、売春婦と
    いうのは堕落した存在だと考えているわけです。

     そして、売春婦というのは堕落した存在であるがゆえに、売春婦でない女性
    を売春婦にすることは悪いことだと、彼らもそうは思うわけです。だから、彼
    らが問題にするのは、ある女性が売春婦になった経緯についてだけなのです。

     それはまさに、強制連行だったかどうかだけを彼らが焦点化している事と、
    重なるところです。いったん売春婦になったら、彼らのロジックでは、そのあ
    とは関心を持たないわけですよ。どんな目にあおうが。すでに堕落した女だか
    ら、という話になるんです」

    岩上「被害部分に関しては、ですね。でもそうすると、ネトウヨが、ではなく
    て、安倍総理自体がそうですよ」

    能川「まあそういうことだと思います」

    岩上「強制連行のところだけにこだわっているわけですから」

    能川「これはよく、保守的な性道徳のダブルスタンダードということで指摘さ
    れますが、売春する女性に対する人権的な配慮というのは、非常に薄いですよ
    ね。これは、現代でもそうだし、その価値観を過去にも投影させているから、
    では慰安所でどういう生活だったのかというところに関心が向かないのでしょ
    う」

    岩上「そこで、先ほど記述されていたような、悲惨な暴力があったり、時には
    死に至らしめることもあったという点については、全く見向きもしない、と」

    能川「それは気の毒ではあったと、そこまでは彼らも思えるのでしょうが、じ
    ゃあその気の毒な事態に日本軍が責任あるのかということについては、彼らは
    理解できない。なぜそうなのかというと、それは、日本軍が売春婦にしたわけ
    ではないと彼らが思っているからです。日本軍のところに来た時にはもう売春
    婦になっていたというのが、おそらく彼らの発想だと思います」

    岩上「実際には違いますね。普通の生活を送っていた人を、騙して連れてきて
    売春婦にしたというケースがありますから」

    能川「ですが、彼らの論法では、騙したのは朝鮮人の業者じゃないか、となる
    わけですよ。そして、今の言葉で言うと、クライアントが日本軍であったとい
    うことについては、彼らにとっては問題とはならない。なぜかというと、売春
    は売る側の問題であって買う側の問題ではない、そう彼らは思っているからで
    す。

     これが、現代におけるセックスワーカーへの差別と、あるいはもっと一般的
    な女性差別と、この慰安婦問題否認論とをつなげるロジックではないかという
    のを私は考えています」

    岩上「なるほど。買っている男はまったく責められない。鶯谷というのは、確
    かに、昔からソープ街が多いところですね。吉原へ行く入り口の一つです。だ
    から、そういうところへ行って、嫌がらせをしているのでしょう」

    能川「実際、ここでも、自分たちのいる場所を説明しているなかで、『心当た
    りのある人もいるでしょうけど』と、軽口をたたいているんですよね。それは
    つまり、お前ら、ここで買春したこともあるんじゃないか、みたいなことを意
    味しているのでしょう。でも、そのこと自体は全然問題にしていないわけです
    よ」

    岩上「なるほど。しかも当然のことながら、日本人が一番多いですよ。日本で
    働いている人が。日本人の売春婦、という言葉をあえて使いますが、ソープ嬢
    の人とか、そういうことは問題にしていないわけですね」

    能川「ここでは問題にしていないですね」

    岩上「問題にしていないわけですね。二重の差別なんですね」

    能川「例えばこの在特会の演説であるとか、さきほどの西村眞悟議員の発言は、
    あまりにも下品なので、『私はそんなことない』というように思っている、河
    野談話見直し派の人もいるかもしれません。

     それでも、強制連行だけを焦点化して、問題にして考えるという発想自体が、
    結局はこういうところにつながっていきませんか、ということを申し上げたい
    わけです」

    岩上「なるほど。やはり売る女性を差別するような目線というのは、買う側の
    男との同意があろうがなかろうが、問題として捉えなければならないし、そこ
    に国籍の違いとか民族性の違いなどあるのか、それは違うでしょう、というこ
    とも見なければいけないわけですね」

    能川「だから、慰安婦問題というのは、本当に、レイシズムとセクシズムと歴
    史修正主義がほとんど三位一体になっているような、そういう問題だろうとい
    うふうに思いますね」

    ===================================
    ◆石原慎太郎氏は問題発言の総合商社◆
    ===================================

    岩上「それが民族憎悪につながったりする、あるいは極端に言うと戦争にまで
    つながりかねない。といっても、これはほんらい戦争の結果もたらされた問題
    のはずなのですが、次の戦争を呼び込みかねないぐらいの憎悪や嫌悪を煽って
    いるわけですよね」

    能川「そうなのです。まさに、ある種のフィードバック効果が生じていて、彼
    らの言い分では、『韓国人はうそつきだ、何故か。慰安婦問題を捏造している
    じゃないか』となるわけです。歴史修正主義がレイシズムの口実にされていま
    す。

     そしてそれが逆に、『そんな慰安婦の証言なんか信じられない。何故か。韓
    国人はうそつきだからだ』となり、今度は、レイシズムが歴史修正主義の根拠
    になっている。そういう形で歴史修正主義とレイシズムが互いに強化しあいな
    がら、さらには、自分たちの被害者意識まで強めているわけですよね。捏造さ
    れた問題で責められている、と。非常に悪循環が生じているというように思い
    ます」

    岩上「逆に、そうやって分析していくと面白いですね。さきほどのテキサス親
    父というのがいましたが、テキサス親父という、自分たちの味方を見つけで喜
    んでいるという話でしたね。

     でも、これがおっさんで、そして白人で、テキサス、つまりアメリカだと。
    で、アメリカの非常な保守層だと。そのアメリカの保守層の男が、俺たちの味
    方だぜ、というわけですか」

    能川「ある意味、象徴的ですね」

    岩上「象徴的ですよね。背景にうっすら見えるのは日米同盟であるし、こうい
    う頼もしい味方がいて、俺たちの後押しをしてくれるのだったら、俺たちも心
    細い思いをせずに言いたいだけ言っても、まったく構わないのだという、援軍
    を得たような気持ちになっている」

    能川「しかもこれ、非常に示唆的なのは、字幕で、『日本人の基準に照らして
    も、白人の基準に照らしても、綺麗じゃない』というように書いてありますね。
    実際、それに近い記述が、実は尋問調書のなかにあって、なぜそんなことを書
    いたのかがよくわからないのですが」

    岩上「綺麗じゃないというのは、何が綺麗じゃないのでしょう」

    能川「顔つきが、ですね。なんでこんなものを引き合いに出すのか。これはや
    はり、彼らのセクシズムとレイシズムですよね。だって、こんなことは慰安婦
    問題を論じるのに、まったく関係のない部分ではないですか。

     だけれど、彼らはこれを言わずにはいれないのですよ。朝鮮人が不細工だと
    言われているのがうれしくてたまらないのです。そういう心理ですよ。だって、
    常識的に考えれば、そんなことを英語で発信したらむしろ日本は不利になると
    考えるのが当たり前じゃないですか。

     なぜわざわざそういう差別的なことを言うのかということになるわけですが、
    彼らはこれが言いたくてたまらないのです。それはやはり、彼らのレイシズム
    とセクシズムがその背景にあるということでしょう。

     ちなみに、このテキサス親父は、例のグレンデール市の慰安婦像、あそこま
    で日本人二人と行って、その像にいたずらするという所業もやっています。

     それも動画が残っています。というか、自分たちで撮ってそれを公開してい
    ますから」(※25)

    ・慰安婦像にいたずらするテキサス親父(【URL】http://bit.ly/1lVWBKt)

    岩上「なるほど。ほお。これはまあ、しかし、アメリカ人でなかったならば、
    彼らとしてもこんなには喜べないですよね」

    能川「そうですよね。石原慎太郎さんも、次のようなことを言っています(※
    26)。

    『日本軍が南京で大虐殺を行なったと言われていますが、これは事実ではない。
    中国側の作り話です。これによって日本のイメージはひどく汚されましたが、
    これは嘘です』」

    岩上「なるほど。石原慎太郎さん、1990年のアメリカのプレイボーイ誌でのイ
    ンタビューですか。だから英語になっているのでしょうね。『日本人が南京で
    大虐殺を行なったと言われるが事実ではない。中国人が作り上げたお話であり、
    ウソだ』と全否定ですね」

    能川「ちょっと注意していただきたいのは、例えばさきほど画像で見た在特会
    の問題のように、一つは、レイシズムというのがあたかも新しい現象であるか
    のように語られることです。ヘイトスピーチというのが流行語になったりする、
    ということがありますよね。

     もちろん、例えば21世紀の日本のレイシズムが新しい装いをとっている、と
    いう側面は確かにあって、そこに注目していくことは非常に重要だとは思いま
    すが、同時に、そのレイシズムにしても、歴史修正主義にしても、昨日今日始
    まった問題ではなくて、実は非常に長く続いている問題だということです。

     それを象徴する人物として、石原慎太郎氏に注目して、彼の発言をピックア
    ップしてきたわけです。1990年ですから、今から二十数年前ということにな
    る」

    岩上「四半世紀前ですよね」

    能川「これ以前にも彼はいろいろ問題発言していますが。もうひとつレイシズ
    ムがらみではもう有名になっている、あの三国人発言(※27)がありますよね。
    これは、日本におけるレイシズムを語るうえで、絶対に無視することはできな
    いものです。公人が公然と在日外国人を敵視して、関東大震災のあとの朝鮮人
    虐殺を誰もが連想せざるを得ないような発言をしたと、そういう問題ですよね。

     しかもそのことによって、彼がなにか責任を取らされたかというと、そんな
    ことはなくて、最後は途中で辞めましたが、四回も都知事に当選しているわけ
    です。

     つまり、日本国民や有権者は、彼らのそういう発言を、結果として許容して
    きたという問題があります。積極的に支持したのか否かは別として、少なくと
    もOKだと思っていたと、許容できると思っていたと、そういうことですよ。そ
    ういう意味で、根が深い問題だということですよね」

    岩上「こちらは、2005年11月3日、ワシントン市内での講演(※28)で、『も
    っとも数多く殺したのは国民党蒋介石の軍だ、と。当時の日本の装備で6週間
    に40万人殺せるわけがない』というように、また人数について言っているわけ
    ですね」

    能川「そうですね。もうひとつ、我々はよく、『はずがない』論法と言ったり
    するのですが、当時の日本の装備では殺せるわけがない、という言い方をして
    いますよね。要するに、これは、資料に基づいて事実がどうであったかという
    ような議論をするのではなくて、なになにできる『はずがない』、と。さっき
    の百田氏のツイートにあった、日本人の民族性からいってこんなことができる
    『はずがない』、というのもそうですが、事実を問題にはしていないですよね。
    ある観念を出発点にして、できる『はずがない』と否定している。

     これも、当時の日本の装備で6週間に40万人殺せるわけがない、と言ってい
    ますけど、勝手に40万人にハードルをあげているのも問題ですが、例えば、よ
    く引き合いにだす話なのですが、ルワンダの虐殺だって、そんなに高性能な自
    動小銃でびっしり重武装した人々が殺したというわけでは必ずしもないですよ
    ね。

     それこそ銃剣一つで人は殺せるわけで、それを殺せる『わけがない』といっ
    て、ではなにかそこに実証的な根拠があるのかというと、まったくない。それ
    なのに、ある種の分かりやすさがあるがゆえに、頻繁に繰り返される論法のひ
    とつになっているのです。

     もう一つ指摘しておくと、『40万人』という、それほどポピュラーではない
    犠牲者数の主張は、?介石が彼の回想録の中で行なっているものなのですが、
    この回想録、『?介石秘録』が連載されたのは、他ならぬ産経新聞紙上なんで
    す。

     単行本もサンケイ新聞社から出ていて、1976年刊の第12巻、70ページに『犠牲
    者は三十万人とも四十万人ともいわれ』とあります。冷戦時代に日本の反共右
    派は?介石がこのような主張を行なうことを許容していたわけですね。

     他にも、慰安婦問題でも、もう本当に、なんというか、問題発言の総合商社
    のような人ですから、あげれば数限りないのですが。まあ、要するに、日本の
    有権者が長らくこの人を政治家として許容し続けてきたということは、今一度、
    見つめなおす必要があるのではないかな、と思います」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※25)動画「テキサス親父 グレンデールの朝鮮売春婦像に親父の珍抗
    議!?」(【URL】http://www.youtube.com/watch?v=daiH57EJDLs)

    (※26)インタビューにおける石原慎太郎の発言。月刊『プレイボーイ』日本
    語版、1990年11月号、33ページ。南京事件調査研究会『南京大虐殺否定論13の
    ウソ』(柏書房、1999年)76ページでこの発言がとりあげられている。

    (※27)石原慎太郎氏は東京都知事時代の2000年4月9日、陸上自衛隊練馬駐屯
    地創隊記念式典での演説で、「今日の東京を見ますと、不法入国した多くの三
    国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。こういう状況で、すごく
    大きな災害が起きた時には大きな大きな騒擾(そうじょう)事件すらですら想
    定される」と発言した。(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1jVCzRX)

    (※28) アメリカのシンクタンクCSISでの講演。題は“Japan’s Future
    Potential”.下記URL で講演の録音を聞くことができる。問題の発言は開始約
    7分から。(【URL】http://bit.ly/1r8DIXr)

    (その4へ続く)

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