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    原発問題 -The Truth is Out There-

      : 

    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    IWJ特報 第137号 日米原子力協定に迫る 元外務省審議官 遠藤哲也氏インタビュー(その4) 

    第137号
    ──────────────────
    岩上安身のIWJ特報!
    日米原子力協定、その交渉の舞台裏に迫る
    元外務省科学審議官・遠藤哲也氏インタビュー(その4)
    ──────────────────
    (IWJより転送許可済み)

    ----------------------------------------------------------------------
    ◆ 付録1:2012年10月4日 日本記者クラブ 遠藤哲也氏 講演 

    司会「それでは、時間になりましたので、今日の会見、研究会を始めます。今
    日は、一橋大学客員教授の遠藤哲也さんにお越しいただいています。

     遠藤さんは、かつて日米原子力協定の締結交渉で、日本側の代表を務められ、
    国際原子力機関IAEAの本部があるウィーンで、国際機関の代表大使をお務めに
    なり、最近の当クラブでは、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)の委
    員として、2月にお越しいただきました。外務省ご出身ですが、原子力、核の
    問題に長年関わってこられたキャリアをお持ちです。

     原発、原子力の問題は、エネルギー安全保障に関わる問題であると同時に、
    国際的には、核物質の国際的管理、つまり、核不拡散、あるいは最近では、核
    を用いたテロを阻止する、そういうグローバルセキュリティの問題と、表裏一
    体として考えられています。

     こういう視点は、日本国内ではあまり意識されていませんけれども、日本は
    これまで、世界の中では唯一、核兵器を持たない国として、使用済み燃料の再
    処理などを認められてきた国で、核物質の国際的な管理体制の中では、非常に
    ユニークな位置づけにありました。

     そのため、野田政権が『2030年代に原発稼働ゼロを目指す』と宣言した時、
    IAEAには、『使用済み核燃料を再処理して出てくるプルトニウムを消費しない
    まま、どうするのか』と説明を求められるということもありました。これが、
    国際的な枠組みの中での原子力問題の一つの側面です。

    また、日米間の問題としては、9月に発表された、リチャード・アーミテージ
    とジョセフ・ナイのレポートの中で、『原子力分野での日米の協力、継続推進
    が必要である』と強く指摘されています。

     こういうグローバルな核管理体制、あるいは核をめぐる国際政治、世界の安
    全保障との関連で、原発の問題を考える必要もあるだろうということで、今日
    は、ふだん日本のメディアの多くが、あまり意識していない視点を補っていた
    だくということで、遠藤さんのお話をうかがいたいと思います。

     また、今日は、遠藤さんがかつて文献でまとめられた『日米原子力協定の経
    緯と問題点』という冊子をご持参いただきましたので、ご希望の方は、後ほど
    お申し出ください」

    遠藤「ただ今ご紹介いただきました、遠藤でございます。今日の課題は、『日
    米原子力協定と日本政府の原発ゼロ政策との関係』ということですが、便宜的
    に、三つに分けてお話し申し上げたいと思います。

     一つは、日米原子力協定とは、どのように成立し、何が問題であったかとい
    うことです。これが締結されたのは、1988年ですから、30年近く前のことで、
    そろそろ満期が近づいています。

     次に、日米原子力協定が、いったい今後どうなるのかということです。

    最後に、日本が今行っている核燃料サイクルと原発ゼロ政策との関係です。こ
    れは今後どうなるのか、核燃料サイクルの結果、出てくるプルトニウムの取り
    扱いはどうするのか。このことは、日米原子力協定と非常に密接に関係してい
    るので、お話し申し上げたいと思います。

     ではまず、日米原子力協定についてお話しします。

    日本が原子力を導入しようとしたのは、1950年代です。最初は、核燃料、ウラ
    ン、資機材、原子炉、また部品なども、すべてアメリカから供給を得ていまし
    た。

     ところがアメリカは、日本に対して、ウラン燃料、資機材などを供給する代
    わりに、『核不拡散をきちんと守らなければいけない』という要求を非常に強
    く出してきました。

     例えば、日本が使用済み燃料を再処理する場合、いちいちアメリカの許可を
    取るようにと言ってきました。『許可』という言葉は使わず、『共同決定』と
    いう綺麗な言葉になっていますけれども、共同決定というのは、片一方がノー
    と言えばノーなのであって、事実上の拒否権なのです。

     このように、アメリカからの協力を得る代わりに、アメリカの強い核不拡散
    への規制権を認めるということが、この協定の中に書かれているわけです。

     こうして、日本の原子力は、少なくとも黎明期の時代には、アメリカとの関
    係において、発展してきました。例えば、福島第一原子力発電所の原子炉は、
    GE製です。また、原子燃料の濃縮ウランは、今は若干、いろいろなところから
    買っていますけれども、当初はすべてアメリカから買っていました。その理由
    は、当時はアメリカしか供給能力がなかったということと、アメリカのウラン
    が安かったということもあったと思います。

     アメリカの核不拡散政策は、元々強い要求を持っていましたが、ある時期か
    ら、さらに強化されてきました。きっかけは、1974年のインドの核実験でした。
    この実験を契機に、世界に核拡散が広まって、核兵器を持つ国が増えてくるの
    ではないかと考えたわけです。

     その頃、たまたま日本は、動力炉・核燃料開発事業団、通称動燃によって、
    東海村に再処理実験設備を作り、それを可動しようとしていました。高い金を
    かけて、設備を作り、いざ運転に入ろうとしていたのです。

     それに対して、アメリカは『ちょっと待て』と言ってきました。日本が再処
    理をすることに、アメリカとしてはイエスと言いかねるというわけです。時の
    総理大臣は、福田赳夫さんでした。そして日本全体が挙国一致のように、アメ
    リカに対して、『けしからん』と言い始めました。『何とか東海の再処理工場
    を動かしたい』と申し入れましたが、アメリカは条約を盾にとって、『アメリ
    カとの共同決定であるから、イエスと言いかねる』の一点張りです。

     その後、いろいろと交渉がありましたが、結局、『1年間に少しの量ならい
    いだろう』という条件つきの許可を得たのです。

     しかし、このように、アメリカのさじ加減で、日本の原子力の平和利用が左
    右されるのは、大変困るということで、日本は、何とかして、そういう個別同
    意の形式から、一般的な包括同意にしたいと考えました。一つの枠の中に入っ
    ている活動であれば、事前に許可するという、形式上はたしかに規制権が残っ
    ているけれども、実際は、日本の原子力活動を自由にしたいという考えです。

     この交渉が1980年代に約10年近くありました。アメリカはその間、頑として
    反対したのです。反対理由は二つあって、一つは、日本にプルトニウムの扱い
    を自由にさせることはできないということ。もう一つは、日本だけに、プルト
    ニウムを自由に使っていいと言えば、ほかの国に影響し、アメリカの核不拡散
    政策に非常に大きな影響を与えるということです。

    この交渉は非常に長い間かかりましたが、結論だけ申し上げると、日本に対し
    ては包括同意を認めるという決定がなされたわけです。

     しかし、決定がなされたものの、アメリカには二つの機関での反対がありま
    した。一つは、国防省。もう一つは、アメリカ合衆国原子力規制委員会、つま
    りNRCです。

     国防省には、日米原子力協定の期間が30年なので、『30年間も日本に自由を
    与えたら、何をしでかすかわからない。だから従来通り個別許可で、アメリカ
    のさじ加減で行いたい』という主張がありました。

     NRCの反対理由は、『たしかにIAEAの査察がかかっているが、IAEAの査察は
    まだ不十分である。したがって、査察がきちんとできるまでは反対』という、
    かなり技術的なことです。

     それを押し切ったのが、レーガン大統領です。レーガン大統領の時代は、貿
    易摩擦が非常に激しい時代でした。1980年代ですから、まさに日本の対米黒字
    の時代だったのです。ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、例えば、ハリ
    ウッドの映画会社を日本が買うとか、ロックフェラーセンターのビルを買うと
    か、そういった経済問題での日米摩擦が非常に激しかったのです。

    時は冷戦時代。中曽根総理の『不沈空母』発言があった頃です。そして、中曽
    根は、レーガンと個人的にかなり親しい関係であった。レーガンは、『日本は
    大丈夫だ。やはり我が同盟国として優遇しなくてはいけない』と判断したので
    す。

     一方、日本には当時、最近亡くなった、マンスフィールドという大使が駐在
    していました。彼は民主党系の大使ですけれども、共和党政権になっても大使
    留任となりました。民主党の院内総務を務めた人ですから、議会に非常に影響
    力のある人で、この協定を東京からバックアップしてくれました。つまり、自
    分の旧知の上院議員、下院議員に、『日本に自由を与えてもいい』と、手紙に
    書いてくれたのです。そのようなこともあり、行政府部内は収まったわけです。

     ところが、今度は、これが議会に提示されました。議会承認を求めるという
    わけです。

    アメリカには、核不拡散議員といって、核不拡散に非常に強硬な議員がいたわ
    けです。例えば、元宇宙飛行士だったグレン上院議員、それからクランストン
    上院議員。主として民主党系が多いのですけれども、そういった上院議員が
    『プルトニウムは悪だ。あんなものは、核兵器国以外には渡してはいけない』
    という論陣を張って、非常に困ったわけです。

     しかし、幸いにして、上院のこの種の協定は、積極的な賛成は必要なく、90
    日上院にさらしておいて、反対がなければ、自動承認するということになって
    いるので、無事、通ったわけです。これが1988年のことです。これで日本は、
    再処理などの原子力サイクルを、事実上、自由にできるようになった。こうい
    う経緯があるわけです。

     ちなみに、アメリカの民主党、共和党は、たしかに若干の違いはありますが、
    基本的には、核不拡散を主張しています。つまり、核は、今は若干増えていま
    すけれども、5カ国で守りたいということです。

     ちょっと余談になりますけれども、私は冷戦の終末期に、IAEAの大使を務め
    ていました。冷戦中ではあっても、当時のアメリカとソ連は、原子力について
    は、完全に握手していたわけですね。ほかのことではチャンチャンバラバラし
    ていても、原子力については、俗な言葉で言えば、2人の親分が手を握って
    『核を2人で独占していこう』と言っていたのではないかと思います。

     日本は、拠出金からいえば、二番目だったのですけれども、P2が固まって、
    その中心になって物事を動かそうとするので、私も、『ここはP2でもなければ
    P5でもないんだ』と思いました。日本が原子力を平和利用する国だといっても、
    現実には、そうはいかない。人事でも、事務次長に、アメリカの指定席がある
    んですね。ソ連にも指定席がある。非常に米ソの結託が強かったのです。

     さて、こうして協定ができたので、日本は六ヶ所再処理工場の建設にとりか
    かりました。

     当時は使用済み燃料を、イギリスかフランスに送っていたのですが、それに
    も、いちいちアメリカの許可が必要だったわけです。再処理するのが目的です
    から。現実には、そのアメリカの許可がなかなか出なかったりして、当時の電
    力会社は非常に困っていたのですが、そういう不都合がなくなった、つまり、
    事実上、自由にできるようになった。

     それから二十数年の間、うまくいっていたので、日米原子力協定は、空気の
    ような存在になって、誰もありがたみを感じていませんでした。電力会社の人
    でさえ、もうそんな昔話は、全然知らないわけですね。

     ところが、先ほど申し上げた通り、この協定の任期は30年なんです。したが
    って、2018年の8月に満期が来るわけです。二番目のテーマ、日米原子力協定
    はこれからどうなるかという話です。

     協定は、満期が来たらすぐに失効するわけではなく、破棄するには、6カ月
    前の事前通告がいります。しかし、2018年になると、アメリカはいつでも、
    『もうこれはやめよう』と言える立場にあるわけで、日米原子力関係は、非常
    に不安定になります。私は、これではまずいのではないかと思います。

     ちょっと話が前後しますが、なぜアメリカは、日米原子力協定で規制権をか
    けてくるのかというと、アメリカの原子力法で、アメリカで濃縮したウランに
    は、未来永劫にアメリカ産という旗が立っていて、旗が立っているものに対し
    ては、規制権をかけるということになっているからです。これは1カ国の法律
    なので、非常にどうかとは思うんですけれども。

     今はたしかに、アメリカからのウランの供給は減って、ロシアやフランスな
    どが参入していますけれども、アメリカのウランは、再処理をしても何をして
    も、とにかく最初に出発点がある以上、未来永劫につながるわけです。濃縮ウ
    ランのフローはかなりアメリカから減ってきていますが、ストックフローだと、
    やはり7割から8割ぐらいまで、アメリカの旗が立っているわけです。

     一つ、日本とは関係ない話を申し上げます。それはお隣の韓国の話です。韓
    国も米韓原子力協定を結んでいます。それはどんな協定かというと、1988年以
    前の日米原子力協定とほぼ同一です。再処理については、アメリカの許可がい
    ります。

     ところが、韓国は、今は二十数基の原子力発電所を持っていて、使用済み燃
    料がどんどん出ていて、それを持っていく場所がなくなってきています。そこ
    で韓国は、それを再処理したいと、アメリカにお伺いを立てたのですけれども、
    アメリカはだめだと言うわけです。『使用済み燃料再処理の許可を与えている
    のは、核兵器国は別にして、非核兵器国では日本だけだ。ほかの国には渡さな
    い』と頑張っているわけですね。

     しかし、韓国は『そんなことを言われても、使用済み燃料が溜まって、持っ
    ていくところがない。日本だってやっているじゃないか』と言うわけです。
    『日本の六ヶ所再処理工場のような形の再処理ではなく、核兵器に転用しにく
    いような乾式再処理でやりたい。何とか許可してくれ』と言うんですけれども、
    アメリカは今のところ、頑として聞かない。

     したがって、これは米韓の非常に大きなイシューになっているわけです。不
    幸なことというか、韓国の米韓原子力協定が切れるのが2014年なんです。日本
    は先ほど申し上げた通り、2018年。交渉に相当時間がかかりますから、だいた
    い同じ頃になるわけで、アメリカとしても、日本にはイエスと言って、韓国に
    ノーと言うのは、非常にきついところがあると思うんですね。

     アメリカの立場からすれば、同じ同盟国であり、米韓の動きが、日米の原子
    力協定の動きにも非常に関係してくるのではないかと思うわけです。

     そこで、日米原子力協定の今後の話に戻ります。日米原子力協定には、もち
    ろん協力など、いろいろなことが書いてありますが、中心は、サイクル協定な
    んです。つまり、再処理を許すかどうか、再処理をどう扱うかということが中
    心になるわけで、それほどアメリカは、プルトニウムを気にしているというこ
    とです。

     では、なぜ日本にだけ認めてくれたのかというと、先ほど申し上げたように、
    個人的には、レーガン・中曽根を軸とする、あるいは基礎とする日米の信頼関
    係があったからだと思います。もう一つの理由は、日本が過去何十年間か、
    IAEAの規定措置をきちんと守っていたという信頼があったからですね。そうい
    ったことが基礎にあると思うわけです。

     この間、新しいエネルギー環境会議が、新しいエネルギー政策を決定する段
    階の前後、アメリカに説明に行きました。アメリカはそれに対して、いい意味
    で不安を示したと言えると思うんです。不安、あるいは不信感と言ってもいい
    ですね。それにはいくつかの理由が挙げられると思いますが、順序をつけずに
    お話しします。

     一つは、これが実は、一番大きいことなので、あとでもっと詳しく申し上げ
    ますけども、エネルギー環境会議は、日本は今後とも再処理をするという決定
    をしているということです。では、出てくるプルトニウムは、どこに使うのか。
    片一方では、原発ゼロに向かうとしているので、原発がなくなっていく。した
    がって、軽水炉原発ではプルトニウムが使えなくなる。プルトニウムを使い得
    るのは、もんじゅのような高速炉だけれども、もんじゅは研究段階であり、研
    究が終わったらやめるということです。そのあとはどうするのかという問題が
    あります。

     従来は、高速増殖炉を建設するはずで、少なくとも期待していたわけですけ
    ども、それは何も書いていない。『すると、再処理から出てくるプルトニウム
    は、いったいどこに使うんですか』というアメリカの質問が出たと思います。
    私はもはや政府の者ではないですから、わかりませんけれども、おそらく説明
    に行った人は、答えられなかったと思うんですよ。同様の不信感がIAEAからも
    出たと承知しています。

     他方、イギリスとフランスはどうか。これも後で申し上げますけれども、イ
    ギリスとフランスの大使が官房長官のところへやってきて、イギリスとフラン
    スには、相当量のプルトニウムと再処理した結果の高レベル廃棄物が残ってい
    て、『それを引き取ってくれるんだな』と言ったという。

     プルトニウムについては、前から『早く引き取ってくれ』と言っていたとい
    うのですが、日本が原子力をやめると言い始めたものだから、『本当に引き取
    ってくれるんだな』という要請が英仏大使からも来ているというのです。関係
    国から、日本政策に対して、ことにプルトニウムに関して、非常に不信感、不
    安感が出てきたといいます。

     次の理由です。日本では、たしかに原発が減っていくという気もしますけれ
    ども、世界全体で見ると、原発は決して減るわけではなくて、スピードはルネ
    ッサンスの頃よりはるかに落ちるとは思いますけれども、ある程度のスピード
    で増えていくと思います。

     特に、インド、中国、ベトナム、それからやがて東南アジアにも増えると思
    います。中東では、もうすでにUAEが始まっていますし、トルコ、サウジアラ
    ビアも、近く態度を決めるという。中近東は、金のあるうちに原発を作ろうと
    いうことで、非常に増えていく。

     中期的には、こういう状況が描かれると思うんですね。そういう状況で、ア
    メリカにしてみれば、同盟国である日本が、少なくとも、原子力技術と不拡散
    という実績のある日本が脱落してしまうのは、非常に困るということでしょう
    ね。世界的にも、アジアでも、頼りにしていたパートナーが消えていく。もっ
    と実利的に言えば、アメリカのGEと日立、あるいはウェスティングと東芝など、
    共同体を作っていたのに、片一方の将来がどうなるかわからないというのは困
    る。

     もう一つ、原子力は発電ばかりじゃなくて、やはり核融合ですから、高度原
    子力技術についての世界の先進国というのが、日本とアメリカとフランスだと
    いうことです。

     原子力発電をやめる時には、廃炉があるから、廃炉過程にはいい人材が来る
    はずだといわれますが、私は、そんなことは絵に描いた餅のようになるんじゃ
    ないかと思います。ソ連が崩壊して、ソ連の核兵器を解体する作業が始まった
    時、我々が一番恐れたのは、ソ連の核兵器を作った技術者、その中心的な技術
    者が、どこかにスカウトされてしまうということでした。やはり、非常に優秀
    な技術者は、ものを作ることは面白がると思いますけれども、それを解体する
    という、創造的ではないネガティブなものに、本当に優秀な技術者が集まるん
    だろうかと恐れたわけですね。

     そこで我々が何をしたかというと、ロシアの場合は、アメリカと日本とEUが
    金を出して、技術センターを作って、クビになるソ連の各技術者に仕事を与え
    ようという、作業プロジェクトを始めたわけです。

     このように、いくつか理由があると思いますが、一番大きな直接の原因は、
    プルトニウムをどうするのかという問題です。

     私が非常に心配しているのは、今後、こういう国に、包括同意、プルトニウ
    ムについて何をしてもいいという権利を与えてくれるのかということです。そ
    れは、共和党が勝とうが民主党が勝とうがあまり関係なく、起こり得る、日本
    にとっては困った事実で、私は、脱原発などは関係なく、やはり包括同意を取
    りたいと思います。しかし、アメリカは『こんな国にプルトニウムを自由にさ
    せては、大変だ』と言ってくる可能性があるような気がする。

     それでは、今、プルトニウムの状況はどうなっているのかということを、申
    し上げたいと思います。

     プルトニウムについては、供給と需要の二つに分けて考えればいいと思いま
    す。

     イギリスとフランスに再処理を頼んで、でき上がったプルトニウムは、大雑
    把な数字ですけれども、11.2トンずつです。これは、核兵器に使い得るプルト
    ニウムのことです。日本国内には、たしか6トンぐらいプルトニウムがありま
    す。したがって、今すでに、約30トン弱のプルトニウムがあるわけです。六ヶ
    所再処理工場がフル稼働した時には、どのぐらい出てくるかというと、1年に
    だいたい4、5トンぐらいだと思います。これは最高値で、現実にそこまでいく
    かどうかわかりませんけれども。これが日本のプルトニウムの供給サイドです
    ね。

     他方、ではどこでそれを使うのかという、需要の問題があります。

     日本では、平成15年頃だったと思いますが、『利用目的のないプルトニウム
    は持たない』という原子力委員会の決定がありました。つまり、余剰プルトニ
    ウムは持たないという決定をして、これを内外に宣言したわけです。『利用目
    的がない』というのは、抽象的な言葉ではなく、『再処理をする時には、こう
    いう量を、こういう目的で、どこで使うために』という、厳しい条件をつけた
    利用目的であるわけです。その条件を満たすものの一つが、プルサーマルです
    ね。

     再稼動が問題になっている大間が、仮に稼働すると、大間はプルトニウムウ
    ランの燃料を100%使うフルMOXですから、だいたい1年に1.1トン、プルトニウ
    ムを使えるわけです。それから、従来の軽水炉が、大きさによりけりですが、
    0.3から0.4トン。私が原子力業界にいた時は、2010年までに、50何基の軽水炉
    のうち、約3分の1、つまり16から18基はプルサーマルを行うということを期待
    していました。したがって、その16〜18×0.3〜0.4は使ってくれると考えてい
    ました。

     大間+その他の従来の軽水炉16基18基が動くとすれば、だいたい六ヶ所再処
    理工場から出てくるプルトニウムは全部使用できるということです。

     しかし、そうなると、イギリスとフランスはどうするという話になるわけで
    すね。イギリスとフランスとの約束では、プルサーマルは英仏を先に使うとい
    うことになっているわけです。英仏のプルトニウムをMOXにして、それを持っ
    て帰ってくると。

     したがって、六ヶ所再処理工場は、どう動かしたらいいのかということにな
    る。余剰プルトニウムを持たないと、内外に宣言した以上、どうするべきか。

     やはり私は、そこで高速炉が必要になるのではないかと思います。

     プルサーマルは、決して効率のいい方法ではないんです。本来、高速炉への
    つなぎというか、中間措置であって、経済性もあまりよくない。いずれにして
    も、高速炉への橋渡しという性格が強いという状況なんですね。

     そうなると、いったいアメリカにどう説明したらいいのかということになる。
    しかし、説明しなければ、包括同意をやめて、個別同意に変わる可能性がある。
    個別同意になったら、私は、六ヶ所再処理工場は、潰れると思います。稼働状
    況について、アメリカにいちいち伺いを立て、それも議会の許可がいるわけで
    すから、それでは経営としてはおそらく成り立たないのではないかと思います。

     したがって、今、日本がすべきことは、六ヶ所再処理工場から出てくるプル
    トニウム、あるいは英仏にあるプルトニウムを消費するということです。『や
    ります、やります』と言うだけではなくて、だいたいでいいから、数字を挙げ
    た説明がいるのではないかと思うわけです。

     最後に、私の意見を申し上げます。短期的には、大間を早く稼動する。それ
    から、従来の軽水炉、例えば、関西電力の伊方、美浜だったかな。それから九
    州電力の玄海、これらにはもうプルトニウムが入っているわけです。MOXが。
    プルサーマルがもうできるようになっています。要するに再稼働すればいいわ
    けです。安全性がクリアされた再稼働の時には、プルサーマルを優先するとい
    うことが、短期的展望ですね。

     中長期的には、やはり高速炉を考える。高速炉は、非常に多くのプルトニウ
    ムを必要とするんです。いったん入れたら、もうあれなんですけれども。先ほ
    ど申し上げたように、この間のエネルギー環境会議の決定には、もんじゅは研
    究が終わったらやめるとある。そのあとのことは、何にも書いていないわけで
    す。何も書いていないから、イエスもノーもあり得るので、それはイエスのほ
    うと理解して、高速炉の建設を考える。

     また、私は、今、細野豪志さんに依頼された、私的な研究会で、サイクルの
    国際化を検討しています。なかなかいいアイディアが出てこないんですけれど
    も。

     世界、またIAEAを中心とする原子力の流れとして、再処理、サイクルは、な
    るべく広げないようにしようということになっています。これは原発、核兵器
    に直結していますから、なるべく数を減らそうという動きがあるわけです。原
    発はやがて世界中に増えていく。すると再処理、使用済み燃料の処理が必要に
    なってくる。その時のために、再処理、あるいは濃縮を、なるべく限定された
    ところで行うということです。

     日本には、せっかく技術があるのだから、何かできないだろうかという検討
    会です。私見を申し上げると、経営管理層が国際化してもいいと思います。つ
    まり、日本が必ずしも重役陣に外国人が来たっていいじゃないかとさえ思いま
    す。または、よその国の使用済み燃料を引き受けて、再処理して、返してあげ
    るということも考えられます。

     私は、プルトニウムバランスを、日本だけで考えるのではなく、もう少し広
    い範囲で考えるということも、中期的には考えられるのではないかと思い、目
    下、検討中です。これは、今年の暮れぐらいにできればという約束なので、仕
    上がりましたら、またご報告申し上げます。

     今後、日本政府は、再処理を行う、そしてどのように行うかという、合理的
    な説明をしていく必要がある。それができないと、非常に困った状況が出てく
    るような気がいたします。

     以上で、私の今日の話を終わらせていただきまして、残りの時間は、もしご
    質問、あるいはサジェスチョンがありましたら、ぜひうかがいたいと思います。
    どうもご静聴ありがとうございました」

    司会「遠藤さん、どうもありがとうございました。それでは、フロアに質問す
    る前に、補足で伺いたいのですが、今の多国間の再処理、核燃料サイクルの中
    に、日本のファシリティを組み込むということですね。

     これについては、かねてIAEAが国債核燃料バンク構想、あるいはアメリカが
    GNEP(Global Nuclear Energy Partnership:国際原子力パートナーシップ)、
    あるいはロシアが核燃料センターなどと、いろいろなことを言っています。基
    本的に、再処理をして、核燃料をサプライするサプライヤーを限定したいとい
    うことでは、米ロもIAEAも一致しているということですよね。

     アメリカがやろうとしてきたGNEPは、現在どういう状況にあるんでしょう」

    遠藤「大統領が変わってから、動いていませんね。実は私は、IAEAの国際化諮
    問委員会の委員を務めていますので、その立場から申し上げますと、結局、フ
    ロントエンドとバックエンドの二つに分けると、フロントエンドは、濃縮なん
    ですね。それは割と楽なので、濃縮は若干始まっています。ロシアが着手して
    います。燃料バンクは、バーチャルなものですけれども、IAEAを中心にして行
    っている。ところが、バックエンドは難しいから、結局、必要だという認識は
    あるんですけれども、それ以上出ていないんです」

    司会「はい、わかりました。それではフロアからの質問に移りたいと思います。
    いかがでしょうか」

    朝日新聞「朝日新聞の高橋と申します。お話ありがとうございました。プルト
    ニウムの処理なんですけれども、一部の報道で、イギリスはすでに、自国が持
    っているプルトニウムの直接処分を決めて、用地の選定なども最終段階にある
    と聞きました。

     それで、イギリスが日本のプルトニウムを、もちろんコストはかかるんです
    けれども、有償で引き取るということです。私はその情報の真偽についてはよ
    くわからないのですが、そういう可能性はあるんですか。

     プルトニウムを、使わずに捨ててしまうということは、国際的な検討の場で
    は、どのような評価を受けているんでしょうか」

    遠藤「プルトニウムの所有者は、日本の場合、電力会社なんですね。したがっ
    て、有償ならばいいんですけれども、無償で云々というのは、電力会社の私的
    な判断になりますよね。

     その話は、私は、本当にできるのかと思っています。今のところ、表面上は、
    持って帰ってほしいと言っていますね」

    毎日新聞「毎日新聞の高島です。ありがとうございました。最後にお話いただ
    いた、多国間管理のお話で、ちょっと伺いたいです。具体的に国名を挙げられ
    ていませんでしたが、よその国から使用済み燃料を受け入れるというお話があ
    りました。それは、どこを想定されてお考えになっておられるかということを、
    まず伺いたいと思います」

    遠藤「まあ、これはまったく、雲をつかむような話なんですけれども、そうい
    ったスキームを考えるとしたら、結局アジアでしょうね。中国は核兵器国です
    から、当然、検討外だと思うんです。そうなりますと、結局、韓国とか、これ
    からすぐ始めようとしているベトナムとか、そういったアジアの国。インドは
    自国でやっていますから。

     しかし今のところ、問題は、例えば、韓国の使用済み燃料を、日本へ持って
    きて再処理し、プルトニウムを、仮にMOXにして返すということについては、
    アメリカの許可がいるんですね。これは米韓協定の取り決めなんです。アメリ
    カは今のところ、そういうことに、いい顔はしないんですよ。

     したがって、この国際化ということは、日本など若干の国が考えるにしても、
    実現するためには、アメリカの許可というか、少なくとも理解がなければ、あ
    るいはIAEAの理解もなければ、できないと思います。

     だから、これは本当に、まだアイディアの段階で、いいアイディアがあれば、
    ぜひ教えていただきたい」

    毎日新聞「韓国は、もうかなり使用済み燃料の量が増えてきているということ
    で、差し迫った状況があるけれども、アメリカとの関係で、難しいところがあ
    るというお話でした。ベトナムなど、アジアの国々は、使用済み核燃料の問題
    は、そんなに差し迫っていない。韓国のように大量に出ていて、溜まっている
    状況ではないかと思うんですけれども、その中で、そういう国を相手として考
    えていくということになると、ずいぶん先の話になります。

     六ヶ所再処理工場はうまくいけば、来年の秋頃に稼働しますけれども、核燃
    料サイクル工場を日本が続けていくためには、多国的管理や国際化とは別に、
    さらに第二再処理工場を作るなど、六ヶ所再処理工場の延命といったら何です
    けれども、そういったことをお考えになっているんじゃないかと、穿って思っ
    てしまいます。それはどのようにお考えなんですか」

    遠藤「まずベトナムの話ですけれども、たしかにベトナムは、まだ原子炉が稼
    働しているわけではないし、実現するのは、おそらく5年から10年先だろうと
    思います。使用済み燃料の問題が深刻化してくるのは、またその先。

     この国際化というのは、やはり中期的な構想なんです。しかし、そういうこ
    とにかかわらず、ベトナムはすでに日本に対して、『使用済み燃料について、
    協力してくれ』と、繰り返し言っているわけですよ。だから、やがてこの問題
    が起こる。使用済み燃料処理の問題は、まだ原発を動かしていないベトナムも、
    十分に承知し、認識しているんですね。

     また、六ヶ所再処理工場の延命云々の話ですが、国際化というのは、もう本
    当に、経営陣を変えてしまうとか、資本構成も変えるとか、いろいろなことが
    あり得るので、まったく中期的な話であって、延命のつもりで考えているので
    はありません。

     私には、東京電力なんて関係ないわけですから」

    参加者「ご説明の中に、日本で再処理を要する使用済み核燃料は、1年間でど
    れだけあるか、数字をいただきました。日本には、今後、処理しなければなら
    ない使用済み核燃料が貯蔵されているわけですが、現在、総量はどのぐらいあ
    るのか、数字をもしお持ちでしたら、教えてください。

     また、国際化という話の中に、最終処分場のことが、はっきり出ていなかっ
    たような気がします。国際化するにしても、使用済み燃料を引き受ける国があ
    るとは思えないんです。日本では無理だろうと思うと、どこかに、引き受けて
    もらうところがないのかなという気がするのですが、その目処はどうでしょう
    か。広い国土を持っているとか、地震のない国もありますから、ラストエンド
    の国際化の見通しをお聞かせ願いたい。

     それからもう一つ、韓国で現在貯蔵している使用済み核燃料の量は、どの程
    度あるんでしょうか」

    遠藤「例えば、六ヶ所再処理工場がフル稼働した時に、1年間の処理能力は800
    トン。日本の全原子炉から出てくる使用済み燃料は、私が聞いている限りで、
    約1千トンぐらいあるわけですが、すでにどのぐらい溜まっているかというと、
    今すぐにお答えできる数字は持っておりません。

     韓国については、韓国が言うには、2024年ぐらいで満杯になるといいます。
    本当は、2014年で満杯と言っていたんですけれども、ラッキングを変えたり、
    中間貯蔵地を作ったりして、2024年ぐらいまではもつだろうということです。

     韓国と日本の、現在の貯蔵使用済み燃料については、追ってお答え申し上げ
    ます。

     そして、一番難しい問題は、最終処分場のことです。これはご承知の通り、
    一番難しい問題で、今、世界で、場所として解決できたのは、スウェーデンと
    フィンランドだけなんですね。この2国は、何とか、使用済み燃料をそのまま
    直接処分という形で、処理できることになったんですけれども、ほかはまだ決
    まっていない。

     したがって、国際化になった時に、処分場をどうするかという問題は、私は、
    今ちょっと、お答えできないんですけれども、やはり非常に難しい問題だと思
    いますね」

    司会「そのほか、ご質問はおありでしょうか」

    参加者「高速増殖原型炉もんじゅのことですが、これは、1995年のナトリウム
    漏れ事故以来、17年間、事実上動いていませんが、このことを、アメリカはど
    う見ているんでしょうか。動かないのは困ると見ているのか、逆にいいことと
    見ているのか。民主党、共和党によっても、それから人によっても、見方の差
    があると思うのですが、教えていただけませんでしょうか」

    遠藤「非常に難しいご質問で、私もアメリカのことはわかりません。ただ、想
    像するに、アメリカは、日本のサイクルが回ることを期待していると思うんで
    す。

     回るためには、高速炉の役割があるわけで、原型炉ですから、実証炉なり、
    あるいは実用炉に進んでいくその出発点のようなものですから、出発点がうま
    くいかなかったら、困るのではないかと思いますね」

    参加者「民主党・野田政権は、2030年の原発ゼロ政策を打ち出しました。この
    原発ゼロ政策は、アメリカ、イギリス、フランスといった主要国には、どのよ
    うに受け止められているのでしょうか。歓迎されているのか、それとも、核燃
    料サイクルの問題もあり、『ちょっと待て』ということなのか。ドイツは、歓
    迎という意見を出しているようですけれども、そういった主要国の反応はどう
    いう状況なのか、もし情報があれば、お教えいただきたいと思います」

    遠藤「公式のアメリカ政府、フランス、イギリス政府のことは知りませんけれ
    ども、私の知る限りで、アメリカ政府については、先ほど申し上げた通り、こ
    の政策には、特にプルトニウム処理の観点から、非常に不信感を持っていると
    思います。

     イギリス、フランスも、ちゃんと引き取ってくれるのかという、不信感とい
    うか、よく言って不安感を持っているんじゃないでしょうかね。

     理屈がなかなか合わないんですね。少なくとも説明ができていない。この説
    明をする必要があるというのが、私の主張なんですね」

    参加者「大変難しい問題ですけれども、国際原子力機関および日米関係のお話
    は非常によくわかりました。ただ、それ以外にも、日本、フランス、英国、カ
    ナダ、豪州、ベトナム、トルコなど、12ほどの国際協定があります。

     これは双務協定で、相互に協力し合う立場ですけれども、日本が原発をやめ
    るということになったら、これが片務的になるので、何をもって協力するのか
    ということを伺いたいです。

     カナダ、豪州とは、先方からウランを安定輸入するための協定です。すると
    日本が原発をやめるなら、いらなくなるわけですね。ベトナムとトルコとは、
    日本が輸出することが前提になっている。ところが、日本がやめてしまうと、
    国内では危険だからやめるというものを、外国に輸出するというのも、非常に
    無理のある話だと思います。ほかの国への波及は、どうお考えでしょうか」

    遠藤「私の個人的な考えを申し上げますと、今の輸出はできても、原子力を日
    本がやめる時に輸出をすることは、非常に難しくなると思います。原子炉輸出
    は、当然、プラント輸出のことであって、これは、商品を売るのとは違うと思
    うんです。

     やはり、いったん売ったら、30年なり40年なり、例えば、部品が壊れたら供
    給するとか、あるいは技術協力をするとか、長い間、つき合っていく必要があ
    ると思うんです。ところが、片一方がやめてしまって、それが果たしてできる
    だろうかと思います。

     私は、日本がもし原子力をやめたら、技術も何も、消えていくんじゃないか
    と思うんですね。したがって、そういったプラント輸出は難しいんじゃないか
    と思います。その証拠に、私はどこかの新聞で読みましたが、ベトナムなどが、
    『日本は原発ゼロと言ってくれるな』と言っているんです。自分たちが買えな
    くなるという意味ですね。

     ウェスティングハウス、GEを見ても、スリーマイルアイランド事故以降、彼
    らには原子力を作る能力はないわけですね。だから、日本の会社と組んでいる
    のです。製造能力はなくても、彼らは、インテグレーションの能力を持ってい
    ます。つまり、日本の会社が、到底持ち得ないブランド名、あるいはいろいろ
    な相手と交渉する能力などを持っているんです。

     ただ、一つ注意していただきたいのは、たしかにアメリカに製造能力はなく、
    民生用の原子炉は製造していませんが、軍用はありますからね。100隻近い潜
    水艦、航空母艦、軍用の原子炉。これらの技術を、アメリカは完全に持ってい
    るわけですね。したがって、アメリカ全体としては、最低必要限の原子力製造
    技術は、維持してきたと思うんです。その点が日本とは、全然違うところだと
    思います」

    朝日新聞「朝日新聞の福山です。ありがとうございました。確認というか、整
    理なんですが、細野さんの私的な研究会で、年末までに、国際サイクルの検討
    をするというお話がありました。先月14日の革新的エネルギー戦略には、国際
    化のサイクルについて、特にするともしないとも書いていないわけですよね。
    そう考えると、今後、政府がそういったことをする余地を残して、先月の計画
    には書いてないと理解できるんでしょうか。そういうことも織り込んで、革新
    的エネルギー戦略も決めていると理解していいんでしょうか。これは本来、細
    野さん側に聞くべき話なのかもしれませんが」

    遠藤「この研究会は、まったく私的な研究会であって、細野さんが原子力大臣
    を辞めても辞めなくても関係なく、続けてくれということです。細野さんの考
    えが、エネルギー環境会議の決定にどう反映されたかは、私にはわかりません
    から、それは細野さんに聞いてください」

    朝日新聞・高橋「すみません。『たら・れば』の話ばかりで恐縮なんですけれ
    ども、私の取材でも、だいたい、今、遠藤さんからお聞きしたような状況を耳
    にしていますが、もし、例えば、日本が原発ゼロを撤回するとなったら、原発
    の数は、これまでのエネルギー基本計画、もしくは現状よりも大幅に減らすけ
    れども、ゼロにするということは、いったん反故にするということになって、
    ただし原発の基数が減るわけですから、核燃サイクルについては段階的にもう
    閉じますといった場合、これはアメリカには受け入れられるものなんでしょう
    か」

    遠藤「非常に難しいご質問です。『If』が『トリプルIf』ぐらいになっている
    ものですから。しかし、核燃サイクルを閉じたら、使用済み燃料はどうします
    か」

    高橋「何らかの処分を考えます」

    遠藤「何らかの処分といっても、処分するには三つの方法しかないと思うんで
    すよ。直接処分をどこかに見つけるか、あるいは、中間貯蔵と称するものをや
    るか、あるいは再処理するか」

    高橋「まあ、残りの二つの方法を採るしかないと思います」

    遠藤「いや、しかし、どこに置くんですか。中間貯蔵といっても、そう簡単じ
    ゃないんです。最終処分があるから中間貯蔵させてくれるんですよね」

    高橋「アメリカ自身も、そういう核燃サイクルをやめていますが」

    遠藤「アメリカにはね、ユッカマウンテンはだめになりましたけれども、巨大
    な砂漠があります。日本とはだいぶ違うと思うんですよ。

     それからアメリカには、すでに処分をしているところがあるんですね。軍用
    のプルトニウム、使用済み燃料は、民生用とは別に処理しているんですね。だ
    から、アメリカと日本とは、ちょっと比較できないんじゃないかと思うんです
    ね」

    高橋「そうすると、今、日本政府も言っていますけれども、例えば廃棄物が減
    量できるとか、最終的な処分場の問題に対する、一種の時間稼ぎが可能になる
    とか、サイクル事業の最大のメリットということになるんでしょうか」

    遠藤「だいぶ減りますよね」

    高橋「まあ、そう言われていますね」

    遠藤「いや、減るわけですよ。3分の1に減るなど、ちょっと数字は出てきませ
    んが」

    高橋「ええ。数字自体はまだ検証の余地がありますね」

    遠藤「また、核不拡散の観点からも、どの方法がいいかという問題があります。
    例えば、よく言われるのは、使用済み燃料をそのまま直接処分すると、2、300
    年は、たしかに接近が非常に難しいけれども、その後はこれが、プルトニウム
    という宝の山になってくるという議論さえあるんですよ。

     ところが、高レベル廃棄物というのは、プルトニウムがなくなっているわけ
    ですから、盗んでも役には立たない。したがって、どの方法がいいかというこ
    とは、もう、いろいろな角度から検討しなければいけないと思うんです。お金、
    場所、核不拡散、それから、アベイラビリティですね」

    司会「よろしゅうございますでしょうか。はい、どうぞ」

    参加者「中国は、IAEAの議論などでも、いわゆる5Pですから、問題ないという
    お話でしたけども」

    遠藤「何が問題ないんでしたか」

    参加者「核サイクルや最終処分などです。たしかに広い国土ですから、問題な
    いということもあり得るのかもしれないですけれども、どうでしょう。国際機
    関に接しておられて、中国が核のラストエンドについて、こういう目途がある
    というような話をしたのを、聞かれたことがありますでしょうか。

     モンゴルも、だいぶ余裕のある国だと、私は思っていたのですが、結局、だ
    めになったようですので、中国は、担当者がどの程度の目途を持っているのか、
    お聞かせください」

    遠藤「二つだけお答えできると思います。一つは、中国は核兵器国であって、
    こういったたぐいの話には乗ってこないということです。核兵器国は別です。
    二つ目は、中国が核サイクルをどうしようとしているかは、よくわかりません
    けれども、再処理はもう始めているし、始めようとしているし、高速炉につい
    ては、日本より進んでいるかもしれないということです。中国は、核燃料サイ
    クルをやろうとしている。

     また、最終処分場をどこに持っていくかということについては、西のほうに
    たくさんあるという噂がありますけれども、公式に言ったことはないと、私は
    承知しています」

    司会「それでは、そろそろ時間も迫っていますので。

    遠藤さんにはいつもの『ゲストの一筆』をお願いしていたのですが、今日、遠
    藤さんがお書きになったことは、『原子力の正しい理解を』でした。

     これまでも、何回か、原子力がらみのいろいろなセッションがありましたが、
    今日は、国際的な観点から、それからプルトニウムのバランスの問題と、ふだ
    んとは少し違う観点のお話が中心だったので、原子力の正しい理解に、また新
    たな視点が加わるという意味があったと思います。それでは、遠藤さん、どう
    もありがとうございました」

    遠藤「どうもご静聴ありがとうございました」

    司会「冒頭申し上げましたように、この原子力協定についての冊子をご希望の
    方は、お申し出ください」

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