11« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»01

    原発問題 -The Truth is Out There-

      : 

    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    IWJ特報!第140号「歴史修正主義者の詭弁を徹底論破!能川元一氏インタビュー 第1部〜南京大虐殺編(前編)」 

    第140号
    ----------------------------------------------------------------------
    岩上安身のIWJ特報
    歴史修正主義者の詭弁を徹底論破!
    能川元一氏インタビュー 第1部〜南京大虐殺編
    ----------------------------------------------------------------------
    (IWJより転載許可済み)

     過去の罪を素直に認める者に対し、「自虐史観」とトンチンカンな非難を繰
    り出す愚か者がいる。開き直りのあとに抗議を受けては謝罪を繰り返すという
    「自爆」を性懲りもなく繰り返す者こそ「自爆史観」の持ち主と呼ばれるべき
    である。

     どんな人間であれ、どんな国であれ、自らが振るった暴力の忌まわしい過去
    を喜々として思い出し、自ら吹聴して回りたいものなどいるわけがない。それ
    は人の情である。

     しかし、忘れてしまいたい恥ずかしい過去を本当に忘れてしまうのは、「痴
    呆」である。

     書きかえ、修正して、矮小化しようとするのは、「姑息」な「卑劣漢」であ
    る。

     恥を恥とも思わなくなったら、ただの「恥知らず」である。

     いっそ「史実」を「なかったことにしてしまえ」と否定するのは、真実に対
    する新たな「罪」の「上塗り」である。

     幼稚な「自爆史観」の持ち主は、「他にもひどい侵略をしていた国はいたじ
    ゃないか」と口を尖らせて言い張る。。しかし、他者の罪は他者の罪だ。我々
    の罪の免責には役立たない。

     もちろん、我々に罪があるからといって、我々が他者の侵略を受け入れる理
    由にはならない。我々には、どんな「帝国」であれ、不当利益を得る厚かまし
    い「帝国主義」に対してこれからも遠慮なく非難する権利がある。

     また、これから先、我々が過去の罪ゆえに侵略されたり、蹂躙されたり、植
    民地にされても仕方がない、などという理屈には、一切与する必要がない。

     我々はいつまでも米国の「属国」に甘んじるつもりはないし、まして中国に
    併合されるのを黙って受け入れるなどといういわれは微塵もない。

     我々には他者の侵略をはねのける権利がある。また、そうであるからこそ、
    これの過去の侵略の史実を潔く認め、謝罪し、過去は過去として罪を精算した
    上で現在から未来にかけての「発言権」を確保すべきなのだ。


    ■にもかかわらず、「自爆史観」論者は後を絶たない

     日本では今、唾棄すべき歴史修正主義の病理が流行風邪のように猛威をふる
    っている。安倍総理の「お友達」や「取り巻き」らが、歴史認識についての問
    題発言を連発させているのは周知のとおりだ。それらの妄言は、いずれも公人
    によるものである。

     1月25日、新しくNHKの会長に就任した籾井(もみい)勝人氏(日本ユニシス
    前社長)は、就任会見で、旧日本軍の従軍慰安婦について、「戦争をしている
    どこの国にもあった」と発言した。重ねて、「なぜオランダにまだ飾り窓(売
    春街)があるんですか」などとも述べ、売春婦はどこにでも存在する例として
    オランダを持ち出しながら、あたかも旧日本軍による従軍慰安婦の制度に何の
    問題もなかったかのように発言した。

    ※NHK籾井新会長「従軍慰安婦、どこの国にもあった」
    (朝日新聞、1月26日【URL】 http://bit.ly/M8Ezug )

     この発言が問題視された籾井氏は、国会に参考人として招致され、野党から
    追及を受けたものの、辞任要求はかわし続けている。3月19日の参議院予算委
    員会では、民主党の徳永エリ議員から出された辞任要求に対し、「NHK会長の
    重みをしっかり受け止め、放送法に基づいて公共放送の使命を果たしていくこ
    とで、会長の責任をまっとうする」などとこれを拒否。安倍総理は籾井氏を、
    「会長は経営委員会によって適切に選任されている」と擁護した。

    ※NHK会長「会長の責任を全うする」辞任改めて否定
    (テレビ朝日、3月19日【URL】 http://bit.ly/OXeqiL )

     同じくNHKの経営委員である作家の百田尚樹氏は、東京都知事選の応援演説
    で、「1938年に?介石が日本が南京大虐殺をしたとやたら宣伝したが、世界の
    国は無視した。なぜか。そんなことはなかったからだ」と、あろうことか、南
    京虐殺の「史実」そのものを全否定した。「極東軍事裁判で亡霊のごとく南京
    大虐殺が出て来たのは、アメリカ軍が自分たちの罪を相殺するためだ」などと
    、白昼、銀座のど真ん中で「自爆」演説を繰り返した。


    ※2014/02/03 東京都知事選 田母神俊雄候補 街頭演説 応援:百田尚樹氏
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/123407

     百田氏のこの「南京大虐殺・否定論」には、同盟国であるはずの米国が激し
    く反発。2月8日、在日米国大使館は、米政府公式の統一見解として、百田氏の
    発言を「非常識だ」と強く批判した。さらに、NHKがキャロライン・ケネディ
    駐日大使の取材を米国大使館に申し込んだところ、百田氏の発言を理由に、大
    使館側から難色を示されていたことが判明した。

    ※百田氏発言「非常識」=米大使館
    (時事通信、2月8日【URL】 http://bit.ly/1c8I9ht )

    ※百田氏発言、報道に波及 NHKの取材 米大使館難色
    (共同通信、2月15日【URL】 http://bit.ly/1dSfucO )

     米国大使館が、米国政府の統一見解として声明を発表している以上、これは
    紛れもなく外交問題である。米国がこのように外交問題化したのは、籾井氏も
    百田氏も、NHKの会長あるいは経営委員という、まぎれもない公人の立場にあ
    る人間だからだ。

     「自分には言論の自由がある」と百田氏は開き直ったが、公人には公人とし
    ての節度や責任がある。言論一本で飯を食っているという矜持がカケラほどで
    も残っているなら、NHKの経営委員というポストに未練がましくしがみついて
    いないで、すっぱりと辞職して、一人の物書きとして「言論の自由」を謳歌し
    たらどうなのか。

     また、百田氏と同じく安倍総理の「お友だち」として、NHKの経営委員の座
    に座った長谷川三千子・埼玉大学名誉教授が、新右翼の活動家で、朝日新聞東
    京本社で拳銃自殺した野村秋介氏について、「神にその死をささげた」などと
    称賛する追悼文を寄稿していたことが、2月5日に報じられた。

    ※長谷川三千子氏、政治団体代表の拳銃自殺を称賛
    (朝日新聞、2月5日【URL】 http://bit.ly/1eAIQwg )

     菅義偉官房長官が、「日本を代表する哲学者」などと称賛する長谷川氏の近
    著『神やぶれたまはず 昭和二十年八月十五日正午』(中央公論新社、2013年7
    月)の結語には、次のような一文が記されている。

     「歴史上の事実として、本土決戦は行はれず、天皇は処刑されなかつた。し
    かし、昭和二十年八月のあの一瞬ーほんの一瞬ー日本国民全員の命と天皇陛下
    の命とは、あひ並んでホロコーストのたきぎの上に横たはつていたのである」

     これは長谷川氏が、1945年8月15日、昭和天皇による玉音放送が流れたその
    瞬間を描写したものである。ホロコーストとはナチスによるユダヤ人の大虐殺
    を指す言葉だ。「日本国民全員の命と天皇陛下の命とは、あひ並んでホロコー
    ストのたきぎの上に横たはつていた」というのは、天皇と日本国民とが、連合
    軍によって大虐殺される瀬戸際にあった、としか読みとりようがない。

     だがこれは、事実とはかけ離れた「言いがかり」である。日本はポツダム宣
    言を8月14日に受諾し、15日に天皇によるラジオ放送(玉音放送)によって国
    民にその事実を伝えた。では、日本が受諾したそのポツダム宣言には実際には
    何が書かれていたか。「日本人を民族として奴隷化しまた日本国民を滅亡させ
    ようとするものではない」「日本国国民が自由に表明した意志による平和的傾
    向の責任ある政府の樹立を求める」といった文言である。どこをどう読めば、
    「日本国民全員の命と天皇陛下の命」が、「ホロコーストのたきぎの上に」く
    べられようとしていたことになるのか。歪曲もはなはだしい。英語が堪能であ
    る長谷川氏は、自ら英文にして出版すればどうか。中央公論社は伝統ある出版
    社だったが、読売に買収されて、とうとうここまで堕したのだから、英文の出
    版まで面倒みたらよかろう。

    この本の内容が英文に翻訳され、海外で読まれれば、激烈な反発が寄せられる
    ことであろう。長谷川氏も、NHKの経営委員という、紛れもない公人である。
    その言動の責任は問われなければならない。

     このような、事実を平然と歪曲する、きわめて質の低い極右的な言論が横行
    するのは、世代が交代し、戦争の現実を体験者から語り伝えられることがなく
    、近現代史についての知識が欠落した人の数が、かつてなく増えているからで
    あろう。

    2月9日に投開票が行われた東京都知事選では、元航空幕僚長の田母神俊雄氏が
    約61万票を獲得。田母神氏を支持したのは、主に20代を中心とした若者である
    と言われ、朝日新聞が都内180ヶ所の投票所で実施した出口調査によると、20
    代では、36%の舛添氏に次いで、田母神氏が24%で2位。30代でも、17%で3位
    と、若年層を中心に、広範な支持を得ていたことがはっきりと分かる。

     田母神氏は、2008年10月に発表された『日本は侵略国家であったのか』
    (【URL】 http://bit.ly/1kUggeN )という論文で、「蒋介石はコミンテルン
    の手先だった」「大東亜戦争の後、多くのアジア、アフリカ諸国が白人国家の
    支配から解放されることになった。人種平等の世界が到来し国家間の問題も話
    し合いによって解決される ようになった。それは日露戦争、そして大東亜戦
    争を戦った日本の力 によるものである」「我が国が侵略国家だったなどとい
    うのは正に濡れ衣である」など、唯我独尊、夜郎自大の歴史観を披露し、航空
    幕僚長を更迭されている。公人として歴史修正主義的な見解を披露した、代表
    的な人物である。

     籾井氏、百田氏、長谷川氏、田母神氏といった公人から、歴史修正主義的な
    発言が連発し、それに対して多くの若者が共感を寄せているという現状。そう
    した「右傾化」の波に乗った安倍政権は、「公的」なお墨付きを与えるような
    動きすら見せてきた。

     2月28日、菅義偉官房長官は、「河野談話」について、検証を行う作業チー
    ムを作ると発言した。「河野談話」は、第二次世界大戦中の慰安所が、「当時
    の軍当局の要請により設営された」ものであり、慰安婦の移送について「旧日
    本軍が直接あるいは間接に関与した」のものであることを認め、「お詫びと反
    省」を表明したものであり、代々の政権によって継承されてきた。その「河野
    談話」の検証を行うということは、これまでの日本政府の姿勢の見直しや修正
    を画策しているということではないかと、国内外からの疑念と批判を呼び起こ
    した。

    ※河野談話をめぐる安倍首相・菅官房長官の発言詳細
    (朝日新聞、3月14日【URL】 http://bit.ly/1qstjHQ )

     安倍総理と菅官房長官はともに、河野談話の見直しについては、「政府の基
    本的立場は官房長官談話を継承するということだ」などと否定してみせた。し
    かし、見直しを行わず、歴代内閣の立場を継承するというならば、慰安婦問題
    そのものについての大がかりな実態調査を行わず、なぜわざわざ「河野談話」
    についてのみ検証を行うのか、その理由がわからない。ここには、検証チーム
    の作業によって、慰安婦問題の実態の解明は回避しつつ、「河野談話」の信用
    性のみを貶めたいとの安倍政権の姑息な意志が透けて見える。

     現在の日本社会において、南京大虐殺や従軍慰安婦など、過去の醜悪な歴史
    的事実を否認し、それを塗り替えようとする欲望が巻き起こっているのはなぜ
    なのか。そのような歴史修正主義の考えは、どこから生まれ、どのような論法
    を用いているのか。何よりも、果たして事実はいかなるものであったのか。

    証拠となる史料を膨大に積みあげて、南京大虐殺や従軍慰安婦の否定論の論破
    を試みている知識人がいる。哲学者・能川元一氏である。

     能川氏は、膨大な一次資料をもとに、歴史修正主義者の発言をひとつひとつ
    論破し続けている。そのうえで、歴史修正主義者に特有の論法も巧みに分析し
    ている。中国、韓国との関係が「戦後最悪」とまで言われ、日本人の歴史認識
    が改めて問われている今、必読のインタビューである。

     以下、能川氏へのインタビューの全文を掲載する。(文・岩上安身)


    ===================================
    ◆問題だらけの百田発言◆
    ===================================

    岩上安身(以下、岩上)「みなさんこんにちは。ジャーナリストの岩上安身で
    す。本日、私は大阪に来ています。これから大学の非常勤講師で、哲学を専攻
    されている能川元一さんにお話をうかがいたいと思っております。能川さん、
    よろしくお願いします」

    能川元一氏(以下、熊川・敬称略)「よろしくお願いいたします」

    岩上「はじめてお目にかかりますが、能川さんのお仕事やご発言は、実はツイ
    ッターとか、他にも身近なところで拝見しています。最近では、週刊金曜日の
    、能川さんがお書きになった、『NHK経営委員のベストセラー作家の素顔 百
    田さんのドンビキなウヨク度」というタイトルの記事がありますね(※1)」

    能川「そのタイトルは、編集部のほうでつけたものです」

    岩上「では、作家でNHKの経営委員でもある百田尚樹さんのツイッターでの発
    言を取り上げています。百田さんもツイッターをおやりになりますからね。

     百田さんは、ずいぶん過激な発言をされていますが、勢いがいいので、『え
    、そうなのか』と思ってしまう人も多いようです。ところが、よく見ると、ず
    いぶん事実と違う話が入っているということを、能川さんはこの記事で一つ一
    つ論破していっています。

     私も、百田さんのツイートをすべてフォローしているわけではないですから
    、ここまでの彼の発言は知りませんでした」

    能川「全部で1年間分をすべて読み直しました」

    岩上「ほんとですか。しかし、ずいぶんとびっくりするような発言をされてい
    る方ですね。それも、一つ二つじゃない。しかもかなりの誤謬がある。それに
    ついて、この記事で、能川さんは、『事実と違いますよ、間違いだらけですよ
    』ということをお書きになられています。かなりバッサバッサと切っておられ
    る。といいますか、間違いを正されておられます。

     そこで今日は、インタビューをお願いいたしましたが、まずは、百田さんの
    発言について、お話をおうかがいしたいと思います。なにしろ今、注目の人、
    時の人ですからね。NHKの経営委員ですから、まぎれもなく公人です」

    能川「しかも、ベストセラー作家ですからね」

    岩上「そうですね。かつ、映画も大ヒットして、多くの人に、たいへんな影響
    を与えている人物です。その政治的な発言も含めて、今日はきっちり取り上げ
    たい。もちろん、その政治的な発言の中には、先だっての東京都知事選の際、
    田母神さんへの応援演説の内容もあります。街頭の応援演説でこんなに記憶に
    残るという人もめずらしい」

    能川「そうですね」

    岩上「他候補を『人間のクズ』などと罵倒(※2)しました。そして、国内で
    顰蹙(ひんしゅく)を買う程度ではとどまらず、なんとアメリカ政府から、厳
    しい批判がきて、外交上の支障をきたすような展開にまでなっています。

     NHKは日本を代表するテレビ局ですが、百田氏のせいで、なんとNHKがケネデ
    ィ大使のインタビューを拒否されてしまうという事態になっています(※3)


     つまり、この発言の結果、外交的に支障を来たしてしまうところまで来たわ
    けです。百田さんについては、ただの一作家でいいでしょ、ということでは済
    まされません。NHKの経営委員なのですから、私人として扱って捨て置くとい
    うわけにはいかないだろうと思います。

     百田さんは、『南京大虐殺はまぼろしだ』と言っているのですが、こうした
    ことは、ずいぶん昔から言われてはいたことですよね。ただ、それを言ってい
    たのは社会の一部で、ちょっと世をすねた人たちが言っているようなことであ
    って、世の中の大多数の良識派は、『何を言っているの?』と眉をひそめてき
    たと思います。しかし、ここへきて、そうした歴史修正主義者の主張が公然化
    してきています。

     特に若い世代は、戦争の傷跡が社会のあちこちに残っていた時代をもう知り
    ませんから、この『南京大虐殺まぼろし論』を本当に歴史のかなたの話と思っ
    て信じ込むということが、どんどん起こっていると思います。

     ですので、『間違いは間違いだよ』と正していくことがすごく必要だと思っ
    ています。特に、問題なのは政権です。現在の安倍政権がどう考えていて、そ
    の閣僚がどんな人たちで、どう発言しているのかということは、やはり大変な
    社会的影響力を持つと思います」

    能川「そうですね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※1)『週刊金曜日』2014年2月14日号掲載。能川氏は百田尚樹氏のツイート
    を引用しながら、その発言の矛盾点を指摘している。以下、記事からの引用。

     「まずは報道でも問題とされた、南京大虐殺についての発言から。『多くの
    資料を調べ、南京大虐殺はほぼ捏造の産物であると確信した』(2013年9月18
    日)と豪語する百田氏だが、その認識はネットにあふれる陳腐な否定論そのも
    のである。『私が十代の頃(今から40年前)、中国は南京大虐殺の被害者は10
    0万人と堂々と主張していた。しかしその後、心ある日本の知識人たちが、中
    国の主張の矛盾を指摘し、反論と反証を試みると、中国は被害者数をどんどん
    減らしていき、今は30万人と言っている。バナナの叩き売りかよ』(13年9月2
    3日)。実際には国民党政府による戦後間もなくの裁判において犠牲者数を34
    万人とする判決が出ている。『100万人』というのはおそらく、『現代用語の
    基礎知識』96年版にあった記述と混同しているのだと思われる」

     「右のような歴史修正主義的主張が民族差別や性差別と結びついている点で
    も、彼の思想は『ネット右翼』のそれと変わらない。たとえば、南京大虐殺に
    ついて『犯人は蒋介石国民党軍。遺体を陵辱するなどの行為は支那人特有のも
    の』だとする別のユーザーの発言をうけて彼は『そうです!中国人は昔からや
    ります。日本人にはない特性です』(13年9月19日)と発言している。言うま
    でもないが、残虐行為などの忌まわしい現象を特定の民族に『特有』のもので
    あるとするような認識は学問的にはナンセンスであるが、レイシズムにはつき
    ものである」

    (※2)百田尚樹氏は2月3日、東京都知事選に出馬した田母神俊雄氏の応援演
    説を行った際、舛添要一氏、細川護熙氏、宇都宮健児氏ら、他の候補のことを
    「人間のくずみたいな奴だ」と罵倒した。
    (【URL】 http://bit.ly/1ilCk0o )
    この百田氏の発言に対する受け止めについてIWJが田母神氏に質問すると、「
    選挙なんだから、そういうこともある。ちょっとぐらい言い過ぎても、『ああ
    、ごめんね』ですむ話ではないか。それをことさら問題視するのは、相手の自
    由な発言を封じようという、左翼特有のやり方だ」と語り、百田氏を擁護した

    (【URL】 http://bit.ly/1ilChBE )

    (※3)NHKがキャロライン・ケネディ駐日米大使のインタビュー取材を米国大
    使館に申し込んだところ、百田氏による東京裁判や南京大虐殺をめぐる発言を
    理由に、大使館側から取材に対し難色を示されていた、と2月16日付けの共同
    通信が報じた。
    (共同通信、2月16日【URL】 http://bit.ly/1hf66XY )


    ===================================
    ◆「お仲間」の歴史修正主義者たち◆
    ===================================

    岩上「まず、そこから話を始めたいと思います。安倍内閣というのは、安倍さ
    ん自身もですが、きわめて右寄りで、極右と言ってもいいポジションに立って
    いると思います。

     安倍総理と、稲田朋美行革担当大臣、下村博文文部科学大臣、新藤義孝総務
    大臣の4人は、アメリカの新聞に、慰安婦はなかったという意見広告を出して
    いますね」

    能川「はい。『The Facts』広告(※4)ですね」

    岩上「しかし、そのことで、米国からは逆に、たいへんな顰蹙を買っています
    。『安倍内閣には気をつけろ』と。安倍さんは、第二次安倍内閣を組閣する前
    から、すでに米国から厳しく睨まれ、マークされる人物になってしまっていた
    わけです。稲田大臣、下村大臣、新藤大臣は、そういう広告を出した安倍さん
    のお仲間というわけです。

    能川「はい。特に、下村氏は文部科学大臣ですから、歴史教科書にタッチでき
    る立場にいるということになります。これは、非常に深刻だと思います」

    岩上「稲田さんは2007年に、映画『南京の真実』製作記者会見に出席して、百
    人斬り競争などは虚構であるとの主張を述べました(※5)。百人斬りという
    のは、南京の攻略戦のときに、日本軍のその少尉たちが、どれだけ人を殺せる
    かということで、日本刀でたくさん人を斬る競争をしたという話ですね。要す
    るに、南京攻略戦や、その前後での残酷行為、虐殺行為のひとつですね」

    能川「当時、日本では武勇伝としてそれが報道されて、戦後になってから一種
    のシンボルとして、その二人の少尉が処刑されました。逆に戦後、右派にとっ
    てのいわば南京大虐殺攻撃のシンボルになってきたのが、この百人斬り、とい
    うことになります」

    岩上「つまり、この百人斬りというものは実はなかったということにして、南
    京においての虐殺行為、残虐な行為というのがまるごとなかったのだ、と、歴
    史の修正をはかる、あるいは否定するわけですね」

    能川「それを足掛かりにしようとするわけです」

    岩上「なるほど。それから、下村博文さんについてなんですが、歴史教科書、
    慰安婦、南京大虐殺問題に関して否定的な立場からの提言を行っている『日本
    の前途と歴史教育を考える議員の会』(※6)に参加しています。本当に、日
    本の前途をどういうふうにしようとしているんでしょうか。筋金入りの歴史修
    正主義者ですよね。そして、民主党の松原仁さん」

    能川「せめて野党がしっかりしてくれていれば、まだ安心もできるんですけど
    も。しかし、野党にもこういう人がいるということですね。松原さんはいま、
    民主党の国対委員長です」

    岩上「そうですね。国対委員長であり、民主党の東京都の議連のトップであっ
    たりする方ですね。2007年5月25日の衆議院の外務委員会で、『30万というロ
    ットについてではなくて、大虐殺そのものがなかったと、きわめて客観的に考
    えている』と発言しました。

     この『30万というロット』という言い方もなにか、工業製品みたいです。要
    するに、30万人という規模を問題にしているのではなく、大虐殺という事実自
    体がなかったと、そう発言をされているわけです。

     松原さんは民主党にいながら、このような、田母神さんもびっくりの極右的
    発言をする。これは、彼の出身地盤のせいなのかな、という気もします。その
    辺はどういうふうにお考えですか?」

    能川「旧民社党系ですから。自民党より右というふうに、かつて言われていた
    ような、そういう民社系の人ですね。それでいうと、かつて、民主党で国会議
    員をしていた、名古屋の河村たかし市長も、実は南京事件否定論者なんですね


    ----------------------------------------------------------------------
    (※4)安倍晋三総理、古屋圭司国家公安委員長、稲田朋美行革担当相、下村
    博文文科相、新藤義孝総務相の5人は、2011年11月、米国ニュージャージー州
    の地元紙「スターレッジャー」に、旧日本軍の従軍慰安婦について、「女性が
    その意思に反して日本軍に売春を強要された事実はない」「(慰安婦は)『性
    的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働い
    ていた」などとする意見広告を掲載した。
    (【URL】 http://bit.ly/R1SepB )

    (※5)南京の真実:2008年1月公開。監督は「チャンネル桜」代表の水島総氏
    。「南京攻略戦の正確な検証と真実を全世界に伝える映画」として製作された
    。稲田朋美議員は「南京の真実」製作記者会見に出席し、百人斬り競争は虚構
    であるとの主張を述べた。稲田氏は弁護士時代、百人斬り競争に関する名誉毀
    損裁判で、原告側弁護士として活動している。
    (参照:Wikipedia【URL】 http://bit.ly/1jsj4Am )

    (※6)自民党内の保守系議員団体。歴史教科書、慰安婦、南京事件問題に関
    し、否定的な立場から提言を行っている。沖縄戦での集団自決については、「
    旧日本軍の組織的な強制・強要はまったくなかった」との立場を取っている。
    同会の前進である「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」では、現総
    理の安倍晋三氏が事務局長を務めていた。
    (参照:Wikipedia【URL】 http://bit.ly/1qhsHEU )


    ===================================
    ◆河村たかし名古屋市長の破綻した論法◆
    ===================================

    岩上「なるほど。この河村さんも、市長であり、知名度や人気が非常に高い政
    治家ですから、河村さんの発言も看過するわけにもいかないと思います」

    能川「この河村市長、とりわけひどいんですよ。2012年、わざわざ南京市から
    来たお客さんの前で、虐殺の否定論をぶちあげたというニュースがありました
    (※7)。

     さらに河村さんは国会議員時代に、同じような主張をしていました。衆議院
    のサイトで、彼が出した質問主意書を見ることができます。いわゆる『南京大
    虐殺の再検証に関する質問主意書』(※8)というものです。

     彼がここで主張していることで、非常に問題なのは、自分の父親が敗戦後に
    南京近郊で武装解除されて、そこにしばらく抑留されていたというのですが、
    そこで、非常に親切にされたというのです。虐殺があったのなら、そんなふう
    に親切にされるだろうか、と。だから、なかったのだ、という論法なんですね


    岩上「おかしな話ですよね。恩を仇で返そうというように見えます。虐殺まで
    されたのに中国人は親切にしてくれた。そんな経験があったら、侵略の歴史を
    忘れずに、二度とそんな過ちのないようにしようというのが、通常の人間の思
    考の在り方だと思いますけどね」

    能川「例えば、広島に来た米兵が殺されなかったから、原爆投下がなかったと
    いうことになるのかというと、そういうことにはなりません。それと同じだと
    思います」

    岩上「今、広島を訪問するアメリカ人に対して、広島市民が攻撃的な態度をと
    るということはまずないと思います。その広島市民の態度を見て、アメリカ人
    が、我々は広島で歓待されたから、広島に原爆投下はなかったのだろうと言い
    出しているような話ですね。むちゃくちゃです」

    能川「ういうことですね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※7)2012年2月、名古屋市役所を表敬訪問した中国共産党南京市委員会の
    訪日代表団に対し、河村たかし市長は、南京大虐殺について「通常の戦闘行為
    はあったが、南京事件はなかったのではないか」と発言した。この発言を、南
    京大虐殺記念館館長が「でたらめな話」と強く批判。姉妹都市提携を結んでい
    る南京市は、名古屋市との交流を当面中止する事態となった。
    (【URL】 http://bit.ly/1oNUy25 )

    (※8)2006年6月13日提出「いわゆる南京大虐殺の再検証に関する質問主意書

    (衆議院ホームページ【URL】 http://bit.ly/1mYAbgU )。この質問主意書で
    は以下のように、河村氏の父親の体験が記載されている。

     「歩兵第一〇一旅団指令部伍長であった私の亡父、河村?男(かねお)は、
    昭和二〇年八月一六日に武装解除されていた南京に到着し、南京市郊外の棲霞
    寺に翌二一年の一月まで滞在、同年三月に帰国した。同寺には司令部の約二五
    〇人が滞在していたが、彼の地で大変手厚く遇され、生き永らえることが出来
    たと感謝していた。
     そこで、戦後五〇年となる一〇年前、当時の戦友たちは、当時の南京市民の
    もてなしへの感謝の気持ちとして、寄付金を募り、南京市に一千本の桜を寄付
    し、体調の悪い父に代わり母が訪中した。その母も昨年一〇月亡くなった。
     彼の地において大虐殺が行われていたのであれば、そのわずか八年後にこの
    ような心温まる交流が実在しえるとは思えない。そこで、いわゆる南京大虐殺
    事件について再検証すべきではないかと思うに至った」


    ===================================
    ◆百田尚樹氏の「嘘」◆
    ===================================

    岩上「こうした政治家の色々な暴言、妄言があるわけですけれども、まずは時
    の人である百田尚樹さんの発言から、ひとつひとつお話をうかがっていきたい
    と思います」

    能川「みなさんにご注目いただきたいのは、彼が言っていることの論法には、
    一定のパターンがあるということですね。まず、これは週刊金曜日の記事でも
    取り上げたものですが、去年の9月23日のツイートを見てみたいと思います」

    岩上「ちょっと読み上げましょう。『意外に知られていないことだが、南京陥
    落当時の日本と中国は国際的には戦争状態ではなかった。だから当時の南京は
    欧米のジャーナリストやカメラマンが多数いた。もし何千人という虐殺が起こ
    ったりしたら、その残虐行為は世界に発信されていたはずだ。しかし実際には
    そんな記事はどこにもない』。これ、最初から最後まで引っかかるんですけど
    …」

    能川「よく、このツイートのなかにこれだけ間違いを詰め込めたな、と思いま
    す」

    岩上「まず、日本と中国が戦争をしていなかったということを言っているので
    すが、これは何を言いたいのでしょうか」

    能川「これは、日中双方ともが米国の中立法を気にしていて、宣戦布告はして
    ない、ということを受けて言っているわけです。要するに、国際法的には戦争
    状態ではなかった、ということです。だから、日本側も当時は、『支那事変』
    と呼んで、戦争とは呼ばなかったということなんですね」

    岩上「でも、そうすると日本が宣戦布告した戦争というのは、いくつかしかな
    いわけで、当時は満州事変であったり、ノモンハン事件であったり、あるいは
    支那事変、日華事変と言っていましたね。今だったら日中戦争と言っています
    が、百田さんによると、これら、宣戦布告をしなかった事実上の戦争は、全部
    、戦争ではないということになってしまいます。全部、事変で片づける、と。
    でも、事変というのは宣戦布告なき戦争状態なので、戦争状態ではなかったと
    いうのは、明らかに間違いですよね」

    能川「さらにここでおかしいのは、それがジャーナリストがたくさんいるとい
    うことの根拠になると思っていることです。宣戦布告していないというのは、
    あくまで法的な問題であって、実態としては、爆弾は降ってくるわ、大砲は撃
    ってくるわ、というような戦争をやっていたわけです。

     だとしたら、ジャーナリストにとっても当然危険なわけですよね。ジャーナ
    リストにとっての危険は、宣戦布告していようが、していまいが、関係ありま
    せん。これが、二つ目の問題点です」

    岩上「理屈が前段と後段で繋がっておらず、論理的にでたらめであるというこ
    とですね」

    能川「三つ目は、ジャーナリストが多数いたというのが、嘘なんですね。日本
    軍が南京を占領するのは1937年12月13日ですが、それまでに、多くのジャーナ
    リスト、それから外交官も、南京を退去しています。

     数名のジャーナリストがその後もとどまっていましたが、彼らも、12月15日
    ぐらいまでには、日本軍が占領してまもなく、南京を離れてしまうんですね。
    だから、多数のカメラマンやジャーナリストがいたというのは、嘘なのです」

    岩上「背景を知らない人のために説明すると、南京は当時、国民党政府が首都
    を置いていました。そこを日本軍が攻略するのだと。だから、まさに首都攻防
    戦だったわけで、大戦争ですよね」

    能川「国際的に注目が高かったのは確かですね。そして、百田さんは実は、『
    実際にはそんな記事はどこにもない』というふうに書かれていますが、しかし
    、記事はたくさんあるんですね。ちょっとこれは、お見せしようと思うんです
    が。今日、私はどっさりとここに持参してきていますので」


    ===================================
    ◆歴史修正主義者に特有の論法◆
    ===================================

    能川「『南京事件資料集1 アメリカ関係資料編』(※9)という資料に載って
    いるのですが、この目次の合計3ページにわたって、その当時の報道された記
    事のリストが収録されています。記事がない、と百田氏は言っていますが、実
    際にはこれだけあるのです」

    岩上「例えば、『ニューヨークタイムス』とか、『シカゴデイリーニュース』
    とか、諸新聞の記事がずらりとあるわけですね」

    能川「さらに問題なのは、このようにたくさん報道されたということについて
    、知っている方も少なからずおられるわけで、百田さんに対してツッコミが入
    るわけです」

    岩上「その次のところを、ちょっと読ませていただきますね。『事件直後にア
    メリカの新聞に大きく報道されたのを知らないようですね。秦郁彦の「南京事
    件」くらいは読みましょう』。

     秦郁彦(※10)さんというのは、東大出身の有名な歴史学者で、どちらかと
    いえば、保守派の方です。秦さんのような保守派の方でも、南京大虐殺がまっ
    たくなかったというようなことを言っているわけではないんですね。そのこと
    を、このツイッターの突っ込みでは言っているのに、それに対して百田さんは
    、『根拠も証拠もない伝聞記事が載ったのは知っていますが』などと返されて
    います」

    能川「ここに、いわゆる歴史修正主義者、あるいはこのトピックに限って言え
    ば、南京事件否定論者と言われる人々の、非常に特徴的な論法があります。

     さきほどの、『そんな記事はどこにもない』という主張と、それからこの『
    根拠も証拠もない伝聞記事が載った』というのは、まともな体系的な歴史記述
    として、両立しないですよね。

     ないんだったら、『ない』ということで貫くべきだし、記事があったという
    ことを知っていたのだったら、最初から、『ない』とは言うべきではないわけ
    です。

     それが、真面目な歴史学の態度というものですよ。しかし、彼らは、歴史的
    な事実としてなにがあったかということに関心があるわけではないので、平気
    でこういうことができるわけです。

     まずは、『ない』と言う。『ない』と言うと、みんなが、ああそうなのか、
    と思ってくれることを期待するわけです。たくさんジャーナリストがいたのに
    報道されてないなら、何もなかったんだろうと、そう思われることを期待して
    いる。

     ところが、ツッコミが入ると、陣地を後退させるわけですね。よく、疑似科
    学批判の文脈では、『ゴールポストを下げる』戦略といった言い方をします。

     せっかくシュートを決めたと思ったら、ゴールポストがコロコロと後ろに下
    がっていくと。まだ、届かないぞと言って、がんばっているわけですね」

    岩上「なるほど。詭弁の一つのあり方ということですね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※9)南京事件資料集(全2巻)1.アメリカ関係資料編/2.中国関係資料編
    (青木書店、1992年):米国務省記録・軍事記録、グルー文書・ベイツ文書な
    どから大使館報告や南京残留者の書簡・日記、虐殺を逃れた中国側体験者の手
    記・報告、戦犯裁判記録、米中主要新聞の報道記事まで、事件の実態と背景を
    究明するための基本資料を集成し、翻訳・紹介する資料。
    (【URL】 http://bit.ly/1kMFyeT )

    (※10)秦郁彦:歴史学者。元千葉大学教授。著書に『軍ファシズム運動史』
    (河出書房新社、1962年)、『南京事件〜虐殺の構造』(中公新書、1986年)
    、『慰安婦と戦場の性』(新潮選書、1999年)、『陰謀史観』(新潮新書、20
    12年)など多数。南京大虐殺について秦氏は、『南京事件』において、日本軍
    の不法行為による犠牲者数を「3.8万〜4.2万人」としている。一方、日本軍に
    よる朝鮮半島での従軍慰安婦の強制連行については否定的な見解を持っている



    ===================================
    ◆陸軍将校の証言の実在◆
    ===================================

    能川「次に、こちらのツイートを見てみましょう」

    岩上「これも読みますね。『私は南京大虐殺はなかったと考えている。それは
    肯定派の出す資料が明らかな捏造も含めてお粗末なものが多すぎること、資料
    を客観的に見る限り、有り得ないと考える方が自然と思われるからだ。しかし
    大虐殺を信じる人たちは捏造資料を疑いもしない。「信仰」に近い彼らを納得
    させることは不可能に近い』。

     まあ、これも言いたい放題ですが、まず、『大虐殺はなかったと考えている
    』という一番のスタート点で、ボンとご自身の主張を入れていますね。その次
    に、『肯定派の出す資料が明らかな捏造も含めてお粗末なものが多すぎる』と
    続いています」

     スケールの大きな調査がなされ、そして裁判にもなり、大変な資料の集積が
    あるにもかかわらず、このような言い方をしている。彼は、それを見たのでし
    ょうか」

    能川「私は賭けてもいいですけど、今、ここに積んである資料というのは、単
    行本として刊行されているものだけなのであって、これが全てじゃないんです
    よね」

    岩上「例えば、この京都師団の関係資料というのは、一つ一つの師団が、どの
    ような行動をとったのかという、従軍日記ですね。膨大な一次資料ですよ。こ
    れら一次資料というものに、歴史を研究する場合には、必ず当たらないと話に
    ならないわけですよね」

    能川「ええ。この資料は、ここに『偕行社』とありますが、これは要するに、
    旧日本軍の陸軍将校の親睦団体です。これは、そこが作った資料集(※11)な
    んです。

     彼らは、当初は虐殺なんてなかったという趣旨で結論を出そうとして、証言
    や資料の提供を呼びかけたんですけども、結果として、『虐殺はあった』とい
    う証言や資料が集まってしまいました。そして、そういうのも隠さずに、二冊
    の資料集にしたというわけです」

    岩上「当時の体験者たち、しかも、旧陸軍の将校たちがまとめたものなんです
    ね。海軍は『水行社』で、陸軍がこの『偕行社』。非常に有名ですよね。言っ
    てみれば、これほど信憑性の高い資料はない」

    能川「嘘をついたり、捏造する動機のまったくない人たちです」

    岩上「しかも、戦争は終わっているし、陸軍は解体されています。今も陸軍が
    存在しているとか、中国で様々な工作が今も行われているというようなことで
    あれば、軍事機密ということで、いろんなものが隠されたかもしれませんが、
    隠す必要はもうないので、徹底的に出したのでしょう。自身の名誉を守るため
    に、ということもあったのでしょうが、その結果がこういう立派な資料集にな
    ったのですね」

    能川「これも、実は全部というわけじゃないんです。やはり、敗戦時に処分さ
    れてしまったものがだいぶあると言われています。その処分を免れたものが、
    こうしたかたちで残っているわけです。

     それから、やはり部隊の一部には、どうしても虐殺の資料になるようなもの
    を出したくないという関係者もいたようです。

     それでも、これだけの資料が集まるくらい、あえて不利になることでも出そ
    うという考えを持った人たちがいて、そのおかげでこれだけの資料集になった
    のですね」

    岩上「しかし、百田さんの言うところでは…」

    能川「これらは捏造だと言うわけですね」

    岩上「この人たちは、陸軍軍人で、戦争に行った人たちですよ。しかも将校で
    す。百田氏自身は、戦争に行ってもいないのに、そうした当事者である将校た
    ちが集めたことを『肯定派程度』のくくりにしてしまい、その資料を『お粗末
    で捏造だ』と、百田さんはツイッターで述べていることになる訳ですね。

     もし本当に、百田さんがこのような趣旨で発言をしているとしたら、これは
    旧軍人に対する大変な侮辱だと思います。失礼極まりないですね。百田さんは
    、そこまで言うのであれば、これらを総覧する必要があると思います」

    能川「全部、読む義務がありますね。その言葉に、責任をとってもらいたいと
    思います」

    岩上「そうですね。これらの、どれが捏造であり、どれがお粗末なものである
    のかということの、百田氏には証明をする義務がありますよね。知識人として
    、それはやるべきことじゃないですか」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※11):財団法人偕行社、『南京戦史資料集 I』、非売品、1988年/財団法
    人偕行社、『南京戦史資料集 II』、非売品、1993年)


    ===================================
    ◆中国の「30万人」という主張は変わっていない◆
    ===================================

    能川「次が、こちらですね」

    岩上「『私が十代の頃(今から40年前)、中国は南京大虐殺の被害者は100万人
    と堂々と主張していた。しかしその後、心ある日本の知識人たちが、中国の主
    張の矛盾を指摘し、反論と反証を試みると、中国は被害者数をどんどん減らし
    ていき、今は30万人と言っている。バナナの叩き売りかよ』。最後もまた…」

    能川「下品ですね」

    岩上「下品な啖呵の切り方です。まあ、自分は爽快だと思っているのでしょう
    が。仮にも、虐殺の死者数ですよ。30万の人を殺したことをバナナの叩き売り
    に例えるということを、少し自分の胸に手を当てて考えてみたらいいと思いま
    す。

     そのうえで、本当に数が減っていったのかということですが」

    能川「これも、解説していくと、ツッコミどころがありすぎて困ります。イン
    ターネットをよくご覧の方はご存知だと思うのですが、通常、いわゆる『ネッ
    トウヨク』と言われる人々は、中国が犠牲者数を膨らましていると言うんです
    ね。逆に、百田さんのように、減らしていっているというのは、珍しいタイプ
    の主張です。

     これは、どちらも間違いなんです。増えているというのも間違いだし、減っ
    ているというのも間違いです。

     これは、今から40年前ということなので、つまりは日中国交回復の当時とい
    うことですよね。その頃、中国が南京大虐殺の犠牲者数を、100万人と言って
    いたというご記憶はありますか?

     私は、そんな話は聞いたことがありません。100万人というと、思い出され
    るのは、『現代用語の基礎知識』という本の1996年版に、どういう経緯か知り
    ませんが、100万人という記述が載ってしまって問題になったことがありまし
    た。それは、中国の説というわけではなくて、その『現代用語の基礎知識』の
    側の問題です。百田さんは、それとごっちゃにしているんじゃないかなと思い
    ます」

    岩上「そうかもしれませんね。先生がお調べになった限り、この数字は見当た
    りませんか?」

    能川「そうですね。まあ、広い中国を探せば誰かいるかもしれませんが、中国
    政府とか、あるいは南京市政府が、そういうことを言っているという話は聞い
    たことがないですね」

    岩上「とすれば、百田さんは、この数字についてのソースをあげなくちゃいけ
    ないですよね」

    能川「ここにある『南京事件資料集 2 中国関係資料編』のなかに、戦後中
    国で、この南京で行われた戦犯裁判の判決理由が掲載されています。こちらの
    ほうに、被害総数が載っています」

    岩上「ここですね。『被害総数は合計三十万人余りである』と」

    能川「これは、敗戦後すぐの戦犯裁判の判決です。そこですでに、30万という
    数字が出ているわけですね。つまり、増えたわけでもないし、減ったわけでも
    ないんです。最初から、30万人ということだったんですね」

    岩上「この判決文、ちょっと読み上げてみますね。『集団殺害され死体が焼却
    されたものは十九万以上に達する。分散的に殺され、遺体が慈善団体によって
    埋葬された者は十五万以上に達する。被害総数は合計三十万余りである』。だ
    いたい、場所はどこでどんなことが起こったということについては、このかな
    り初期の資料においてでさえも、このように明らかにされているということで
    すね」

    能川「もちろんこれは、裁判ですので、基本的には、被告人の有罪無罪、ある
    いは量刑を決める範囲で事実認定をすれば、事足りるという種類のものです。
    もちろん、これをこのまま、歴史学の歴史的な記述として採用できるかという
    と、それはもちろん別問題です。

     別問題だけれども、少なくとも、中国の主張が大きく変わってきたというの
    が虚偽だということについては、これでお分かりいただけると思います」

    (中編へ続く)

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