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    原発問題 -The Truth is Out There-

      : 

    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    IWJ特報第143号「能川元一氏インタビュー 第2部〜従軍慰安婦編(その1)」 

    第143号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                岩上安身のIWJ特報
              歴史修正主義者の詭弁を徹底論破!
           能川元一氏インタビュー 第2部〜従軍慰安婦編
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    (IWJより転載許可済み)

    第143号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                岩上安身のIWJ特報
              歴史修正主義者の詭弁を徹底論破!
           能川元一氏インタビュー 第2部〜従軍慰安婦編
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     前回お届けした「第1部〜南京大虐殺編」では、作家でNHK経営委員である百
    田尚樹氏などによる歴史修正主義的な発言を取り上げ、それと能川氏が提示す
    る一次資料を照らし合わせながら、彼らの発言が「嘘」であることを証明して
    いった。

     「第2部〜従軍慰安婦編」では、再度歴史修正主義者の発言をひとつひとつ
    分析して、彼らに特有の思考パターンを析出するとともに、従軍慰安婦問題に
    関する政府の答弁書の欺瞞を徹底的に追及する。

     従軍慰安婦問題といえば、昨年5月13日、大阪市の橋下徹市長の口から飛び
    出した、「あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている(旧日本軍の)
    猛者集団に(慰安婦が)必要なのは誰だって分かる」という発言が記憶に新し
    い。橋下氏はこの発言を巡って国内外から大きな批判を受け、自民党内や安倍
    政権の閣僚からも批判が相次いだ。

     しかし、安倍総理を筆頭に、従軍慰安婦問題に関する安倍政権の閣僚の基本
    的な考えは、橋下氏と大差がないように考えられる。

     第一次安倍政権下の2007年3月、安倍総理は、従軍慰安婦問題で謝罪と反省
    を述べた「河野談話」について、「狭義の強制性を裏づける証拠はなかった」
    と答弁した。

     2012年12月4日には、アメリカのニュージャージー州の地元紙「スターレッ
    ジャー」に、安倍総理、古屋圭司国家公安委員長、稲田朋美行革担当相、下村
    博文文科相、新藤義孝総務相らが連名で、「女性がその意思に反して日本軍に
    売春を強要されていたとする歴史的文書は発見されていない」「(慰安婦は)
    『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で
    働いていた」などとする意見広告を掲載した。

     このように、第一次安倍政権から連綿と続いてきた、安倍総理とその「お友
    達」による、従軍慰安婦の存在を否認したいとの思惑は、第二次安倍政権で、
    河野談話の検証チームを立ち上げるというかたちで噴出した。

     2月28日、菅義偉官房長官は、河野談話について、検証を行う作業チームを
    作ると発言した。談話の見直しについては「政府の基本的立場は官房長官談話
    を継承する」と否定しているものの、検証チームの作業は行われるのだという。

     「第一部」の前文でも触れたが、「河野談話」の検証は、裏づけ調査が不十
    分であったことを明らかにすることに政治的な狙いがおかれている。「談話」
    の信頼性を失墜させることを目的にしているものと思われるが、その一方で、
    「談話を継承する」と発言するのだから、「二枚舌」を批判されても仕方がな
    い。

     重要なことは、戦前の日本政府との間に断続性はない、ということだ。戦後
    の日本政府は革命によって刷新された政府ではない。戦後の日本政府は、戦前
    の政府を継承しているのである。

     戦争終結を前にして、軍部を含めた日本政府は、戦争遂行に関わる重要な文
    書や証拠を組織的に破棄・焼却した。自らの手で証拠隠滅をはかっておきなが
    ら「証拠がない」「文書がない」と言い張る。そんな話がどうしてまかり通っ
    ているのか。

     南京虐殺のような戦争犯罪にせよ、慰安婦制度への関与にせよ、政府が行い、
    政府が証拠隠滅をはかり、政府が反省の「談話」を出して、その政府が「談
    話」の検証が必要だ、などと言い出しているのだ。検証するならば、侵略戦争
    遂行や植民地支配の全過程と慰安婦制度発足と運営、そして証拠隠滅の経緯す
    べての検証が必要ではないか。なぜ「談話」だけの検証にとどまるのか。茶番
    もいいところである。

     能川氏は、2007年3月の安倍総理による「狭義の強制性はなかった」とする
    答弁の矛盾点を鋭く突くとともに、今、改めて河野談話を検証することの問題
    点を、分かりやすく解説した。

     新大久保や鶴橋といったコリアンタウンでヘイトスピーチが吹き荒れ、それ
    がさらに、「アンネの日記」を破損するようなホロコースト否定論とも結びつ
    くような事態に立ち至った今、歴史認識について改めて考えるためにも、「第
    1部〜南京大虐殺編」に続き、必読のインタビューである。

    ===================================
    ◆歴史修正主義者に特有の「ゴールポストを後退させる」否定パターン◆
    ===================================

    岩上「さて、ここまでお話をうかがってきて、多くの資料があり、大変詳しい
    記録が残っているということが分りました。これを見ると、南京虐殺はなかっ
    たと称している人たち、つまり日本版の歴史修正主義者たちは、もうぐうの音
    も出ないんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか?」

    能川「そうだったら、苦労はしないんですけれども、実際になかなかそうはい
    きません。彼らが、最終的にこういう資料を提示されたらどうするのか、とい
    うことなんですが、一つは、そういう資料は信用できないという形で否定する
    というパターンがあります。それから、もう一つ、『結局、被害者は30万人じ
    ゃないじゃないか』と言うパターンがあります。これが、非常に多いですね」

    岩上「焦点をすり替えていくということですか」

    能川「どんどん後退させていくのです。最終的には、中国が言っている30万人
    じゃないんだったら問題だ、と。ところが、実際には、歴史上のこういう大虐
    殺で、被害者の数がはっきり分かっている方が、むしろ稀ですよね。ポルポト
    派による虐殺でも、最近だとルワンダとか、ダルフールだとか、こうしたとこ
    ろでも実は被害者の数を正確に推定するというのは、簡単なことではありませ
    ん。

     なぜかというと、大量虐殺というのは、本来だったら証人になりうるような
    人も、証拠も、殺したり破壊したりしてしまうからです。一人の人間が普段、
    平和の時に死ねば、何十人という刑事や検察官が揃って捜査して、犯人を裁判
    にかけて、有罪無罪を決めるわけです。しかし、何万、あるいは何十万という
    人が殺されたときは、そんなに丁寧な調べもできません。必然的に、犠牲者数
    がはっきりしないというのは、むしろ当たり前だと思います。

     あたかも犠牲者数がはっきりしないのはおかしいかのように彼らは言うけれ
    ども、大量虐殺というのはそういうものではないのです。むしろ、犠牲者数が
    はっきりしないのが本質だということです」

    岩上「先ほどの陣中日記にもありましたように、現場の部隊のところでは、
    『処理をしなきゃいけないから大変だ』、といったことを書いているわけです
    ね。しかし、これを知った当時の外務省などの高級官僚や、あるいは軍のエ
    リートは、出先がめちゃくちゃなことをやって、『これはたいへんだ、これは
    人道にもとることだ』という認識が、あることはあるわけですね。

     しかし、現場のほうは、大変なことをやっているからこそ、その証拠を残ら
    ないようにしてしまえということが、常識として横行していたりするのではな
    いでしょうか。証拠が残らないようにしていることを、『証拠が残ってないん
    だからやってないだろう』とか、『数が揃わないんだから不確かだろう』とい
    うふうに、歴史修正主義者たちは言いますね。

     不確かだろうというところから、いつのまにか、なかったんだということに
    までなるわけですね。しかし、『なかった』とは言えませんよね。例えば、先
    ほどの南京郊外のひとつの師団の二日間にわたる捕虜処分だって、二万人を殺
    しているんですよ。それを『なかった』とは言えませんよね」

    能川「例えば、犠牲者の数の問題ですけども、一般的に、広島の原爆の犠牲者
    数は、即死させられた人が7、8万人で、1945年内にだいたい14万人が亡くなっ
    たというのが一般的な知識になっています。今まさに、3.11以降問題になって
    いるように、放射線の影響というのは、これは0か100かではなかなか言えない
    ですよね。

     しかも、時間が経てば経つほど曖昧になっていきます。そうすると、即死さ
    せられた7、8万人は確実だとして、じゃあそれ以降の放射線の影響で亡くなら
    れた人々のうち、いったいどこからどこまでが原爆のせいなのかということに
    なりますね。

     これを、例えばアメリカ人が本気で問題にしだして、科学的に、原爆のせい
    で死んだと判断できる人間だけを犠牲者数にしろと言いだしたら、どうするか
    ということですよね。

     我々日本人のほとんどは、そういうことを想像したことすらないと思います。
    例えば、広島市の原爆死没者名簿には、現在、約28万人ぐらいの方の名前があ
    ります。これは、被爆者認定とはまったく別で、とにかく被爆されて亡くなっ
    た方のすべてを対象に、遺族からの申し出があれば登録されているんですね。
    それだって、アメリカがもし、28万人というのは数を増やしすぎだろうなどと
    言い出したら、どうするのかということですよね」

    岩上「それこそ、『広島原爆のまぼろし』になりかねませんよね」

    能川「なりかねないわけですよ。だけど、我々が、追悼のための数字として、
    その28万人というのを不適切だと思うだろうか、と。こういうこともちょっと
    考えてみないと、本来はいけないはずなんですよね」

    岩上「原爆で放射線を浴びて、内部被曝をした人もいますし、ずっと後になっ
    て具合が悪くなった人もいます。手帳を貰えた人と貰えなかった人もいるけど
    も、貰えなくても同様の障害で苦しんで亡くなった方もいる。それらをある程
    度多く見積もると、その程度の数字になると思います。これもみんな犠牲者じ
    ゃないですか、という時には、そうですね、ということになるのは当然です」

    能川「ところが、それに対して、科学の名のもとにケチをつけることが、実は
    出来てしまうんです」

    岩上「もしこのように、原爆を投下しておきながら、その被害を最小に見積も
    っていく人間たちがいるならば、我々日本人は、冒涜だと感じます。さらには、
    原爆投下による被害者はなかった、とでもいうようになるのならば、これは本
    当に許しがたい話だと思います。また、『あのとき一般市民は殺していない』
    などと言い出すとしたら、たいへん不愉快な話になります。南京大虐殺に関し
    て、これと、同じことを言っているに等しいわけですね」

    能川「そういうふうに、視点を変えたところから見てみる必要もあるだろうと
    いうことですね」

    岩上「そうですね。相手の立場になってみる。そうすると、現在、中国人がそ
    の子孫も含めて、どれだけ傷つくか、と考えてみる必要がありますね。侵略を
    しておきながら、その侵略の過程でたくさんの犠牲を出したことを、過少に見
    積もろうとする大日本帝国の子孫がいるわけですから。

     現在の中国人の心理としては、これまで侵略に関わった世代は許せないが、
    その子供や孫の世代には罪が無いと思っていたんだけど、子供や孫の世代の中
    に、『親父やじいさんらの世代は、そんなひどいことをしてない』と言い出す
    者が現れて、驚いている、ということですよね。

     これは、現代の中国人としては、たいへん怖いと感じると思いますし、非常
    に嘆かわしいことだと感じるでしょう。それは当たり前のことじゃないです
    か」

    能川「ある人がネットで言っていましたけど、もし、あのオウム教団の後継の
    アレフが、地下鉄サリン事件なんかなかったと言ったらみんなどう思うか、と。
    それと同じことじゃないかということですよね。

    それから、あと、よくある手としては、記念館の展示などに使われる写真につ
    いて、文句をつける。これも常套手段ですね。東中野修道氏が、『南京事件
    「証拠写真を検証する』という著作を出しています。(※1)

    ここに、『私の従軍 中国戦線』という写真集があります。村瀬守保(※2)と
    いう方が、自分が撮影した写真にキャプションをつけて、作った写真集なんで
    すね。実は、この写真も、その東中野氏らが書いた証拠写真を検証するという
    本のなかで取り上げられているんです。

     この写真は、要するに、揚子江の江岸にたくさんの死体が流れ着いていると
    いうものです。東中野氏らが書いた本では、小さなサイズで映っているので、
    よく分からないのです。

     彼らは、これは戦死者の死体が流れ着いたんじゃないかとか、そういうふう
    なことを言っているんですが、よく見ると、例えば、後ろ手に縛られた死体が
    写っているんですね」

    岩上「あ、ほんとうに。この人とかそうですね」

    能川「腕の角度から見て、手を後ろで縛られているわけですよ。捕まえた中国
    人を後ろ手に縛って、連行して殺したという証言がいくつかあるので、日本軍
    の殺し方とまさに符合しているというわけです。

     後ろ手に縛られた死体が、通常の戦闘の戦死者である蓋然性は、まあないで
    すよね。これは、捕まえて武装解除した捕虜を殺して、その死体が集積したも
    のだと考えるのが妥当だろうと思います。

     彼らがニセモノだと主張している写真の中に、実はちゃんと見れば、紛れも
    なく虐殺の証拠になっているというものが存在するということですね」

    ・『私の従軍 中国戦線』より(【URL】http://bit.ly/1jyDTqG)

    ----------------------------------------------------------------------
    (※1)東中野修道:鹿児島大学法学部教授。専門は日本思想史。1998年、
    『「南京虐殺」の徹底検証』(展転社)を出版し、南京大虐殺の資料はすべて
    捏造であり、虐殺はなかったと主張した。この著書をめぐり、南京大虐殺の生
    存者の一人である夏淑琴(シア・シュウチン)氏から「ニセ被害者呼ばわりさ
    れて、名誉を傷つけられた」として、名誉毀損で提訴された。審理は中国の裁
    判所と日本の裁判所と二ヶ国の裁判所で独立して行われ、判決は両国の裁判所
    とも東中野氏の非を認め、東中野氏と展転社に対し賠償命令を出している。他
    の著書に、『1937 南京攻略戦の真実−新資料発掘』(小学館、2003年)、
    『南京「百人斬り競争」の真相』(ワック、2007年)など。(参照:
    Wikipedia【URL】http://bit.ly/1eKaGxk)

    (※2)村瀬守保『私の従軍 中国戦線〜一兵士が写した戦場の記録』(日本機
    関紙出版センター、2005年)出版社による紹介文:1937年(昭和12)から2年
    半、中国各地を転戦しながら写した3000枚の従軍写真。巨大な狂気の渦に巻き
    込まれた日本人兵士や中国民衆の姿。貴重な写真の数々が装い新たに終戦60年
    の今、歴史を証言する。(【URL】http://amzn.to/1jgHlX5)

    ===================================
    ◆中山成彬議員の問題発言◆
    ===================================

    岩上「東中野さんという方はどういう方ですか?」

    能川「彼は、もともとは歴史学者ではなくて、思想史の専門家だったのですが、
    1990年代後半ぐらいから、いわゆる否定派の指導的なイデオローグになった方
    です。かなりたくさんの本を書いていますが、著作のなかで、夏淑琴(シア・
    シュウチン)さんという中国の有名な生存者の方を取り上げています。

     彼女が有名な理由のひとつは、その事件の直後に、南京に残留していたアメ
    リカ人の牧師がその被害の様子を撮影していて、その写真のなかに一人の女性
    が写っていた。それが、彼女だったんですね。当時、小さな女の子だったので
    すけれども。

     彼女は、自分自身が銃剣で刺されて、かつ生き残った犠牲者であると同時に、
    家族、両親や姉を含め、家族を殺され、かつ姉や母親がレイプされるという被
    害者遺族でもあるわけです。

     彼女は比較的前から日本に来て、集会などで証言されているんですが、その
    夏淑琴さんのことを、東中野氏が、著作のなかで、『この証言はウソだ』とい
    うふうに書いたんです。

     これが、名誉毀損だということで訴訟になって、最終的に、これは東中野氏
    側および出版社側の敗訴となり、判決が確定しています。

     裁判所は、その判決文のなかで、東中野氏の著作について、学問研究の成果
    というものには値しないという、非常に厳しい言葉を使っています。これは、
    みんなびっくりしたぐらいの厳しい言葉ですね」

    岩上「東中野氏は、一応、思想史をやっていたということですけど、研究者と
    いうか、学者ではあるわけですよね。しかし、南京大虐殺の検証にあたっては、
    学者と言えるような検証の方法をとっていないというふうに、非常に厳しく批
    判されているのですね」

    能川「もちろん、これは裁判なので、それは裁判の中で争われた部分での話で
    あって、彼の研究全体についてどうかというようなことは、裁判所は余計なこ
    とは言いませんけども」

    岩上「なるほど。ちょっと話を元に戻して、南京大虐殺はあったのか、なかっ
    たのか、ということについて、百田さんは思い切った発言が多いですが、それ
    について、こういう資料に基づいて、こういう膨大な証拠がありますよ、とい
    うお話を今うかがいました。そうなると、百田さんこそ、自分の発言に責任を
    取らねばならないということになりますよね。

     こうした資料があるにもかかわらず、『証拠はない、ずさんで捏造ばかり』
    と百田さんは言っていますけど、陸軍軍人が残したもの、外務省の人間が残し
    たもの、大将が残したこういう資料について、彼は一つ一つ捏造であると証明
    しないかぎり、そういう発言はできないはずですね」

    能川「そうです。彼自身の発言が捏造だということになってしまうということ
    です」

    岩上「そう、彼は虚言を吐いていることになるので、これに対して回答してい
    ただきたいなというふうに思います。それ以外にも、実は政治家のおかしな発
    言というのがいっぱいあります。

    とりわけ際立つのが、日本維新の会の関係者、石原慎太郎さんとか、中山成彬
    さん(※3)、それから田母神俊雄さんとか、たいへん多いわけですね」

    能川「中山成彬氏については、次のような発言があります。2013年4月10日、
    衆議院予算委員会での発言です」

     『あれは通常の戦闘であり、それ以上でもそれ以下でもなかったと結論づけた
    わけでございます。だから、三十万人の中国人を虐殺したなんて、とんでもない
    話なんです。お手元に「南京市の人口」という一枚の紙を配ってありますけれ
    ども、これを見れば、あれは昭和十二年の十二月十三日でございますけれども、
    逆に人口はふえているんです、南京の人口は。二十万からずっとふえていて、
    二十五万になっている。どこに三十万人の大虐殺があったのか。これはなかっ
    たということは明らかでございまして、こういう事実を事実としてはっきり教
    科書には書くべきなんですね。(平成25年4月10日、第183回国会衆議院予算委
    員会)』

     これは、まさに先ほど言った論法ですよね。30万人じゃなければ、南京事件じ
    ゃないという論法です。じゃあ、20万人だったら虐殺じゃないのか。10万人だ
    ったら虐殺じゃないのかということになりますが。とにかく、この30万という
    のが最後の砦なんですよ」

    岩上「論理に飛躍がありますよね。人数が違うと、いきなり、なかったことに
    なってしまうと。この思考の飛躍は、私には分からないですね。30万人という
    ウソをいうんだから、実は一人も死んでないのだ、と、こういうことなんでし
    ょうか?」

    能川「次が、2013年5月21日に朝日新聞の取材に答えて、慰安婦について次の
    ように言っています。

     『韓国人が、従軍慰安婦というありもしなかったことを世界中に悪宣伝し、日
    本人を辱めている。大事なところは「20万人もの朝鮮の若い女性」というが、
    当時は人口は2000万人ちょっと。ということは100人に1人の自分の娘
    や知り合いが強制連行されるのをだまってみていたのか。朝鮮の親たちもそん
    な弱虫じゃなかったはずだ』」

    岩上「『韓国人が、従軍慰安婦というありもしなかった』と。ありもしなかっ
    た、とここでも全否定の発言をしていますね。これは、一人もいないというこ
    とですよね。『世界中に悪宣伝し、日本人を辱めている。大事なところは「20
    万人もの朝鮮の若い女性」というが、当時は人口は2000万人ちょっと。という
    ことは100人に1人の自分の娘や知り合いが強制連行されるのをだまってみてい
    たのか。朝鮮の親たちもそんな弱虫じゃなかったはずだ』。これは。何重にも
    暴言だと思います」

    能川「ひどいですね。しかも、普通20万人というのは、慰安婦の方全体の推計
    で、そのなかの最大の数字として20万人と一般に言われていていることです。
    朝鮮人の女性だけで20万人というのは、少なくとも一般的な主張としてはない
    ですよ」

    岩上「大げさに言っているわけですよね」

    能川「そういう極端な事例を出して、100人に1人だと言っている論法もごまか
    しですし、全体としても、『だまってみてたのか』って、これも非常に卑怯な
    議論だと思います」

    岩上「黙って見ているもなにも、抵抗したらどうなっていたのか。強制連行と
    いうのは、ケースによって強制性がなかった場合と、強制性がかなり強かった
    場合と、グラデーションはあると思いますけれども、当然強制に対して冗談じ
    ゃないと思う人たちもいて、そうした抵抗に対して、どのような態度で報いた
    のか、という問題があります」

    能川「抵抗できなかったほうが悪いという、性暴力に対する認識と、実は共通
    しますよね」

    岩上「そうですね。力で組み伏せておいて、抵抗できないようにしておいて、
    でも抵抗しなかっただろ、お前、というふうに言うというものですね」

    能川「まさに、抵抗しなかったんだから、強制連行はなかったんだという論法
    ですよね」

    岩上「非常に何重にも人を傷つけるような論法ですね」

    能川「これが、終わりじゃないから恐ろしいのですが。中山氏の、2013年5月
    24日のツイートです。

    ・中山成彬氏の2013年5月24日のツイート(【URL】http://bit.ly/SWp8bR)

    岩上「ツイッターでも中山さんは発言しているんですね。『(「慰安婦」だっ
    た韓国人女性と橋下徹共同代表の面談が中止になったことについて)橋下氏に
    強制連行の中身を鋭く追求されるのをおそれたか?化けの皮がはがれるところ
    だったのに残念』と」

    能川「橋下さんの謝罪について、本気とは思えないということですよね」

    岩上「橋下さんの謝罪が本気とは思えないから、元慰安婦の方はそういうふう
    に政治利用されるのは嫌だと言ってキャンセルしたんですけど、それに対して、
    『追求されるのをおそれたか? 化けの皮がはがれるところだった』と暴言を
    投げつける。

     橋下さんはあの時、国際的な非難を浴びていました。橋下さんとしては、それ
    を火消ししたかったんですけど、そのお仲間のなかから、火消しどころか、さ
    らに火をつける人間が現れたということですね(※4)」

    能川「そうですね。彼らには、よくあることなんですけどもね。さらに、7月
    17日の街頭演説では『中国や韓国が本当に歴史を直視したらどうなるか。慰安
    婦の問題も南京事件もなかった。でっちあげだったんだということがよくわか
    る』などとも発言しています(※5)」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※3)中山成彬:衆議院議員。日本維新の会所属。文部科学大臣、国土交通
    大臣を歴任。2008年9月、「日教組の子供なんて成績が悪くても先生になる」
    「日教組は日本のガン」などといった発言が物議を醸し、国土交通大臣を辞任
    した。従軍慰安婦問題については、2013年6月、韓国側の主張について、「自
    分の子や近所の娘が連行されるのを黙って見ていたのか。そんなに朝鮮人は弱
    虫だったのか」などと発言した。妻は、福田康夫政権で内閣府匿名・拉致担当
    大臣を務めた中山恭子参議院議員。
    (参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/Qm4DEe)

    (※4)5月13日、大阪市の橋下徹市長は、大阪市庁舎で行われたぶら下がり会
    見で、第二次大戦の旧日本軍の従軍慰安婦制度について、「あれだけ銃弾が飛
    び交う中、精神的に高ぶっている(旧日本軍の)猛者集団に(慰安婦が)必要
    なのは誰だって分かる」と発言。また、今月上旬に沖縄の普天間基地を視察し
    た際に、面会した在沖縄米軍幹部に対し、風俗の活用を働きかけたことも明ら
    かにした。この発言を巡って、中国、韓国などから批判が相次いだ他、欧米メ
    ディアを始めとする世界中のメディアが、批判的に報じた。AP通信やロイター
    は、橋下氏を「outspoken nationalist mayor」(歯に衣を着せぬ国粋主義の
    市長)、「the young, brash mayor」(若くて向こう見ずな市長)と紹介。
    CNNも橋下氏を「prominent nationalist politician」(著名な国粋主義の政
    治家)と紹介した。(IWJウィークリー3号【URL】http://bit.ly/1jgYUqf)

    (※5)「『平和ボケの日本人を覚醒させる』維新・中山氏(朝日新聞、2013
    年7月17日):「先の大戦で日本は負けたが、民族独立、みんな平等であると
    いう旗印のもとで戦った。その結果、アジア、アフリカの国が独立した。ワシ
    ントン、ニューヨークに色の黒い人がどんどん来て、レストランなど公の場に
    出るようになった。それを見ていた米国の黒人の方々が『自分たちもそういう
    権利がほしい』ということで公民権運動が起こり、様々な要求をした。ついに
    (黒人の)オバマ米大統領が誕生するということになった。まさにこのような
    世界になったのは、私たちの先祖のおかげなんだということに誇りを持つべき
    じゃないか。歴史を直視するということはまさにこういうこと。中国や韓国が
    本当に歴史を直視したらどうなるか。慰安婦の問題も南京事件もなかった、で
    っちあげだったんだということがよくわかる」
    (【URL】http://bit.ly/1gSMurt)


    ===================================
    ◆河野談話の見直しを求める右派◆
    ===================================

    能川「中山議員については、まだいっぱいあります。今度はフェイスブックで
    すね。今まさに、このような発言が、一部の跳ね上がり議員からだけじゃなく
    なりつつあるというのが問題ですよね」

    ・中山成彬議員の2014年2月20日のフェイスブック
    (【URL】http://bit.ly/1hDVTAa)

    ・中山成彬議員の2014年2月22日のフェイスブック
    (【URL】http://bit.ly/1oAoMF5)

    岩上「非常に重大な話になってきます。今年の2月20の話です。衆議院予算委
    員会ということは、まさに今、真っ最中ですね。日本維新の会の山田宏衆議院
    議員からの質問(※6)なのですが、まるで与党の議員が言っているようです
    ね」

    能川「政権をアシストしていますよね」

    岩上「よくあることですね。最近特に、日本維新の会はそういうことをやりま
    す。これも、『慰安婦への聞き取り調査について、政府がチームを作って検証
    して欲しい』と言っているわけです」

    能川「この聞き取り調査というのは、後でも紹介しますが、いわゆる河野談話
    についての調査のことです。河野談話を作成する過程で、調査の一環として、
    慰安婦として名乗り出た女性たちに聞き取り調査をしているわけですね。その
    聞き取り調査がいいかげんだったんじゃないかというのが、最近の右派の非常
    に力を入れている主張です。その検証チームを作れというのが、この山田議員
    の主張なわけですね。

     彼の要求で、石原信雄という当時の官房副長官を参考人として議会に呼んで
    証言させました。すると、次のような証言を石原さんがしたんですね。

     『石原〔信雄〕元官房副長官:当事は、慰安婦とされた人たちの中で、客観的
    な状況を話せる人を選んでいただきたいと。その要請に応えて、そういう人を
    選びますということで、韓国側が16人の候補者を出したわけですけれど、当時
    の状況としては、それの裏づけをとるというか、そういうことができるような
    雰囲気ではなかったと思っております。一般的には、一般論としては、この種
    のものについては、裏づけをとるということはあるのでしょうが、あの当時の
    状況としては、そういうことを要求するような雰囲気ではなかったと思ってお
    ります。

     従いまして、当方の資料として、直接日本政府あるいは日本が強制的に募集す
    るといったものを裏付けるものはなかったわけですけれども、彼女たちの証言
    からどうも募集業者の中には、その種のものがあったということが否定できな
    いと。そして、その業者に官憲等が関わったことも否定できないということで、
    この談話のような表現に落ち着いたところでございます』

     この、裏付け調査は行われていないという証言を、それこそ、鬼の首でも取っ
    たように、産経新聞が書きたてているんですね(※7)」

    岩上「だから、河野談話は取り消せ、と。そして、河野談話を取り消すととも
    に、全体として慰安婦問題、慰安婦というのはなかったのだというふうにもっ
    ていこうとしているわけですね。しかし、実際問題、裏付け調査を本当に行っ
    てなかったのかということと、行わないことによって証言の信用性が落ちるの
    かというところが、問題ですね。それについては、どのように思われます
    か?」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※6)日本維新の会・山田宏議員の質問:私は、現内閣においても、少なく
    ともこの聞き取り調査、報告の内容について、これからでもかまわないので、
    出来る限り、裏づけ調査をして、再検証をしていくべきだと。とりあえず、こ
    の16人の慰安婦の方々の発言内容について、当事とるべき裏づけ調査がなされ
    ていなかったのだから、やはりこれからきちっと資料を確認し、そして、日本
    政府だけでやれば、日本の自分たちの思いだけだろといわれますから、第三国
    の研究者、中立的な研究者も入っていただいて、この河野談話の再検証をお願
    いしておきたいとこう思います。
    (【URL】http://blogos.com/article/81608/)

    (※7)「河野談話、(慰安婦聞き取り調査の)裏付けなし」石原元副長官が
    国会で証言(産経新聞、2014年2月20日):石原信雄元官房副長官は20日の
    衆院予算委員会に参考人として出席し、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年
    の「河野洋平官房長官談話」について、韓国での元慰安婦16人の聞き取り調
    査に基づいて作成したが、裏付け調査をしなかったことを明らかにした。当時
    の事務方のトップとして作成過程を初めて公の場で証言した。
    (【URL】http://on-msn.com/MDmNzf)

    ===================================
    ◆河野談話の2つのポイント◆
    ===================================

    能川「まず一つは、これは性暴力の被害者への聞き取り調査だということです
    よね。それに対する裏付けをとる、と。しかし、何十年も前のことですよね。
    裏付け調査と言っても、『じゃあいったいあなた方、どういう調査をすればよ
    かったと思うのですか?』ということを、まず聞いてみたいというのがありま
    す。

     もちろん、人は、自分こそ被害者であるとウソをつくことはあると思います
    が、性暴力というのは基本的に、私は被害者だとウソをついても、それで得る
    利益が非常に少ないタイプの犯罪ですよね」

    岩上「自分の名誉が汚される。自分が精神的に苦しむ。多いですよね、そうい
    う方」

    能川「もちろん、性犯罪だからといって、裏付けをするなということは言いま
    せんが、裏付け調査が行われていないからと言って、それがいい加減だという
    ことにはならないですよね。

     要するに、裁判で被害者が証言したら、それはウソだと決めつけるのか、と
    いうことです。もちろん、裁判であれば裏付けは必要ですが、しかし、裏付け
    が取れなかったからといって、それがウソだということにはなりません。

     それから、個々の方の証言について、本当に裏付けが取れるのかどうか、と
    いう問題があります。何十年も前のことで裏付けが取れないかもしれないけど
    も、歴史的な出来事として捉える場合に、全体としてどうだったのかというこ
    とについては、様々な証拠がある、ということですね」

    岩上「そうですね。Aさんという人がどこの部隊の、誰という軍人と、どうい
    う形で強制的に性行為をせざるをえなかったかというのを、一つ一つ裏付けて
    いくというのは、キリがないことですね。だから、Aさんがある部隊の慰安所
    に行かされたということをだいたい証明できれば、それである程度は分かりま
    すよね。

     多々ある状況証拠で十分ではないか、ということですね。それについては、強
    制的に募集したと裏付ける資料はないと言っていますが、これがいつもいい加
    減な話で、先ほど見せていただいた資料のなかでも、自分が、あるいは軍が関
    与したと、軍人たち自身が言っているわけじゃないですか。

     その点については、安倍総理はしきりに『狭義の強制性はなかった』と言っ
    て、広義の強制性と狭義の強制性とをことさらに分け、その狭義の強制性につ
    いても、なかったというのではなくて、『それを証明する証拠証言がない』と
    いうふうに言っています(※8)。そのことについてはどう思われますか?」

    能川「いわゆる河野談話について、全文をご存じないという方もおられると思
    いますので、紹介しておきたいと思います。

     『今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、
    数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請
    により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送について
    は、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、
    軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧
    による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲
    等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所に
    おける生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった』

     こうなっています。まず一つ目のポイントは、河野談話というのは、別に慰
    安婦の方すべてが強制連行されたというふうに言っているわけじゃないという
    ことです。

     今の日本の右派は、河野談話のせいですべての慰安婦が日本軍によって直接
    拉致されたかのように思われていると主張するのですが、実際にはそんなこと
    はないのです」

    岩上「『旧日本軍が直接、あるいは間接的にこれに関与した』というように、
    間接、という言葉が使われていますし、『慰安婦の募集については、軍の要請
    を受けた業者が主としてこれに当たったが』とありますね」

    能川「『甘言、強圧』とありますが、これは要するに、銃剣を突きつけて集め
    たと言っているわけではなくて、とにかく、何らかの意味で、本人たちの意思
    に反して集められたという事例が様々にあったということしか言っていないわ
    けですよ」

    岩上「甘言で誘われたという場合、例えば、看護の仕事であるとか、そういう
    誘いを信じて募集に応じて行ってみたら実は慰安婦だったという事例もありま
    す。それは、言わば、かどわかしですよね。誘拐ですよ」

    能川「誘拐です。子供に、お母さんが事故にあったから連れて行ってあげるよ、
    というみたいな話ですから」

    岩上「その時の強制性は、暴力とは限らない。ですが、甘い言葉で誘い出すと
    いうのも、これは十分、誘拐略取になるわけですよね。それらを、狭義の強制
    性がなかった、銃剣を突きつけられるような類のものではなかったから、強制
    性はなかったということになるというのは、どう考えてもおかしい話ですね」

    ※2013年6月24日、私は、旧日本軍の従軍慰安婦は「性奴隷」であると、国際
    社会に訴えた最初の人物である戸塚悦郎氏にロングインタビューを行った。戸
    塚氏は元弁護士で元龍谷大学教授、現在は国際人権学者として国際人権法政策
    研究所事務局長を務めている。戸塚氏はインタビューの中で、「『狭義の強制
    性』の証拠は存在する」と、安倍総理の答弁を真っ向から否定し、決定的な証
    拠を提示した。

     ぜひ、インタビューの動画記事と、インタビューの全文文字起こしをリライ
    トし、詳細な注釈を加えた「IWJ特報第107-110号」をご覧頂きたい。

    ・【動画記事】2013/06/24 「日本軍慰安婦制度は、国内法上も国際法上も明
    らかに犯罪である」「韓国併合は無効である」〜国際人権法学者・戸塚悦朗氏
    インタビュー
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/86605

    ・IWJ特報第107-110号「従軍慰安婦制度は国際法違反──人権意識の低い日本
    政府の現実〜戸塚悦朗氏インタビュー」
    http://iwj.co.jp/wj/open/archives/105625

    能川「もう一つは、河野談話では、連行過程、あるいは募集過程の強制だけを
    『強制』と言っているわけじゃないという点です。これも、非常に大事なポイ
    ントです。

     『慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった』と
    あります。つまり、慰安婦問題の人権侵害というのは、募集の段階にのみあっ
    たわけではない、と言っているわけです。これは非常に重要なポイントですね。
    それも、河野談話にはきちんと書かれています」

    岩上「要するに、強制性がなかったならば、騙されたと思った時点で、逃走可
    能なら普通は逃走しますよね。ところが、逃走は不可能だった」

    能川「なにしろ、国外ですからね」

    岩上「その意味でもここは重要なポイントだ、ということですね」

    ----------------------------------------------------------------------
    (※8)女性を銃剣などで脅し、慰安婦として強制的に連行することを「狭義
    の強制性」と呼び、仮に強制連行がなくても、女性が自らの意志に反して慰安
    婦となっている状況を、日本軍が見て見ぬふりをして放置している状態を「広
    義の強制性」と呼ぶ。安倍総理は2013年2月7日の衆院予算委員会で「(慰安婦
    の)強制連行を示す証拠はなかった」と答弁している。他方、2013年5月22日、
    衆議院内閣委員会で、共産党の赤嶺政賢議員に、慰安婦に対する旧日本軍と政
    府の関与、および強制連行の有無について聞かれた菅義偉官房長官は、「心が
    痛むという点で歴代内閣と変わらない」とだけ述べ、軍の関与と強制連行に関
    する言及を避けた。(【URL】http://bit.ly/18jzuVp)


    ===================================
    ◆二重に限定がついた辻元議員への質問主意書への答弁書◆
    ===================================

    能川「その河野談話について、今申し上げた2点をまずは念頭に置いておいて
    いただきたいと思います。次に、平成19年、第一次安倍内閣当時ですが、安倍
    総理の慰安婦問題への認識に関する質問主意書というものがあります。これは、
    辻元清美議員が出したものです(※9)。

     ポイントになるのは、「《安倍首相の発言》について一」とあるところです
    ね。この一の、特に2と3に注目していただきたいのですが。

     『一 《安倍首相の発言》について
     1 「定義が変わったことを前提に」と安倍首相は発言しているが、何の定
    義が、いつ、どこで、どのように変わった事実があるのか。変わった理由は何
    か。具体的に明らかにされたい。
      2 「当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった。その証拠
    はなかったのは事実ではないかと思う」と安倍首相は発言しているが、政府は
    首相が「なかったのは事実」と断定するに足る「証拠」の所在調査をいつ、ど
    のような方法で行ったのか。予算を含めた調査結果の詳細を明らかにされたい。

      3 安倍首相は、どのような資料があれば、「当初、定義されていた強制
    性を裏付ける証拠」になるという認識か』

     この一の2では、『当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった』
    とあります。その証拠はなかったのは事実ではないかと思うと、安倍総理は発
    言しています。

     要するに安倍さんは、慰安婦問題について、当初定義されていた強制性を裏
    付けるものはないのだ、と言っているわけです。これは、そう安倍さんが断定
    するに足る証拠の所在調査を、いつどのような方法で行ったのか、という質問
    です」

    岩上「なるほど。『なかったのは事実と断定するに足る「証拠」の所在の調査
    をいつ、どのような方法で行なったのか』と。そうですよね。証明しなければ
    なりませんよね」

    能川「さらにその3として、安倍総理は、どのような資料があれば、当初、定
    義されていた強制性を裏付ける証拠になるという認識か、とあります。

     これはかなりポイントを突いた質問で、なぜならば、『こういう資料を出せ
    というから、じゃあ出した』とこちらが言ったとしても、それに対して彼らは、
    例のゴールポストを下げる戦略を使うからです。

     つまり、それをいわば阻止するために、辻元議員としてはあらかじめ釘をさ
    したわけですね。どういう証拠があれば認めるのだ、と。こっちが証拠を先に
    出してしまうと、相手は、いや、まだ認めないと言い張りますから」

    岩上「なるほど。この、どのような資料があれば、当初定義されていた強制性
    を裏付ける証拠となるという認識か、というのは、あなたのゴールの場所をま
    ず設定してください、という意味なのですね」

    能川「そうなんです。最近新聞などで、第一次安倍内閣当時の2007年までには、
    軍や官憲による強制性を示す資料は見つからなかったと報じられていますが、
    これが、そのもとになっている答弁書です。ところが、その答弁書が、実際に
    なんと言っているかといいますと、1の1から3までをご覧ください。

     『一の1から3までについて
      お尋ねは、「強制性」の定義に関連するものであるが、慰安婦問題につい
     ては、政府において、平成三年十二月から平成五年八月まで関係資料の調査及
     び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、同月四日
     の内閣官房長官談話(以下「官房長官談話」という。)のとおりとなったもの
     である。また、同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍
     や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったとこ
     ろである。
      調査結果の詳細については、「いわゆる従軍慰安婦問題について」(平成
     五年八月四日内閣官房内閣外政審議室)において既に公表しているところであ
     るが、調査に関する予算の執行に関する資料については、その保存期間が経過
     していることから保存されておらず、これについてお答えすることは困難であ
     る』

     少し読んでみます。まず、『お尋ねは、強制性の定義に関連するものである
    が、慰安婦問題については、政府において、平3年12月』とあります。平成3年
    というのは、慰安婦問題が問題化した1991年ですね。『から平成5年』、これ
    は1993年のことです。『8月まで関係資料の調査および関係者からの聞き取り
    を行い』とありますが、この関係者のなかには実は、日本の関係者なども含ま
    れています。

     『これらを全体として判断した結果、同月4日の内閣官房長官談話(以下「官
    房長官談話」という)と続きますが、この官房長談話というのが河野談話です。

     『のとおりとなったものである』とあって、その次が問題なんです。

     『また、同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料のなかには、軍や官
    憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところで
    ある』。

     この部分ですが、一般にメディアは、『軍や官憲によるいわゆる強制連行を直
    接示すような記述も見当たらなかったところである』というところだけを流し
    ていますね」

    岩上「そうですね。だから、強制連行はなかったのだという論調です」

    能川「ところが、きちんと読んでもらえばわかるのですが、これにはいくつも
    限定がついています。まずは、これ、『河野談話の発表までに発見した資料』
    という限定がついています。

     つまりは、1993年の8月4日までに見つかったものの中にはなかった、という
    ことでしかないわけです。それ以降に見つかったものの中にはあるのかもしれ
    ないという可能性については、まったく否定していないんです。

     そして実際に、あとでご紹介するように、その後に見つかっているんです」


    岩上「見つかっているのですね。これは、大事な点です」

    能川「それから二つ目の限定は、『政府が発見した資料のなかには』と書かれ
    ていることです。では、民間が発見した資料、研究者が発見した資料について
    はどうだったのかということについては、実は、いっさい言及してないんです
    よ」

    岩上「なるほど。自分たち政府のチームが、調査及び関係者からの聞き取りを
    しただけであって、それ以外のものも含めてすべてを網羅したとは言っていな
    い。政府が行なった限定的な調査のなかには含まれてはいない、ということで
    すね」

    能川「そうです。その点がなおざりにされて、強制性を示すような記述はなか
    った、という言葉だけが独り歩きしてしまうと。これは実は、安倍総理の思う
    つぼということになるわけです。

     これは、二重に限定がついた『なかった』なのだということです。もっとも、
    『なかった』というそれ自体が本当はウソなのですが、それについては、また
    のちにお知らせします」

    岩上「安倍総理自身が、強制連行を示すような記述は見当たらなかったという
    ことだけを強調して、答弁でもその後、繰り返し、自己引用しながら言ってい
    ます」

    能川「要は、答弁書では、本当はこういうふうに言っていたのだということで
    す。しかし、実際には、かなりゆがめられた形で伝えられているということで
    す」

    岩上「留保があるのに、その留保部分を省略してしまうわけですね」

    能川「そうなのです。実は、その点、さすがに野党もなにもしてないわけでは
    なくて、共産党の議員が、その点を追及しています」

    (その2に続く)

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