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    原発問題 -The Truth is Out There-

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    東電福島原発事故の真実 放射能汚染の真実 食物汚染の真実 正しい情報を求めて

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    放射性物質による深刻な汚染は牛だけではない 豚、鳥、卵、魚も 

    放射能汚染は肉牛だけか――「スケープビーフ」報道に大問題隠蔽の匂い
    【第184回】 2011年7月21日 上杉 隆 [ジャーナリスト]


     この一週間、ニュースはセシウム汚染牛の話ばかりである。

     東京電力福島第一原発の事故で放出された放射性セシウムが、福島県内の稲わらに付着し、それを食した出荷先の他県の肉牛から、続々と汚染が見つかっている、というものだ。

     19日の朝日新聞でもこう書いている。

    〈放射性セシウムに汚染された稲わらが宮城県から福島、新潟、山形の3県に流通して肉牛のえさに使われた実態を受け、鹿野道彦農林水産相は19日、閣議後の会見で、畜産農家での稲わら利用状況を調べる緊急点検を全国47都道府県に広げると発表した。

     15日に1都10県で始まった緊急点検で、原発事故後に収集された稲わらが、宮城県から福島、新潟、山形の各県の畜産農家に渡っていたことを各県が発表。汚染わらが広域に流通する実態が明らかになった。

     11都県以外の36道府県に対し、19日中にも、畜産農家への稲わらの利用状況の聞き取りを依頼する。牧草とお茶の汚染が確認された11都県で原発事故後に収集した稲わらを使っていないかを調べる方針という〉(朝日新聞)

     言わせてもらおう。「何をいまさら」、これが今頃になって大騒ぎしている政府やマスコミに捧げる一言だ。

    既存メディアの報道は
    官房長官記者会見と大差なし

     自由報道協会所属の記者たち、ならびに海外メディアなどは、3月の事故発生直後から、繰り返し、繰り返し、本当にうんざりするほど繰り返し、食料品などへの放射能汚染と、それに伴う人体の内部被爆の危険性について報じてきた。

     とくに牛に関しては、渋井哲也氏や渡部真氏などが現地に入り、詳細な報告を行ってもいる。それが3月のことであった。

    一方で、現地取材を自社の「内規」に基づいて避けてきた既存メディアは、政府の発表にばかり依拠し、安全性をことさら強調してきた。そのためか、放射性セシウムなどの食料品への汚染を報じることを控え、内部被曝の危険性を国民に知らせることができなかったのである。いや、それどころか、むしろ、逆に、筆者らフリー記者の結果として正しかった指摘を「風評を煽るな」「デマを流すな」と非難していたくらいである。

     テレビや新聞の報道の根拠は、枝野幸男官房長官が自身の記者会見で繰り返し語っていたことと何ら大差ない。その政府発表を、無批判に垂れ流した大手メディアは、結果、肉牛の放射能汚染を拡大させる行政の不作為に加担してしまったのである。

     それにしてもなぜ牛ばかりなのか。果たして私たちは肉牛の汚染だけを論じ、そして案じていればいいのだろうか。

     そもそも、福島の放射能は、県内の稲わらだけに付着し、肉牛だけを被曝させる特殊なものなのだろうか。

     残念ながら、専門家の間でも、そうした極めて限定的な拡散をする放射能の存在は、確認されていないようだ。通常、放射能は無差別に拡散し、動物であるならば同様に被曝すると考えられている。

     となると、被曝牛のことばかり報じているマスコミの方が、特殊なケースに偏っているということにはなりはしまいか。


    官報複合体は決して
    本当のことを国民に知らせない

    「スケープビーフ」

     水曜日の朝、あまりに極端な報道に嫌気の差した筆者の頭に、思わずこうした言葉がよぎった。文化放送「吉田照美のソコダイジナトコ」出演中のことだった。


    「スケープゴート」ならぬ「スケープビーフ」――。

     そこで、コーナー出演の際のフリップには、こう書いたのだ。もちろん、筆者の造語だが、そうでも言いたくなるような社会の雰囲気を感じたからである。

     肉牛だけを狙い撃ちにしている政府発表やマスメディアの報道は、それが意識的であろうとなかろうと、なにやら意図的な隠蔽の匂いがする。

     実はこれまでもそうだった。とくに原発事故以降、何か大きな問題を隠したい時や、事態の拡大を知らせたくない時に、彼らはいつもこの手を使う。

     政府とメディアの官報複合体は、決して本当のことを国民に知らせない。そして、ほとぼりの冷めたころ、換言すれば、手遅れになったころに初めて、「――わかった」と公表し、報道するのである。


     もちろんその間、多くの国民が被曝を繰り返しているという事実は伏せながら――。

    飯舘村など福島県内の
    ホットスポット報道と同じ構造

     飯舘村のときもそうだった。3月15日から、自由報道協会の白石草氏(当時)やおしどりのマコ・ケン氏が、繰り返し、飯舘の危険性を主張しても、政府やマスコミは一向に動こうとしなかった。

     ところが、政府が全戸避難を決定したとたん、あたかも初めて汚染されたかのように報じる。だが、飯館以上に汚染された地域のある福島市や伊達市については、飯舘村のように触れることはない。 

     なぜなら、飯館村の人口は約6000人程度、一方、福島市などの人口は軽く十数万を超える。それゆえに、本当のことを公表できないというのだ。


    「避難人口の多さ、経済的損失なども考慮して、そう簡単に判断できるものではない。影響が大きすぎる」

     5月のことだった。なぜ、福島、伊達、二本松、郡山、白河など福島中通りの住民避難を実施しないのか、筆者が政府中枢の人物に聞いた際に返ってきた言葉がこれである。

    「本末転倒でしょう。影響の大きい事故を起こしたから避難させるんでしょう」

     こう反論したものの、いまだ政府は対応していない。


    「スケープフクシマ」に
    しないために

     結局、住民の健康よりも、政府の仕事が優先されるのだ。避難地域を拡大し、行政がパンクすることを恐れるあまり、過少報告を繰り返し、事態を小さく見せようと犯罪的な努力を繰り返しているにすぎない。それがいまの日本の政府とマスコミの実態なのである。

     放射性セシウムは肉牛だけを被曝させるわけではない。豚も、鳥も、馬も、鹿も、犬も猫も、その可能性は否定できないのだ。当然それは人間とて例外ではない。また稲わらだけを汚染させるはずもない。野菜や魚、木材や半導体、自動車などすべてを汚染する。

    「スケープビーフ」を作って、現実から目を背けるのは止めるべきだ。政府や行政に関してはもはや何を言っても無駄であろう。だが、少なくともマスコミには良心が残っているはずだ。本当のことを報じるべきだ。

    「スケープフクシマ」にしないよう、本当のことを報じるのは今しかないのである。

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