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    原発問題 -The Truth is Out There-

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    原子力損害賠償機構法 この極めて悪質な法は潰さねばならない そして東電には会社更生法を適用すべし! 

    原子力損害賠償機構法は税金による東電と株主の救済策だ
    2011年07月28日(木) 原 英史 経済の死角

    筆者:原英史(元経産官僚)

     原子力損害賠償機構法について、民主・自民・公明3党の修正合意が成立し、26日、修正案として提出されました。

     その内容は、一言でいえば、本来の責任者である「東京電力と関係者の負担」を放置し、「国民の負担」をさらに重くするもの。政府案のさらなる「改悪」です。

     通常、企業が破綻したときは、株券が紙切れになり、カネを貸していた銀行などは債権カットを求められます。株主は損失をこうむりますが、もともと株式とはそういうものです。あえてその会社を選んで株を持っていた以上、仕方ないことです。

     また、銀行も、カネを貸す前にその会社が大丈夫かを審査し、貸したあともおかしなことが起きていればチェックできる立場です。そういう人たちが責任を負担するのは、やむを得ないことです。

     ところが、今回、政府が出した「原子力賠償機構法案」は、株主や銀行の責任をあいまいにしたまま、電気料金値上げや税金という形で国民が負担する内容でした。

     これに対し、「国民で広く薄く負担しよう」という前に、まず、本来責任をとるべき人がいるでしょう、というのが、「公正な社会を考える民間フォーラム」や古賀茂明さんが主張してきたことです。

    株主や銀行にまず責任をとらせるかどうかで、国民負担の額は5兆円ぐらい違ってきます。国民全体で長期にわたって負担するといっても、無視できる金額ではないのです。

     参照:民間フォーラム緊急提言(文末掲載)

     こうした中、今回の3党合意はなされました。

     従来、民間フォーラムなどと同じような主張をしていた河野太郎議員はブログで、今回の修正合意は「東電処理への大きな一歩」と評価しました。即時法的破綻処理ではないが、二段階方式で破綻処理をさせることになったと言います。

     しかし、条文で確認してみると、何となくそれらしき字句は追加されているものの、結局のところ、何ら改善していません。

     例えば、45条で、「関係者に対する協力の要請が適切かつ十分なものであるかどうかを確認しなければならない」という規定が追加されています。これはたぶん、「株主や銀行など関係者の責任をしっかりと求める趣旨で追加した規定」ということなのでしょう。

     しかし、要請した結果がどうなるかは問われていません。また、「協力」の内容が何なのかも分かりません。つまり、「協力の要請」とは、「株券を紙切れにするけど、いいですか」ということかもしれないし、「今年は配当をしませんが、いいですか」という程度かもしれないのです。

     「二段階方式」というのは、附則6条で、「この法律の施行後早期に・・・国民負担を最小化する観点から、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずる」という規定を加えたことを指しているのでしょう。

     しかし、この規定では、期限も不明、「必要な措置」の内容も不明です。

     しかも、第一段階で、この法律に基づいて、「機構」による支援措置は始まります。賠償に必要な金額は「機構」から投入されます。河野議員のブログではいずれ「債務超過」になるとありますが、本当にそうでしょうか。もし本当に債務超過になって法的整理になれば、それまでに投入された支援額は返ってこない、つまり「国民負担」になってしまうでしょう。


    つまり、第一段階でひとたび支援を始めれば、その先は、「今さら破綻させたら、これまで投入したおカネが返ってこなくなって、国民負担になってしまう」といって、"延命装置"を外せなくなる可能性が高いのです。

     これまでの話は、「一見改善したように見せかけながら、何も改善していない」という話でした。

     もっと大きな問題があります。今回の修正案では、「国民の負担」をより一層拡大していることです。

     2条で、これまで原子力政策を推進してきた「国の責務」という規定が追加されました。

     「東電だけでなく、原子力政策を推進してきた立場の国にも責任がある」というのは、一見もっともに見えるかもしれません。しかし、賠償負担という議論の中で、これはどういう意味を持つのでしょうか。

     「国の責任」といっても、菅総理や大臣たちが払うわけではありません。これまで原子力政策を推進してきた自民党の大物議員たちが払うわけでも、原子力安全・保安院の官僚たちが払うわけでもありません。

     「国の責任」とは、結局、国民が税金で負担するということです。

     さらに、51条で「資金の交付」という規定が追加されました。

     もともとの政府案では、予算を直接投入するのではなく、国債を交付する形をとり、いずれは国に返すということになっていました。ところが、この規定では、「国の責任」という観点で、予算を直接投入することも可能にしてしまいました。これはもう返ってきませんから、より明白に、税金による「国民負担」を求められるようになります。

     21日前後、3党修正合意がマスコミで報じられるにつれて、東京電力の株価は急騰しました。一時は150円を切った株価が、今や4倍前後です。

     この修正案をみると、株式市場が、事態を正確に認識していたことがよく分かります。
    この修正合意は、東京電力とその関係者たち(株主や銀行)の救済にほかなりません。

    原英史/はら・えいじ
    1966年東京都生まれ。
    東京大学法学部卒、米シカゴ大学ロースクール修了。1989年通商産業省(現・経済産業省)入省。
    内閣安全保障・危機管理室などを経て、2007年 から安倍・福田内閣で渡辺喜美行政改革担当大臣の補佐官を務める。
    その後、国家公務員制度改革推進本部事務局を経て、2009年7月退官。
    株式会社政策工 房を設立し、政策コンサルティング業を営む。
    大阪府人事委員会特別顧問、政策研究大学院大学客員准教授も務めている。

    原発事故の損害賠償に関する公正な処理を求める緊急提言

     公正な社会を考える民間フォーラム

     原発事故による巨額の損害賠償をどう処理するのか。4、5月頃には「東電の賠償額に上限を設定するのか」「金融機関の債権カットを求めるのか」などで議論が紛糾し、メディアでも一時話題になったが、結局その後、政府は「原子力損害賠償支援機構」を新設する処理スキームを決定。東京電力を破たんさせることなく、電力料金値上げなどの形で負担を求める方式が決められた。政府はこのスキームを法案化して6月に国会提出。7月に入って審議入りし、11日からは衆議院での委員会審議が始まった。

     原発ストレステスト騒ぎなどもあって、この問題への関心は薄れた感があるが、この法案は、端的にいえば、特定利権のために法治主義の原則を平然とねじ曲げるような法案である。ほかの幾多の問題に紛れ、いつの間にか、こうした法案がそのまま(ないし若干の修正を経て)成立するような事態は、避けなければならないと考える。

     こうした問題意識のもと、7月12日、以下5名の呼びかけで、民間有志「公正な社会を考える民間フォーラム」による「原発事故の損害賠償に関する公正な処理を求める緊急提言」を発表することになった(五十音順)。

    池田信夫(株式会社アゴラブックス代表取締役)
    久保利英明(弁護士)
    八田達夫(大阪大学招聘教授)
    原英史(株式会社政策工房代表取締役社長)
    福井秀夫(政策研究大学院大学教授)

     以下で、緊急提言の内容をご紹介したい。

    原発事故の損害賠償に関する公正な処理を求める緊急提言
    2011年7月12日
    公正な社会を考える民間フォーラム

     政府は6月、「原子力損害賠償支援機構法案」を国会に提出した。この法案は、「被害者への迅速・適切な賠償」「原発の状態の安定化と事故処理に関する悪影響回避」「電力の安定供給」を目的としたものとされる。しかし、その内容は、東京電力及びその関係者という特定利権者の負担軽減を優先して、何ら事故の回避可能性のなかった他電力会社利用者や納税者に先に負担を強要する、不当な内容と言わざるを得ない。

    一般の企業であれば、重大な問題を引き起こし、巨額の損害賠償責任を負って、債務超過状態になれば、会社更生手続きによる破たん処理に進む。この場合、株主や、金融機関など債権者も責任負担を求められる。つまり、株主は株式価値滅失という形での責任負担、金融機関は債権カットを求められることになる。また、企業価値を最大化する観点で再生計画を策定して、そのもとで資産売却なども行い、賠償義務の履行のために充てられる。

     今回の東京電力のケースでも、まず、こうしたプロセスによって東京電力及び関係者が最大限責任を担い、それでも賠償債務をカバーしきれない場合に国民に負担をお願いするのが合理的である。

     東京電力の貸借対照表によれば、純資産額は1.6兆円、金融機関からの長期借入金は3.4兆円にのぼる。これらに手をつけることなく、いきなり、収入確保を目的とした料金値上げに走るというのは、一般企業であれば、到底説明のつかないことである。

     これに対し、「電力会社は特殊である」との主張がある。つまり、「東京電力が倒産したら、電力供給がストップする」「東京電力が倒産したら、金融市場が大混乱する」といった議論である。同様の議論はJALについてもあったが、JALは会社更生手続きをとっても飛行機は止まっていない。電力供給に支障が生じないよう、必要な資金は当面国から供給すれば足りることである。

     また、社債市場の混乱などを指摘する声があるが、電力会社の社債は優先債権とされており、権利の性質に応じて処理がなされることとなる。本来はリスクある投資であり、既に市場も一定のリスク実現を織り込みつつあると考えられる。また、仮に金融機関の信用創造機能への支障が生じるようなことがあれば、それに対しては金融安定化策を講じるべきであって、社債一般を保護する必然性はない。

     損害賠償債権は、会社更生手続により、担保付社債より縮減される可能性はあるが、カットされた部分を含めて、原子力損害賠償法(原賠法)に国の最終的な援助が明記されている以上、国が適切に補償策をとれば足りることである。会社更生手続は、むしろ、本来支払われるべきではない過大な請求や、偶発債務などを整理する効果がある。

     しかも、本来の責任主体が負担をし終わってなお足りない分は、国庫支出により納税者負担とせざるをえないのであって、国が責任を放棄したままの電力利用者負担など法は想定していない。すなわち、電力会社に一定の特殊性があるとしても、それが故に、東京電力に会社更生手続を適用できないということはないのである。

     以上のような問題提起は、一般の経済活動の常識に照らせば、ごく当然のものと考えるが、不思議なことに、経済界やメディアからの発信は乏しい。仮に、多くの企業や大手マスコミが東京電力と長年にわたって密接な関係を築いてきたことに起因して自由な言論が困難になってきている可能性があるとすれば、こうしたしがらみを今こそ断ち切らなければならない。

    仮に、今回政府が提出しているような法案が、このまま国会で成立するようなことがあれば、日本は、力の強い特定利権を守るため、法治主義の原則を平然と踏み外す国家ということになる。もはや日本は、法治主義社会とも民主主義国家とも言い難い。こうしたことのないよう、以下の方針に沿って、東京電力の処理を早急に進めるべきことを緊急提言する。



     政府の「原子力賠償支援機構法案」は撤回し、法治主義の原則に則った東京電力の処理プランを作り直すこと。

     具体的には、巨額の賠償債務によって債務超過が明らかになっている以上、東京電力は会社更生型の手続きに則り、事業再生と被害者への損害賠償を行うこと。これによって東電自身の責任と、東電の財産と事業による最大の弁済を行うことを明らかにし、資産売却はもちろん、株主と金融機関に明確な責任を果たさせること。その上で残る賠償債務については、国の負担で援助すること。

     一方、被災者への損害賠償は最優先し、早急に支払いを実施すること。

     また、電力供給に支障を生じさせないよう、国が必要な資金は供給すること。

    公正な社会を考える民間フォーラム(2011年7月11日現在)

    青山 貞一(東京都市大学大学院教授)
    池田 信夫(株式会社アゴラブックス代表取締役)
    飯田 哲也(環境エネルギー政策研究所所長)
    戎 正晴(弁護士・明治学院大学教授)

    大島 堅一(立命館大学教授)
    小野 直樹(東京都市大学大学院教授)
    海渡 雄一(弁護士)
    加藤 久和(帝京大学教授、名古屋大学名誉教授)

    久保利 英明(弁護士)
    島田 晴雄(千葉商科大学学長)
    只野 靖(弁護士)
    田中 優(未来バンク事業組合理事長)

    田原 総一朗(ジャーナリスト)
    常木 淳(大阪大学教授)
    中川 雅之(日本大学教授)
    八田 達夫(大阪大学招聘教授)

    原 英史(株式会社政策工房代表取締役社長)
    原科 幸彦(東京工業大学大学院教授)
    福井 秀夫(政策研究大学院大学教授)
    堀 義人(グロービス経営大学院学長)

    村辻 義信(弁護士)
    山崎 福寿(上智大学教授)
    八代 尚宏(国際基督教大学客員教授)
    屋山 太郎(評論家)
    除本 理史(大阪市立大学大学院准教授)
    吉田 修平(弁護士)

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